投資信託

評判だけはなぜか良いクリーンテック株式ファンド(愛称:みらいEarth S成長型)を分析してみたが今後の見通しは暗い。テーマ・ストーリー株ファンドはこれから地獄を見るのでは?

評判だけはなぜか良いクリーンテック株式ファンド(愛称:みらいEarth S成長型)を分析してみたが今後の見通しは暗い。テーマ・ストーリー株ファンドはこれから地獄を見るのでは?

資産運用を本格的に考えた時に、まずは投資先として考えるのは株式だと思います。筆者も同様に、株式に興味を持ちましたが、あまりにも難易度が高いですよね。

そこで次に考えつくのが投資信託だと思います。

 

投資信託であれば、大手の金融機関が販売しているし、信託の営業マンもおすすめしてくれるし間違いないはずだと思ってしまいます。

しかし、投資信託は個別株に投資するのと同様に自分でどんなテーマ、領域に投資をするのかを決める必要があります。つまり、十分な分析が必要なのです。

 

しかし、世の中の多くの個人投資家は投資信託の目論見書(説明書のようなもの)もろくに読まずに、ファンド選びをして、当然の如く損失を出してしまいます。

今回はきっと目論見書をろくに読まず、ファンドの名前に惹かれて投資してしまっている人も多いであろう、「クリーンテック株式ファンド(愛称:みらいEarth S成長型)」について分析していきたいと思います。

 

クリーンテック株式ファンド(愛称:みらいEarth S成長型)とは?

運用会社は大和アセットマネジメント株式会社

名前から大和証券グループのアセマネ部門(会社)ということがわかりますね。

 

大和アセットマネジメント

商号 大和アセットマネジメント株式会社
本社所在地 東京都千代田区丸の内一丁目9番1号 グラントウキョウ ノースタワー
事業の内容 投資運用業、投資助言・代理業、第二種金融商品取引業
設立 1959年12月
資本金 151億7,427万円
株主 大和証券グループ本社(100%)
海外拠点 米国現地法人、シリコンバレー現地法人、英国現地法人、香港現地法人、シンガポール現地法人、インド現地法人

 

シリコンバレー、英国、香港、シンガポール、インドなどに拠点を置いています。インドに置いているのは意外でした。

それくらい、インドは目を離せない国との表れでしょう。

 

取り扱いファンドはダイワ・US-REIT・オープン、ダイワJ-REITオープン(毎月分配型)、iFreeレバレッジ NASDAQ100などが人気です。

iFreeレバレッジ NASDAQ100がいわゆる「レバナス」と呼ばれるナスダック100指数を2倍連動するファンドですね。非常に不親切、不誠実で、多くの投資家を路頭に迷わせてきた商品だと思います。ダメな金融商品の代表格です。

 

クリーンテック株式ファンドもダメなファンドなのかどうかをしっかり見ていきましょう。

2022年の相場を見る限りこれもダメだとは思っています。

 

ファンズ・オブ・ファンズ形式の運用

「ファンド・オブ・ファンズ

 

ファンズ・オブ・ファンズとはつまり、投資家から預かった資金を、直接株式や債券といった資産に投資するのではなく、株式や債券に投資して いる複数の投資信託に投資して運用を行う仕組みです。

 

つまりは、クリーンテック株式ファンドが「あなたの代わりに投資信託を選んで上げます」ということです。株ではないのか、と初めて聞いた時に筆者は思いました。つまり、2つのファンドに手数料が落ちていく仕組みになっているということです。

 

実際に運用しているのはロンドンを拠点とする「アクサ IMクリーンテック関連株式ファンド」となります。

アクサの概要は以下の通り説明されています。

① 主として、マザーファンドの受益証券を通じて日本を含む世界のクリーンテック関連企業の株式に投資することで、信託財産の成長を目指して運用を行います。 ※当ファンドにおけるクリーンテック関連企業とは、環境にやさしい輸送手段の利用、代替 エネルギーへの移行、より健康的な食生活と持続可能な食糧供給の実現、水資源の保全 や再利用、廃棄物削減などを促す活動を事業の中心に据える企業を指します。

② マザーファンドの受益証券の組入比率は、原則として高位に維持します。

③ 実質組入外貨建資産については、原則として為替ヘッジを行いません。

④ 資金動向、市況動向等によっては上記のような運用ができない場合があります。

 

Youtubeでも宣伝していますね。

 

 

投資対象は日本を含む世界のクリーンテック関連企業

上記のアクサの概要で記載されていますが、クリーンテック関連企業への投資となります。

ポートフォリオ構築のイメージ

 

ここでいうクリーンテック関連企業とは、以下を促す活動を事業の中心に据える企業を指しています。ESG投資という感じですね。

 

  • 環境にやさしい輸送手段の利用
  • 代替 エネルギーへの移行
  • より健康的な食生活と持続可能な食糧供給の実現
  • 水資源の保全 や再利用
  • 廃棄物削減など

 

ポートフォリオはどうなっているのかを確認していきましょう。

 

 

クリーンテック株式ファンドの最新ポートフォリオ

2022年4月末の最新のポートフォリオを見ていきましょう。

 

No. 銘柄名 国・地域名 業種名 比率
1 ダーリン・イングレディエンツ アメリカ 生活必需品 3.9%
2 ネクステラ・エナジー アメリカ 公共事業 3.8%
3 エヴォクア・ウォーター・テクノロジーズ アメリカ 資本財・サービス 3.5%
4 ウエイスト・コネクションズ カナダ 資本財・サービス 3.4%
5 シュナイダーエレクトリック フランス 資本財・サービス 3.2%
6 ディア アメリカ 資本財・サービス 3.2%
7 アメレスコ アメリカ 資本財・サービス 2.8%
8 サーモフィッシャーサイエンティフィック アメリカ ヘルスケア 2.7%
9 コーニンクレッカDSM オランダ 素材 2.6%
10 TSMC 台湾 情報技術 2.6%

 

ポートフォリオ一位がダーリン・イングレディエンツであることには驚きました。家畜処理時にできる副産物やレストランの調理油の再生利用に従事している企業です。

飲食店を対象に、油のろ過・回収サービスを提供。

またこれらを加工処理して、獣脂、肉骨粉、飼料用油脂などの製品として米国および海外で販売する事業を行っています。渋いですよね。

 

確かに2022年になっても大暴落はしていない銘柄でした。

とはいえ今はその株価にも陰りが見えてきています。

 

DAR株価

 

それでは実際にファンドの直近のパフォーマンスを見ていきましょう。

 

基準価額と運用成績(パフォーマンス)

クリーンテック株式ファンド(資産成長型)の基準価額推移

 

2021年末から下落していますね。基準価額も2020年7月31日の1.3倍程度。

2020年7月に設立されたファンドということで、まさにじゃぶじゃぶな金融緩和バブルの中で急いで作ったストーリー、テーマファンドという感じですね。金融引き締めが本格的に始まる2022年6月以降は地獄を見るファンドの一つだと思います。

これは状況が次世代通信関連世界株式戦略ファンド(THE 5G)と同じようなものですね。

 

とにかくテーマ、ストーリー株は売り叩かれるフェーズが数年続くはずなので、今からクリーンテック株式ファンドも修羅場を迎えるものと思います。

 

トータルリターンは以下となっています。

1カ月 3カ月 6カ月 1年
トータルリターン 2.43% 6.31% -8.95% 0.23%

 

 

他ファンドとの比較(次世代通信関連世界株式戦略ファンド/デジタルトランスフォーメーション株式・ゼロコンタクト/サイバーセキュリティ株式 オープン/フード&テクノロジー関連株式ファンド)

似たような時期に似たようなノリで作られたファンドを探してきました。

比較するにはちょうど良いと思います。

  1. 次世代通信関連世界株式戦略ファンド
  2. デジタルトランスフォーメーション株式・ゼロコンタクト
  3. サイバーセキュリティ株式オープン
  4. フード&テクノロジー関連株式ファンド

 

ファンド名 クリーンテック株式ファンド(資産成長型) サイバーセキュリティ株式(H無) 次世代通信関連 世界株式戦略ファンド デジタル・トランスフォーメーション株式 フード&テクノロジー関連株式(資産成長型)
運用会社名 大和 三菱UFJ国際 三井住友TAM 日興 大和
基準価額 12,323円 21,947円 13,616円 4,642円 8,193円
純資産 43,417 百万円 290,844 百万円 393,040 百万円 180,952 百万円 7,367 百万円
ヘッジ
最低申込金額 10,000円 10,000円 10,000円 10,000円 10,000円
販売手数料 3.30% 3.30% 3.30% 3.30% 3.30%
信託報酬等(税込) 1.72% 1.87% 1.85% 1.80% 1.41%
運用年数 1年 4年 4年 1年 0年
トータルリターン1年 0.23% -3.05% -16.85% -57.87% --
トータルリターン3年(年率) -- 18.79% 13.63% -- --
トータルリターン5年(年率) -- -- -- -- --
トータルリターン10年(年率) -- -- -- -- --
シャープレシオ1年 0.01 -0.1 -0.61 -1.39 --
シャープレシオ3年 -- 0.75 0.63 -- --
シャープレシオ5年 -- -- -- -- --
シャープレシオ10年 -- -- -- -- --
標準偏差1年 25.5 31.18 27.55 41.74 --
標準偏差3年 -- 24.95 21.77 -- --
標準偏差5年 -- -- -- -- --
標準偏差10年 -- -- -- -- --

 

運用年数がまだ1年ちょっとというファンドが多いので比較はいいのですが、投資することは筆者はまずあり得ません。

デジタル・トランスフォーメーション株式の1年のリターンが-57.87%は笑えないですね。

 

3年スパンで全てマイナスリターンなので、ここにある全てのファンドに筆者は興味がありません。資産形成においてこれらのテーマ銘柄と関わることは時間の無駄です。

 

トータルリターン相対比較チャート

 

テーマ株とは

テーマ株とは、話題の企業や業種、または業界の銘柄を一つのまとまりとして考える、株式の分類方法の一つです。例えば「将来性」はテーマ株としてよく用いられます。将来性がある企業の株には、さまざまな方面から資金が入ることが期待できるからです。

IG証券より引用

 

 

まとめ

今回はクリーンテック株式ファンド(愛称:みらいEarth S成長型)について取り上げてきました。

あまりにも話題にのぼるので調べてみましたが、やはり筆者はテーマファンドは苦手です。自分でテーマを選ぶ必要がありますし、長期前提で投資するにもボラティリティが大きすぎます。

 

また、何よりもテーマ株の選定の難しさを理解しているので、10年経過した時に本当にテーマファンドはプラスのリターンをもたらしてくれるのかと不安になるからです。

筆者は堅実な投資でプラスリターンを毎年確実に積み上げていくことを好みます。それが最も資産形成では実は近道になるからです。

 

効果的、正しいものほど面白くない、というのは投資の世界だけではなく、どんな世界でも一緒です。しっかりと黙々と資産を積み上げていきましょう。

 

最後に

投資

 

>>>個人的おすすめファンドランキング

 

私がファンドを選ぶ際に気をつけていることは、「長期で明確な戦略を実行し」、「確かなリターンをあげている」「経歴、実績共に優秀なファンドマネジャーが運用しているかどうか」、これだけです。

短期間における投資ファンドのハイリターン実績は全て無視しています。真に勝率が高い投資家は長期でみると、ピカピカな運用実績に収束します。

しかし、短期は短期。ただの運である可能性が高く、ファンドの本当の実力を測れるものではありません。

日々の膨大なニュースに翻弄され、株価の上げ下げで感情的に取引してしまう個人投資家が日本には溢れています。

しかし、投資とは自身の得意とする、勝率の高い戦略を見つけ、愚直に実行するだけなのです。これには膨大な作業量(決算読み込み、市場調査など)と強い精神力を必要とします。

このように、本当は投資とはシンプルでつまらないものです。

 

投信やヘッジファンドを選ぶ際は、この投資の考え方、哲学をしっかり持っているファンドマネジャーが在籍するファンドを選びましょう。それだけで大損することはまずありませんし、周囲の人が驚くようなリターンを自身があげていることに気づくはずです。リターンの差とはこの思考、また投資とは何かを知っているかどうかで大きく変わります。

 

勝率の高い投資戦略を愚直に実行しているファンドマネジャーが在籍するファンドを私の目でも選んでいますので、以下の記事も参考にしてみてください。

 

 

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