銀行口座に眠っている預金が1000万円以上あるものの投資を行ったことがない。
いきなり自分で運用を行うのは不安。このような方は、プロに運用を任せるという選択肢を考えると思います。
プロに任せると聞いて一般的に思い浮かぶのは銀行や証券会社の窓口、雑誌、電車の吊革などで宣伝されている投資信託でしょう。
一方、あまり知られていませんが、資金があるのであればヘッジファンドといった私募ファンドも有力な選択肢となります。
今回は、投資信託とヘッジファンドに資産を預け入れる場合どちらが得策なのかという点を、深く考察していきたいと思います。
- 投資信託は販売会社・運用会社が分かれており関係者が多い
- 手数料形態は損失発生時も徴収できるよう、預入資産に対して取られる形態
- 投資信託は結局のところ投資分野を選ぶのは自分自身
- 投資信託は長期保有に適したものが少なく、乗り換えコストが痛い
- ヘッジファンドは相場環境に関わらず収益獲得を目指すファンド
- 手数料は主に運用収益に対して発生する結果にコミットした形態
- 運用している人材として優秀なのはヘッジファンド
投資信託の特徴と欠点
投資経験がない貴方はまず日本でも認知度が広まってきている投資信託に資産を預託することを考えると思います。
まず投資信託というものが何かということについて皆さん理解されておりますでしょうか。
投資信託は複数の投資家から資金を集め器(ファンド)に資産を入れて、運用の専門家に株式や債券に投資をしてもらい、そこから得られた投資益を投資家に分配するという仕組みをとっております。図解すると以下のようになります。
ここに記載されている販売会社というのは銀行やネット証券で、集めた資産を保管する為に信託銀行まで関係しております。
関係者が多いということは縛りも多く、尚且つ利害関係者が多いため維持する為の手数料が必要になってきます。
その為、上がった収益に応じた報酬体系ではなく、預け入れている資産全体にたいして何%という信託手数料という形態の手数料形態をとっています。
詳細:
ハイウォーターマークとは?ヘッジファンドの手数料体系について投資信託と比較しながらわかりやすく解説!
ヘッジファンドは上げた運用収益の中から報酬を貰うという成功報酬型の手数料形態です。
投資信託でこの運用報酬形態をとればプラスのリターンを出せなければ、販売会社や信託会社が収益を得られず倒産してしまいます。
その為、運用成果に関わらず一定の手数料を稼ぐ形式にしないといけないのです。これは投資信託の隠れた難点の一つです。
結局のところ自分で投資判断をしているのと同じ投資信託が多い
投資信託といっても例えば新興国ハイイールド債権、米国高配当銘柄といったように予め投資する分野が決められているものが殆どです。
結局投資家は、どの分野に投資をするかということを決定する必要があり、素人である個人の判断で投資しているのと変わりません。
また投資信託のファンドマネージャーはこの決められた分野に沿って投資を実行しています。
- 何に投資するのか?(株/債券/リート/商品)
- インデックスファンドにするのか?アクティブファンドにするのか?
- 投資対象地域はどこにするのか?(日本/世界/先進国/新興国)
- 投資手法は?(グロース株/バリュー株/特定テーマ/債券の場合はデュレーション等)
そのため、投資している対象が下落してしまったら、たとえ損失がでたとしても責められることはありません。
運用成績が悪かった場合は、その投資している領域の市況が悪かった為であると説明が為されます。
結局のところ運用結果がわるいのは投資家自身の責任ということになります。これではプロに預けている意味がありませんよね。
野球で例えてみましょう。
ストレートを打ってくださいと打者に指令を出していたら、カーブが来て三振に倒れ続けたとしても文句がいえないという状況ですね。
ヘッジファンドは如何なる相場環境でも収益獲得を目指すファンドなので、どんなボールが来ても打ってくださいと指令をだすことが出来るのです。
投資信託の切り替えコストは大きい
例えば、自分がハイテク分野が伸びると思いハイテク分野に集中投資している投資信託Aを購入し、そのあとハイテク株が上昇し、次の分野に投資しようと考えたとします。
投資信託Aを解約し、別の分野に集中投資している新たな投資信託Bを購入したとすると、投資信託Aの解約手数料2-3%に投資信託Aの購入手数料5%を支払う必要があります。
この切り替えコスト7%は非常に大きなインパクトがあります。金融庁もこの点は大きな問題としています。
投信を乗り換えると、販売会社には都度、購入金額に対し3~3.5%の販売手数料が入る。さらに運用コストとして顧客から受け取る年1.5~2%の信託報酬も運用会社と販売会社の懐に入る。かくして分配金の高い、売りやすい投資信託が次々と新規設定された。
※ 金融庁森長官の発言を元に日経BPが纏めた記事参照
つまり、長期保有に適さない売れる商品を販売して、
収益が悪化したら乗り換えを勧め購入手数料を稼ぐ手数料ビジネス化しているという指摘が金融庁からなされているのです。
市場の伸びほどの利益を得ることができない
これは日経平均連動であったり、原油価格連動を目指す投資信託を購入された方なら経験はあると思います。
連動を目指しているにも関わらず上昇局面でも市場上昇率の6割程度しか基準価格が上昇しないという事象が頻繁に発生します。
私の実家の母も日経平均が18000円の時に日経平均連動の投資信託を銀行の営業員の薦め通りに購入し、その後日経平均が23000円に増加しました。
日経平均は28%上昇したにも関わらず、母の購入した投資信託の基準価格は13%しか上昇しておりませんでした。
私自身も以前原油価格連動投資信託で同じことを経験したことがあります。
理由はよくわかりませんが、投資する分野を自分で決定しても、その分野のベンチマーク通りの成果を上げることが出来ないというリスクが常にあることは認知しておいてください。
運用成績が悪くても一定の手数料が徴収され続け、解約する場合も手数料が発生する。
投資信託の手数料体系は運用収益の中の何%という報酬体系ではなく、預け入れている金額総額の数%(1-3%)という形態になっております。
これは最初に説明した通り様々な関係者がいるため、彼らに利益を渡す必要がある為、運用収益があがった場合ではなくて常に報酬が発生する仕組みになっています。
そのため、1億円を預け入れて、7000万円に減少した場合でも、この7000万円に対しても手数料が発生してしまいます。
ファンドマネージャーのレベルが低い
顧客から集めたお金を、どのような投資先にあてるかを決める意思決定者を、“ファンドマネージャー” と呼びます。
投資信託を運用しているのは大抵は信託会社にサラリーマンとして勤務しているファンドマネージャーです。
報酬体系は一般のサラリーマンです。
高度な金融の知識を身につけた人ではなく、普通に新卒で入社した叩き上げという場合が多いのが実態です。
そのため、厳しい世界で淘汰される中で生き残ったプロ中のプロというわけではありません。
また目論見書により投資をする方向性がある程度定められている為、ファンドマネージャーに与えられている裁量も限定的です。
この、能力の高くない人が、運用の責任者となって指示を出しているというのは投資信託の致命的な弱点です。
毎月分配配当型投資信託の罠
最近毎月分配型の投資信託というものが流行っておりますが、このような商品が飛ぶように売れてしまうあたり、
日本人の金融リテラシーの低さ並びに安全志向の高さを痛感せざるを得ません。
例えば、毎月元金の2%の分配金が支払われる場合仮に基準価格が一定である場合50カ月つまり4年2カ月で元金を回収することが出来ます。
しかし、月2%の運用収益が得られるのであれば毎月分配などせず、
それらを再投資をしていけば4年2カ月あとには元金が2.7倍になるという驚異的なリターンを得ることが出来ます。
また毎月2%の利益を常に出し続けるということは容易ではありません。
このような商品はハイイールド債権を新興国通貨で運用している場合に多く見られます。
しかしながら4年の間に景気が悪化しハイイールド債発行企業が倒産したり、新興国から資金が流出し大きく基準価格を落とし、
更に配当を支払うことにより基準価格が加速度的に下落してファンドの運用自体が危ぶまれる事態となるリスクを抱えております。
ヘッジファンドの特徴と投資信託との比較
ヘッジファンドといった私募のファンドで運用するパターンは、投資信託と比べてどのような違いがあるでしょうか?
まずはヘッジファンドにおける難しさをみてみましょう。
ヘッジファンドには初期投資金額、および発見自体の難しさといったハードルがある
ヘッジファンドは投資信託と違い、小さな金額を預けることはできません。
具体的には投資信託は数千円単位、証券会社によっては100円から投資を始めることが可能です。
日本のヘッジファンドは1,000万円程度の金額から預かっている場合が多いようです。
ヘッジファンドは法律によって出資を募ることができる人数に制限がかけられているので1人あたりの出資金額が大きくなってしまうのです。
手元にあるお金が少ない場合は、ヘッジファンドを検討することはそもそも出来ません。これはヘッジファンドの弱点と言えるでしょう。
また、ヘッジファンドは投資信託と違い証券会社の営業員に営業させたり、広告を売ってCMで流したりということはしません。
あくまで、口コミベースで人を集め、限られた人数の客のお金を集めて運用する、というのが彼らの手法なのです。
このため、自ら積極的にアクセスしない限り、そもそもファンドに辿り着くことができません。
これもヘッジファンドへ投資するに当たっての難しさの一つです。
運用の利回りやファンドマネージャーの質ではヘッジファンドに軍配
投資信託と比較した場合、運用の利回りといった点ではやはりヘッジファンドに軍配があがります。
ヘッジファンドはどのような市況環境であっても利益を追求する絶対利益追求型のファンドであり基本的に市況環境を言い訳にすることはありません。
実際、以下の通りヘッジファンドは市場の下落局面を抑制しながら、株価指数よりも安定して高いリターンを出し続けています。
また素人の個人が投資する分野を考えてテーマにあったファンドをその都度考えることもなく、
一度優秀なヘッジファンドマネージャーに資産を預ければファンドマネージャーが市況環境に応じて柔軟に戦略を組み立て収益を追求していきます。
またヘッジファンドはサラリーマンではなく、ファンドに自己資金を投入しており、
ファンドの収益から発生する成功報酬型の収入形態となっている為、常に生きるか死ぬかの真剣勝負を強いられています。
その為、成績の悪いファンドはすぐに市場から淘汰されるので現役で生き残っているヘッジファンドマネージャーは自然と有能なトレーダーということになります。
最後に重要な点として、ヘッジファンドは投資信託と違い成果報酬という形で手数料をとっておりファンドの基準価格が上昇した分にこれが適用されています。
その為、収益が出なかった場合はむしろ投資信託の手数料より低い手数料となる場合もありますが基本的にはヘッジファンドの方が手数料としては多めにとられていることが多くなります。
ただし、これはあくまで「手数料のみ」を比較した場合の話です。
日本の投資信託の利回りの悪さとへッジファンドの運用利回りのよさを考慮にいれると、こうした手数料の差は誤差になることが多いのが実態です。
実際、手数料が高い(High fees)のヘッジファンドの方がインデックスに対して高いアルファリターンを出しているという調査もブルームバーグによってだされています。
本物のプロに大切な自分の資産の運用を任せたいという場合は、結果的にヘッジファンドの方が適していると私は考えています。
国内にも投資先として私のポートフォリオの主軸をなしている魅力的なヘッジファンドはいくつか存在しています。
以下ランキング形式でまとめていますので参考にしていただければと思います。