日本には様々な種類の投資信託が存在しています。日本株や世界株式、更には債券やREITに投資する無数の投信が販売されています。
今回はその中でも少し異質なヘッジファンド型の運用を実行しているダブルブレインについてお伝えしていきたいと思います。
ダブルブレインは「Morning Star」の「Fund of the year 2020」のオルタナティブ型部門の最優秀ファンド賞を受賞しています。
オルタナティブ投資とは伝統的な株式や債券とは異なる動きを行う資産に投資をする投資手法です。
→ オルタナティブ資産の種類とおすすめ投資先とは?オルタナティブ投資を実践すべき理由とともにわかりやすく解説する!
オルタナティブ投資として代表なものとして以下のようなものがあります。
✔︎ PEファンド
✔︎ ヘッジファンド
✔︎ 不動産
✔︎ 天然資源や金
平均して高いリターンを出し続けているハーバード大学も以下の通りふんだんに取り入れています。
ダブルブレインはヘッジファンドが運用しているので、ヘッジファンド型の投資信託ということになります。
ヘッジファンドはどのような市場局面でも安定したリターンをだすことを目的としたファンド形態です。
→ ヘッジファンドとは何者?わかりやすく簡単に解説。私募(プライベート)ファンド・公募ファンド(投資信託)の違いを理解しよう!!
本日はヘッジファンド型の投資信託として販売されている「ダブルブレイン」について分析していきたいと思います。
ダブル・ブレインを運用するマングループとは?
ダブルブレインの運用を担当しているのはイギリスに籍を置くヘッジファンド「マングループ」です。
マン・グループ(Man Group plc、マン・グループ・ジャパン・リミテッド、マン投資顧問会社)は、イギリス・ロンドンに本社を置く世界最古で最大級のヘッジファンドである。主な子会社としてAHL、GLG、FRM、Numericがあり、多彩な戦略を提供している。運用資産残高は788億米ドル(日本円にして約9.8兆円)【2014年12月末時点】。
参照:Wikipedia
ダブルブレインの運用を担当するのは子会社の1つとして挙げられているAHLです。
AHLは数学や物理学の博士号を持つ多くの社員が在籍しており、金融工学の研究者集団です。
AIやビッグデータ解析などのテクノロジーを用いた運用を行っています。
ダブルブレインの手数料とは?マングループと野村アセットマネジメントにダブルで発生?
投資信託には購入時に発生する購入手数料と年率で発生する信託手数料があります。
購入手数料:3.3%
信託手数料:年率0.913% (実質年率2.013%)
信託手数料の表面上の0.913%と実質の2.013%の差に疑問を持たれた方が多いと思います。
これは、ダブルブレインがマングループが運営するファンドに投資しているので、マングループのファンドで発生する信託報酬も同時に発生していることに起因しています。
つまりダブルブレインを運営している野村アセットマネジメントとマングループのダブルで手数料を払っていることになるのです。
投資信託「ダブル・ブレイン」の運用戦略「リスクコントロール戦略」と「トレンド戦略」とは?
ダブル・ブレインは名前の通り、二つの戦略で運用されています。
リスクコントロール戦略
リスクコントロール戦略は常に10分毎に価格動向を分析して、相場の異変を察知した場合はリスク資産への投資配分を削減します。
確かに、大きな損失を避けることができる可能性は高いのですが、取れるべき収益機会を逃すという可能性もあります。
以下は「株式」「インフレ連動債」「クレジット」「債券・金利」「コモディティ」の投資比率は以下となります。
元本に対する比率が100%を超えているのは、デリバティブを使ってレバレッジをかけていることが想定されます。
過去からのセクター配分の推移は以下となります。
何度もブレーキが発動して株式比率が減少していますが、上記を見ると遅きに失しているのがわかります。
コロナショックが発生したのは2020年2月から3月です。コロナショックが発生してからポジションを縮小しているのです。
トレンド戦略
すべての投資対象市場の「上昇傾向(トレンド)」や「下落傾向(トレンド)」を判断して収益機会を狙う投資戦略です。
価格の上昇局面で購入し、下落局面において空売りを活用して利益を狙います。
所謂伝統的なロングショート戦略ということになります。現在のロング(=購入)とショート(=空売り)の比率は以下となります。
現在は株式と債券に対して強気にみているということができます。
セクター | ロング | ショート | ネット |
株式 | 65.4% | -16.1% | 49.3% |
通貨 | 87.5% | -87.5% | 0.0% |
クレジット | 85.1% | 0% | 85.1% |
債券・金利 | 194.2% | -5.4% | 188.8% |
コモディティ | 41.6% | -5.2% | 36.4% |
ダブルブレインの運用実績
以下はダブルブレインの運用開始となった2018年からの運用実績です。運用実績としては比較的安定的な推移となっています。
では、全世界の平均株式指数に連動するeMAXIS全世界株式やバランス型の投信であるeMAXISバランス(4資産均等型)と比較していきます。
eMAXISバランス(4資産均等型)は「国内株式」「先進国株式」「国内債券」「先進国債券」を均等に配分しています。
以下はダブルブレインとeMAXIS全世界株式とeMAXISバランス(4資産均等型)のリターンの比較です。
青:ダブルブレイン
赤:eMAXIS全世界株式
緑:eMAXISバランス(4資産均等)
ダブルブレインは全世界株には負けていはいますが、eMAXISバランス(4資産均等型)より優れた成績を残しています。
ダブルブレインより魅力的なヘッジファンドとは?
ダブルブレインはどのような環境でも利益獲得を狙うヘジファンドのマングループによって運用されています。
ヘッジファンドは下落を回避したり免れながら高いリターンを出すことで世界の機関投資家から注目を集めています。
たしかにダブルブレインは損失を抑制はしているのですが、結局全世界株式に対して劣後した成績となっています。
同じヘッジファンドであるなら更によい選択肢に目を向けた方が賢明です。
筆者が投資しているヘッジファンド「BMキャピタル」はコロナショックを含めて一度もマイナスリターンを出すことがなく株式市場の平均より高いリターンをだしています。
コロナショックだけでなく運用開始後の幾度も訪れた調整局面も下落を免れながら安定したリターンを叩き出しています。
以下で詳しくお伝えしていますので参考にしていただければと思います。
まとめ
ダブルブレインはイギリスのマングループが運用するヘッジファンド型の投資信託です。
確かに株式市場と異なる動きとなっていますが、全世界株式市場と比べて低いリターンとなっています。
ヘッジファンドとしての性質を残念ながら満たしているといえる成績を残しているとは言えません。
折角、オルタナティブ投資としてヘッジファンド型の投資をしたいのであれば、他の選択肢も考えてみましょう。