東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンはR&Iファンド対象に3年連続受賞している投資信託です。
名前の通り、経営者が多くの株式を保有している銘柄を厳選して投資することで高いリターンを実現しています。
本日は東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンがどのようなファンドか特徴をお伝えした上で、
運用実績を紐解き投資妙味があるのかという点について紐解いていきたいと思います。
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンの特徴とは?経営者がオーナーである会社に投資を実行
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンは経営者の合計持ち株比率が5%以上の企業に投資をする方針をとっています。
なかなか、珍しい銘柄選定基準ですよね。経営者の持ち株比率が大きいと以下のようなメリットがあります。
メリット1 | 経営者自身が株主なので利益を追求するインセンティブが大きくなります。利益が上昇して株価が上昇すれば役員自身の資産が増えますからね。 |
メリット2 | 企業の所有者は株主なので、重要な事項を経営者が独断で決定できないこともあります。ただ、株主が経営者であれば迅速な意思決定を行うことができます。 |
実際、以下の通り役員の合計持ち株比率が5%以上である企業の利益は以下の通り東証上場銘柄の平均を上回っています。リーマンショックの時の落ち込みも少なくなっています。
ジャパンオーナーズの組み入れ上位銘柄
以下は7末時点での月次報告書を基にしたジャパン・オーナーズの構成上位10銘柄となっています。
順位 | 銘柄 | 比率 |
1 | SBSホールディングス 陸運業 |
4.6% |
2 | パーク24 不動産業フ |
4.1% |
3 | 大塚商会 情報・通信業 |
3.7% |
4 | 朝日インテック 精密機器 |
3.6% |
5 | リゾートトラスト サービス業 |
3.4% |
6 | フジインターナショナル その他製品 |
3.3% |
7 | オープンハウス 不動産業 |
3.1% |
8 | エフピコ 化学 |
3.1% |
9 | イズミ 小売業 |
2.9% |
10 | エン・ジャパン サービス業 |
2.8% |
ご覧いただければわかる通り、マイナー銘柄ばかりとなっています。それも当然の話で、経営陣といえども大型銘柄の5%以上の株式を保有するのは困難なのです。
構成銘柄トップのSBSホールディングスを詳しく見ていきたいと思います。以下は月報に記載されている銘柄説明です。
同社は1987年、「即日配送」という当時世の中に無かった配送システムを提供するユニークな会社として誕生しました。以来、常に新しい技術の研究とチャレンジを続けながら市場のニーズをいち早くキャッチし、様々な付加価値を提供してきました。
同社の特徴は、M&A(買収・合併・資本提携など)を積極活用して成⻑を続けてきたことにあります。ジャスダック上場の半年後の2004年5月に、雪印乳業の物流子会社である雪印物流の買収を皮切りに、東急グループの物流子会社である東急ロジスティックや、日本ビクターの物流子会社であるビクターロジスティクス、日本レコードセンターなどを次々と買収してきました。
創業社⻑の鎌田正彦氏はM&Aにおける信条として「社員を大切にすること」を掲げ、M&A後も一切リストラを行わず、コスト削減と営業の強化で買収した企業の収益性を高めています。その結果、成功確率が一般的に低いといわれるM&Aにおいて、同社は高い成功を収めています。最近は、EC(インターネット販売)の普及により物流企業に対する需要は、量・質ともに高まっています。このような環境下、同社は売上高1兆円を次の目標としており、さらなる成⻑が期待されます。
参照:月間報告書
代表取締役の鎌田正彦氏が36%もの株式を保有しています。典型的なオーナー企業ですね。
肝心の業績推移は以下となります。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 当期利益 |
---|---|---|---|
2007/12 | 147,097 | 6,794 | 4,054 |
2008/12 | 139,405 | 3,325 | 960 |
2009/12 | 115,710 | 2,888 | 1,988 |
2010/12 | 119,824 | 4,262 | 2,140 |
2011/12 | 121,148 | 2,177 | 2,522 |
2012/12 | 127,935 | 2,901 | 1,647 |
2013/12 | 132,205 | 4,141 | 1,571 |
2014/12 | 141,535 | 4,123 | 2,750 |
2015/12 | 157,996 | 5,347 | -3,815 |
2016/12 | 149,054 | 7,514 | 5,118 |
2017/12 | 152,870 | 6,229 | 4,446 |
2018/12 | 203,516 | 8,240 | 4,409 |
2019/12 | 255,548 | 10,176 | 6,079 |
2020/12 | 257,192 | 10,960 | 6,826 |
2021/12予 | 400,000 | 20,000 | 10,700 |
2018年から売上と営業利益と純利益ともに急激に上昇しています。
アクティブ型投信として一般的な手数料水準
ジャパンオーナーズはアクティブ投信として一般的な水準となっています。
購入手数料:3.3% (税込)
信託手数料:年率1.584%(税込)
購入手数料が若干高いですが、一般的な水準の範囲といえます。
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンの運用実績
肝心な東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンの運用実績をみていきたいと思います。
以下はジャパンオーナーズが運用開始となった2013年4月以降のチャートとなります。
実際の基準価格(橙色)と税引前分配金再投資後の基準価格(青色)との間に乖離があります。
実際には両者の間に収斂します。(分配金を出した瞬間に20.315%の税金が発生してしまうからです。)
Morning Starのデータとしてみると以下の通りとなります。
年 | 1年 | 3年 (年率) |
5年 (年率) |
---|---|---|---|
トータルリターン | 21.60% | 12.39% | 26.08% |
標準偏差 | 15.59 | 19.21 | 17.26 |
5年のリターン14%とリスク17.65%から考えられる今後1年間のリターンは確率毎に以下となります。過去5年のリターンでみると非常に優秀な成績ですね。
参照:投資におけるリスクとは!?ハイリスクハイリターン投資よりローリスクミドルリターン投資を狙おう!
【68.3%の確率】
6.01%(=リターン21.6%-リスク15.59% )
〜
+37.19%(=リターン21.6%+リスク15.59%)
【95.4%の確率】
▲9.58%(=リターン21.6%-リスク15.59%×2 )
〜
+52.78%(=リターン21.6%+リスク15.59%×2 )
【99.7%の確率】
▲25.17%(=リターン21.6%-リスク15.59%×3 )
〜
+68.37%(=リターン21.6%+リスク15.59%×3 )
ただ直近3年のリターン12.39%とリスク19.21%という数値を用いるとまた異なった結果となります。
【68.3%の確率】
△6.82%(=リターン12.39%-リスク19.21% )
〜
+31.60%(=リターン12.39%+リスク19.21%)
【95.4%の確率】
▲26.03%(=リターン12.39%-リスク19.21%×2 )
〜
+50.81%(=リターン12.39%+リスク19.21%×2 )
【99.7%の確率】
▲45.24%(=リターン12.39%-リスク19.21%×3 )
〜
+70.02%(=リターン12.39%+リスク19.21%×3 )
最大損失は50%近くを見込み必要があります。
TOPIXと比較!長期では素晴らしいパフォーマンスだが直近はアンダーパフォーム
日本株のパフォーマンスの平均はTOPIXで表されます。ジャパンオーナーズは運用開始以来TOPIXを上回る高いリターンを出しています。
ただ直近、2021年に入ってから軟調な推移となっておりTOPIXをアンダーパフォームしています。
この現象はひふみ投信やジェイリバイブ でも発生しています。ある程度人気がでてきて運用資産が大きくなってくると、本来の運用ができなくなりリターンが低下する傾向があります。
ジャパンオーナーズも例外ではなく、人気が出た結果としてパフォーマンスが悪化してしまっているのです。
今までのリターンがよかったからといって、今後も同じ成績が出すとは限らないのです。むしろ厳しいとみた方がよいでしょう。
まとめ
東京海上ジャパンオーナーズ株式オープンはオーナーが経営する企業に投資をすることで高いリターンをだしてきました。
しかし、近年は値動きも不安定になってきており値動きの幅も大きくなり、想定される最大損失も大きくなってきています。
今まで良い成績をのこしたことで運用資産が大きくなり、今までの運用パフォーマンスが出しにくくなってきていることが想定されます。
過去の結果をみて、投資をするかどうかを判断する前に一度立ち止まってかんがえてみることを推奨します。
以下では筆者が考える安定的に資産を形成する投資先についての考え方と投資先をまとめていますので参考にしていただければと思います。