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買付ランキングが高いが掲示板の評判は悪い投資信託「楽天日本株4.3倍ブル」を徹底評価!おすすめされがちなレバレッジ型のリスクや口コミを含めて紐解く。

2020年10月6日

楽天日本株4.3倍ブル

「楽天日本株4.3倍ブル」というすごく儲かりそうな名前の商品が存在します。

楽天証券の投資信託の買付金額を見るとなんとベスト3にランクインしています。

 

全銘柄ランキング(買付金額)

 

1位はお馴染みeMAXISSlim米国株式S&P500(これは今度私のブログでも紹介したいと思います)、2位は我らが楽天VTIですね。

こちらは私のブログでも本体となるVTIを分析して、紹介しています。積み立て投資には良い投資先です。

 

さて、肝心の第3位ですが、楽天日本株4.3倍ブル。

この商品は単純に買えば日経平均の値上がりの4.3倍になると期待して購入している方も多いと思います。

しかし、結論から申し上げるとそうはなりません。寧ろ楽天日本株4.3倍ブルのようなレバレッジ投信はリスクの高い商品として筆者はおすすめできません。

なぜ、危険だといえるのか?

知られざるレバレッジ型投信の仕組みについて詳しくお伝えしていきたいと思います。

 

【2023年・国内和製優良ヘッジファンド】おすすめ投資先ランキング〜リスクを抑え安全・着実に資産を増やせる運用先(投資信託などアクティブファンド含む)を紹介。

 

楽天日本株4.3倍ブルとはどんな商品なのか

楽天日本株4.3倍ブル

 

目論見書の表紙から醸し出す無敵感。これはとても儲かりそうです。期待大ですね。

 

[楽天日本株4.3倍ブル]

  • 設定日:2015.10.07
  • 純資産:321.37億円
  • 決算日:6月(年1回)

 

[商品分類]

  • 単位型・ 追加型:追加型
  • 投資対象 地域:国内
  • 投資対象資産 (収益の源泉):株式
  • 補足分類:特殊型(ブル・ベア型)

 

[属性区分]

  • 決算頻度:年1回
  • 投資対象 地域:日本
  • 特殊型:ブル・ベア型

 

[分配方針]

  • 毎年6月15日(ただし、休業日の場合は翌営業日)に決算を行い、収益分配方針に基づき分配を行う。
  • ただし、将来の分配金の支払いおよびその金額について保証するものではない。

交付目論見書:https://www.rakuten-sec.co.jp/web/fund/scr/common/display.asp

 

補足分類の「特殊型(ブル・ベア型)」ですでに強いですね。

ブルは強気相場、ベアは弱気相場を一般的に指しますが、楽天日本株4.3倍ブルは上昇相場でリターンを獲得していく商品になります。

 

[ファンドの目的]

当ファンドは、わが国の株価指数を対象とした先物取引(以下「株価指数先物取引」といいます。)を積極的に活用することで、日々の基準価額の値動きがわが国の株式市場の値動きに対して概ね4.3倍程度となることを目指して運用を行います。

 

[ファンドの特色]

株価指数先物取引* を活用し、日々の基準価額 の値動きが、わが国の株式市場全体の日々の値 動き(日々の騰落率)の概ね4.3倍程度となること を目指して運用を行います。 *利用する株価指数先物取引の種類は、流動性、効率性等を 勘案して決定します。

 

日経平均先物で4.3倍のレバレッジをかける

 

純資産総額の概ね4.3倍程度を国内株式で増やしていくという方針です。米国のTECL、TECS、TQQQあたりと同様の存在感ですね。

どのような株を購入してるのか、純粋に気になります。以下はファンドの仕組みです。

 

 

ファンドの仕組み

 

投資対象・ポートフォリオ

さて、どのような投資をしているのでしょうか?

大まかな方針は以下の通りとなっています。

 

当ファンドのポートフォリオ

わが国の国庫短期証券(含む現先)や高格付のコマーシャル・ペーパーを組み入れるとともに、日経225先物取引の買建額を、日々の純資産総額に対して概ね4.3倍程度に維持する運用を行ってまいりました。

参照:交付目論見書

 

高格付のコマーシャル・ペーパーと日経225先物取引の買建に投資し、純資産の概ね4.3倍程度を目指すとされています。

以下の通り、日経平均先物指数に約430%のレバレッジをかけていますね。

 

楽天4.3倍ブルの組入資産の内容

 

現物資産の上位銘柄に第914回国庫短期証券、派生商品上位に日経平均株価指数先物が存在します。

そもそもコマーシャルペーパーとはなんでしょうか?

 

コマーシャルペーパー(CP)は、企業が短期資金調達の目的で、公開市場で割引形式で発行する無担保の約束手形のことです。無担保のため、ある程度の信用のある企業のみ発行できます。額面金額は1億円以上とされていて、証券会社や金融機関が発行を引き受けて投資家に販売されます。社債に似ていますが、社債の償還期間は1年以上なのに対し、コマーシャルペーパーは通常1年未満です。金利は発行する企業の信用力で決まります。

出所:https://www.tokaitokyo.co.jp/kantan/term/detail_0005.html

 

無担保債権ということですね。発行する企業の信用力次第で金利が高くなったり低くなったりします。

国庫短期証券とはなんでしょう?

 

国庫の一般会計や特別会計の一時的な資金不足を補うためや、国債の償還に伴う借り換えのために発行される割引債のこと。 期間は2カ月、3カ月、6カ月、1年の4種類で、公募入札方式で発行されますが、入札資格は金融機関に限定されています。2009年2月に政府短期証券(FB)と割引短期国債(TB)が統合されて誕生しました。英語表記の「Treasury Discount Bills」を略して「T-Bill」ともいいます。

出所:https://www.daiwa.jp/glossary/YST0577.html

 

入札資格が金融機関に限定されている割引債です。

 

上記に加えて、日経平均株価指数先物(426%)をメインで運用しているということですね。

正直、ブル型数倍の商品を買うにあたり、ポートフォリオはそこまで重要な概念ではないかもしれません・・・。

楽天ブル型4.3倍はとにかく日本株が上昇すれば倍々ゲームで上昇します。

 

「4.3倍」を正確に理解しよう。ダブルブル・トリプルブルの場合はどうなる?レバレッジは単純ではない

ブル○倍

ベア○倍

 

といっても、よくわからないですよね。上昇幅が4.3倍にとにかくなるんでしょう?

と買ってしまっている人が多いと思います。

 

レバレッジをかける意味は単純

 

○倍のイメージは以下の通りです。新生銀行がわかりやすい表を出しておりました。

以下は3倍の場合ですが、2倍の場合、4.3倍は数字を置き換えるだけです。

 

ブルベア型ファンドの動き

 

ブル3倍型ファンドであれば、株価指数が10%上昇したら30%上昇します。

指数に連動するeMAXISSlimやVTIであれば10%動けば10%動きます。

 

楽天日本株4.3倍ブルであれば、日本株の上昇が10%であれば43%上昇します。

10%下落すれば43%下落します。

 

レバレッジをかける」というのはアップサイドを見込めますが、大幅なダウンサイドも覚悟するべきであることを理解しておきましょう。

その覚悟を飲み込んで、勝負をする類の商品が楽天日本株ベア4.3倍です。

 

ただし、レバレッジは1日の値動きに対してかかっている

ここまでは皆さんの理解と同じだと思います。

しかし、レバレッジがかけられているのは1日の値動きでのレバレッジです。1日で10%変動した場合43%、という感じです。

 

10日、1か月と期間が長くなってくると結果が変わってきます。

1か月かけて10%上昇したからといって、楽天日本株ブル型4.3倍は43%になる訳ではありません。

 

以下はわかりやすく3倍にしています。

1日目と5日目の差分を見てみれば、期間が大きくなればなるほどリターンは変わってくることがわかると思います。

(5日目は日経平均株価は投資した時点の20,000円なのにマイナスが発生!!)

 

0日目(20,000円) 1日 2日 3日 4日 5日
日経平均株価 22,000円 19,800円 21,780 19,602 20,000
前日比騰落率 10.00% -10.00% 10.00% -10.00% 2.00%
投資時点からの上昇率 10.00% -1.00% 8.90% -2.00% 0.00%
トリプルブル 26,000 18,200 23,660 16,562 17,571
前日比当落率 30% -30% 30% -30% 6%
投資時点からの上昇率 30.00% -9.00% 18.30% -17.20% -12.10%

 

相場がヨコヨコでもマイナスが出てしまいます。上記はブル型でシミュレーションしましたが、ベア型でも同様の結果となります。

日経平均が上下に動きながら停滞する局面ではレバレッジ投資信託は下落してしまうのです。

 

つまりブル型のレバレッジ投資信託を仕込む場合は明確に上昇していくという期待がもてる時のみということになります。

 

楽天日本株4.3倍ブルの運用実績と利回りとは?

それでは、気になるパフォーマンスを見てみましょう。直近の日経平均の急上昇で急騰していますね。

楽天日本株4.3倍ブルの運用実績

1-3月期 4-6月期 7-9月期 10-12月期 1-12月期
2023年 36.05% -- -- -- --
2022年 -19.22% -25.69% -9.99% -2.53% -47.34%
2021年 24.41% -11.10% 8.72% -15.67% 1.40%
2020年 -69.00% 74.04% 16.97% 98.87% 25.50%
2019年 26.28% -0.47% 10.41% 40.09% 94.40%

 

因みに運用が開始された2015年末からの日経平均株価との比較を見ていきましょう。

楽天日本株4.3倍ブルと日経平均株価の比較

 

日経平均が60%近く値上がりしているにも関わらず、楽天日本株4.3倍ブルの基準価額も同様に60%程度の上昇となっていますね。

局面によっては▲70%を食らっている時もあり、リスクだけが高くリターンは日経平均と同じになるという残念な結果になっています。

長期投資には全く向いていないですね。

 

楽天日本株4.3倍ブルの今後の見通しを予想

重要なのは今後の見通しです。先ほどお伝えしたとおりブル型のレバレッジ商品は指数が停滞並びに下落すると基準価額が下落します。

日経平均は2023年6月時点で32,000円を突破してバブル後最高値を更新しています。

 

これは主に欧米が金融引き締めに走る傍ら、日銀が金融緩和を継続することを新総裁の植田氏が宣言しているからです。

結果的に円安となり、海外投資家からみると割安さが際立つ日経平均先物への買いが殺到して昇竜拳となっています。

 

しかし、日本のインフレ率は米国に迫る勢いとなっています。

流石に国民生活も苦しくなっており通貨防衛のためにYCC政策を修正する圧力はかかっています。

YCC政策の修正が行われると日米の金利差が縮小するので円高に修正され、海外投資家の資金もはなれ急激に日経平均株価は下落することが想定されます。

急落リスクが高まっている局面でもあることは十分注意しておきましょう。

 

以下で、どのような環境でも安定したリターンを狙えるファンドについてまとめていますのでご覧いただければと思います、

 

【2023年・国内和製優良ヘッジファンド】おすすめ投資先ランキング〜リスクを抑え安全・着実に資産を増やせる運用先(投資信託などアクティブファンド含む)を紹介。

 

 

掲示板(ツイッター)で口コミを拾ってみた

実際に楽天ブル型4.3倍を購入してる投資家の声をツイッターから拾ってみました。

以下はTwitterの口コミです。

うまく波に乗れた方もいる反面、残念ながら大きな損失を被って撤退したと後悔している方もいらっしゃります。

 

Twitter①

本日、保有していた投資信託を全て現金化しました。

底でブル4.3倍に変えていたので、戻りを含めて、コロナ前の投資元本は回収できました!

この現金は二番底への備えとして手元に残しておきます。

今月の貯金と合わせて30万円くらいは作れるか…

— 豪傑夫婦まつ&くろ@世帯収入630万からFIREへ (@k7g6taWeRtvEOOF) April 16, 2020

 

Twitter②

日本株ブル4.3倍がこの2日で23%あがった
25日のあたりまでは上がるかな

— 全ツッパ神 (@zmlp14202448) June 17, 2020

 

Twitter②

はい、私は1月になんとなくブル4.3倍投信買って、1ヶ月で70%余り減損して底値で切りましたorz

— 寝子の下僕(新カス連) (@uchineko_sobako) April 1, 2020

 

Twitter②

☑️投資を始めて最初の失敗

投資信託が良いとウワサで聞いて、
当時、楽天証券の投信値上がりランキング1位の
「楽天日本株4.3倍ブル」を「なんとなく」買い、
その後大きく下落して、一気に資産を25%くらい減らしました...😇

4.3倍ブル、ちゃんと調べるべきでした...#投資初心者

— ろき🐷料理と投資とモノづくり! (@rooookey1) September 22, 2020

 

有名なYahoo financeの掲示板では以下のような口コミが寄せられています。

 

Twitter②

確かにここからはリスクの割にはリターンがって感じですもんね。
いつもなら利確どころかベアに乗り換えってとこですが、まだトレンド転換とまではいかない感じなので。

Twitter②

まだ上がるかもと淡い期待をし、売り損ねてからの 暴落で。。。
やはり欲をかきすぎるのは良くないと勉強になりました。。。

 

正直いって、あまりレバレッジ型投資信託の仕組みを理解されていないんだろうなという投稿が目立ちました。

 

購入方法/解約方法/手数料

購入方法は楽天の名前がついているので楽天証券から購入できることがわかります。

といっても、SBI証券からも購入できます。

 

 

解約もネット証券で実施すれば問題ありません。

 

気になる手数料ですが、やはりインデックス投信のように安くはなりません。

 

しかし、信託報酬 (税込)/年が1.243%となっており、それ以外は特に購入・解約手数料はかかりません。

ネット証券ではなく、対面で購入すると手数料がかかりますのでそれにはお気をつけください。

 

対面証券・IFAの場合:

<金額指定>
3000万円未満 2.2%
3000万円以上 1.1%
<金額指定(NISA預り)>
3000万円未満 2.2%
3000万円以上 1.1%
<口数指定>
3000万口未満 2.2%
3000万口以上 1.1%

 

まとめ〜ブル投信の買い時を考えよう〜

正直申し上げるとこの手の商品は投資とは言えず、非常にリスクが高いです。

しかし、楽天証券の買付ランキングで3位ということは、それくらい博打を打つ投資家が多いということですね。

日本は昔から賭け事が得意と言われていますからね。投資歴が長い筆者としては狂気の沙汰です。

 

どうしても楽天日本株ブル型4.3倍を購入するのであれば、まずは日経平均先物のレバレッジがない状態で練習をしましょう。

また、日本株が上昇する確率はどのくらいか?という期待値を自分の中で出せるようにしましょう。

今月は何%の確率で日本株は上昇するのか?

自分で設定した変数がどれくらい動けば自分が意識している指標がどれくらい動けば日本株は上昇するのか?

 

少なくともこのロジックを作ってから、このようなレバレッジ商品を買うようにしましょう。

さもなくば負け続けてしまう投資人生になってしまいます。投資とは期待値であり、勝ち続ける投資家には理由があるのです。

期待値の考え方は宝くじの記事でも紹介しているので、参考にしてみてください。

 

宝くじが当たったら資産運用しよう!高額当選者が陥る失敗に陥らずに賢い使い方を実践して豊かなリタイアを達成しよう。

 

また、買い時としてはバブルが来ると確信できる時でしょう。

しかし、そんなタイミングは誰にも読めません。神様でも読めないのではないでしょうか。

 

少額で遊び程度であれば良いですが、まとまった資金などで安定的なリターンを獲得するのであれば、

有望なファンドはいくらでもありますのでそちらを検討した方が良いです。

結局、長期複利運用が一番パワフルです。以下は安定して長期的に資産を形成していくことが望めるファンドをまとめたものです。

ご覧いただければと思います。

 

関連記事>>>【2023年・国内和製優良ヘッジファンド】おすすめ投資先ランキング〜リスクを抑え安全・着実に資産を増やせる運用先を紹介〜

最後に

投資

 

>>>個人的おすすめファンドランキング

 

私がファンドを選ぶ際に気をつけていることは、「長期で明確な戦略を実行し」、「確かなリターンをあげている」「経歴、実績共に優秀なファンドマネジャーが運用しているかどうか」、これだけです。

短期間における投資ファンドのハイリターン実績は全て無視しています。真に勝率が高い投資家は長期でみると、ピカピカな運用実績に収束します。

しかし、短期は短期。ただの運である可能性が高く、ファンドの本当の実力を測れるものではありません。

日々の膨大なニュースに翻弄され、株価の上げ下げで感情的に取引してしまう個人投資家が日本には溢れています。

しかし、投資とは自身の得意とする、勝率の高い戦略を見つけ、愚直に実行するだけなのです。これには膨大な作業量(決算読み込み、市場調査など)と強い精神力を必要とします。

このように、本当は投資とはシンプルでつまらないものです。

 

投信やヘッジファンドを選ぶ際は、この投資の考え方、哲学をしっかり持っているファンドマネジャーが在籍するファンドを選びましょう。それだけで大損することはまずありませんし、周囲の人が驚くようなリターンを自身があげていることに気づくはずです。リターンの差とはこの思考、また投資とは何かを知っているかどうかで大きく変わります。

 

勝率の高い投資戦略を愚直に実行しているファンドマネジャーが在籍するファンドを私の目でも選んでいますので、以下の記事も参考にしてみてください。

 

 

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