本格的なインターネット社会が到来するにつれて、ウィルスなどのサイバー攻撃から端末やクラウドを守るサイバーセキュリティの需要は高まり続けています。
年率で約11%の速度でサイバーセキュリティの市場規模は増大しています。
今後、テクノロジーを悪用したサイバー攻撃から身を守る産業の重要性は益々高まっていくことは確実視されています。
実際、サイバーセキュリティ関連企業は情報技術関連よりも高いパフォーマンスを挙げています。
本日、紐解いていくのは勢いあるサイバーセキュリティ関連企業に投資を行なっているサイバーセキュリティ株式オープンです。
以下の観点から詳しくみていきたいと思います。
ポイント
- サイバーセキュリティ株式オープンはどのような投資信託なのか?
- 運用実績はよいのか?
- 今後の見通しは明るいのか?
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サイバーセキュリティ株式オープンの特徴
ではまずサイバーセキュリティ株式オープンの特徴についていていきましょう。
世界のサイバーセキュリティ関連企業の株式に投資
サイバーセキュリティとはサイバー領域における不正アクセスにより発生する電子情報の流出や改竄といったサイバー攻撃を防止することを意味します。
サイバーセキュリティ株式オープンが投資する企業はサイバーセキュリティの需要拡大および技術向上の恩恵を享受すると考えられる企業の中から、
以下の条件を満たす銘柄を対象とするとしています。
- 持続的な利益成長性
- 市場優位性
- 財務健全性
- 株価水準
要はサイバーセキュリティ銘柄の選定以外は通常のアクティブファンドと同様ということですね。
→ アクティブ運用型とパッシブ運用型の投資信託のどちらが優れているのか徹底比較!インデックス投資は本当に最強なのか?
アリアンツ・グローバル・インベスターズが運用を指図
サイバーセキュリティ株式オープンはアリアンツ・グローバル・インベスターズの指示を受けて運用をおこなっています。
アリアンツグローバルは1998年に資産運用会社として設立された会社です。
本部はドイツのミュンヘンにあり、運用資産残高は2.61兆ユーロとなっています。日本円に直すと365兆円となります。
日本の国家予算が約100兆円なのできとてつもない巨額の資産を運用していることがわかるかと思います。
組み入れ上位銘柄
組み入れ上位銘柄の変遷は以下となります。3ヶ月経過すると多くの銘柄が入れ替わっていますね。
2023年7月末 | 2023年4月 | 2023年1月 | 2022年9月 | 2022年5月 | |
1 | マイクロソフト | マイクロソフト | マイクロソフト | マイクロソフト | マイクロソフト |
2 | ノボノルティクス | パロアルトネットワークス | パロアルトネットワークス | フォーティネット | パロアルトネットワークス |
3 | ロレアル | フォーティネット | ジェン・デジタル | パロアルトネットワークス | フォーティネット |
4 | アイデックスラボラトリーズ | セールスフォース | ゼットスケーラー | ゼットスケーラー | クラウドストライク・ホールディングス |
5 | メタプラットフォーム | サービスナウ | サイバーアーク・ソフトウェア | クラウドストライク・ホールディングス | ノートンライフロック |
6 | ストライカー | アルファベット | スプランク | ノートンライフロック | アルファベット |
7 | フィリップ・モリス | クラウドフレア | シスコシステムズ | アップル | アップル |
8 | LVMH | オクタ | ブロードコム | データドッグ | データドッグ |
9 | ペプシコ | ブロードコム | ノウビー4 | サイバーアーク・ソフトウェア | ゼットスケーラー |
10 | ビザ | エヌビディア | サービスナウ | アリスタ・ネットワークス | マイクロン・テクノロジー |
トップのマイクロソフトはGAFAMと言われる企業群の一角を占めます。時価総額首位をAppleと争っている超大企業ですね。
マイクロソフトの中にサイバーセキュリティ関連が入っているということで組み入れられています。
また、クラウドセキュリティーを専門として行なっている企業にパロアルネットワークス、ゼットスケーラー等の企業も入っています。
2022年5月時点ではクラウドストライクが入っていましたが、株価下落なので上位から陥落しました。
為替ヘッジをつけるべき?
サイバーセキュリティー株式オープンには「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」の2つのバージョンがあります。
為替の動向を読むのは不可能に近いので正直どちらにするべきかと断言することはできません。
しかし、事業会社で為替トレーダーを行なっていた筆者の観点を申し上げます。
2023年8月現在、1ドル145円まで円安が進行しています。これは日米の金融政策の差を意識して日米金利差が拡大していることで形成されている円安です。
日米金融政策の違い
日本:ゼロ金利政策を維持
米国:高進するインフレに対応するため金利を引き上げる金融引き締めを実施
両者の対照的な金融政策の差が意識されドル円は上昇していきました。特に10年債の金利差に注目が集まっています。
現在米国10年債は4.3%程度まできていますが、このまま上昇しつづけるわけではありません。
金利が高くなっていることで景気後退のリスクが急上昇しており、いずれ将来利下げが行われるという見込みから長期金利は低下していきます。
すると、積み上げられたドル円のロングポジションが逆流していきますので今年後半には現在よりも円高になると考えています。
そのため、筆者が投資をするとするなら「為替ヘッジあり」を選択します。
サイバーセキュリティ株式オープンの運用実績
では重要な運用実績を見ていきましょう。
基準価額は最高値から大きく下落
以下はサイバーセキュリティ株式オープン(為替ヘッジあり)の2023年1月末までの基準価額の推移は以下となります。
2021年末の最高値から50%ほど下落しています。
1-3月期 | 4-6月期 | 7-9月期 | 10-12月期 | 1-12月期 | |
---|---|---|---|---|---|
2023年 | 9.41% | 10.13% | -- | -- | -- |
2022年 | -13.26% | -26.10% | -7.96% | -7.90% | -45.66% |
2021年 | -7.92% | 19.51% | 4.05% | 7.49% | 23.08% |
2020年 | -5.68% | 27.43% | 9.78% | 21.07% | 59.76% |
2019年 | 25.62% | 3.15% | -9.27% | 9.71% | 28.98% |
一方、以下は為替ヘッジなしのリターンとなります。円安が進んだことで下落幅は小さくなっています。ただし、これは真のファンドの力ではありません。
1-3月期 | 4-6月期 | 7-9月期 | 10-12月期 | 1-12月期 | |
---|---|---|---|---|---|
2023年 | 11.55% | 20.75% | -- | -- | -- |
2022年 | -8.34% | -18.37% | -2.05% | -13.92% | -36.92% |
2021年 | -1.87% | 20.11% | 5.35% | 10.80% | 37.57% |
2020年 | -6.74% | 27.38% | 8.44% | 19.41% | 53.83% |
2019年 | 27.11% | 0.93% | -8.80% | 12.29% | 31.39% |
以下はさきほどお伝えしたとおり、今後魅力が高いと考える為替ヘッジありで考えていきたいと思います。
ナスダック総合指数や他のハイテク投信とリターンを比較
サイバーセキュリティ株式オープンは米国企業が殆どを占めているので、米国のハイテク企業が多く占められているナスダック総合指数と他のハイテク投信と比較していきます。
以下ご覧いただければわかる通り、前回分析したゼロコンタクト以外は殆ど同じ動きとなっています。(関連:ゼロコンタクトは今後どうなる?)
青色:サイバーセキュリティ株式オープン
赤色:ナスダック100指数(円建)
緑色:ゼロコンタクト
黄色:グローバルAIファンド
紫色:クリーンテック株式ファンド
比較するも何も、テーマ投信は全滅ですね。クリーンテック株式ファンドのみが唯一ナスダックと同等です。
もう少しまともなファンドを選びましょう。
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2023年以降の今後の見通しとは?暫くは厳しい展開が想定される?
重要なのは今後の見通しです。先ほどみてきた通り、殆どナスダック総合指数の動きと連動しています。
つまりナスダック総合指数の株価の見通しが、ほぼサイバーセキュリティ株式オープンの見通しとなります。
ナスダックは米国のハイテク企業を多く含んだ指数です。日本のマザーズ総合指数の更に洗練されたものと捉えていただければと思います。
ナスダック総合指数のようにハイテクグロース株が多く含まれている指数は中央銀行の金融政策に大きく影響を受けます。
ハイテク株は将来の利益の成長に期待して株価が決定づけられています。
具体的には将来稼ぐであろう利益を現在の価値に割り引いて企業価値を考えます。
ここで重要なのが割引です。割引率が高くなれば企業価値は減少して、割引率が低くなれば企業価値は上昇します。
例えば10年後の100億円の利益を割引率5%で現在価値に割り引いた場合は61億円となりますが、割引率10%で割り引いた場合は38億円となります。
そして、この割引率は金利の水準に大きく影響を受けます。割引率は長期金利に株式のリスクプレミアムを上乗せして算出されます。
2023年8月現在、米国の表面上のインフレは鎮静化してきていますが基調的なインフレは依然として高水準を維持しています。
そのためFRBは引き続き金利を引き上げて需要を抑えてインフレを抑制しようと躍起になっています。このままでは1970年代のように何度にもわたりインフレが再燃するからですね。
現状、急激な金利き引き上げを継続しており更に強めていく姿勢を明確に打ち出しています。以下はFRBの過去10年の政策金利の推移です。
現在急激に金利を引き上げていますが、インフレ率は落ち着いてきていますが一時9%という40年ぶりの水準になっていることを考えると、まだまだ引き締めは不十分です。
今後、インフレ退治のために金利を引き上げていくにつれてナスダック総合指数ひいてはサイバーセキュリティ株式オープンの見通しは暫くは暗いと考えるのが自然です。
現在の2023年6月時点では、ナスダックは昨年下落した分反発していますが、AD Line(騰落レシオ)がわかりやすく示しているように、大型株のみが上昇している状況です
つまりは中身がない上昇が起きており、非常に危険な状況ということです。ドットコムバブルの頃も、最後の暴落の前に上昇期間がありました。
騰落レシオとは、市場の値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比率から、市場の過熱感を見る指標で、いわゆる買われすぎ、売られすぎを見るためのテクニカル指標です。値上がり銘柄数/値下がり銘柄数を計算してパーセント表示するかたちが一般的です。
参照:日興証券
実際、米国株はインフレ2波を懸念した金利の上昇により株価は2023年8月に入ってから再び下落に転じています。
今後、インフレがくすぶり続ける限り不安定で先が見通せない相場が長期間にわたり続くことになります。1970年代は10年間の株価のリターンは殆どありませんでしたからね。
相場環境に関わらず、下落相場でもしっかりと利益をだしていくスタイルの安定したパフォーマンスを出しているファンドについては以下で紹介しています!
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掲示板でのサイバーセキュリティ株式オープンの評判や口コミを紹介
それではYahoo掲示板上での口コミや評判をみてきましょう。
ずっと厳しい成績だったこともあり、祈りに似た書き込みが多くみられました。
口コミ①
皆さん、このファンドでの含み損が多くて書き込むほど、心に余裕がないのでしょうね・・・・・。私もですが。
ですが、やっと、最近サイバーセキュリティ関連株が上昇してきて基準価格を少しだけ戻しては来ましたが・・・・どうなることやら・・・・・。
間もなく立春です。このファンドにも春が訪れますように祈っております!
口コミ②
今夜はサイバーセキュリティ関連の株価は大暴落ですね・・・・・。
円高に傾いているし、又、基準価格が20000円を切ってしまうのではないでしょうか。
マイクロソフトの決算結果が大変残念です!
日本人は塩漬けしてしまいがちなのですが、傷が深くなる前にあっさりと損切りする潔さが重要になってきます。
まとめ
今回のポイントをまとめると以下となります。
ポイント
- 主に米国のサイバーセキュリティ銘柄に投資
- リターンはナスダック総合指数と同等
- 今後の見通しは暫くは明るくない
特定のセクターに投資するファンドは調子の良い時と悪い時で大きなさがあります。
サイバーセキュリティ株式オープンは今は向かい風が吹いている局面にあります。
どのような局面でもリターンを狙えるファンドについては以下を参考にしていただければと思います。
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