投資信託

評判の良いコモンズ投信が運用する「コモンズ30ファンド」の実績を「ひふみプラス」と比較しながら徹底評価!

2021年1月28日

評判のコモンズ投信が運用する「コモンズ30ファンド」の組み入れ銘柄や実績を徹底評価!

日本において有名な独立系投資信託というのは「ひふみ投信」や「さわかみ投信」が思い浮かべるかたが多いと思います。

ただ、その他にも様々な独立系投資信託が存在しています。

 

その中でも比較的に有名なものに「コモンズ投信」があります。

〝誰もが長期的な資産形成が出来る長期投資のファンド″を創ろう。世代を超える30年目線で。

2008年秋、100年に一度の金融危機とも言われたリーマンショック直後にコモンズ投信は誕生しました。

時代の転換点、30個のドットで構成されたコモンズ投信のロゴには、親子が手を携え、こどもたちの時代をより良い社会にしていく持続可能な社会を創ろう。そんな想いが詰まっています。

参照:コモンズ投信

 

コモンズ投信は「コモンズ30ファンド」や「ザ・2020ビジョン」という二つのファンドを運用しています。

本日は旗艦ファンドである「コモンズ30ファンド」についてお伝えしていきたいと思います。

 

コモンズ30ファンドの特徴とは?

まずは「コモンズ30ファンド」の特徴について見ていきたいと思います。

「30年目線」「厳選30銘柄」を掲げる

コモンズ30ファンドという名前を聞いて、何故30なのかと疑問に思われた方が多いと思います。

この「30」という数字は「30年目線」で「30銘柄」を厳選して投資をするという意味が込められています。

 

投資する銘柄は直近のファンダメンタルズに加えて企業のDNAや理念にも踏み込んで判断しています。

30年というのは一世代を表す期間です。子供や孫に資産を大きくして継承させることを目指して運用されているファンドということになります。

 

また投資銘柄をある程度絞っていることは評価できます。

ひふみ投信」のように200銘柄以上に分散投資をしていると日経平均のような値動きになってしまいます。

 

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アクティブリターンを狙うのであればある程度銘柄は厳選した方がよいのです。

 

ファンドマネージャーは伊井哲郎氏

アクティブ型ファンドに投資する上で注目すべきはその投信の「ファンドマネージャー」の手腕です。

 

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伊井哲郎

 

山一證券で営業企画部に約10年間在籍し、マーケティングなど担当。その後、機関投資家向け債券営業。メリルリンチ日本証券、三菱UFJメリルリンチPB証券で法人・個人向け営業を約10年。コモンズ投信創業と共に現職。2012年7月からCIO兼務。

参照:コモンズ投信代表

 

この経歴を見て筆者が懸念するのは、運用者としての経歴がないことですね。

最初から一貫して営業として働いているので、セールス力はありそうですが運用者としての実力については疑問視せざるを得ません。

 

日本の投信にありがちなのですが、ファンドマネジャーに相場経験、もはや自分の資産すら運用したことがない人がアサインされてしまうことなのですよね。

しかし、なぜか日本の個人投資家は預けてしまうわけです。欧米ではそんなことはあり得ません。

 

構成上位10銘柄

コモンズ30ファンドは30銘柄しか組み入れていないので、上位10銘柄だけで37.8%となっています。

2023年4月末の構成上位銘柄は以下となっています。

コモンズ投信の構成上位銘柄

2023年4月末

 

丸紅や三菱商事といった総合商社が上位を占めています。

その他にも1位の味の素、4位の信越化学工業などの技術的な優位性や独占性を持った企業が選ばれています。

比較的ROEが高い銘柄に集中投資していますね。ちなみに過去の異動は以下です。殆ど変わりませんね。株価の上下動で順位がいれかわっているのがわかります。

2023年4月 2023年2月 2022年11月 2022年6月
味の素 味の素  信越化学工業  信越化学工業
丸紅 丸紅 丸紅 KADOKAWA
三菱商事 三菱商事 三菱商事 東京エレクトロン
信越化学工業 信越化学工業 ダイキン工業 カカクコム
KADOKAWA KADOKAWA 味の素 SMC
デンソー デンソー ディスコ 三菱商事
セブン&アイ セブン&アイ・HD 東京エレクトロン 丸紅
ディスコ ディスコ カカクコム ダイキン工業
コマツ コマツ セブン&アイ ディスコ
ダイキン工業 ダイキン工業 リンナイ デンソー

 

現在のポートフォリオをご覧いただければわかる通り、大型銘柄中心に組み入れていることがわかります。

またPER水準からグロース銘柄ではなく、どちらかというとバリュー銘柄も選定していることが読み取れます。

2022年の調整を経て昨年の緩和時点よりも大分PERが下がりましたね。

 

 

各銘柄を見ていたのですが、結局は銘柄選定にあまり一貫性は感じられませんでした。

 

投資コラム〜投資委員会での銘柄選定方法をインベスターZの名シーンを元に考察

一貫性がない銘柄選定の理由は、おそらく目論見書に記載されている以下の部分だと思います。

 

【全員一致】投資委員会

コモンズ30ファンドの銘柄選定手法

 

全員一致で銘柄を選定すると聞いて思い浮かぶのはインベスターZの以下のシーンです。

「優秀な人間が相談して出した結論なんてロクなもんじゃないんだよ」

 

優秀な人間が相談して出した結果なんてロクなもんじゃない

 

筆者もサラリーマン生活を通して感じたことなのですが、皆が落とし所を見つけて得られた結論は中途半端なものになります。

投資というのは優秀な人間が悩み苦しみ抜いた先に答えを一人で見つけてこそ価値があると思います。この全員一致の投資判断というのは筆者からするとナンセンスです。

 

ノーロード型の手数料体系で信託報酬も比較的低い

手数料体系は投資家に優しく購入手数料はかからないノーロード型で信託報酬は毎年1.078%(税込)となっています。

ただ、重要なのは手数料後の成績が優れているのか?

という点です。次項で「コモンズ30ファンド」の運用実績について詳しく見ていきたいと思います。

 

コモンズ30ファンドの運用実績を評価

では肝心のコモンズ30ファンドの運用成績について見ていきましょう。

長期的に資産価格を伸ばしている

以下は運用開始以降の「コモンズ30ファンド」の基準価格の推移です。

コモンズ投信の基準価額の推移

 

分配金再投資後のリターンとしては基準価格が4倍(40,000円)になっていますね。リーマンショック後の底から投資できているので市場要因が大きいです。この点は次の項目でお伝えします。

幾度もの暴落を経験していますが、長期的には上昇を実現化してきているとみることができます。

 

一点、注意しないといけないのは上記の分配金再投資後のリターンは税金を控除されていない前提となっています。

実際に一度配当金を出すと20.315%の税金が差し引かれるので、実際は黄緑色のチャートと緑色のチャートの間に落ち着きます。

 

日経平均とほぼ同じ動き!配当金を加味すると日経平均に軍配!

アクティブ型の投資信託である限りは対象となるインデックスと比較する必要があります。

→ アクティブ運用型とパッシブ運用型の投資信託のどちらが優れているのか徹底比較!インデックス投資は本当に最強なのか?

 

以下はコモンズ30ファンドと日経平均のチャートの比較です。実はコモンズ投信がすごいのではなく、市場が堅調だったというだけにすぎないのです。


青:コモンズ30ファンド
赤:日経平均

運用開始以来のコモンズ30ファンドと日経平均の比較

 

ほとんど同じ動きですね。さらに日経平均は毎年2%程度の配当金を拠出していますが、ここには反映されていません。

配当金まで加味すると日経平均に劣後する成績となっています。

殆ど同じ動きをして日経平均に負ける動きをしているので、投資する価値があるのかは微妙ですね。

 

「ひふみプラス」をはじめとした他の独立系投資信託と比較

では他の独立系投資信託と比較していきましょう。今回比較するのは以下の独立系投資信託です。

 

 

以下は各ファンドの過去10年の比較です。

青:コモンズ30ファンド
赤:ひふみ投信
緑:さわかみ投信
黄:鎌倉投信
紫:ありがとうファンド

過去10年のコモンズ30ファンドと他の独立系投資信託との比較

 

「ひふみ投信」が高いパフォーマンスをあげ、他の投信は横並ぶという感じですね。鎌倉投信はかなり厳しいですね。

では「ひふみ投信」が優れているのかといえば、断言することは出来ません。以下は過去3年の「ひふみ投信」と他の独立系投資信託のリターンの比較です。

 

青:コモンズ30ファンド
赤:ひふみ投信
緑:さわかみ投信
黄:鎌倉投信
紫:ありがとうファンド

 

過去3年のコモンズ30ファンドと他の独立系投資信託との比較

 

 

「鎌倉投信」と「ひふみ投信」は殆ど同じ成績となっています。「ひふみ投信」は2017年にカンブリア宮殿に取り上げられてから規模が大きくなりすぎて本来の運用ができなくなっています。

現在では日経平均に劣る成績となってしまっています。概して過去3年の独立系投信の成績をみると、日経平均とほとんど同じ動きになっています。

あえて投資する意味があるのかというと疑問です。筆者は投資をしないという判断になります。

 

コモンズ投信が赤字という話は?

これはコモンズ投信の運用が赤字という話ではなく、経営状況について気になっている方が多いという話です。

コモンズ投信の貸借対照表(BS)を見ていただければ分かるのですが、利益剰余金がマイナスになっていました。

 

コモンズ投信のBS

 

しかし今年から黒字になっており、特に問題は見受けられません。

利益剰余金とは、企業が生み出した利益を積み立てたお金で、会社内部に蓄積されているものを指します。企業会計において貸借対照表の純資産の部に記載される、株主資本の一部です。利益剰余金は利益準備金とその他利益剰余金で構成されます。

利益剰余金 (りえきじょうよきん)

 

今後の見通しも暗い?

重要なのは今後の見通しです。今後の見通しは即ち、今後の日本株の見通しを考えるのと同じになります。

結論から申し上げると厳しい成績となることが想定されます。2022年に入ってから世界中にインフレが発生して、各国中央銀行が金融引き締めを行なった結果世界的に株価は下落しています。2023年に入っても状況はかわっていません。

 

ただ、日本株は2022年からの下落は他の国に比べて軽いものとなっています。これは単に日本円が暴落していることに起因しています。ドル円は年初の115円から2022年10月時点で152円まで円安ドル高が進展しました。(2023年5月時点では135円近辺に戻しています)

円が安くなっているので資産の株式が耐えているのです。しかし、今後世界的な景気後退に伴って円高に修正されることが想定されています。

 

現在のドル円は日米の金利差拡大によってもたらされていますが、今後米国の経済が利上げによって失速すると金利は急落していきます。

すると日米の金利差が縮小するのでドル円は下落していきます。つまり円高になるのです。すると、株価は下落していきます。

 

更に世界的な景気後退が想定されるので企業収益の悪化をともなって株価が下落することも想定されます。

ここから日本株を購入するのはかなりリスクがあるといえるでしょう。

以下では市場環境によらず安定したリターンを積み重ねることができるファンドについてまとめて今うのでご覧いただければと思います。

 

【2023年・国内和製優良ヘッジファンド】おすすめ投資先ランキング〜リスクを抑え安全・着実に資産を増やせる運用先(投資信託などアクティブファンド含む)を紹介。

 

掲示板での口コミや評判

Yahoo掲示板での口コミや評判もみていきましょう。

あまり盛り上がっておらず、以下のような口コミがありました。

銘柄選定に不安を抱く内容となっています。

 

このファンドに組み入れられている銘柄に関してですが、
楽天グループでも楽天モバイルで不祥事
今度はKADOKAWAで不祥事
前者は財政面で、後者は企業イメージに関して大ダメージでしょう。
とはいえ投資信託の場合は静観するしかありませんね。

 

ただ、直近の「ひふみ投信」よりはましだよねという意見も見受けられます。

 

ここは10年くらい積み立ててきました。基本的なファンドの姿勢に共感したから。最近は分配金が出ることも多く、だいぶ貯まってきました。分配金も入れればindexファンド程度よりちょと上かな? まあ、ずっと持ち続けます。
ひふみも積み立ててきましたが、昨年の1月頃に一部の株も加えて、全部売りました。 3月の暴落時には買いたかった優良株とReitを買い集め、結果、リーマン以来の楽しいウハウハでした。
投信はトキメキが乏しい。 老いても現物の売り買いで頭脳を使うのも悪い趣味ではないですね。

 

まとめ

本日はコモンズ投信が運用している「コモンズ30ファンド」について取り上げました。

  • 30年目線で30銘柄に投資をするファンド
  • ファンドマネージャーは営業出身で運用経験が乏しいように思われる
  • 構成銘柄はバリュー株よりグロース株的な側面の方が強い
  • 成績は日経平均とほとんど同様の成績でアクティブリターンは稼ぎ出せていない

 

正直、指数と同じ動きをするファンドへ投資をする意味は薄いと考えます。

以下で筆者が投資をしているファンドを含めて魅力的なものをランキング形式でお伝えしていますので参考にしていただければと思います。

最後に

投資

 

>>>個人的おすすめファンドランキング

 

私がファンドを選ぶ際に気をつけていることは、「長期で明確な戦略を実行し」、「確かなリターンをあげている」「経歴、実績共に優秀なファンドマネジャーが運用しているかどうか」、これだけです。

短期間における投資ファンドのハイリターン実績は全て無視しています。真に勝率が高い投資家は長期でみると、ピカピカな運用実績に収束します。

しかし、短期は短期。ただの運である可能性が高く、ファンドの本当の実力を測れるものではありません。

日々の膨大なニュースに翻弄され、株価の上げ下げで感情的に取引してしまう個人投資家が日本には溢れています。

しかし、投資とは自身の得意とする、勝率の高い戦略を見つけ、愚直に実行するだけなのです。これには膨大な作業量(決算読み込み、市場調査など)と強い精神力を必要とします。

このように、本当は投資とはシンプルでつまらないものです。

 

投信やヘッジファンドを選ぶ際は、この投資の考え方、哲学をしっかり持っているファンドマネジャーが在籍するファンドを選びましょう。それだけで大損することはまずありませんし、周囲の人が驚くようなリターンを自身があげていることに気づくはずです。リターンの差とはこの思考、また投資とは何かを知っているかどうかで大きく変わります。

 

勝率の高い投資戦略を愚直に実行しているファンドマネジャーが在籍するファンドを私の目でも選んでいますので、以下の記事も参考にしてみてください。

 

 

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