成績がよいと評判の投資信託に「キャピタル世界株式ファンド」があります。
キャピタル世界株式ファンドはキャピタルグループが運用する投資信託で、世界各国の株式を厳選して投資を行っています。
本日はキャピタル株式ファンドの特徴についてお伝えした上で実績を紐解いていきたいと思います。
また、一言にキャピタル世界株式ファンドといっても4種類存在しています。それぞれの違いについても触れていきます。
最後に果たして投資妙味があるのかという点まで踏み込んでいきたいと思います。
そもそもキャピタルグループとは?
投資信託運用会社といえば野村證券グループや大和証券グループなどといった大手金融機関の関連会社のイメージが強いと思います。
ただ、日本の皆様としてはキャピタルグループという名前を聞いた方は少ないのではないでしょうか。
キャピタルグループは1930年にロサンゼルスで創業した歴史ある資産運用会社です。
運用残高は世界第7位という巨大な規模の資産を運用している会社なのです。因みに20位までに日本の運用会社は一つも入っていません。
世界有数の資産運用会社によって運用されていることがわかります。
キャピタル世界株式ファンドの特徴
キャピタル世界株式ファンドは以下の基準で銘柄を選定しています。
上記は特段特別なプロセスではなく、どのアクティブファンドも銘柄選定のプロセスとして基本的に辿るものです。
投資対象としては世界の株式という点が特徴的です。
多くの投資信託は投資する地域を事前に決めていますが、キャピタル世界株式ファンドは世界各地に分散投資をしているのです。
4種類のキャピタル世界株式ファンド「通常盤」「限定為替ヘッジ」「分配重視」「分配重視/限定為替ヘッジ」を比較
一言にキャピタル世界株式ファンドといっても4つの種類が存在しています。
- 「通常盤」
- 「限定為替ヘッジ」
- 「分配重視型」
- 「分配重視型/限定為替ヘッジ」
通常盤 | 為替ヘッジも行わず分配金も年1回に抑制している |
限定為替ヘッジ | 米ドルやユーロやGBPなどの主要通貨に対してのみ円に対しての為替ヘッジを行う |
分配重視型 | 主要通貨に対して為替取引は行わないが年間2回分配金を拠出 |
分配重視型/限定為替ヘッジ | 主要通貨に対して為替ヘッジをしながら年2回分配金を拠出 |
分配金を拠出することで拠出時に20.315%の税金が徴収されるだけでなく複利効果を得ることができなくなります。
長期的に資産を形成したいという方は通常盤か限定為替ヘッジ版を洗濯することを推奨します。
キャピタルワールドの国別構成比率と業種別構成比率
では直近の2022年2月末時点の月次報告書を基にした国別構成比率と業種別構成比率を見ていきたいと思います。
構成比率 | |
米国 | 54.50% |
フランス | 6.50% |
オランダ | 4.30% |
英国 | 3.50% |
日本 | 3.10% |
台湾 | 3.00% |
スイス | 2.40% |
デンマーク | 2.40% |
香港 | 1.70% |
カナダ | 1.70% |
その他 | 16.90% |
米国の比率が大きいかのうように思われますが、現在世界の時価総額の60%は米国株で占められているのでオーバーウェイトというほどではありません。
ただ、フランスやオランダや英国といった欧州の国家の組入比率が比較的多くなっており日本がアンダーウェイトとなっています。
ただ、売上ベースでみると新興国市場(エマージング市場)の比率が大きくなっています。
つまり先進国の企業が新興国市場で大きな収益を上げているということですね。
また、以下は業種別の構成比率です。ハイテク産業が多い情報技術やヘルスケアセクターの比率が大きくなっています。
構成比率 | |
情報技術 | 24.10% |
一般消費財 | 18.40% |
ヘルスケア | 11.30% |
金融 | 10.00% |
コミュニケーションサービス | 8.50% |
素材 | 5.40% |
生活必需品 | 5.00% |
エネルギー | 1.80% |
公益事業 | 1.40% |
不動産 | 0.60% |
現金 | 4.30% |
キャピタル世界株式ファンドの構成上位10銘柄
以下はキャピタル世界株式ファンドの構成上位10銘柄です。
昨年株式市場を賑わせたテスラや、米国ハイテク企業群であるGAFAMが大きな比率を占めています。
上位は米国のハイテク企業で独占している感じですね。
銘柄名 | 国 | 業種名 | 比率 |
テスラ | 米国 | 一般消費財・サービス | 5.0% |
マイクロソフト | 米国 | 情報技術 | 3.5% |
アマゾン | 米国 | 一般消費財・サービス | 3.1% |
フェイスブック | 米国 | コミュニケーションサービス | 3.1% |
TSMC | 台湾 | 情報技術 | 2.9% |
アルファベット(Google) | 米国 | コミュニケーションサービス | 2.6% |
ASML | オランダ | 情報技術 | 2.6% |
ペイパルホールディングス | 米国 | 情報技術 | 1.9% |
JPモルガン | 米国 | 金融 | 1.3% |
他には世界最大の半導体製造メーカーのTSMCや半導体製造装置メーカーのASMLなどを組み入れています。
1位から9位までがハイテク企業が独占しています。
キャピタル世界株式ファンドの運用実績
以下は通常盤のキャピタル世界株式ファンドの運用実績を紐解いていきます。
年 | 1年 | 3年 (年率) |
5年 (年率) |
10年 (年率) |
---|---|---|---|---|
トータルリターン | 8.31% | 17.16% | 18.21% | 14.39% |
標準偏差 | 16.04 | 18.88 | 16.20 | 17.65 |
標準偏差というのは投資におけるリスクであり価格の値動きの激しさのことを意味します。
→ 投資におけるリスクとは!?ハイリスクハイリターン投資よりローリスクミドルリターン投資を狙おう!
10年のリターン14.39%とリスク17.65%から考えられる今後1年間のリターンは以下となります。
【68.3%の確率】
▲3.26%(=リターン14.39%-リスク17.65% )
〜
+32.04%(=リターン14.39%+リスク17.65%)
【95.4%の確率】
▲20.91%(=リターン14.39%-リスク17.65% ×2 )
〜
+49.69%(=リターン14.39%+リスク17.65% ×2 )
【99.7%の確率】
▲38.56%(=リターン14.39%-リスク17.65%×3 )
〜
+67.34%(=リターン14.39%+リスク17.65%×3 )
標準偏差が大きいので市場でショックが起こると大きなマイナスを被る可能性があります。
全世界の株式市場の動きを表すeMAXIS全世界株式とキャピタル世界株式ファンドを比較
キャピタル世界株式ファンドはアクティブ型の投資信託なので市場平均に対してプラスのリターンをだしている必要があります。
以下はキャピタル世界株式ファンドと全世界の株式市場の動きをあらわす「eMAXIS全世界株式」との比較となります。
青:キャピタル世界株式ファンド
赤:eMAXIS全世界株式ファンド
2020年のコロナショック以降、eMAXIS全世界株式ファンドに対して大きくアウトパフォームした成績となっています。
コロナショックからの金融緩和によって金利が低下したことでハイテクグロース企業の勢いが強い相場環境が強かったことが大きく影響しています。
しかし、ハイテク銘柄が上昇しすぎたことを受けて現在は全世界株に対して軟調に推移しています。
わかりやすく以下は過去1年のリターンです。
青:キャピタル世界株式ファンド
赤:eMAXIS全世界株式ファンド
今後、金融正常化にともなって金利が上昇するとハイテク銘柄が下落する可能性も高くなってきます。
今、この段階からハイテク銘柄に投資をするのは慎重になったほうがよいと考えます。
まとめ
キャピタル世界株式ファンドは全世界の株式に投資をしている投資信託です。
4種類ありますが、一番長期的にリターンが高いのは分配金が少ない「通常盤」か「限定為替ヘッジ版」となります。
組入銘柄は米国のハイテク銘柄が中心となっています。
過去のリターンは高いのですが標準偏差も高く最大損失は高くなることも念頭におく必要があります。
現在、コロナショック後からの株価急騰によるバリュエーションの高騰によって2021年後半から軟調に推移しています。
まだ、今後金融正常化にともなって金利が上昇局面となると最も大きな影響を受けるのはハイテクグロース企業です。
今この段階から投資をする妙味は薄いと考えます。
どのような環境でも下落を免れて安定したリターンを叩き出すことができるファンドについては、
以下でランキング形式でお伝えしていますので参考にしていただければと思います。