ヘッジファンドを正しく理解するために、世界最大のヘッジファンドについて知識を獲得しておいて損はないでしょう。
今回は筆者が尊敬してやまないレイ・ダリオ氏と、同氏が創業したヘッジファンド「ブリッジウォーターアソシエイツ」について紹介してみようと思います。
ヘッジファンドの帝王、レイ・ダリオとは?
本名はレイモンド・トーマス・ダリオ、米国で最も有名、名声を得ているヘッジファンドマネジャーです。1949年生まれなので、現在73歳ですね。筆者は同氏をYoutubeで知りました。
マクロ経済について本当に30分でわかりやすく説明しており、まさに筆者の経済知識の基礎はこの動画から生まれたと言っても過言ではありません。
1975年に世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエイツを創業しました。今や世界最大のヘッジファンドも、当時のダリオ氏の2ベッドルームのアパートから会社が始動したのはあまりにも有名な話です。
アメリカではガレージで創業したりと、スタートは何もないところからアメリカンドリームを掴む話がとても多くて、まさにチャレンジ精神に富む国であると感じさせてくれますよね。
運用して10年経たず、世界銀行の退職基金から500万ドルの投資を受け入れています。
退職基金の資金とはリスクに最も晒してはいけない種類のものであり、それだけブリッジウォーターの運用は安定感が群を抜いていたことが想像に難くありません。
成果を出すヘッジファンドマネジャーの特徴でもありますが、ダリオ氏の経歴は光り輝くものとなっています。
ダリオ氏はロングアイランド大学のC.W.ポスト・カレッジ(金融学)に通った後、1973年にハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得。2年後、ダリオ氏は自分のアパートで、ブリッジウォーターを立ち上げました。
2013年時点で世界最大のヘッジファンドとなり、ダリオ氏自身も2020年にブルームバーグで世界第79位の富豪となりました。
ブリッジウォーター(Bridgewater Associates)とはどんなファンド?
レイ・ダリオ氏が設立したヘッジファンドですが、同社に運用を任せている組織は年金基金、寄付金、財団、外国政府、中央銀行など、国の中核組織が沢山存在します。
それだけ「安全運用」に特化したヘッジファンドであり、実績も抜群であることがよくわかります。資金をリスクに晒すようなファンドに、政府機関はお金を預けないですよね。
投資スタイルはグローバル・マクロ戦略投資です。
グローバル・マクロ戦略(Global Macro Strategy)とは、世界中の国または地域の経済、金融市場、政治情勢などをマクロの(大局的な)視点から分析して、グローバル(世界的)な株式、債券、通貨、商品(コモディティ)、先物市場など広範な金融市場で売買する投資戦略です。
1,500名の従業員を抱える非常に大きな投資ファンドであり、運用総額は1,400億ドル(15兆円以上)を超えます。
途中、あまりにも資金が集まるスピードが速く、2005年には一度新規口座の受付を停止しています。
最終的に2001年-2010年の間には、毎年運用額が25%成長となり、同社の発行するニュースレターは一流金融機関の読者が非常に多いとも評判に。
ブリッジウォーターには4つのファンドがあり、オールウェザー戦略ファンドが最も大きいものとなっています。
- Pure Alpha
- All Weather
- Pure Alpha Major Maekets
- Daily Observations
ブリッジウォーターの運用成績
1991 年〜2005 年まで、ブリッジウォーターは4%以上の損失を出したことはありません。とにかく防御力が高いファンドであることがわかります。
以下のグラフを見るとわかりますが、アメリカの代表的な株価指数であるS&P500が暴落をしている時期も、ブリッジウォーターは被弾せず、上昇を続けています。
インデックスは明らかにFRBが国策として異次元金融緩和を続けた結果、最終的には右肩上がりのリターンになっていますが、2022年以降はこれまでのいきすぎた金融緩和の引き締めが始まりますので、ブリッジウォーターが圧倒的にアウトパフォームするものと考えています。
例えば今年のS&P500のリターンは以下の通りになっています。
投資ファンドの本当の実力は下落相場で明るみになるとはよくいったものですが、ブリッジウウォーターのリターンは第一四半期は+16.3%でした。まだ第二四半期の結果は6月末を過ぎなければ出ませんが、すでに高すぎるリターンです。
レイ・ダリオ氏率いるヘッジファンド会社ブリッジウォーター・アソシエーツでは1-3月(第1四半期)の運用成績がプラス16.3%となった。世界市場のボラティリティー拡大が追い風となっている。
運用資産1500億ドル(約18兆5600億円)のブリッジウォーターは旗艦ファンド「ピュア・アルファII」の3月のリターンがプラス9%。パフォーマンスについて知る関係者が明らかにした。ピュア・アルファはブリッジウォーターの運用資産の約半分を占める。
世界銀行の退職基金や世界中の富裕層がブリッジウォーターで運用をしたがる理由がよくわかります。下落相場で資産を守ってくれる先が最も資産を伸ばす上では価値があるのです。
ウォーレン・バフェット氏も格言に「ルール1:決して損をしない 。 ルール2:決してルール1を忘れない。」というものがありますが、こちらもディフェンス重視であることがわかります。
派手なリターンを謳う投資ファンドが散見されますが、そのような業者はあなたの資産を奪っていくのみだけであり、しっかりと成功している先人達の哲学を受け継いでいるファンドを選ぶようにしましょう。
ブリッジウォーターへの出資
ブリッジウォーターへの出資は基本的に個人レベルでは不可能です。なぜならば、最低出資額が高すぎるからです。
Bridgewater, founded in 1975 by Ray Dalio, the billionaire investor, generally requires that clients have at least $7.5 billion of investable assets in order to put money into the hedge fund.
日本円にして約1,000億円ほど必要なので、日本の長者番付に毎年載るような以下の人々、もしくは年金基金や大企業の退職基金など、大きな金額を出資できる組織ではないと厳しいです。
1 位 柳井 正(ファーストリテイリング) 236億ドル
2 位 滝崎武光(キーエンス) 216億ドル
3 位 孫 正義(ソフトバンク) 211億ドル
4位 佐治信忠(サントリーホールディングス) 93億ドル
5位 高原豪久(ユニ・チャーム) 64億ドル
6位 永守重信(日本電産) 46億ドル
7位 三木谷浩史(楽天) 44億ドル
8位 伊藤雅俊(セブン&アイ・ホールディングス) 43億5000万ドル
9位 毒島秀行(SANKYO) 42億ドル
10位 野田順弘(オービック) 35億ドル
ブリッジウォーターの哲学を実践する日本のファンドも存在
筆者もブリッジウォーターに投資がしたかったですが流石に1000億円は揃えられません。
しかし、ブリッジウォーターにも小さい投資ファンド時代がありました。つまり、同じ哲学を実践している、出資可能なファンドを探せば良いのです。
とはいえ、下落耐性の低い運用先は非常に限られています。
日本は特に派手なリターンを煽るようなファンドが多く辟易としてしまいますが、そんな中、粛々と安定リターンを獲得しているファンドも存在しています。
筆者も長年投資をしてきましたので、経験を踏まえて以下の記事でおすすめのファンドを列挙していますので、参考にしてみてください。
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