近年AIの成長は著しく今後の世界で重要性が増していくことは誰の目にも疑いのないこととなっているかと思います。
一言にAIといっても例えば以下の分野で主に活躍が期待されています。
AIの活躍領域
- IoT
- モバイル・インターネット
- 知識労働の自動化
- クラウド技術
- 先端ロボット
今後2025年時点で低く見積もっても16.2兆ドル、高めの試算では39.3兆ドルという市場規模になることが見込まれています。
まだ現在は本格的なAI社会の初期段階に立っているに過ぎないということです。
AI関連企業の売上は年々上昇の一途をたどっています。間違いなく成長産業ということになります。
このようなAI関連企業に投資している投資信託として「グローバルAIファンド」があります。
しかし、現在グローバルAIファンドは下落基調となっています。
本日はグローバルAIファンドについて特徴をお伝えした上で、
なぜ下落基調となっているのか?
今後の見通しはどうなのか?
という点についてお伝えしていきたいと思います。
関連記事:【ブログ随時更新】飛躍の2024年!今買いの一番儲かる投資信託銘柄はどれ?「安全」且つ「これから上がる」個人投資家が買うべき高利回りファンドを徹底調査!
グローバルAIファンドの特徴
まずはグローバルAIファンドの特徴をみていきましょう。
投資対象は世界のAI関連銘柄
グローバルAIファンドは世界の上場株式の中から以下のAI関連銘柄に投資をすることを投資対象としています。
投資対象
- AIテクノロジー開発
- AI開発に必要なコンピューティング技術
- AIを活用したサービス、ソフトエラの提供を行う企業
- AIを活用して自社ビジネスを成長させる企業
最後のAIを活用した自社ビジネスをせいちょうさせる企業は解釈が広く、ダイレクトにAI関連企業だけに投資しているというわけではなさそうです。
では実際にどのような銘柄に投資をしているのか次の項目でみていきましょう。
米国のハイテク銘柄中心の構成上位銘柄
2023年12末時点の構成上位10銘柄です。テクノロジー系の企業が多く占められています。
現在、構成トップのエヌビディアは世界最大の米半導体メーカーです。
ちなみに過去からのポートフォリオの異動は以下です。ほとんど構成銘柄に変化はなく価格の変動で上下動が行なっています。テスラの株価が下落し、ランクを落としていますね。
2023 12末 | 2023 9末 | 2023 6末 | 2023 3末 | 2022年11末 | 2022年8末 |
エヌビディア | エヌビディア | テスラ | エヌビディア | オン・セミコンダクター | テスラ |
テスラ | テスラ | アマゾン | マイクロソフト | テスラ | オン・セミコンダクター |
アマゾン・ドット・コム | メタプラットフォームズ | オンセミコンダクター | テスラ | マーベル・テクノロジー | ズームインフォ・テクノロジーズ |
ショッピファイ | オンセミコンダクター | メタプラットフォームズ | メタ・プラットフォームズ | ブロードコム | トレードデスク |
トゥイリオ | アドビ | アドビシステムズ | オン・セミコンダクター | ディア | プラグ・パワー |
オンセミコンダクター | マイクロソフト | ディア | アマゾン・ドット・コム | ズームインフォ・テクノロジーズ | マーベル・テクノロジー |
マーベル・テクノロジー | アマゾン・ドット・コム | トゥイリオ | マーベル・テクノロジー | アルベマール | エンフェーズ・エナジー |
マイクロソフト | トゥイリオ | ネットフリックス | アリババ・グループ・ホールディング | マイクロチップ・テクノロジー | メタ・プラットフォームズ |
ブロードコム | ショッピファイ | ショッピファイ | エンフェーズ・エナジー | エレバンヘルス | クラウドストライク |
メタプラットフォームズ | エレバンスヘルス | エレバンスヘルス | ズームインフォ・テクノロジーズ | シュルンベルジェ | ブロードコム |
テスラは電気自動車ですが自動運転にはAIが必要なので納得ですね。その他、半導体企業が多く組み入れられています。
これは当然、AIを作動させるには半導体を組み入れるのはマストなので当然のことといえるでしょう。
特筆すべきはNVDAですね。NVDAは2023年から盛り上がっている生成AIの代表的な銘柄ですね。
生成AIの需要によりNVDAが提供するGPUに対する需要が爆発的にのびてEPSは以下の通り急速に伸びており今最も勢いのがる米国株となっています。
EPS | |
2020年 | $1.45 |
2021年 | $2.50 |
2022年 | $4.44 |
2023年 | $3.34 |
2024年(予想) | $11.32 |
2025年(予想) | $19.13 |
結果として株価は以下のとおりとなっており時価総額は1.6兆ドル(240兆円)とマイクロソフトやアップルの背中を捉えつつあります。
「為替ヘッジなし」と「為替ヘッジあり」のどちらを選択すべき?
グローバルAIファンドは「為替ヘッジなし」と「為替へっじあり」の二種類が存在します。
為替ヘッジなしだと円安になると基準価額は上昇して得をしますし、反対に円高になると基準価額は下落します。
重要なのは今後、円安となるか円高となるかという点です。
為替の見通しは非常に難しいので立てるのは無駄足です。プロですら半分しか当てることはできません。
ただ、中長期的な潮流は予想することができます。
2022年10月に152円まで円明日が進展した後に2023年に入り126円まで円高調整しましたが再び145円超えまで円安が進んでいます。
今までは米金利の上昇によってドル円も上昇していきました。しかし、将来的に不況になるとの織り込みが進み米金利が下落に転じ、更に日銀の政策変更が拍車をかけました。
日銀は世界の各国の中央銀行がインフレに対応するために金融引き締めをする中で金融緩和を継続していました。
しかし2022年12月の日銀政策決定会合で長期金利の誘導レートを0.25%から0.50%に引き上げ1日で6円も円高が進展しました。
しかし、これは序の口です。2023年7月には10年債の誘導目標の上限を1%まで引き上げました。2024年はマイナス金利の撤廃やYCCの撤廃が見込まれています。
徐々に日銀もインフレに抵抗するために引き締め方向に舵をきっており今後日米の金利差は縮小する方向に動くことが濃厚となっています。
日米金利差が縮小するとドル円は下落するので為替ヘッジありを選択するのが今後は魅力的でしょう。
ただ、為替ヘッジありの場合はヘッジコストが年間6%程度発生するので超長期を見据えるなら「為替ヘッジなし」となります。
しかし、テーマ型投信はブームがさると大きく下落するので基本的には超長期投資には向きません。
手数料はアクティブ投信の中では高めに設定
グローバルaiファンドの手数料は以下となります。
購入手数料:3.3%(税込)
信託手数料:年率1.925%(税込)
海外の株に投資をしているので手数料が高くなるのは致し方ない側面あります。
グローバルAIファンドの運用実績
では肝心な運用実績についてみていきましょう。
2021年後半から右肩下がり
2020年のパンデミック後に世界各国が金融緩和を行ったことで長期金利が低下してハイテクグロース企業に強烈な追い風が吹きました。
しかし、2021年後半から完全にバブルの崩壊の様相を呈してきています。(なぜ、下落しているかの理由は追ってお伝えします)
以下は為替ヘッジありですが、最高値から50%ほど下落していますね。現在は生成AIバブルのおかげで反発気味ですが、それでもまだまだ最高値が遠いです。
為替ヘッジなしは円安のクッションのおかげで下落幅は30%と為替ヘッジありに対してはマイルドになっています。ほぼ暴落ではありますが。
ナスダック総合指数も他のハイテク投信も同様の動き
では、グローバルaiファンドの値動きが、特有のものなのかという点について指数や他の投信と比較してみていきたいと思います。
今回比較するのは米国のハイテク株が多く組み入れられているナスダック総合指数と、他のハイテク投信を比較していきます。
青色:グローバルaiファンド
赤色:ナスダック総合指数
緑色:サイバーセキュリティ株式オープン
黄色:ゼロコンタクト
紫色:クリーンテック株式ファンド
サイバーセキュリティ株式 | グローバルAIファンド | クリーンテック株式ファンド | デジタル・トランスフォーメーション(ゼロコンタクト) | |
リターン1年 | -23.23% | -21.93% | -3.86% | -34.21% |
リターン3年(年率) | 16.88% | 24.90% | -- | -- |
リターン5年(年率) | 14.87% | 15.08% | ||
シャープレシオ1年 | -1.08 | -0.82 | -0.20 | -0.81 |
シャープレシオ3年 | 0.70 | 0.88 | -- | -- |
シャープレシオ5年 | 0.60 | 0.56 | ||
標準偏差1年 | 21.53 | 26.91 | 19.73 | 42.40 |
標準偏差3年 | 24.17 | 28.28 | -- | -- |
標準偏差5年 | 24.72 | 27.13 |
ゼロコンタクト、グローバルAIファンド、サイバーセキュリティ株式ファンドは著しく悪い成績となっています。
どうやらグローバルaiファンド特有の理由により下落しているというよりは、ハイテク株全体に下落ち圧力がかかっていることがわかります。
関連
グローバルAIファンドが下落した理由とは?今後の見通しは暗い?
昨年2022年だけでも8回実施されているファンドからの説明
1日で5%以上の下落をした場合は、ファンドから説明がなされます。
そして驚くべきことに2022年だけで9回も報告書がファンドから出されています。
2022/11/28のレポートの内容も抜粋します。
11月以降は1日、2日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見において、米政策金利が9月のFOMCで示した到達点よりも高い水準に達する可能性にパウエル議⾧が言及するなど、タカ派的なコメントが目立ったことから金融引締めが⾧引くとの思惑からグロース株中心に下落しました。また、決算シーズンに入り、好調な実績を示し、インフレやマクロ経済の悪化に対し回復力が見られる企業があるものの、テクノロジー企業を中心に第4四半期以降の業績見通しを下方修正する動きが見られました。これが、株価を押し下げる要因となり、パフォーマンスの悪化につながりました。
この説明は正しいです。追ってお伝えしますが、米国株式市場は厳しい状況に立たされています。
その前の9/26のレポートの内容も抜粋します。
次⾴のファンドの9⽉26⽇の基準価額は、9⽉22⽇から26⽇の相場変動の影響を受けます。 9⽉22⽇〜23⽇の⽶国株式市場は、9⽉21⽇に⽶連邦準備制度理事会(FRB)が、インフレを抑制するために3会合連続で0.75%の⼤幅な利上げを実施したことで、景気悪化につながるとの⾒⽅から幅広い銘柄が売られました。特に⾦利 上昇で相対的な割⾼感が意識されやすいハイテク株が下落しました。
また、9⽉22⽇に英国では0.5%の利上げが連続し て実施されたことなどから、英国国債も⼤幅に下落しました。 政府・⽇銀が約24年ぶりに⽶ドル売り・円買い介⼊を実施したことで、円⾼が進んだことなども基準価額の下落要因となりま した。
この説明は間違いです。FRBが0.75%の利上げを行うことは既に織り込まれていました。
しかし、今後の利上げをプロットしたドットチャートというもので更に苛烈に利上げを行うという見通しが示されたことで金利が上昇しました。
金利が上昇したことでグロース株にとって大きな打撃を与えたことになります。この点について次の項目で詳しくお伝えしていきます。
下落の理由と2024年以降の今後の見通しを解説
グローバルAIファンドが下落している理由はナスダックが下落している理由を考えることと同じこととなります。
そもそも2020年にハイテク企業が大きく株価を引き上げた理由を考える必要があります。
理由は2点あります。
- パンデミックによって社会変革が進むデジタル企業のサービスが脚光を集め利用促進が進んだこと
- 金融緩和によって金利が大幅に下落したこと
この2点によってグロース株は大きく株価を上昇させていきました。
しかし、2021年後半から上記2点の流れが逆流を開始しています。1点目は2020年から2021年にデジタル化が急激に進行したことで2022年以降の成長率は鈍化しています。
つまり成長の先食いをしてしまったということですね。株価は近い将来を見て動きますので今後の成長率が鈍化するのであれば株価は織り込みすぎた期待を調整する方向つまり下落していきます。
2点目は金融緩和によって流動性を提供し続けた結果、逆に過度なインフレが発生しています。
米国では1970年代のオイルショックと同等のインフレ率は一時年率8%を超える水準になりました。
米国の中央銀行FRBが目指すインフレ率は2%です。つまりFRBは金利を引き上げて需要を抑制してインフレを押し下げることに躍起になっているのです。
2024年1月時点ではサービスインフレは依然として5%で粘着しています。そして、現在と同じインフレが発生した1970年代は3度にわたりインフレが発生しました。
2024年時点で賃金インフレが粘着しておりエネルギー価格の反発がみられ2波の懸念が高まっています。当時と全く同じ経路をたどっていますからね。
インフレが発生すると米国の金利は上昇します。現在では10年債金利は2年までは0%だったのに4%を超える水準となっています。
すると、今まで許容されていたグロース株の高いPERが許容されなくなります。
企業価値は将来の利益を現在の価値に割り引いて算出します。グロース株は将来の利益に期待がなされているので、金利が上昇すると割引率が上昇し現在時点での価値が小さくなります。
例えば10年後の100億円の利益を割引率5%で現在価値に割り引いた場合は61億円となりますが、割引率10%で割り引いた場合は38億円となるのです。
そのため、金融緩和局面ではグロース株は強く、金融引き締め局面ではグロース株は弱くなるのです。
米国のインフレはとどまるところをしらず、中央銀行が引き締めから金融緩和に転じるには時間が必要です。
そして、インフレが収まることなくインフレ2波が訪れる懸念が徐々に高まっています。
しばらくはグローバルAIファンドなどのハイテク銘柄に投資をしている投信の見通しは厳しいといえるでしょう。
このように特定のセクターに投資するファンドは、時期を見極めることで大きな利益を出すこともできますが、反対に大きな損失をだすこともあります。
ただ、相場の将来を見通すことは非常に難しいので、このようなファンドに投資するのは運否天賦的な側面も強いです。
筆者としては、いかなる環境でも一定の割合で資産を増やしてくれるレイダリオが運用する世界最大のヘッジファンド「ブリッジウォーターアソシエイツ」のようなファンドへの投資が魅力的と考えています。
ブリッジウォーターは1000億円からしか投資できませんが、同様の成績を挙げている日本のヘッジファンドには投資することができます。
以下で筆者が投資しているものも含めてお伝えしていますので参考にしていただければと思います。
【悪い評判に】以前は良かったが最近は掲示板での痛烈な批判が相次ぐ口コミや評判
調子のよかった2021年後半まではポジティブなコメントが相次いていました。流行にのったという感じですね。
以下はYahoo finance掲示板での口コミです。一言でいうとボロクソです。
Yahoo finance口コミ①
ここまで下がると笑いがマジで出てくる。4本のファンドでポートフォリオ組んでるが、ここの損失分だけで全体がマイナス。ファンドは置いとけって言うが、黙って置いとけない 苦笑
でもまた売るに売れない状況下でまさに負のスパイラル状態。あー見なくていい頃が懐かしい。
Yahoo finance口コミ②
当初は期待させるだけさせといて…大損しています。大幅マイナスとなっていますが、焦って売ってしまうとマイナス確定。置いといて値上がりを期待するか迷いどころです。
Twitterの口コミも見ていきましょう。
全力でグローバルAIファンドに投入しようかな!分配金ほしい。
— 祥容子 (@oonoarasi) November 16, 2021
しかし、現在2022年になってからは殆ど話題にのぼりません。
話題にでたとしても以下の通り不満を述べているアカウントがあるだけとなっています。
グローバルAIファンド保有しているのだが、1年でアホみたいに下がったな。クソ赤字。国内は小学生のお小遣い程度しか毎月積み立ててなかったけど、お年玉くらいは損失してる。
これでなーにが貯蓄から投資というどの口が
(全世界は一応プラスで、トータルプラマイ相殺)— 塩杏仁 (@sioahn) June 18, 2022
ただ、グローバルaiファンドが悪いよいうより世界的な潮流の中で致し方ない側面が大きいので、グローバルaiファンドを責めるのはお門違いですね。
まとめ
今回のポイントは以下となります。
ポイント
- AI開発だけでなくAIを活用している企業も投資対象としている
- 殆どが米国のハイテク銘柄で占められている
- ナスダックと殆ど同じ動きとなっており2021年後半から不調
- 織り込みすぎた期待の剥落と金融引き締めが理由で下落している
- ブームの崩壊で下落の流れは暫く継続しそうである
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特定のセクターへの集中投資は博打的な側面が強いです。いかなる環境でも安定した利益をあげてくれるファンドを選択肢として考えましょう。
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