筆者はヘッジファンド投資を行いながら資産を増やして億り人になった投資家です。
そのため、様々なヘッジファンドを見極めて投資をしてきました。その中で候補にあがったものの一つにハヤテインベストメントがあります。
ハヤテインベストメントは2019年に日経新聞に取材を受けているヘッジファンドです。
以下の画像の人物が社長の杉原氏です。
結果的に筆者は投資を見送ったのですが、本日はハヤテインベストメントがどのようなファンドなのかをお伝えした上で運用実績についても紐解いていきたいと思います。
今回お伝えする内容は以下となります。
今回の内容
- ハヤテインベストメントがどのような投資会社なのか?
- 投資手法はどのような戦略を採用しているのか?
- 運用実績はどうなのか?
筆者が投資しているヘッジファンド を含めて纏めておりますので参考にして頂ければと思います。
ハヤテインベストメントはどのような会社なのか?ファンドマネージャーの杉原行洋氏の経歴とは?
まずはハヤテインベストメントがどのような会社なのかをお伝えしていきたいと思います。
ハヤテインベストメントはハヤテグループの出発点であり基幹事業
ハヤテインベストメント株式会社は独立系の機関投資家を事業として行なっているハヤテグループの主要なグループ企業です。
イメージとしては「ひふみ投信」などと同じと考えて頂ければシンプルですね。
→ やめたほうがいい?評判だった「ひふみプラス」「ひふみ投信」の時代は終わった?まだ上がる?暴落の理由や今後の見通しを含め徹底評価!
ハヤテインベストメント株式会社は2005年に設立しましたが、その後事業の拡大に伴い事業を多角化しグループとして以下の領域に踏み出しています。
- 機関投資家(主要事業)
- バイタルテック事業
- 人工知能研究所
- VCファンド設立支援
- 上場企業への資金提供(機関投資家として直接出資を行う)
ほぼ全ての分野にファンドマネージャーである杉原氏が携わっており、手を広げすぎな印象を受けてしまいます。
投資家として資金を預けるのであれば、運用業務に集中してほしいというのが正直なところですね
ファンドマネージャーの杉原行洋氏はどんな人?
それではファンドマネージャーの杉原行洋氏がどのような方か日経の記事とHPの内容を参考にしながら見ていきましょう。
杉原行洋氏は東京大学文学部から天下のゴールドマンサックス証券の株式トレーディング部に新卒で入社しました。
筆者も東京大学経済学部卒業ですが、ゴールドマンサックスのインベストメントバンキング部門に新卒で入る人はいましたが株式トレーディング部はいませんでした。
毎年1人入れるかどうかという超難関であり、杉原氏は就活の頂点ともいえるカードを手に入れたといっても過言ではないでしょう。
東京大学在学中から当時の通信手段であるiモードを駆使して株式投資を実践していたそうです。
ゴールドマンサックスでは毎日数十億円から数百億円が動くトレードを1年目で担当していたそうです。新卒に与える権限が桁違いですね。
2年目にタワー投資顧問の会社からスカウトを受けて転職。正直、勿体無い気がしますが。
投資顧問ではアナリストとして年間1000件の会社訪問を行い企業の選球眼を養ったそうです。
タワー投資顧問はオルタナティブ投資に特化した国内の独立系投資顧問会社です。2005年のピーク時には3300億円の資産を運用していました。
運用不調により解約が続き2022年3月末時点での運用資産残高は1200億円にまで落ち込んでいます。
そして、タワー投資顧問が絶頂だった2005年に杉原氏は独立してハヤテインベストメントを立ち上げました。
2006年3月から「ハヤテ・ジャパン・エクイティ・ロング/ショート・ファンド」の運用を開始しています。
経歴としてはヘッジファンドを立ち上げるのに適した人材といえそうですね。
2000年 | 東京大学文学部からゴールドマンサックス証券の株式トレーディング部門へ |
2002年 | タワー投資顧問入社 |
2005年 | ハヤテインベストメント設立 |
ハヤテインベストメントの本社は日本橋兜町
ハヤテインベストメントの本社は日本の金融街の代表格である日本橋兜町に存在しています。住所は以下です。
東京都中央区日本橋兜町6-5 兜町第6平和ビル2階
Google mapでみてみるととなりに日本取引所グループ(東京証券取引所)が存在しています。
米国でいうところのウォール街に位置しているということで、周囲の金融機関との情報交換を密に取れる立地ともいえますね。
ハヤテ・ジャパン・エクイティ・ロング/ショート・ファンドの運用手法
では肝心のハヤテインベストメントが運用する「ハヤテ・ジャパン・エクイティ・ロング/ショート・ファンド」についてお伝えしていきたいと思います。
日本の中小型株のロングショート戦略で運用
ハヤテインベストメントが投資対象にしているのはBMキャピタルや初期の「ひふみ投信」と同じく日本の中小型株式市場です。時価総額は1000億円未満の銘柄が投資対象となります。
年間何千件も面談をこなす過程で本当に価値のある企業を発掘する力があると謳っています。
そして、日本の中小型株式を対象とした株式ロングショート戦略を用いて運用がなされています。
杉原氏が在籍していたタワー投資顧問は1998年から日本株 ロング・ショート ファンドを運用しており、そこで運用手法を学んだのだと推察されます。
ロングとは株式を購入して値上がり益でリターンを得る通常の取引です。一方のショートとは株式を空売りして株価が下がることで利益を得る取引のことを指します。
ロングとショートを組み合わせることで株式市場全体が下落する局面でも損失を抑えてリターンを狙うことが可能となります。
株式ロングショート戦略は伝統的なヘッジファンド が用いている手法ですね。
なぜ日本の中小型株を投資対象にしているのか?
ここでなぜ多くのヘッジファンドや独立系の運用会社が日本株の中小型株式に投資をしているのか理由をお伝えしていきたいと思います。
結論から申し上げると日本の中小型株には大きな投資機会が広がっているからです。
理由について説明していきます。以下は日本と主要国の株式市場の時価総額と上場企業数です。
日本は時価総額750兆円に対して約3700社が上場していますが、米国の場合は約5500兆円の時価総額に対して約5900社の上場となっています。
ご覧いただければわかるとおり日本の株式市場は時価総額に比して上場企業数が多くなっています。
このことが意味することは、企業数が多すぎて証券会社などに所属するアナリストの分析の手が及ばないということを意味しています。
レポートを出すにしても需要のある企業に対して分析をする必要があります。時価総額の低い企業はプロによって評価がなされず市場に任せた評価になっています。
機関投資家などが投資対象とすれば、ある程度妥当な株価になりますが、機関投資家達が投資対象とするのも大型銘柄です。
アナリストや機関投資家から放置されている中小型株は適正な水準から大きく乖離した水準となっている銘柄が数多く存在しているのです。
そのため割高な企業をショートし、割安な企業をロングすることで収益を追求する余地が多くなっているのです。
ハヤテインベストメントの運用実績・運用利回り
では肝心のハヤテインベストメントの運用実績についてみていきましょう。現在2023年9月ですが最新のデータはありません。
ただ、2006年から2020年10月までのデータはありました。2018年には200億円に達していた運用資金が成績不調で2020年10月時点では75億円まで減少しているということです。
年度 | リターン |
2006 | 2.00% |
2007 | -3.22% |
2008 | 5.56% |
2009 | 12.00% |
2010 | 2.03% |
2011 | 9.45% |
2012 | 12.22% |
2013 | 98.74% |
2014 | 19.41% |
2015 | 2.00% |
2016 | 11.42% |
2017 | 42.74% |
2018 | -16.15% |
2019 | -4.35% |
2020(10月まで) | -29.1% |
CAGR(平均年率リターン) | 7.9% |
2006年に100万円を投資した場合は2018年に563万円に到達した後、下落して320万円になっています。(ちなみに後述しますが実際の最低出資額は1億円となっています。)
上記みて頂ければわかりますが運用が跳ねているのは2012年から2017年の大規模金融緩和に後押しされたアベノミクスの影響が大きそうですね。
2008年のリーマンショックを無傷でのりきっている点は評価できますが、2018年からの運用実績が酷すぎますね。
仮に2018年の最初に100万円を預けていたら2020年には56万円まで減少してしまっています。下落に強いというヘッジファンド の強みを完全に失ってしまっていますね。
これは推察ではありますが2010年代後半から杉原氏はAIやバイタルテックなどに乗り出したことで運用に集中できていないのではないかと考えています。
杉原氏が全身全霊でもって運用している期間は非常に素晴らしい成績を残していましたので、現在は運用に携わる時間が以前より短く投資先を見誤っているのではないかと類推します。
杉原氏は経歴的にも実力的にも申し分ないので、彼が本来の実力を発揮して運用に集中するのであればハヤテインベストメントは蘇るでしょう。
しかし、このまま杉原氏が多角化を進めるのであれば見通しは芳しくありません。
そもそもヘッジファンドというのは本物のプロが運用を行いリーマンショックなどの暴落を抑制しながら安定して高いリターンを出すファンド形態です。
以下はヘッジファンドとインデックスのリターンを比較したものです。
できる限り大きな下落を経験せずに右肩あがりで上昇していくことがヘッジファンドの付加価値なのです。
その意味で直近のハヤテインベストメントの大きな下落は由々しいものがありますね。
筆者が投資をしているBMキャピタルは同じく中小型株を投資対象にして、暴落局面では指数のショートなどを駆使し暴落を抑制しながら堅実なリターンを上げていっています。
実際、ハヤテインベストメントが大きなマイナスをだした2020年も7%以上のリターンをだし2013年以降一度もマイナスの運用は出さず市場平均を上回るリターンを出し続けています。
詳しくは以下でお伝えしていますのでご覧いただければと思います。
ハヤテインベストメントの評判
運用に関してのハヤテインベストメントの口コミは出てきませんでした。理由は簡単で、最低出資額を1億円としており基本的には機関投資家からの資産を受け入れているからです。
一部1000万円からの資金も受け入れているそうですが、人数が少なく実際の声が聞こえてきません。
ただ、200億円あったら運用残高が現在は75億円まで減っていることから解約が相次いでいることが想定されます。
一応、X(旧Twitter)上でハヤテインベストメントについて聞こえてきた声について取り上げます。多くはスポーツに関するものでした。
運用が低迷するなか、野球チームを運営している場合なのかという疑問が残ります。
Xでの評判
Xでの評判
ちなみにハヤテグループ自体もXを運用しています。投資に関する話はほとんどありません。
Xでの評判
9/12(火)ハヤテグループのエフバイタル社は豊橋市さまと保育の質の向上に人工知能(AI)を活用する共同研究協定を締結いたしました。 テクノロジーの力により子どもたち一人ひとりの個性を可視化することで、多様な個性が織りなす持続可能な”個性の社会実装”を目指します。
まとめ
ハヤテインベストメントについて纏めると以下となります。
- ハヤテインベストメントは2005年に設立し2006年から運用開始
- 杉原氏は東京大学からゴールドマンサックス証券に入社しタワー投資顧問で修行をつみ独立
- 現在は運用だけでなくAIやスポーツなど数多くの分野に多角化している
- 運用手法は日本の中小型株を対象としたロングショート戦略
- 2017年までは好調だったが多角化してから運用成績が急激に悪化
- 運用資産額も2018年時点の40%以下になってしまっている
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