「6000万円」という資産は大きな金額です。
老後2000万円問題(数字に疑義はありますが)で取り上げられている2000万円の3倍の資産ですから、なかなか裕福な老後が迎えられそうです。
資産が5000万円以上になってくると、その資金の使い方や運用方法は本人のリスク許容度によって大きく変わります。
これは人生観の問題になってきます。
まだまだ増やしたいと思う人は、起業して会社を立ち上げビジネスを拡大していくための初期費用にしたり。
資産運用で1億円、5億円と狙っていく人もいます。
SNSなどで目立っている人も多いですが、生存者バイアスである可能性があることは頭に入れておきましょう(資産が大きい人は目立たないことを寧ろ好みますので、疑う気持ちも大切です)。
さて、6000万円という資産。筆者は30代前半でありまさに準富裕層クラスの資産額ですが「守りながら徐々に増やしていく」という方針をとっています。
すでに6000万円という資産があるからこそ、この安定した運用が可能なのです。複利の力が大きいからです(一攫千金で10億円以上を短期で狙うのであれば別ですが)。
今回はそんな6000万円、そもそもみんなどうやってその資産を作っているのが普通なのか?
また運用するのであればどのような方法がベストプラクティスなのかを考察していきます。
具体的な資産運用についての記事:
もくじ
6000万円の貯金がある人とはどのような人なのか?
そもそも6000万円という大金を蓄財できるのはどのような人なのでしょうか?
企業オーナー、ベンチャーストックオプション、エリートサラリーマン、医師、相続などがメインになります。
日本全体で5000万円〜1億円未満の準富裕層は6%程度です。当然、富裕層以上の世帯はさらに低い割合ですから、日本の中でも相当な資産家であると捉えることができます。
企業オーナー・社長(中小企業・上場企業)
企業オーナーがまずは最初に挙がります。やはり「事業」というのは大きな金額が動きます。
企業オーナーは種類にもよりますが、事業を伸ばし、企業成長させていく過程で役員報酬も大きくしていくのが通常です。
もちろん税金は高くなりますが、年商が軽々と10億円を超えるような企業を作りあげていれば、社長の年収は3000〜5000万円ほどに設定するのが、私が出会った経営者達を見ると通常でした。
年収が5000万円であれば、最高税率の領域に突入していますが、税後でも3年〜5年ほどあれば6000万円の資産には到達するかと思います。よっぽどの浪費グセがない場合に限りますが。
(注) 例えば「課税される所得金額」が7,000,000円の場合には、求める税額は次のようになります。
7,000,000円×0.23 - 636,000円= 974,000円
年収5000万円の場合は、50,000,000円×0.45 - 4,796,000円= 17,704,000円
2000万円近くが所得税で飛んでしまう世界線です。課税所得の10%が住民税に、社会保険料、厚生年金、などなど。
本当に「所得」をあげればあげるほど税金が大きくなる仕組みは辛いですね。
所得で資産を積み上げるのであれば、度肝を抜くくらいに稼ぐ必要があります。多分、年収2,3000万円程度の人が一番負担を感じるゾーンなのではないでしょうか。
企業オーナーの強みとしては、やはり自社の株を持っていることでしょう。会社を上場させる、M&Aで自身が保有する株を売却するなどで、自分の持つ株の価値を青天井に引き上げることができます。
やはり、自分で事業を起こすというのは夢のある話です。
このオーナー経営者レベルになってくると、資産は数億円は当たり前の世界になってきます。
事業を創造する、会社を成長させる、競争に勝つ、そして時流に乗る。相当な運がないと辿り着けない領域です。
しかし、6000万円であれば、細々と経営している会社社長さんでも10年、20年かければ容易にたどり着く水準ではあると思います。
ベンチャー企業勤務でストックオプション
ベンチャー企業で会社員として働いて、自社が株式市場に上場やM&Aした時に、配られていたストックオプションの権利を行使して、大金を得る人もいます。
有名な話に、YouTubeがグーグルに買収された時に、受付嬢がストックオプションを保有しており、なんと1億円以上のキャピタルゲインを獲得したという話もあります。
ストックオプション(英: stock option)とは、株式会社の経営者や従業員が自社株を一定の行使価格で購入できる権利[1]。従業員向けのものは英語ではemployee stock optionという。 ただし、法制度によっては対象を経営者や従業員に限定しない制度に組み込まれている。日本で2000年代に入って創設された「新株予約権」も、従来の転換社債の転換請求権、ワラント債の新株引受権、ストックオプションの権利をあわせて再構成されており[2]、従来の制度とは異なり権利付与の対象者の制限がなくなっている[3]。また、近年では信託を活用したストックオプション制度(信託型ストックオプション)も登場している[4]。 ここでは会社(企業)の役員や従業員が、一定期間内に、あらかじめ決められた価格で、所属する会社から自社株式を購入できる権利について述べる。
引用元:wiki
Googleに在籍していた社員も、IPOと共に多額の利益を獲得しました。
それが、Google初期に在籍し株長者となった多数の元従業員にとっての問題だ。Googleが新規株式公開(IPO)を行った2004年8月には、900人を超える従業員がにわかに大金持ちになり、彼らの資産総額はGoogle株の急騰とともに膨れ上がった可能性が高い。IPO時に85ドルだったGoogle株は、米国時間1月18日の終値で600ドル25セントを付け、600%以上の上昇率となっている。
ただし、ストックオプションとはベンチャー企業の創業初期メンバーなどでないとなかなか配られないものです。
ベンチャー企業に就職した時に、その企業が成功するかどうか、IPOやM&A以前の問題が山積みなのです。
非常に難易度の高い選択肢であるため、資産を積み上げるには相当なスピードが伴いますが、失敗した時に一文も手に残っていないことがほとんどです。
ストックオプションが配られる場合というのは、給与が低い代わり、という側面もあります。人生そんなに甘くありません。ストックオプションで6000万円を作るのは至難だと思います。
エリートサラリーマン・医者
エリートサラリーマンや医師も企業オーナーと同様高い年収で、数年積み上げれば6000万円は十分に達成可能な水準です。
例えば投資銀行勤務の人であれば、年収は1000万円から成功報酬の部署まであります。成果給の部分が大きければ、その分大きな報酬機会を得られる可能性があります。
外資コンサルもパートナーまで昇進すれば年収は3000万円を超えてきます。
総合商社やメガバンクの社員であれば、海外駐在などを経て、40、50代に差し掛かる頃には6000万円程度の水準は確保できます。
しっかり運用を行えば、引退までに1億円以上は間違いなく資産形成ができると思います。
誤った資産運用を選ばない限りは、サラリーマンという待遇状ダウンサイドも少なく、かなりの資産形成が見込める属性とも言えます。
医師も同様に収入が高い職業です。
総合商社の駐在待遇が日本で続いているパターンが筆者の周りでは多いですが、資産運用に積極的な人が沢山いるイメージもあります。
相続
親の相続などで大金を手にする人も多いでしょう。これは親が資産家だった場合に限ります。相当に運が良いパターンでしょう。
相続された方も、資産運用でさらに資産を大きくし、子供や孫へ財産を残してあげましょう。
6000万円でセミ・完全リタイアは可能なのか? 資産運用だけで生活可能か?
どれくらいの水準で完全にリタイアできるかは、基本指標となるのは月々の生活費です。
この生活費を、資産を運用して3%程度のリターンで賄えるのであれば、それはリタイア生活可能であるという指標になります。
6000万円であれば、3%の運用ができれば年間180万円。税後で146万円です。
146万円を12ヶ月で割ると、12万円です。12万円生活費があれば困らないという人であればという感じですね。
ちなみに二人以上世帯の消費支出の平均が金融庁資料で明らかにされています。
ここでは消費支出313,057円。非消費支出が99,405円となっています。合計で412,462円です。
412,462円の生活費を賄うには、どれくらいの資産が必要になりますでしょうか?
412,462*12/3%=164,984,800円が必要です。
基本的には1.6億円がリタイア生活には必要となりますが、地方に住んでいたり、独身だったりするとこれよりは下回りますので、そこは自分で計算してみましょう。
ただ、今回のようなCovid19によるパンデミックやロシア、ウクライナの戦争など、人生何が起きるかわかりません。
日本でも何が起きるかわからないのです。基本的には、余裕のある2億円までは本業を続け、資産運用を続けて欲しいです。筆者はこの考えでいます。
<coffee break>金融資産5000万円以上の人達の日常
資産が5000万円以上ある人の日常とはどのようなものなのでしょう?
私自身も資産は5000万円を超えていますが、まだまだサラリーマンをしていますし、資産運用も積極的にしています。
5000万円で独身であれば、それはリタイア可能なのですが、あまり贅沢もできず、ただ生きているだけという水準になってしまいそうなので、人生に遊びを取り入れるためにも、まだまだ資産の拡大を目指しています。
とある小説では「生きていくには足りないお金であり、死ぬには大きすぎる金額」とも形容されていました・・・。
6000万円あったらどんな金融資産で運用をすべきなのか?
どんな運用をすべきかという話ですが、私の場合はこれまで実施してきた運用と歴史に照らし合わせた投資しかしないので、結局株式投資という話になってしまいます。
株式投資
なぜ株式投資かというと、それは過去の歴史がそのリターンを証明してしまっているからです。
1802年から続く歴史で、株式が圧倒的に他資産をアウトパフォームしています。
もちろん、個人で株式投資を行うのはリスクが高いです。株式投資はハイリスクハイリターンです。
6000万円で株式投資をするのであれば、1000万円くらいにとどめて、残りは他でもっと安全に運用することをお勧めします。
個別株投資は遊びと捉えた方が良いです。株式投資でお金持ちになった人をメディアなどは囃し立てますが、あれは生存者バイアスがかかっており、下を見ると屍がたくさん転がっているはずです。
株式投資で人生一発逆転、と意気込んでいる人はあまりにも相場を理解していないのだと思います。
投資歴の長い結果を出しているプロの投資家ほど「株式市場は何が起こるかわからない」と言うものです。
投資信託
さて、狙いを株式投資に定めたものの、個別株は危険すぎると述べました。
ここでやはり次に検討するのは投資信託でしょう。
投資信託にはアクティブ、インデックスの2つがあります。
アクティブとインデックス、どちらを選べば良いのでしょうか?
分類 | 平均5年累積リターン |
パッシブ型全ファンド | 22.60% |
アクティブ型全ファンド | 9.70% |
パッシブ型日本株ファンド | 40.00% |
アクティブ型日本株ファンド | 30.90% |
パッシブ型先進国株ファンド | 37.00% |
アクティブ型先進国株ファンド | 12.00% |
パッシブ型新興国株ファンド | 15.20% |
アクティブ型新興国株ファンド | 12.80% |
パッシブ型グローバル株ファンド | 32.60% |
アクティブ型グローバル株ファンド | 8.20% |
5年で見ると差は明らかで、インデックス型(パッシブ)が平均累積リターンが22.6%になっています。
年利回りは4%程度です。
購入するのであれば、インデックス型の投信を選ぶのが正解になってくるでしょう。
以下はシャープレシオですが、こちらもインデックス型が優秀です。
分類 | 5年シャープレシオ平均 |
パッシブ型全ファンド | 0.40 |
アクティブ型全ファンド | 0.20 |
パッシブ型日本株ファンド | 0.50 |
アクティブ型日本株ファンド | 0.40 |
パッシブ型先進国株ファンド | 0.47 |
アクティブ型先進国株ファンド | 0.23 |
パッシブ型新興国株ファンド | 0.24 |
アクティブ型新興国株ファンド | 0.20 |
パッシブ型グローバル株ファンド | 0.44 |
アクティブ型グローバル株ファンド | 0.17 |
リスクリターンの観点から、パッシブ型投信を選んで運用するようにしましょう。
ヘッジファンド
さらなるリターンを目指すのであれば、ヘッジファンドも選択肢に入ってきます。
ヘッジファンドとは、投資家から私募ファンドという形式で資金を募ります。
上記で紹介した投資信託は「公募ファンド」であり、積極的にメディアなど宣伝活動を行い、投資家を少額から集めています。
ヘッジファンドは紹介がベースになっています。なかなか情報が取れません。
最低出資額も日本国内では1000万円からであることが多く、その敷居も高いです。
ヘッジファンドは募った資金を活用して、株式市場、コモディティ、債券などなど、様々な市場で高いリターンを、投資の専門家であるファンドマネジャーが目指していきます。
結果としてヘッジファンド全体の成績(濃青)としては以下の通り、安定したリターンをあげています。
株式市場が軟調な局面でも下落を抑制して、上昇局面も取ることで右肩上がりの安定したリターンを具現化しているのです。
運用残高も上昇しており年々その存在を大きなものにしています。
ヘッジファンドはファンドによって戦略が異なりますが、例えば私が投資をしているヘッジファンドは株式投資に資産を投じています。平均年利回りも10%を超える実績があります。(年によってはそれ以上も)
複利効果も効きますので、時が経てば経つほど資産増加の勢いは増していきます。
私が出資した理由も、バリュー株投資という最大ドローダウン(損失額)を抑えつつ、安定的に資産を増やしていく哲学に納得し、また実績が伴っていたことから、投資に踏み切りました。
以下ではヘッジファンドを選ぶ上での注意点などもまとめていますので、参考にしてみてくださいね。
【2022年・国内和製優良ヘッジファンド】おすすめ投資先ランキング〜リスクを抑え安全・着実に資産を増やせる運用先(投資信託などアクティブファンド含む)を紹介〜
ポートフォリオの割合
ポートフォリオの割合ですが、私であれば、以下の割合で持つと思います。
- ヘッジファンド:3000万円
- インデックス投信:2000万円
- 個別株:500万円
- 現金:500万円
個別株を500万円持つのは、来たる老後に向けて、マーケットに触れることで金融リテラシーの向上、また世界経済の流れを学び、自身の生活に生かしていくためです。
但し、忙しくなり本業が疎かになってしまっては本末転倒なので、ヘッジファンド、インデックスに均等で増額しても良いかもしれません。
インデックス投信も、実際は学習の理由も含んでいます。全世界株投信、米国株投信を私も買っています。参考にしていただければと思います。
具体的な資産運用についての記事:
まとめ
資産6000万円とはどのようなお金なのか、運用するとしたらどのような資産が良いのかを紹介しました。
資産運用は一つの旅であり、取り組み次第では人生が大きく変わるものです。積極的に運用を行なっていきましょう。