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2023年以降はどこまで下がる?直近の評判が悪いフィデリティ・USリート・ファンドの今後の見通しは?分配金引き下げ?

2022年11月2日

2022年から評判が悪いフィデリティ・USリート・ファンドの見通しは?分配金引き下げ?

不動産は「不労所得」の代名詞とも言えるくらい、人気の資産運用法です。

しかし、実際に取り組んでみるとその大変さに驚きすぐに撤退してしまう人が少なくありません。

筆者も不動産は2件ほど真剣に投資をしていますが、あれは事業です。筆者は本業が忙しいので、それ以上の拡大は断念しました。

同じような経験をした人も多いかと思います。

 

しかし、不動産の実物に投資をする時間がなくても不動産に投資をする方法がありました。それがREITですね。

REITに関して詳しくは以下の記事で解説していますので参考にしてみてください。

→ おすすめしない?高配当利回りで評判のJ-REIT(リート)とは?2023年からの見通しを含めてわかりやすく解説する!

 

今回はそんなREIT商品の中でも人気の「フィデリティ・USリート・ファンド」について分析していきます。

 

フィデリティ・USリート・ファンドはどんなファンド?

投資対象

目論見書によると、投資対象は不動産に投資しているREITではなく、米国のREITに投資をすることになっています。

主として米国の取引所に上場(これに準じるものを含みます。)されている不動産投 資信託(リート)に投資を行ないます。

 

つまりは米国の不動産に投資していると同じ効果が得られるということです。

米国といえば不動産価格の上下動が日本に比べて高く、また一般消費者も活発に不動産(持ち家)を購入する文化です。

 

つまり、ボラティリティが景気変動によって日本より大きく、やりようによっては大きく利益を上げられる可能性があります。

リーマンショックなどを経ながらも、最終的には上昇に向かっており、流石は資本主義国家ですよね。

(資本主義に特化しすぎたために国内格差は酷いことになっていますが)

アメリカの住宅価格指数の指数

上位の組み入れ銘柄

フィデリティUSリートファンドの組み入れ銘柄は以下となっています。

銘柄 形態 比率
1 PROLOGIS INC 産業施設 9.40%
2 AMERICAN TOWER CORP インフラ 8.30%
3 CROWN CASTLE インフラ 6.60%
4 DIGITAL REALITY TRUST INC データセンター 5.40%
5 REALTY INCOME CORP 商業・小売 5.30%
6 VICI PROPERTIES 特殊施設 4.80%
7 HEAL THPEAK PROPERTIES INC 医療施設 4.50%
8 SUN COMMUNITIES INC 医療施設 4.40%
9 REXFORD INDUSTRIAL REALTY INC 産業施設 3.80%
10 INVITATION HOMES INC 住居 3.50%

2022年10月からの構成上位の推移は以下となります。

 

2023年4月 2022年10月
1 PROLOGIS INC PROLOGIS INC
2 エクイニクス AMERICAN TOWER CORP
3 ウェルタワー CROWN CASTLE
4 CROWN CASTLE DIGITAL REALITY TRUST INC
5 DIGITAL REALITY TRUST INC REALTY INCOME CORP
6 エクストラ・スペース VICI PROPERTIES
7 ベンタス HEAL THPEAK PROPERTIES INC
8 UDR SUN COMMUNITIES INC
9 ミッドアメリカアパートメント REXFORD INDUSTRIAL REALTY INC
10 INVITATION HOMES INC INVITATION HOMES INC

 

ポートフォリオ1位のプロロジスはサンフランシスコの物流施設への投資にノウハウを持った会社です。

プロロジスは、世界的な物流不動産企業であり、物流施設の所有・運営に特化しています。同社は、倉庫、配送センター、物流パークなど、多様なタイプの物流施設を提供し、グローバルな物流ネットワークを展開しています。

プロロジスは、顧客のニーズに合わせたカスタマイズされた物流ソリューションを提供し、最先端のテクノロジーを活用して効率的な物流プロセスを支援します。

株価は直近1年は-13.44%となっています。

PLD株価

 

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同じく株価は厳しいですね。

 

アメリカンタワー 株価

 

 

米国の不動産を扱った企業の株価が下落しているのは明確な理由があります。

米国は止まらないインフレを退治するために、歴史上類をみないレベルの金融引き締めを行なっています。

金利が上昇すると当然ローンを借りる需要が低くなるので不動産投資熱が冷えて不動産価格は低下していきます。

この金融引き締めの影響をダイレクトにうけているのです。

 

分配金は引き下げ?

REITといえば分配金ですが、推移は以下の通りとなっています。

 

米国リートの配当利回り推移

 

米国リート配当利回りは4.2%となっていますが、リーマンショック以前の水準には戻っていません。

当時は10%を超えていたのですね。徐々に下降線を辿っています。資本主義の限界も感じさせるところがあります。

2020年は超低金利バブルでしたが、やはり4-5%程度の配当利回りが限界であることがわかります。あとは基準価額との相談になります。(後続で解説)

 

手数料

手数料体系は以下となっています。

  • 購入手数料:3.85%(税抜3.50%)
  • 信託報酬:1.54%(税抜1.40%)

初年度は5%以上の手数料がかかりますので、配当利回り4.2%はここで消えてしまうことになります。

 

フィデリティ・USリート・ファンドの運用実績は?

それでは運用実績を見ていきましょう。配当利回りが高くても、運用実績が低くては元本割れでトータルはマイナスになってしまいます。

配当株、配当投信の罠ともいえます。

 

以下が運用実績です。ベンチマーク(FTSE NAREIT Equity REITs)を下回っています。

フィデリティUSリートファンドの運用実績の推移

設定来は分配金再投資だとしても347%となっており、年率で直すと7.7%程度です。インデックスと同等の成績に見えますが、低金利時代と円安の2020-2022年を含めてもこの成績なので、かなり厳しいです。

 

掲示板の口コミと評判

それでは掲示板での口コミや評判をお伝えしていきます。

 

 

コロナ禍はオフィス需要がなくなる、人類は一生外出できないといった恐怖もあったことから、資金流出なども・・・?と思いましたが2018年の時点で解約相次いでいたみたいですね。

 

 

今後の見通しは?

不動産は金利が全てと言っても過言では有りません。現在は米国のインフレが落ち着きつつあるとはいえ、未だにFRBの目標のはるか上を推移しています。

米国のインフレ率の推移

 

FRBの目標としているインフレ率は2%ですが、現在2023年5月時点のインフレ率は5%となっています。

インフレが落ち着き、利上げから利下げに転じることがない限り、フィデリティ・USリートを購入するのは非常に危険ということです。

そして不動産市場は次の金融危機の震源地とも目されています。

 

金利が上昇したことに加え、働き方改革でリモートワークへと移行がすすみ商業用不動産の需要が低下して価格が急落しました。

結果として、商業用不動産に投資しているファンドが顧客からの解約対応ができなくなり解約制限を課しています。

 

最近、資金運用に行き詰まる投資ファンドが増えている。コロナ禍を経た「働き方の変化」で、オフィスビルの空室率が上昇していることが関係している。加えて金利が一時上昇したこともあり、商業用不動産の価値下落によって顧客への資金返還が難しくなるファンドが出ているのだ。金融専門家の中には、次の危機の震源地として「商業用不動産などに投資するファンド」への警戒を強めている向きがある。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

参照:ダイアモンド

 

解約以来がとまらず解約対応のために不動産を売却し、株を売却し現金を捻出するという事象が雪崩をうって発生すると金融危機が発生します。

その確率が今、一番高いと見込まれているのが米国の不動産市場なのです。

そのような震源地となりうる資産に集中投資するのは合理的な選択肢とはいえなしでしょう。

いかなる環境でも安定したリターンをだせる資産に投資をするべきです。

最後に

投資

 

>>>個人的おすすめファンドランキング

 

私がファンドを選ぶ際に気をつけていることは、「長期で明確な戦略を実行し」、「確かなリターンをあげている」「経歴、実績共に優秀なファンドマネジャーが運用しているかどうか」、これだけです。

短期間における投資ファンドのハイリターン実績は全て無視しています。真に勝率が高い投資家は長期でみると、ピカピカな運用実績に収束します。

しかし、短期は短期。ただの運である可能性が高く、ファンドの本当の実力を測れるものではありません。

日々の膨大なニュースに翻弄され、株価の上げ下げで感情的に取引してしまう個人投資家が日本には溢れています。

しかし、投資とは自身の得意とする、勝率の高い戦略を見つけ、愚直に実行するだけなのです。これには膨大な作業量(決算読み込み、市場調査など)と強い精神力を必要とします。

このように、本当は投資とはシンプルでつまらないものです。

 

投信やヘッジファンドを選ぶ際は、この投資の考え方、哲学をしっかり持っているファンドマネジャーが在籍するファンドを選びましょう。それだけで大損することはまずありませんし、周囲の人が驚くようなリターンを自身があげていることに気づくはずです。リターンの差とはこの思考、また投資とは何かを知っているかどうかで大きく変わります。

 

勝率の高い投資戦略を愚直に実行しているファンドマネジャーが在籍するファンドを私の目でも選んでいますので、以下の記事も参考にしてみてください。

 

 

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