投資信託

売り時は?評判の投資信託、次世代通信関連世界株式戦略ファンド(THE 5G)の今後の見通しは?主力は導体メーカー銘柄だが2022年より大暴落に基準価額の下落止まらず。

2022年6月18日

評判の投資信託、次世代通信関連世界株式戦略ファンド(THE 5G)の今後の見通しは?

資産運用を本格的に考えた時に、まずは投資先として考えるのは株式だと思います。筆者も同様に、株式に興味を持ちましたが、あまりにも難易度が高いですよね。

そこで次に考えつくのが投資信託だと思います。

 

投資信託であれば、大手の金融機関が販売しているし、信託の営業マンもおすすめしてくれるし間違いないはずだと思ってしまいます。

しかし、投資信託は個別株に投資するのと同様に自分でどんなテーマ、領域に投資をするのかを決める必要があります。

つまり、十分な分析が必要なのです。

 

しかし、世の中の多くの個人投資家は投資信託の目論見書(説明書のようなもの)もろくに読まずに、ファンド選びをして、当然の如く損失を出してしまいます。

今回はきっと目論見書をろくに読まず、ファンドの名前に惹かれて投資してしまっている人も多いであろう、次世代通信関連世界株式戦略ファンド(THE 5G)について分析していきたいと思います。

 

次世代通信関連世界株式戦略ファンド(THE 5G)とは?

運用会社は三井住友トラスト・アセットマネジメント

運用は三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社が実施しています。

住信アセットマネジメント株式会社と中央三井アセットマネジメント株式会社が合併してできた運用会社ですね。その後、三井住友信託銀行の資産運用部門も統合しています。

三井住友アセットマネジメント

 

J-REIT・リサーチ・オープン、NWQフレキシブル・インカムファンドなどの運用を行なっている会社ですが、次世代通信関連世界株式戦略ファンドが一番規模が大きくなっています。

インデックスファンドより大きな資産が次世代通信関連世界株式戦略ファンドなのは意外でした。

 

ファンズ・オブ・ファンズ形式の運用

ファンド・オブ・ファンズ方式

 

ファンズ・オブ・ファンズで運用されています。

ファンズ・オブ・ファンズとはつまり、投資家から預かった資金を、直接株式や債券といった資産に投資するのではなく、株式や債券に投資して いる複数の投資信託に投資して運用を行う仕組みです。

 

つまりは、次世代通信関連世界株式戦略ファンドが「あなたの代わりに投資信託を選んで上げます」ということです。株ではないのか、と初めて聞いた時に筆者は思いました。つまり、2つのファンドに手数料が落ちていく仕組みになっているということです。

実際に運用しているのは「ニューバーガー・バーマン・グループ」の運用会社である「ニューバーガー・バーマン・イ ンベストメント・アドバイザーズ・エル・エル・シー」が行います。米国の独立系運用会社ですね。アメリカのひふみ投信といったイメージです(投資内容は全然違うとは思います)。

 

Neuberger Berman Investment Advisers LLC

 

 

投資対象は世界の次世代通信関連企業

主要投資対象ファンドの運用プロセス

 

次世代通信関連企業は、このファンドにおいては「通信技術の発展によって業績面で恩恵を受けることが期待される企業」と定義されています。

半導体銘柄がなんとなく思い浮かびます。オランダのASMなどが投資先となりそうですね。

2022年6月現在は半導体セクターは地獄を見ており、これからさらにそれは加速するものと思いますのですでに嫌な予感しかしません。

 

以下は半導体ETFの推移ですが、2022年始から続落していますね。

ヴァンエック半導体ETF

 

 

次世代通信関連世界株式戦略ファンドの最新ポートフォリオ

2022年11月末時点の最新のポートフォリオを見ていきましょう。

 

銘柄 業種 産業分野 比率
1 マーベル・テクノロジー 米国 情報技術 通信インフラ関連 4.28%
2 ASMインターナショナル オランダ 情報技術 IoT機器・装置関連 4.25%
3 アドバンスト・マイクロ・デバイセズ 米国 情報技術 通信インフラ関連 4.18%
4 キーサイト・テクノロジーズ 米国 情報技術 通信インフラ関連 3.88%
5 サービスナウ 米国 情報技術 通信サービス関連 3.66%
6 ノキア フィンランド 情報技術 通信インフラ関連 3.49%
7 ハブスポット 米国 情報技術 通信サービス関連 3.47%
8 タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング 台湾 情報技術 IoT機器・装置関連 3.27%
9 スターパワー・セミコンダクター 中国 情報技術 IoT機器・装置関連 3.19%
10 TモバイルUS 米国 情報技術 通信サービス関連 3.10%

 

アドバンスト・マイクロ・デバイセズ、ASMは当然入っていますね。1位のマーベル・テクノロジーはここ1年は-47.64%と壊滅的な状況です。

マーベル・テクノロジー 株価

 

 

2022年5月末のポートフォリオでは1位はアドバンスト・マイクロ・デバイセズでした。3位のアドバンスト・マイクロ・デバイセズはバリバリの半導体銘柄ですね。

アドバンスド・マイクロ・デバイシズは米国の半導体メーカー。コンピュータ、グラフィックス、家電市場向けマイクロプロセッサの製造、販売に従事。コンピュータ搭載用のx86マイクロプロセッサ、ノート型パソコン、ワークステーション、サーバーに使用されるチップセットなどを提供。同社製品は「AMD」の商標名で展開。本社はカリフォルニア州サニーベル。

https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/detail/AMD

 

2021年は株価上昇していましたが、2022年はとんでもないことになっています。年初来は-62%と実に半値となっています。1000万円投資したら今480万円ですね。

アドバンスト・マイクロ・デバイセズ株価

 

過去の組み入れ銘柄推移は以下です。

11月30日 8月30日 5月30日
1 マーベル・テクノロジー キーサイト・テクノロジーズ アドバンスト・マイクロ・デバイセズ
2 ASMインターナショナル ASMインターナショナル ASMインターナショナル
3 アドバンスト・マイクロ・デバイセズ アドバンスト・マイクロ・デバイセズ マーベル・テクノロジー
4 キーサイト・テクノロジーズ マーベル・テクノロジー キーサイト・テクノロジーズ
5 サービスナウ サービスナウ アドバンテスト
6 ノキア アリスタネットワークス サービスナウ
7 ハブスポット TモバイルUS ノキア
8 タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング ノキア スターパワー・セミコンダクター
9 スターパワー・セミコンダクター ハブスポット ハブスポット
10 TモバイルUS ルクスシェア・プレシジョン・インダストリー ツー・シックス

 

それでは実際に直近のパフォーマンスを見ていきましょう。

 

 

基準価額と運用成績(パフォーマンス)と売り時

想像通り、2022年に入り大暴落を起こしています。そもそも2020年から半導体銘柄は株価上昇しすぎました。米国の歴史的に類を見ないレベルの金融緩和により大流行したセクターでしたが、そんなセクターほど2022年は売られましたし、金融引き締めも続くので今後も売られます。

次世代通信関連 世界株式戦略ファンド基準価額の推移  基準価額、純資産総額

 

2017年の設定来+29.18%となっています。2020年の超追い風を考えると物足りない運用とも感じます。

テーマファンドなので、さらなるパフォーマンスが期待されます。そして今後はさらなる厳しい時代を迎えるので正念場ですね。これから投資を考える人は無理して手を出さなくて良いと思います。

 

1カ月 3カ月 6カ月 1年 3年(年率) 5年(年率) 10年(年率) 設定来
トータルリターン -8.10% -8.15% -11.06% -34.49% 2.24% 5.10% -- 29.18%

 

売り時は明らかに2021年中期〜後期でしたね。ちょうどテーパリングの話題が沸騰していた時期でしたので、相場の降り時は非常に明快で、ゆっくりと利確できたのではないかと思います。

今後もテーマ投信である5Gは厳しい局面が続きそうなので、保有している理由もあまりないかもしれません。

 

 

他ファンドとの比較(グローバルAIファンド 「ゼロコンタクト」/デジタルトランスフォーメーション株式ファンド/サイバー セキュリティ株式オープン/投資のソムリエ)

以下のファンドがなぜかよく比較対象になっている印象を受けます。全てテーマファンドですね。

テーマファンドは基本的に金融引き締め局面では全滅するのですが、一応並べてみたいと思います。

 

どれも壊滅的なリターンですね。

ファンド名 次世代通信関連 世界株式戦略ファンド 投資のソムリエ グローバルAIファンド サイバーセキュリティ株式(H無) デジタル・トランスフォーメーション株式
運用会社名 三井住友TAM アセマネOne 三井住友DS 三菱UFJ国際 日興
カテゴリー 国際株式・グローバル・含む日本(F) 安定成長 国際株式・北米(F) 国際株式・北米(F) 国際株式・グローバル・含む日本(F)
基準価額 13,366円 10,513円 25,034円 19,655円 4,481円
純資産 359,219 百万円 524,282 百万円 281,860 百万円 251,711 百万円 173,921 百万円
ヘッジ
インデックスファンド インデックス以外 インデックス以外 インデックス以外 インデックス以外 インデックス以外
最低申込金額 10,000円 10,000円 10,000円 10,000円 10,000円
販売手数料 3.30% 3.30% 3.30% 3.30% 3.30%
信託報酬等(税込) 1.85% 1.54% 1.93% 1.87% 1.80%
償還日 2028年1月7日 無期限 2026年9月25日 2032年6月4日 2030年6月7日
運用年数 5年 10年 6年 5年 2年
経費率 1.20% 1.59% 2.00% 1.93% 1.88%
トータルリターン1年 -34.49% -13.14% -35.60% -36.92% -61.50%
トータルリターン3年(年率) 2.24% -3.11% 13.35% 10.11% --
トータルリターン5年(年率) 5.10% -0.94% 11.99% 13.68% --
トータルリターン10年(年率) -- 0.99% -- -- --
シャープレシオ1年 -1.21 -2.52 -1.11 -1.4 -1.57
シャープレシオ3年 0.1 -0.76 0.45 0.4 --
シャープレシオ5年 0.24 -0.25 0.44 0.56 --
シャープレシオ10年 -- 0.28 -- -- --
標準偏差1年 28.52 5.23 31.99 26.36 39.17
標準偏差3年 22.8 4.11 29.46 25.15 --
標準偏差5年 21.35 3.76 26.99 24.64 --
標準偏差10年 -- 3.52 -- -- --

 

どれも運用歴が短く比較が困難なのですが、投資のソムリエが一番ましであることは確実です。この種類のテーマ株を取り扱うファンドは、米国経済が不況に向かっている時は下落は免れることができません。

不況から好景気に向かう時は、テーマ株は大幅上昇します。そして、それがコロナショックからの金融相場が生まれた2020→2021年だったのです。2022年になり、この大幅上昇が思い切り巻き戻されます。そして少なくとも2年ほどは継続するのがセオリーです。

2023年の今も見通しは変わりません。

 

テーマ株とは

テーマ株とは、話題の企業や業種、または業界の銘柄を一つのまとまりとして考える、株式の分類方法の一つです。例えば「将来性」はテーマ株としてよく用いられます。将来性がある企業の株には、さまざまな方面から資金が入ることが期待できるからです。

IG証券より引用

 

掲示板やSNSでの評価や評判

少しだけ他の人の評価を見てみましょう。

「にゃんと、たったの二週間で年収の半分が資産から消えた(笑)」

「この商品、手数料がぼったくり価格なのになぜ購入する気になるのか理解できません。販売手数料3.3%、保有しているだけで手数料1.84%とかありえない。高すぎる。次世代通信に注目しているならQQQのETFで十分だと思います。0.5%程度のコストですし、ここ2年間のパフォーマンスも上回ってます。腕の良い営業マンに勧められて買ってしまったとしか、、それともこの商品には特別な何か魅力があるのでしょうか??」

「こんなクソファンド、情弱しか買わないわ。投資のソムリエもクソファンドだが
これもまたクソファンドだわ」

「ここまで 下がり続けて 赤字になってしもうた
手放すタイミング 難しいもんやねー 欲 出しすぎた結果 自業自得」

「5Gは、もうオワコンか」

https://finance.yahoo.co.jp/cm/message/1160010546/7684ed2a1354b8563d547fb0de015cb4

 

金融引き締め時に儲かる投信ではないので、辛口なのは当然ですね。

 

 

まとめ

今回は次世代通信関連 世界株式戦略ファンドについて取り上げてきました。あまりにも話題にのぼるので調べてみましたが、やはり筆者はテーマファンドは苦手です。苦手というか、触りたくありません。

自分でテーマを選ぶ必要がありますし、長期前提で投資するにもボラティリティが大きすぎます。

 

また、何よりもテーマ株の選定の難しさを理解しているので、10年経過した時に本当にテーマファンドはプラスのリターンをもたらしてくれるのかと不安になるからです。

筆者は堅実な投資でプラスリターンを毎年確実に積み上げていくことを好みます。それが最も資産形成では実は近道になるからです。

 

効果的、正しいものほど面白くない、というのは投資の世界だけではなく、どんな世界でも一緒です。しっかりと黙々と資産を積み上げていきましょう。

 

 

最後に

投資

 

>>>個人的おすすめファンドランキング

 

私がファンドを選ぶ際に気をつけていることは、「長期で明確な戦略を実行し」、「確かなリターンをあげている」「経歴、実績共に優秀なファンドマネジャーが運用しているかどうか」、これだけです。

短期間における投資ファンドのハイリターン実績は全て無視しています。真に勝率が高い投資家は長期でみると、ピカピカな運用実績に収束します。

しかし、短期は短期。ただの運である可能性が高く、ファンドの本当の実力を測れるものではありません。

日々の膨大なニュースに翻弄され、株価の上げ下げで感情的に取引してしまう個人投資家が日本には溢れています。

しかし、投資とは自身の得意とする、勝率の高い戦略を見つけ、愚直に実行するだけなのです。これには膨大な作業量(決算読み込み、市場調査など)と強い精神力を必要とします。

このように、本当は投資とはシンプルでつまらないものです。

 

投信やヘッジファンドを選ぶ際は、この投資の考え方、哲学をしっかり持っているファンドマネジャーが在籍するファンドを選びましょう。それだけで大損することはまずありませんし、周囲の人が驚くようなリターンを自身があげていることに気づくはずです。リターンの差とはこの思考、また投資とは何かを知っているかどうかで大きく変わります。

 

勝率の高い投資戦略を愚直に実行しているファンドマネジャーが在籍するファンドを私の目でも選んでいますので、以下の記事も参考にしてみてください。

 

 

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