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対策必須!日本で発生するスタグフレーションに強い資産とは?原因は何?金ではヘッジにならない?

2023年8月28日

対策必須!日本で発生するスタグフレーションに強い資産とは?原因は何?金ではヘッジにならない?

2021年後半から欧米を中心にインフレが発生し、円安を通じて日本にも2022年後半からインフレが津波のごとく押し寄せています。

2023年年央の時点では日本のインフレ率は米国のインフレ率を上回っています。

 

日米のインフレ率の推移

 

米国では賃金上昇を伴っているので景気自体も腰折れすることなく現状は堅調に推移しています。

しかし、日本では賃金上昇が伴っておらず国民の生活は疲弊感が強まっています。

このように景気が後退していくなかでインフレが進行していく現象のことをスタグフレーションと呼びます。

 

通常、景気の停滞は、需要が落ち込むことからデフレ(物価下落)要因となりますが、原油価格の高騰など、原材料や素材関連の価格上昇などによって不景気の中でも物価が上昇することがあります。これが、スタグフレーションです。景気後退で賃金が上がらないにもかかわらず物価が上昇する状況は、生活者にとって極めて厳しい経済状況といえます。わが国では、1970年代のオイルショック後にこの状態となっていました。

参照:SMBC日興証券

 

本日は日本の現状についてお伝えした上でスタグフレーションへの対応策についてお伝えしていきたいと思います。

 

危機的な日本のスタグフレーションの現状とは?

まずは危機的な日本の現状についてお伝えしていきたいと思います。

日本のインフレ率はバブル期の水準に突入

以下は超長期の日本のインフレ率の推移です。1990年のバブル崩壊以降、インフレはなりをひそめ日本はデフレスパイラルに陥りました。

2014年から2015年に一時的に上がっているのは消費増税の影響です。しかし、2022年から発生したインフレはバブル崩壊時と同様のインフレ率を叩き出しています。

日本のインフレ率の推移

 

年率5%近いインフレというのは成長著しい新興国と同様の水準です。消費増税という特殊要因を除けばバブル期以降の高さです。

日本がバブル景気の時は経済も盛り上がり、毎年給与が上がる時代だったので悲壮感はありませんでした。

モノやサービスの価格が上昇しても、給与も上昇していったので国民が貧しくなることはなかったのです。

 

しかし、2023年現在、収入が増えたからインフレは問題ないと考えている人は一体どれくらいいるでしょうか?

インフレに比してほとんど給与が上がっておらず生活が苦しくなっている方が多いことと思います。この点をデータを用いてみていきます。

 

実質賃金は大幅にマイナス

日本人の苦境が一目でわかるのが実質賃金です。実質賃金というのは賃金からインフレ率を差し引いて算出されます。

わかりやすい例でお伝えすると、給料が前年比2%上昇したとしてもインフレ率が5%であれば実質的には3%分給与が減少しているということになります。

これを表現したのが実質賃金です。以下は日本の現金給与額の前年比と、実地賃金の前年比の推移です。

日本の実質賃金

 

上記をご覧いただければわかる通り、給料の上昇をインフレが大きく上回っているため2022年以降に実質賃金が大幅にマイナスになっています。

実際、家計の消費支出も以下の通り大きくマイナスになっています。

日本の家計収支の推移

日銀

 

経済の根幹は消費です。強烈なインフレが発生しているもおのの消費が沈没しており、明確にスタグフレーションに陥っていると言える状況になってしまっています。

 

日本がスタグフレーションに陥っている5つの原因とは?

ではなぜ日本がスタグフレーションに陥っているのかを解説していきたいと思います。

パンデミック対策により世界中でインフレが発生した

日本では需要増加によるインフレは発生していません。今回のスタグフレーションの主因は海外からの輸入物価の上昇を通じてもたらされています。

2020年に発生したパンデミックによる経済危機を救うために米国をはじめとした世界中の政府と中銀が協調して「お金」をばら撒きました。

 

以下は米国の市場へのマネーの流通量を表すマネーサプライの推移です。2020年から2021年末までに45%ほど上昇しています。

これは今までの推移を考えると急騰と表現するのが妥当です。

米国のマネーサプライの推移

 

マネーサプライが増加するということは市場に流通する「お金」の量が増えるということなので、当然「お金」の価値は減少します。

結果として海外では2021年から本格的にインフレが発生していきました。米国でも1970年代のオイルショック以来の高インフレが発生したのです。

1970年代は3回にわたってインフレが押し寄せましたが、今後も何度にもわたってインフレが押し寄せる可能性は十分あります。インフレは粘着するからです。

 

コアインフレ率は依然として高い

 

ウクライナ危機でエネルギー価格や食料品価格が上昇した

2021年後半からインフレが発生し始めていた時に追い打ちをかけるように発生したのが2022年2月に発生したウクライナ危機です。

以下はWTI原油の価格推移です。2022年前半に大きく価格が上昇しました。

 

WTI原油の価格推移

 

価格上昇の影響が様々な石油関連製品を通じて波及していきました。もちろんガソリンなども入ります。

また、侵攻をうけたロシアとウクライナが世界の穀倉地帯という点も大きな打撃でした。2021年〜2022年時点で小麦輸出量でロシアが1位、ウクライナが5位となっています。

この2カ国が戦争状態なわけですから、当然小麦価格が2022年から急騰していきました。

 

小麦価格の推移

 

エネルギー価格と食品価格の高騰は当然インフレを引き起こしていきます。

 

日本の食料自給率とエネルギー自給率が低い

もし、日本がエネルギーや食料を国内で時給できるのであればインフレをある程度抑えることはできるでしょう。

しかし、残念ながら日本では食料とエネルギーの多くを海外からの輸入に頼ってしまっています。

 

食料自給率は残念ながら低下の一途をたどっており、生産額ベースだと58%、カロリーベースだと38%と散々な結果になっています。

日本の食料自給率の推移

農林水産省

 

エネルギー自給率に関しては主要国で最低水準の12.1%という目も当てられない状況になっています。

 

日本のエネルギー自給率

エネルギー庁

 

このような状況の中、エネルギー価格や食料品価格が上昇してしまったら国内の物価に跳ねるのは致し方ないですね。

 

各国との金融政策の乖離で強烈な円安が発生

更に追撃で円安が発生していることも要因としてあげられます。

2022年にドル円は152円までドル高円安が進展しました。2022年末に127円まで下落しましたが再び高値を目指す動きとなりました。

このドル円は日米の金利差に依存しています。以下は日米の2年債の金利差とドル円の推移を比較したものです。

ドル円と金利は連動

ドル円と日米金利差

 

筆者は大手企業の財務部門で働いていた経験があるので分かりますが、為替レートは金利差が最大の決定要因になっています。

金利に最も影響を与えるのが中央銀行の金融政策です。

 

米国や欧州の中央銀行は発生したインフレをおさえるために金利を引き上げていきました。

金利を引き上げると借り入れを行う人や企業が少なくなり、経済活動が沈静化しインフレもおさまっていくからです。

実際、米国の中央銀行であるFRBは以下の通り2022年から政策金利を急激に引き上げています。

 

日本の政策金利のお推移

 

一方、日本は政策金利も引き上げていませんしイールドカーブコントロール政策も撤廃していません。

日本はインフレが発生している中にあっても世界で唯一マイナス金利政策を維持しています。

結果として日米や日欧の金利差が拡大して円安が進行し、輸入物価が高くなり国内インフレに跳ね上がっているのです。

 

コラム:日本銀行が利上げが出来ない理由とは?

本来であれば日銀も金利を上昇させて円の価値を防衛する必要があります。しかし、日本は以下の理由で金利を引き上げるのが難しいのです。

1点目は住宅ローンを変動金利で借入ている方の比率です。結構身近なポイントではないでしょうか?

以下の通り全体の8割近く、固定と併用型を合わせると約9割の方が変動金利を活用しています。

住宅ローンを変動金利で借入ている人の割合

国土交通省

 

変動金利は政策金利に連動しますので当然、政策金利を引き上げることは難しくなります。景気に甚大な影響が出ますからね。

超長期間にわたってゼロ金利政策を継続したことで変動金利で借りる方が殆どになってしまったのです。これが金融緩和継続の副作用の一つですね。

もし変動金利が上昇してしまえば、頑張って住宅ローンを借りてしまった世帯には返済が大きな負担になり、最悪の場合売却も検討しなければならなくなります。また、売却まではいかなくても、返済負担が大きくなるということは家計消費がガタッと落ちてしまいますので、景気悪化は免れないですね。(そもそも景気が良くないのに利上げで負担増、ということになります)

 

2つ目は日銀のバランスシートの問題です。政策金利を変えなくても10年債金利を固定しているイールドカーブコントロール政策を解除するだけでも円の通貨価値をある程度防衛できます。

イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)は、2016年9月の日銀金融政策決定会合で日銀が新たに導入した政策枠組み「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の柱のひとつ。
2016年1月から始めた短期金利のマイナス金利政策に加え、10年物国債の金利が概ねゼロ%程度で推移するように買入れを行うことで短期から長期までの金利全体の動きをコントロールすること。

参照:野村證券

 

しかし、日銀はイールドカーブコントロール政策の撤廃にも二の足を踏んでいます。理由は撤廃することで長期金利が上昇して日銀が莫大な債務超過に陥る可能性があるからです。

日銀のバランスシートの資産の部には金融緩和で買い取った国債が600兆円計上されています。

 

日銀は国債を600兆円保有

この日銀が保有する国債が金利が上昇することで債券価格が下落すると債務超過に陥ってしまいます。

ある程度の債務超過であれば問題ないのですが、金利が急激に上昇し債券価格が暴落し債務超過が深刻な水準になると中央銀行の信任が揺らぎます。

すると日本円の信任も損なわれて円売りが本格化し、急激に円安が侵攻するリスクがあるのです。

このような危ない橋は渡れずイールドカーブコントロールを解除することが出来ないという状況になっています。

 

長らく続いたデフレにより価格転嫁がしづらい経済構造

インフレが発生していたとしても給料が上がれば問題ありません。

しかし、残念ながら給料の上昇は物価の上昇に大幅に劣後しており、先ほどお伝えした通り実質賃金はマイナスで推移しています。

 

輸入物価の高騰により企業の原価に相当する国内企業物価指数は2年で20パーセント上昇しました。

年率になおすと約10%で上昇してきました。しかし、国内のインフレ率は5%程度で収まっています。

つまり、企業物価の上昇を国内の販売価格に転嫁できていないということですね。

 

国内企業物価指数の推移

 

日本の長らく続いたデフレのせいで安いという状態になれてしまいました。そのため、値上げに対する抵抗感が強く企業は価格転嫁しにくい状況が続いています。

価格転嫁できないと売上も増えないので、当然従業員の給与も上昇しません。

結果として、給与は上がらずインフレだけが進行しているという最悪の状態になってしまっているのです。

 

金ではスタグフレーションのリスクヘッジにはならない!?

インフレの対策として真っ先に皆さんが思い浮かべたのはではないでしょうか?

しかし、金はインフレの対策としては適当ではありません。金は保有していても金利を産みません。そのため金利が上昇すると価格が下がる傾向にあります。

以下は金価格米10年債金利の推移です。

 

米10年債金利と金価格の推移

 

金利が下落すると金価格が上昇し、反対に金利が上昇したら金が下落する傾向にあります。インフレが発生すると金融政策が引き締め的に動くので金利が上昇し、金価格に大きな影を落としていくのです。

実際、バフェットの師匠であるベンジャミン・グレアムも金はインフレの手段としては適切ではないと断じています。

 

グレアム

 

過去35年間(1935-70年)、取引市場における金の価格は1オンス35ドルから、1972年には48ドルに、つまり35%しか上昇していない。しかし、この間、金の保有者は投下資本から配当収益を得られなかったばかりか、保管のために毎年いくらか支出をしなければならなかった。物価は上昇したにせよ、それだけのおカネを銀行に預けておいたら利息が入り、金投資よりもうまくいったことは明らかだ。

ベンジャミン・グレアム『賢明なる投資家』

 

金はどちらかというと景気が後退して金利が低下する局面で仕込んだ方がよいのです。

 

スタグフレーションに強い資産とは?対策は?

スタグフレーションではインフレが発生するものの、給料の伸びは緩いので保有する資産を増加させる必要があります。

インフレが発生している中で最も資産を守るのに役立つのが株式です。というより有力な選択肢はないのですが、強いて言うなら株であるということです。

以下はベンジャミングレアムの言葉です。

 

将来のことは分からないのだから、投資家は手元資金すべてをひとつの籠に突っ込んではいけない―近年、空前の収益をもたらしているからといって、資金を債券だけに注ぎ込むのもよくないし、インフレが今後も続く疑念があるにもかかわらず、株式だけに注ぎ込むのもよくない。

・・・大規模なインフレが起こる可能性はあるので、投資家はそれに対するある種の保険をかけておかなくてないけない。株式がそのようなインフレに対して十分な保険となるという確証はどこにもないが、債券よりは確かである。

・・・防御的な投資家は自らのポートフォリオのなかに相当量の普通株を組み込むべきである。われわれがそれを2つの悪弊の中でもましな方だと思っていても、である―大きな方の悪弊とは、すべてを債券で保有するという危険な行為のことである。

ベンジャミン・グレアム『賢明なる投資家』

 

インフレであろうがなかろうが、株式は得られた収益を再投資することで収益をあげてくれるのでインフレが明確に株価の上げ要因とはいえないとしています。

しかし、一言に株式といっても様々なセクターがあり、インフレ時に輝くセクターも当然存在します。たとえば、エネルギーセクターやブランド力を有し価格転嫁ができる小売店等が代表例ですね。

 

逆に、インフレ下では間違った株式に投資を行うと大きな痛手を被ります。

実際、S&P500指数のような株価指数はインフレが強烈に発生した2022年は以下の通り約20%下落しましたからね。

 

2022年のS&P500指数の推移

2022年のS&P500指数の推移

 

インフレ時でもしっかりとリターンをだす銘柄を選定して投資していく必要があるのです。

そのような意味で筆者が最も信頼をおいている投資先がヘッジファンドです。

ヘッジファンドは市場環境に関係なく安定したリターンを積み上げる株式、債券につぐ第三の選択肢(=オルタナティブ資産)として注目を集めています。

実際、以下の通り株価指数が下落する局面も抑制しながら右肩あがりの理想的なチャートを描いています。

ヘッジファンドと日経平均とS&P500指数のリターンの比較

 

下手に自分を過信して個別株投資を行うより本物のプロに任せるほうがスタグフレーションへの防衛にもなります。

以下ではまさに上記のような値動きをしているヘッジファンドについて詳しくまとめていますのでご覧いただければと思います。

【2024年・国内和製優良ヘッジファンド】おすすめ投資先ランキング〜リスクを抑え安全・着実に資産を増やせる運用先(投資信託などアクティブファンド含む)を紹介。

 

投資信託についてもまとめています。

【ブログ随時更新】飛躍の2024年!今買いの一番儲かる投資信託銘柄はどれ?「安全」且つ「これから上がる」個人投資家が買うべき高利回りファンドを徹底調査!

 

最後に

投資

 

>>>個人的おすすめファンドランキング

 

私がファンドを選ぶ際に気をつけていることは、「長期で明確な戦略を実行し」、「確かなリターンをあげている」「経歴、実績共に優秀なファンドマネジャーが運用しているかどうか」、これだけです。

短期間における投資ファンドのハイリターン実績は全て無視しています。真に勝率が高い投資家は長期でみると、ピカピカな運用実績に収束します。

しかし、短期は短期。ただの運である可能性が高く、ファンドの本当の実力を測れるものではありません。

日々の膨大なニュースに翻弄され、株価の上げ下げで感情的に取引してしまう個人投資家が日本には溢れています。

しかし、投資とは自身の得意とする、勝率の高い戦略を見つけ、愚直に実行するだけなのです。これには膨大な作業量(決算読み込み、市場調査など)と強い精神力を必要とします。

このように、本当は投資とはシンプルでつまらないものです。

 

投信やヘッジファンドを選ぶ際は、この投資の考え方、哲学をしっかり持っているファンドマネジャーが在籍するファンドを選びましょう。それだけで大損することはまずありませんし、周囲の人が驚くようなリターンを自身があげていることに気づくはずです。リターンの差とはこの思考、また投資とは何かを知っているかどうかで大きく変わります。

 

勝率の高い投資戦略を愚直に実行しているファンドマネジャーが在籍するファンドを私の目でも選んでいますので、以下の記事も参考にしてみてください。

 

 

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