こんにちは。今回も、私の個人的な趣味である投資信託などファンドの分析をしていきたいと思います。本日取り上げるのは「さわかみ投信」が運用する「さわかみファンド」です。
さわかみ投信は近年一気に注目が高まり、有名になったように感じますが、実は1996年に投資顧問業として設立された会社です。
代表が沢上さんなのでさわかみ投信。国内外の株式を中心に長期運用するという方針を掲げています。現在はほとんど日本株みたいですね。
運用開始からのリターンは以下の通りとなります。1999年から2023年11月で基準価額は3.7倍になっています。
しかし、掲示板などでは凡庸なファンドであるとの声が数多く聞かれています。なぜこのように言われているのでしょうか?
今回はさわかみファンドがどのようなファンドか特徴をお伝えした上で、運用実績などを詳しく見ていきたいと思います。
さわかみ投信とはどんなファンド?息子への相続を考える個人投資家が多い?
「まだ見ぬ、あの景色へ」とHPでは大きく出ており、カッコ良いですね。
たしかに株式市場は大海原なので、イメージは正しいと思います。
ファンドの特色
主要投資対象は国内外の株式等。運用にあたっては、その時点で最も割安と考えられる投資対象に資産を集中配分し、その投資対象資産の中で、将来価値から考えて市場価値が割安と考えられる銘柄に選別投資し、割安が解消するまで持続保有する「バイ・アンド・ホールド型」の長期投資を基本とする。8月決算。
国内外の割安銘柄に集中配分、「バイ・アンド・ホールド型」の長期投資を実行するファンドです。
交付目論見書:https://www.sawakami.co.jp/wp/wp-content/uploads/fund_outline/mokuromi_koufu.pdf
さわかみ投信の概要
[さわかみ投信]
- 設定日:1996/7/4
- 純資産:301,590百万円
- 決算日:8月(年1回)
[商品分類]
- 単位型・ 追加型:追加型
- 投資対象 地域:内外
- 投資対象資産 (収益の源泉):資産複合
[属性区分]
- 決算頻度:年1回
- 投資対象 地域:グローバル(日本含む)
- 為替ヘッジ:あり(適時ヘッジ)
ファンドの目的
当ファンドは、投資者(受益者)の皆様の資産形成をお手伝いするために、円ベースでの信託財産の長期的な成長を図ることを目的として、積極的な運用を行うものです。
以下はあまり重要ではありませんがファンドの仕組みです。
個人投資家はさわかみファンドにお金を預けて、さわかみファンドがお金を増やしますよというとてもシンプルな構造です。
運用手法
運用に当たっては、経済の大きなうねりを捉えて先取り投資することを基本とし、その時点で最も割安と考えられる投資対象に資産を集中配分します。
その投資対象資産の中で、将来価値から考えて市場価値が割安と考えられる銘柄に選別投資し、割安が解消するまで持続保有する「バイ・アンド・ホールド型」の長期投資を基本とします。
短期的な成績向上を狙うような無理な投資はしませんが、必要と考えるリスクは敢然と取ります。また、長期的な運用成果を向上させるために、株主総会での議決権行使なども積極的に行なっていきます。
「経済の大きなうねりを捉えて先取り投資」ですか。非常に難易度の高い投資ですね。
ファンドマネジャーの力量が試されると思います。
短期的な成績向上を狙うような無理な投資はしない、と明記している点は個人投資家としては少し安心です。
短期で圧倒的な利益を出すのであれば、大きなリスクをとって楽天日本株ブル型4.3倍でしょうね・・・。
蛇足ですが、さわかみ投信を相続しようと考える個人投資家もいるようです。さわかみ投信は割と年配の投資家が多いことが想像できますね。
60代女性
いずれ息子たちにファンドを相続しようと考えていますが、すぐに売ってしまわないか心配です。子どもたちがファンドを続けてくれるようなアドバイスをください。
A:よくいただくご質問(ご意見)ですが、最も回答が難しい類の一つです。正直申し上げて、親御さんから継続的に資産運用の重要性や長期投資の魅力をお伝えいただくこと以外の回答が見当たりません。想いの相続は諦めずに時間をかける必要があります。そして同時に、お客様ご自身が資産運用をやっていて良かったという背中を息子さんたちに見せ続けることです。あと10~20年もすれば資産運用が更に大衆化されます。そうなってくると今回のようなご相談も減ってくるはずです。もちろん資産運用を経た大人たちがカッコよく生きているかどうかが問われますが…。現在のように投資をギャンブルとして扱い、またはお得な裏技を探すような小手先の手法がまかり通っていたら、子どもたちは投資に興味を見出せません。金融教育の最重要部分は「コツ」ではなく「生き方」なのですから。弊社の勉強会にお連れいただくのもありですが、私たちよりも親の背中が一番です。それと、息子さんたちがお金を大切に考える当事者になることも大切です。例えば結婚するとか、子を持つとか。そのタイミングを逸しないように、それまではじっくりお伝えください。
それでは、そんな運用手法、方針を元にどのようなポートフォリオを組んでいるのかを見ていきましょう。
さわかみファンドの組入上位銘柄をチェック
では最新の2023年10月末時点のポートフォリオとこれまでの筆者の定点観察時の推移を列挙したものが以下となります。
上位10銘柄の顔ぶれは殆ど変わらず、ずっと長期保有しているということが以下からもわかりますね。
2024年1月末 | 2023年10月末 | 2023年7月末 | 2023年3月末 | 2023年1月末 | 2022年9月末 | 2022年7月末 | |
1 | 信越化学工業 | 信越化学工業 | ダイキン工業 | ダイキン工業 | ダイキン工業 | ダイキン工業 | 日本電産 |
2 | ディスコ | ダイキン工業 | 信越化学工業 | 浜松ホトニクス | 浜松ホトニクス | ブリヂストン | ダイキン工業 |
3 | ブリヂストン | ブリヂストン | ディスコ | 信越化学工業 | テルモ | 日本電産 | テルモ |
4 | ダイキン工業 | トヨタ自動車 | ブリヂストン | ブリヂストン | ブリヂストン | テルモ | 花王 |
5 | トヨタ自動車 | ディスコ | 浜松ホトニクス | テルモ | 信越化学工業 | 信越化学工業 | 信越化学工業 |
6 | テルモ | テルモ | テルモ | トヨタ自動車 | 日本電産 | 浜松ホトニクス | 浜松ホトニクス |
7 | 浜松ホトニクス | 浜松ホトニクス | トヨタ自動車 | ディスコ | トヨタ自動車 | トヨタ自動車 | ブリヂストン |
8 | INPEX | INPEX | ニデック | ニデック | 花王 | INPEX | TOTO |
9 | 花王 | 花王 | INPEX | TOTO | TOTO | 花王 | トヨタ自動車 |
10 | セブン&アイ・ホールディングス | セブン&アイ・ホールディングス | TOTO | デンソー | デンソー | TOTO | 三浦工業 |
皆さんが名前を聞いたことがある大企業が多いですね。少し前まではトップは日本電産でしてたが最近はダイキン工業となっています。
おなじみのエアコンの会社ですね。いつも助けられています。ダイキンの業績は以下の通り右肩上がりの売上、営業利益、純利益をのばしています。
ダイキンの株価は以下の通り堅調に推移していますが直近決算の影響で大きく下落しています。
利回りがやばい?さわかみファンドの運用利回りとパフォーマンス
ファンド全体のパフォーマンスを見ていきましょう。
1999年の運用開始から3倍になっています。この結果だけみたら素晴らしいと勘違いしてしまいますよね。
1-3月期 | 4-6月期 | 7-9月期 | 10-12月期 | 1-12月期 | |
---|---|---|---|---|---|
2023年 | 8.19% | 12.45% | -0.99% | 3.02% | 24.09% |
2022年 | -5.49% | -4.56% | 0.55% | -1.25% | -10.44% |
2021年 | 7.24% | -0.18% | 2.94% | 0.95% | 11.24% |
2020年 | -17.46% | 10.81% | 6.49% | 14.03% | 11.06% |
2019年 | 6.16% | -1.02% | 1.21% | 7.90% | 14.75% |
2018年 | -5.37% | -0.37% | 5.31% | -16.63% | -17.23% |
しかし、以下の運用開始からの日経平均との比較をみたら感想がかわると思います。
さわかみファンドは日経平均と殆ど同じ動きをしていますね。そして、日経平均に劣後しています。
正確には日経平均は配当を拠出した後のチャートなので実際はもっと上にいます。つまり日経平均に大きく劣後したリターンとなっているのです。
インデックスに対してプラスのリターンを狙うアクティブ投資としては面目がないですね。ただ手数料を払って日経平均に劣後しているファンドに投資しているという状態になります。
結局アクティブ投信とは、大きく指数にアンダーパフォームするか、高い手数料を払いインデックスファンドと同等のリターンしか得られないという筆者の認識をなかなか覆してくれない商品です。
→ アクティブ運用型とパッシブ運用型の投資信託のどちらが優れているのか徹底比較!インデックス投資は本当に最強なのか?
→
また、下落局面もしっかり食らっており、投資妙味は少ないと言えるでしょう。
株価暴落を回避しながら堅実で安定運用を考えている人は以下の記事も参考にしてください。
信託報酬が高い?ファンドの購入方法や手数料とは?
さわかみ投信の口座を開設して、購入しましょう。
解約も口座解約手続きをするだけです。手数料はどれくらいかかるのでしょう。
購入時手数料 | ありません。 |
---|---|
信託報酬 | 当ファンドの純資産総額に対して1.10%(税込み・年率)です。 |
信託財産留保額 | ありません。 |
その他費用・手数料 | 当ファンドに組入れる有価証券等の売買の際に発生する売買委託手数料、売買委託手数料に対する消費税等相当額、先物取引・オプション取引等に要する費用、一部解約金の支払資金の手当を目的とした借入金の利息は、信託財産中から支弁します。 (注) これらの費用については、運用状況等により変動するものであり、事前に料率、上限額等を示すことができません。 |
出所:https://www.sawakami.co.jp/risk/
信託報酬のみですね。
日経平均と連動する今後の「さわかみファンド」の見通しとは?
重要なのは今後の見通しです。「さわかみファンド」は日経平均と同じ動きなので日経平均の今後の見通しを考えるのと同じになります。
日経平均は以下の通り円建のS&P500指数と同じ動きをしています。
世界経済がグローバル化によって繋がっているので、通貨を揃えてみると先進国の株価指数は世界経済の中心である米国の株価指数と同じ動きをするようになっているのです。
では、日経平均がどうなるかをドル円とS&P500指数の動向から考えていきましょう。
S&P500指数は2022年からインフレに苦しみ大きく下落しましたが、2023年に大きく反発して一時的に回復の兆しを見せています。
以下はドル建のS&P500指数の推移です。
しかし、依然として粘着している高インフレと高金利によって遂に景気減速の足音が聞こえてきています。
景気の先行指標は既に暴落しており、企業収益の低下が見込まれ株価の下押し圧力となっていきます。
また、景気後退が起きると米金利が低下するので日米金利差の拡大にともなって上昇してきたドル円も下落します。
つまり、景気後退が発生するとS&P500指数もドル円も下落するので、当然日経平均にも暗い影を落としていきます。
このように世界景気に影響をうけるようなファンドに投資をすると、時折大きな下落に見舞われることを覚悟しないといけません。
筆者としては景気に左右されず安定したリターンをだせる資産に投資をすることで長期的に複利運用で大きな資産を構築できると考えています。
そのような投資先として筆者が選んでいるのがヘッジファンドです。ヘッジファンドは以下の通り下落相場を免れながら安定したリターンを出し続けています。
以下では日本の個人投資家が投資できるファンドをランキング形式でお伝えしていますので参考にして頂ければと思います。
さわかみファンドの掲示板での口コミや評判
Yahoo financeでの掲示板の口コミや穂湯版は以下となっています
引退後も口出しをする創業者についての苦言が見られます。
口コミ①
ここの会長は、やたら不安を煽って、何がしたいのか意味不明。ジジイは、公に物申すなら、もっと明確な根拠を示せ。単に自身を利する動きにしか見えんぞ! それが出来ないなら、完全に引退しろ!
口コミ②
澤上さん、法隆寺でオペラもいいけど本業しっかりやらないと
口コミ③
能力の無い、世襲さわかみファンド
解約するしかないやろ
経歴みても、他社で高パフォーマンスゼロ
プー太郎社長じゃないのか?
まとめ
さわかみ投信について調べました。
投信選びは大変ですが、具体的に、どのような方針で、何年スパンで投資するのかを真剣に考えなければ損を被ってしまいます。
例えば、さわかみ投信であれば長期で預ける前提のファンドであることがわかります。
そして、単年ではマイナスが出てしまうこともありますので、ファンドの運用を理解していないと焦って売ってしまう人も多いような気がします。
更に基本的には日経平均と同じ動きをしており、日経平均に劣後した成績となっています。
つまり手数料を払って日経平均に劣後したファンドに投資をしているという状態になっているのです。
これは投資妙味がないといっても致し方ないですね。
資産運用はさわかみファンドの言う通り、広い海の航海です。航海術がなければ、生き残ることができません。
自分の人生と照らし合わせ、着実にリターンをもたらしてくれるファンドを見つけましょう。