当サイトでは様々なファンドを分析してきました。
今回分析するのは社会問題解決を行う企業に分散投資をしている「グローバルエクスポネンシャルイノベーションファンド」です。
所謂、SDGsに積極的でイノベーションをおこしている企業に投資しているということですね。
響きだけ聞くと非常に魅力的ですが、実際のところどうなのでしょうか?
詳しく紐解いていきたいと思います。
グローバルエクスポネンシャルイノベーションファンドの特徴
破壊的イノベーションを起こす企業に投資
グローバルエクスポネンシャルイノベーションファンドは以下の2つの基準で銘柄を選んでいます。
- SDGsを社会問題として捉えて取り組んでいる銘柄
- 破壊的イノベーションを起こしている銘柄
非常に素晴らしい基準だと思います。
ARK(アーク)社の助言を元にポートフォリオを組む
そして、破壊的イノベーションという言葉を聞いて真っ先に思いつくのがアーク社です。
アーク社は2020年からのパンデミック後の大相場で大きく株価を伸ばして一躍有名になったARKKの運用会社です。
ARKKは一時は4倍になりましたが、2023年1月現在完全に2019年以前の元の位置に戻ってきています。
2020年からの上昇を全戻し以上しています。
アーク社といえばキャシーウッドです。このご尊顔を一度は見たことがある方は多いのではないでしょうか?
アーク・インベストメント・マネジメントの創業者、キャシー・ウッド氏を世界で最も知名度の高いアクティブ運用の主唱者の一人に押し上げたのは、並外れたリターンだった。しかし、同氏が選好する銘柄の一部が下落する中、そのリターンも急速に消滅しつつある。
参照:Bloomberg
いずれにせよアーク社の助言を受けているということは、ハイパーグロース株に投資をしているということが想像に難くありません。
為替ヘッジは行なわない
グローバルエクスポネンシャルイノベーションファンドは為替ヘッジを行なっていません。
そのためドル円が上昇すると基準価額は上昇し、ドル円が下落すると基準価額は下落します。
2022年10月には日米の金利差拡大でドル円は150円近くまで進展しました。
しかし直近米国の景気後退を受けて米金利が低下していることと、日銀が10年債金利の誘導目標を引き上げたことで日米金利差は縮小しドル円は130円以下まで下落しています。
ここから米国の景気が失墜して更に金利が低下する局面では日米金利差は更に縮小してドル円レートは大きく低下することが見込まれます。
現時点から為替ヘッジなしの投信に投資するのはかなりリスクがあると言えるでしょう。
構成上位銘柄
構成上位銘柄の推移は以下となります。
2022年12月末 | 2022年9月末 | |
1 | ブロック | テスラ |
2 | テスラ | ブロック |
3 | ズームビデオ | ズームビデオ |
4 | イグザクト・サイエンシズ | CRISPRセラピューティクス |
5 | トリンブル | ロク |
6 | UIPATH | トリンブル |
7 | ロク | コインベース |
8 | パシフィック・バイオサイエンシズ | イグザクト |
9 | CRISPRセラピューティクス | UIPATH |
10 | TWILIO | TWILIO |
構成順位はかわっていますが、殆ど構成上位銘柄の顔ぶれはかわっていません。
まさにARKKと同じような構成ですね。ちなみに2023年1月時点のARKKの構成上位銘柄は以下となります。
構成銘柄 | 比率 |
イグザクトサイエンシズ | 9.36% |
ズームビデオ | 8.39% |
テスラ | 7.67% |
ロク | 6.87% |
ブロック | 6.39% |
ユーアイパス | 5.37% |
シッピファイ | 4.77% |
コインベース | 4.68% |
テラドック | 4.19% |
トゥイリオ | 3.88% |
ARKKと同じ運用を行い、、社会性をこじつけてポートフォリオを構成しているように思われます。ほぼARKKです。
ちなみに以前、同じくアーク社の助言のもと投資をしているゼロコンタクトについても取り上げましたが、同じくという状況でした。
→ 【愛称:ゼロコンタクト】今後どうなる?下落の理由は?掲示板で近年評判を博した投資信託「デジタル・トランスフォーメーション株式ファンド」を今後の見通しを含め徹底評価!
手数料体系(購入手数料・信託手数料)
手数料は以下となります。
購入手数料:税込3.3%
信託手数料:年率1.6675%
グローバル・エクスポネンシャル・イノベーション・ファンドの運用実績
では肝心の実績についてみていきたいと思います。
以下はグローバルエクスポネンシャルイノベーションファンドの運用チャートです。
円安のクッションがあるにも関わらず、大きく下落していますね。
ARKKと比較したものが以下となります。ARKKはドル建なのでARKKの方が低いですが、円建になおすと概ね同じ成績といえます。
ちなみに円建のS&P500指数と比較したものが以下となります。圧倒的に劣後した成績となっています。
青:グローバルエクスポネンシャル株式ファンド
赤:S&P500指数(円建)
掲示板での口コミや評判
掲示板での口コミや評判は以下となります。金融機関にすすめられる投信を購入した方の絶叫が聞こえてきます。
彼らは顧客資産を増やすことではなく手数料を徴収することを最大の目的としているので一見耳障りのよい宣伝で手数料の高い投信を紹介してくるのです。
→ 【ブログ更新】投資信託はおすすめしない?質の低い投信選びに失敗して大損して地獄を見ないためにその問題点やリスクを解説。
Yahoo finance①
何処もかしこも上がってるのに。
何故ここは。
ガッカリ過ぎる。
選んだ自分が悪いのだが
M社には物申したい。
Yahoo finance②
キャシーウッド率いるアークインベストメント、ミーハー体質で素人が飛び付くテスラだコインベースだの跳ね上がり銘柄。
案の定の暴落、このミーハー投信を全社挙げて売込んだみずほ証券、お客をボロボロにして信用がた落ち。
キャシーもみずほも素人以下
Yahoo finance③
4,914円ですか…。
ナスダックは上がってるのに
このファンドは
いつ上がるんですか???
Yahoo finance④
これだけ組入れ上位銘柄に一切変化のない投信も珍しい。同じイノベーションでもバイオ関連とかに多少でも入替えしてくれてたら、現在みたいな結果になってないはず。
Yahoo finance⑤
おまけに設定来大幅な円安が進んでいるにもかかわらずにねえ。
S&P 500は年初来27%増というのに、日興AMのグローバルプロスペクティブはマイナス18%、グローバルエクスポネンシャルはマイナス16%で、それぞれ残高が7千億円、4千億円もあるから始末に負えない
今後の見通しとまとめ
重要なのは今後の見通しです。
今まで下落してきた要因は米国のインフレに対応するために政策当局が金利を引き上げていることにあります。
金利が上昇するとグロース企業の将来の利益の現在価値が減少するので株価は下落していきます。
そして、残念ながらまだインフレはおさまる兆候をみせていません。
そのため現在の環境は継続するのでハイパーグロース企業の株価は下落していくことが見込めます。
更に、金利上昇で企業業績は悪化しており利益の下落によって株価が下落する可能性もあります。
グローバルエクスポネンシャルイノベーション株式ファンドのようなテーマ型のファンドの場合はブームが過ぎると株価は大きく下落していきます。
ブームはいつか終わります。ブームにのるような投資は長続きましません。
やはり安定した資産運用を行うのであれば、市場環境によらず安定したリターンをだすことができる選択肢を選ぶのが合理的です。