資産運用に関心のある方はまずは株式投資、もしくは投資信託を購入することを検討する方が多いのではないでしょうか?
そして投資信託を購入するにあたり、まず出会う商品として、セゾン投信の「セゾン資産形成の達人ファンド」があります。それくらい有名な商品です。
ファンドも宣伝費をかなりかけていると思いますしね。
セゾン資産形成の達人ファンドは「ファンド・オブ・ファンズ」という形式を取っています。
「ファンド・オブ・ファンズ」とは、「投資信託に投資する」投資信託です。
一般個人投資家が購入できないような、世界中にある優良投信を選んで購入し、実際に運用してくことが強みです。
今回の記事では、このセゾン資産形成の達人ファンドの仕組みをお伝えした上で今後の見通しについてお伝えしていきたいと思います。
結論からいうと、2022年からセゾン資産形成の達人ファンドに投資をするのは筆者としてはおすすめできません。
なぜ、このように考えているのかという点について後半で詳しくお伝えしていきたいと思います。
以下の記事ではセゾン投信を含めて安定的に資産を形成していくことに適したファンドを纏めていますのでご覧ください。
【2023年・国内和製優良ヘッジファンド】おすすめ投資先ランキング〜リスクを抑え安全・着実に資産を増やせる運用先(投資信託などアクティブファンド含む)を紹介。
それでは本文に移っていきます。
セゾン資産形成の達人ファンドとは?概要を把握しよう!
冒頭でも述べましたが、セゾン資産形成の達人ファンドは「ファンド・オブ・ファンズ」です。
「ファンド・オブ・ファンズ」とはその名の通り投資信託に投資する投資信託です。
このセゾン資産形成達人ファンドが購入する投資信託は、基本的に一般投資家では購入できない「機関投資家向け」の商品となります。
個人投資家も組み入れてしまえ、というスタイルを取っているのがセゾン資産形成達人ファンドの特徴ですね。
投資信託という商品は「分散投資」が基本ですが、セゾン資産形成の達人ファンドは「分散投資している投資信託」を分散投資(購入)しています。
分散に分散を重ねているので、それだけリスクが低くなっていることがわかりますね。
以下はその分散具合がわかる図表です。
地域別で見ると、北米45.1%、欧州25.2%、新興国15.7%、日本11.9%とかなり安定志向の運用となっていますね。
現在の世界の株式時価総額では米国が60%を占めているので米国の比率を下げて、他の地域を少しずつ増やしているという状態となります。
比率 | |
北米 | 44.2% |
欧州 | 25.2% |
日本 | 12.8% |
大洋州 | 2.3% |
新興国 | 15.6% |
世界全体の経済の成長をダイレクトで取り込むことが出来る構成となっております。
すでに投資資本が大きい個人投資家の方であれば検討してみても良いかもしれません。投資先産業も産業も細かく分散していますね。
セゾン資産形成の達人ファンドの受賞歴
セゾン資産形成の達人ファンドはどのような評価になっているのでしょうか?
実績として、直近はトムソン・ロイターリッパー・ファンド・アワード・ジャパン大賞で、3年連続で最優秀ファンド賞を受賞しています。
また、R&Iファンド大賞を最優秀ファンド賞を4年連続で受賞しております。
2018年のR&Iファンド大賞の
- 投資信託10年部門
- 外国株式最優秀ファンド賞
- 「投資信託部門」の外国株式優秀ファンド賞
と数々の受賞を果たしています。
基本的には、信頼のおけるファンドということが出来ます。
セゾン資産形成の達人ファンドは如何にして投資信託を選んでいるのか?
まずはセゾン資産形成の達人ファンドの理念からみていきましょう。
投資判断は常に理念を軸にして実行しています。
主として、投資信託証券を中心に投資を行い、信託財産の長期的な成長を図ることを 目的として運用を行います。
引用:目論見書
「長期的な成長を測ることを目的として運用を行います」とありますね。
短期的な利益を狙うことなく、セゾン資産形成の達人ファンドは割安な投資信託を常に調査しています。
セゾン資産形成の達人ファンドが目標としているのは「市場アベレージ」ですが、購入する投資信託は「アクティブファンド」なのです。
このアクティブファンドはファンダメンタル分析を重視しており、株価指数などベンチマーク以上の運用成績を目指すことになります。
アクティブファンド・インデックスファンドについては他の記事で解説していますので参考にしてみてください。
上記の投資方針に加えて、セゾン資産形成の達人ファンドでは「世界経済全体の成長」を取り込み、
世界の株式時価総額に連動することを目指しポートフォリオを組成しています。
上記でも触れましたが、世界の株式時価総額国別ウェイトとセゾン資産形成の達人ファンドの比率を見てみましょう。
国名 | 達人ファンドの 投資比率 | 全世界株式の比率 | 差異 |
アメリカ | 44.9% | 60.70% | -15.80% |
日本 | 11.90% | 5.40% | 6.50% |
インド | 5.00% | 1.50% | 3.50% |
フランス | 4.70% | 2.80% | 1.90% |
オランダ | 3.80% | 1.00% | 2.70% |
スイス | 3.70% | 2.60% | 1.10% |
中国 | 3.60% | 3.50% | 0.10% |
アイルランド | 3.30% | 0.10% | 3.10% |
イギリス | 2.90% | 3.90% | -1.00% |
デンマーク | 2.40% | 0.70% | 1.70% |
韓国 | 2.00% | 1.40% | 0.60% |
スペイン | 1.20% | 0.60% | 0.60% |
インドネシア | 1.10% | 0.20% | 0.90% |
台湾 | 1.10% | 1.80% | -0.70% |
その他 | 8.40% | 13.80% | - |
直近上昇が著しく割高となっている米国株の比率を下げている点からも割安度をベースにある程度銘柄を選択していることが読み取れます。
特に割安度が高い日本をオーバーウェイトしている点からも読み取れますね。
セゾン資産形成の達人ファンドのリスク耐性は?
例えば、世界金融危機などが起きた場合に、資産形成達人ファンドはどのような手法でリスクを切り抜けるのでしょうか?
株式相場下落局面では「債券」投資信託も投資対象とする方針となっていますね。
セゾン資産形成の達人ファンドの投資も前提として株式投資に絞っていますので、リスク時は債券投資をすることを明言する必要があるのです。
セゾン達人ファンドの手数料
セゾン達人ファンドの取引手数料は以下の通りとなっています。
購入時手数料 | 0% |
信託手数料 | 1.35%±0.2%/年(税込/概算) |
信託財産保留額 | 0.1% |
(引用:セゾン投信)
購入時手数料が0%なのは嬉しいですよね。
信託手数料は競合のひふみ投信が0.5%ですので高い水準にあります。
信託手数料に変動幅があるのは、セゾン資産形成の達人が購入する投資信託の手数料がそれぞれ異なることが要因です。
チャートからみるセゾン資産形成の達人ファンドの運用実績や利回り
では、本題の運用成績についてみていきましょう。
セゾン資産形成の達人ファンド単体の運用成績(利回り)
以下は2022年9月末までのリターンとなります。
2007年〜2022年の15年間で運用成績としては資産を3倍にしています。
2020年のコロナショック後も、世界の株高にしっかり乗って純資産額を増やしていますね。
ただ、直近のコロナバブルが崩壊している局面で基準価格を落としています。データとしてみてみましょう。
1年 | 3年(年率) | 5年(年率) | 10年(年率) | |
リターン | -0.16% | 15.29% | 10.04% | 15.95% |
標準偏差 | 17.29 | 18.00 | 17.11 | 16.31 |
シャープレシオ | -0.02 | 0.76 | 0.59 | 0.98 |
値動きの荒さを意味する投資におけるリスクである標準偏差が大きいのが気がかりですね。
5年の年率リターン10.04%と標準偏差17.11から考える今後1年の確率毎のリターンの分布は以下となります。
【68.3%の確率】
▲7.07%(=リターン10.04%-リスク17.11% )
〜
+27.15%(=リターン10.04%+リスク17.11%)
【95.4%の確率】
▲24.18%(=リターン10.04%-リスク17.11%×2 )
〜
+44.26%(=リターン10.04%+リスク17.11%×2 )
【99.7%の確率】
▲41.29%(=リターン10.04%-リスク17.11%×3 )
〜
+61.37%(=リターン10.04%+リスク17.11%×3 )
40%近い暴落は覚悟しておく必要があります。
TOPIXやS&P500指数に対してもアウトパフォーム
セゾン資産形成の達人ファンドは市場平均に対してプラスのリターンを組み入れているアクティブ型の投資信託です。
そのため、全世界の株式の平均のリターンに対してアウトパフォームしているかどうかが重要になります。
以下は全世界の株式時価総額加重平均指数に連動するeMAXIS全世界株式インデックスとセゾン資産形成の達人ファンドの比較です。
青:セゾン資産形成の達人ファンド
赤:eMAXIS全世界株式インデックスファンド
殆ど同じリターンであると評して問題ないですが、インデックスにわずかながらアウトパフォームをしています。
しかし、直近1年でみると全世界株式に劣後する成績となってしまっています。
全世界の株式が暴落を食らう時はしっかりと暴落を食らっている点も懸念される点です。
やはり長期投資を行う上では堅実なリターンを暴落を回避しながら出して欲しいところですよね。
そのようなファンドについて以下で纏めていますのでご覧いただければと思います。
【2023年・国内和製優良ヘッジファンド】おすすめ投資先ランキング〜リスクを抑え安全・着実に資産を増やせる運用先(投資信託などアクティブファンド含む)を紹介。
セゾン資産形成の達人ファンドの今後の見通しは暗い?筆者が購入検討をやめた理由とは?
先ほどまで見てきたとおり結局のところ、セゾン資産形成の達人ファンドは全世界の株式の動きと殆ど同じ動きをしています。
つまり、今後の世界の株式市場の動向を予想することでセゾン資産形成の達人ファンドの今後を予想することができます。
まずは、現在2022年9月、全世界がどのような状況かおさらいする必要があります。
コロナが蔓延した2020年以降、米国をはじめとして全世界で国民と企業を救済するために大規模な金融緩和を行いました。
米国では金利をゼロに引き下げた上で、大量にドルを刷って国民にばら撒きました。
結果としてジャブジャブの資金が株式市場に流入して世界的な株高を招きました。この状況が2021年末まで継続しました。
以下は2021年末までの全世界の株式市場の動きです。
しかし、2021年末から状況が一変します。
多いモノの価値というのは希釈化していくのが世の常です。これは通貨についても同じことがいえます。
通貨の流通量が増大すれば通貨の価値が下落します。つまり相対的にモノやサービスの価格が上昇するインフレが発生します。
更に、コロナの世界的な蔓延によってサプライチェーンに問題が発生してインフレが発生しました。
インフレが発生すると国民生活が困窮します。
2022年10月現在、日本でもインフレが発生していますが米国や欧州では日本の3倍から4倍のインフレが発生しています。
各刻の中央銀行は健全な成長を促すためにインフレ率を2%で安定させることを目標としています。
しかし、米国では2022年8月時点で9%を超えるインフレが発生しており40年ぶりの水準となっています。
各国の中央銀行は景気を冷ましてインフレをおさえるために金融緩和から金融引き締めに転じています。
しかも、40年ぶりの高インフレに対応するため、かつてないスピードでの金融引き締めを余儀なくされています。
米国の中央銀行のFRBは金利を急速に引き上げるだけでなく、発行してドルを吸収するバランスシート引き締めも実行しています。
そして、2022年10月現在インフレはまだまだおさまる気配がありません。
更に金融引き締めを実行していった結果、世界的に景気後退となることが確定的な状況になっています。
現在の株式市場の下落はまだまだ道半ばという状況になります。
因みに現在と同じインフレが発生していた1970年代は10年間ほとんど株価は横ばいに推移しました。

1970年代のS&P500指数の推移
つまり、全世界の株式市場の動きに連動するセゾン資産形成の達人ファンドもしばらく厳しいということが想定されます。
2022年8月に開催されたジャクソンホール会議でもFRBのパウエル議長がインフレがしっかり収まったことを確認してから利下げに転じると発言しました。
つまり、株式が上昇しやすい利下げ局面はまだまだ先になったということで、
ますますインデックスへまとまった資金が入れられない状況だと言えるのです。
相場環境に左右されない選択肢を検討しよう
株式市場に連動する動きを行う投資信託やETFは世界の動きに大きく影響を受けます。
株式市場全体が下落する局面では、大きな下落に見舞われてしまいます。
株式市場は上昇するときはゆっくりですが、下落するときは急落していきます。
そのため一時的に50%程度の資産を失う結果になることを覚悟する必要があります。
自分の資産が半減する結果に耐えきれず損切りをしたあとに上昇に転じたという話はよく聞きます。
しかし、これは人間心理からすると致し方ないことです。
長期的に大きな資産を構築するためには暴落に巻き込まれずに右肩上がりのチャートを描く選択肢を検討するべきだと考えます。
図にすると以下のようなチャートですね。
このような投資先として筆者が推薦するのがヘッジファンドです。
ヘッジファンドは下落局面を免れて右肩上がりのリターンを実現しており、欧米の富裕層や機関投資家から選好されています。
実際、ヘッジファンド全体のチャートと全世界株式のチャートを比較したものが以下となります。
ヘッジファンドは欧米では機関投資家しか受け入れていなものも多く、なかなか個人投資家ではアクセスできないものが多くなっています。
しかし、個人投資家でも投資できる魅力的なファンドも確かに存在しています。
以下では日本人の個人投資家もアクセス可能なヘッジファンドについてまとめていますので参考にしていただければと思います。
まさに上記のようなチャートを描いているファンドを紹介しています。
【2023年・国内和製優良ヘッジファンド】おすすめ投資先ランキング〜リスクを抑え安全・着実に資産を増やせる運用先(投資信託などアクティブファンド含む)を紹介。
セゾン資産形成の達人ファンドのまとめ
ここまでセゾン資産形成の達人ファンドを紹介してきました。
世界の株式に分散投資をしてアクティブリターン獲得を狙っていますが、殆ど平均的な成績に終わってしまっています。。
そして、2022年からは米国株式市場に暗雲が立ち込めています。
1000万円以上のまとまった資金がある人は、ヘッジファンドなどを活用して暴落を回避しながらリターン獲得を狙っていきましょう。