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丸木強氏が運営する評判のストラテジックキャピタルが運用するジャパンアップを紐解く!「物言う株主」として実施している株主提案とは?

2022年2月10日

丸木強氏が運営する評判のストラテジックキャピタルが運用するジャパンアップを紐解く!「物言う株主」として実施している株主提案とは?

株式企業は誰のものかという問いに対して、現在では多くの方が株主のものであると即答できるかと思います。

しかし15年ほど前、まだ村上ファンドやホリエモンが世間を賑わしていた頃は違いました。

 

当時は会社は従業員や役員のものであるという価値観がまだ強くはびこっていたので彼らは批判を浴びていました。

2007年の7月の東京地裁の以下の判決は資本主義を理解していないといっても過言ではない頓珍漢なものでした。

「このような徹底した利益至上主義には慄然とせざるを得ない」

 

しかし、時代がながれ日本でも会社は株主のものであるという認識が定着してきました。

 

そこで、今再び株主として経営陣に働きかけて「物言う株主」として企業価値をあげるアクティビスト戦略が注目を集めています。

本日はアクティビスト戦略を実践するファンドであるストラテジックキャピタルが運用するジャパンアップについて紐解いていきたいと思います。

 

関連記事:【2024年】日本国内のヘッジファンド14社をおすすめ順にランキング形式で一覧にして紹介!

 

ストラテジックキャピタルの会社概要

ストラテジックキャピタルの会社概要は以下となります。

社名 株式会社ストラテジックキャピタル
Strategic Capital, Inc
所在地 〒150-0011
東京都渋谷区東3-14-15 MOビル6F
設立 2012年9月
役員 代表取締役 丸木強
取締役 加藤楠
事業内容 投資運用業
投資助言業

 

運用を主な業務としているファンドということができますね。では詳しく見ていきたいと思います。

 

ファンドマネージャーの丸木強氏とは?

ヘッジファンドにおいて最も重要なのはファンドマネージャーです。ストラテジックキャピタルのファンドマネージャーは丸木強氏となっています。

丸木強氏

 

丸木氏の経歴は以下となっています。

✔︎東京大学法学部卒
✔︎野村證券入社
✔︎1999年、MACアセットマネジメントの創業メンバーとして運用に従事
✔︎2012年、ストラテジックキャピタルを設立

野村證券時代は資金調達案件や、新規上場案件などの業務を担当されていたそうです。

そして、MACアセットマネジメントこそが世間を賑わせた村上ファンドのことです。丸木強氏は日本初のアクティビストファンドで経験を積んで独立されているのです。

「物言う株主」としては日本の先駆け的存在ということができますね。

2006年に村上氏が証券取引法違反で逮捕されたあと、ファンドの解散手続きをしたとされている人物です。

 

ストラテジックキャピタルのアクティビスト戦略(=物言う株主)とは?

では、ストラテジックキャピタルのアクティビスト戦略とはどのような戦略なのでしょうか?

投資対象 安定的な事業キャッシュフローがあり経営とコーポレートガバナンスに改善余地がある企業
割安に放置されている中小型株
考え方 非効率、独善的または株主価値に無関心な経営者の考えをあらためさせる
内部留保として滞留している資金を効率的に活用して株主価値の向上をはかる
アプローチ 友好的な手法だけでなく敵対的な手法も採用する
法令上の株主権を行使する場合もありうる

 

一般的な物言う株主の定義と変わらないですが、一点投資対象が日本特有といったところですね。

日本の中小型株の中には解散価値よりも低い価格で取引されている銘柄が数多くあります。

また、中小型株であれば時価総額が小さいので多くの株式を保有することができ、アクティビスト戦略が実施しやすいというメリットもありますね。

 

現在のジャパンアップのの組み入れ銘柄と株主提案

ストラテジックキャピタルが運用するジャパンアップファンドの組み入れ銘柄は以下となります。

アクティビストファンドは経営陣に対する発言権を手に入れるために大株主になる必要があるので投資銘柄は少なくなる傾向にあります。

 

株式会社浅沼組
世紀東急工業株式会社
株式会社有沢製作所
文化シヤッター株式会社
極東開発工業株式会社
株式会社タチエス
極東貿易株式会社
株式会社ワキタ
日本証券金融株式会社

 

ストラテジックキャピタルは各会社に対して株主提案の特集サイトを開設していますので極東貿易を例にみていきたいと思います。

株主提案1:代表の丸木を非常勤取締役として選任すること
株主提案2:加重平均資本コストを開示すること
株主提案3:純投資目的の株式および政策保有株式を全て売却すること

1つ目の提案はシンプルに役員として送り出すことで経営に対する発言力を強めるという意図ですね。

 

2つ目は加重平均資本コストとはWACCとよばれるものに関する提案です。WACCは借り入れにかかるコストと株式調達にかかるコストを加重平均した数値です。資金を調達するのに、どれだけのコストがかかっているのかという指標ですね。この点については株主提案の特集ページで記載されています。

 

極東貿易のバリュエーションが低く放置されている要因の1つは、極東貿易の資本コストに対する意識の低さであると考えられます。上場企業の使命は、株主価値を向上させることであり、そのために加重平均資本コストよりも高い資本効率性(ROIC及びROE)を目指す必要があります。上場企業は資本効率目標だけでなく、自社の資本コストの水準とその計算方法を開示することが、株主との対話の実効性改善を通じた株主価値向上に繋がります。

 

要は低いコストで資金を調達して高いリターンをだすために、まずはコスト認識をしっかりしなさいという意図が見て取れますね。

 

3つ目は付き合いで保有しているような持ち合い株式は資本の非効率を生んでいるので売却しなさいという提案です。

伝統的に日本企業は株式の持ち合いを行なっているので、この点を問題視しているわけです。

 

極東貿易は政策保有株式の保有目的として、”仕入れ先かつ協業してビジネス展開している”としています。しかし、弊社はなぜ株式を保有しているとその目的が達成されるのか理解できません。極東貿易は政策保有株式を保有することでビジネスを獲得するのではなく、自社の商品やサービスを取引先に評価された上でビジネス関係を構築するべきです。

参照:極東貿易

 

資本政策を中心に見直しをせまりバリュエーションを引き上げることを提案していることが読み取れます。

 

ストラテジックキャピタル運用のジャパンアクトの運用リターンとは?

ジャパンアクトの年毎のリターンは以下の通りとなります。

年度 リターン
2015年 +4.19%
2016年 +7.37%
2017年 +23.65%
2018年 △22.69%
2019年 +76.35%
2020年 △3.5%

 

成績に非常のボラティリティがありますね。2019年だけ大きなリターンがでており、他の年は纏めるとトントンといったところでしょうか。

アクティビスト戦略は安定したリターンが見込めるのが魅力なのですが、ボラティリティが高すぎますね。2019年を除けばトントンといったところでしょうか。

 

ストラテジックキャピタルの評判と口コミ

ストラテジックキャピタルの評判と口コミをみていきましょう。あまり多くはありませんが、Twitterでみつけた評判を列記していきます。

良い口コミ・評判

まずは良い口コミからです。

 

世紀東急や淺沼組も上がってる。 ストラテジックキャピタルの京阪神ビルディングTOB。

@あんどら

 

京阪神ビル、蝶理、東レ、浅沼組、 極東貿易および世紀東急の株主の 皆さまへ。 ストラテジックキャピタルの株主提案。

@たけぞう

 

悪い口コミ・評判

 

ストラテジックキャピタルの提案していたことの一部が実現した訳ですが、そのファンドが既に売却済みっていうのが何とも言えませんね。 むしろ、京阪神ビルの経営陣がファンドの売り抜けた後も、このように還元意欲を強めるのはかなり好感が持てます。

@ゆうと

 

優待廃止、政策保有株の売却とストラテジックキャピタルのいうことを次々と聞くなぁ。 あんな短期投資家の言うことを聞くことないのに。

@あーる

 

ストラテジックキャピタルに対してというよりアクティビスト戦略がまだ日本で広く受け入れられていない感じをうけるコメントがでておりました。

 

攻めと守りを組み合わせたアクティビストファンドとは?

日本にもストラテジックキャピタル以外にもアクティビストファンドは存在しています。

筆者が投資しているBMキャピタルもストラテジックキャピタルと同じ時期から運用を開始しているアクティビストファンドです。

 

BMキャピタルはストラテジックキャピタルに更にバリュー株の要素を組み合わせて運用をおこなっています。

絶対的安全域をもち下落余地が低い銘柄を狙い撃ちして厳選し、大株主となり直接株式価値を引き上げる施策を実行していっています。

 

結果として下落耐性がつよく2012年の運用開始から一度も年度ベースで下落することなく安定したリターンを叩き出しています。

BMキャピタルについては以下で詳しくまとめていますので参考にしていただければと思います。

 

詳しくはコチラ

 

最後に

投資

 

>>>個人的おすすめファンドランキング

 

私がファンドを選ぶ際に気をつけていることは、「長期で明確な戦略を実行し」、「確かなリターンをあげている」「経歴、実績共に優秀なファンドマネジャーが運用しているかどうか」、これだけです。

短期間における投資ファンドのハイリターン実績は全て無視しています。真に勝率が高い投資家は長期でみると、ピカピカな運用実績に収束します。

しかし、短期は短期。ただの運である可能性が高く、ファンドの本当の実力を測れるものではありません。

日々の膨大なニュースに翻弄され、株価の上げ下げで感情的に取引してしまう個人投資家が日本には溢れています。

しかし、投資とは自身の得意とする、勝率の高い戦略を見つけ、愚直に実行するだけなのです。これには膨大な作業量(決算読み込み、市場調査など)と強い精神力を必要とします。

このように、本当は投資とはシンプルでつまらないものです。

 

投信やヘッジファンドを選ぶ際は、この投資の考え方、哲学をしっかり持っているファンドマネジャーが在籍するファンドを選びましょう。それだけで大損することはまずありませんし、周囲の人が驚くようなリターンを自身があげていることに気づくはずです。リターンの差とはこの思考、また投資とは何かを知っているかどうかで大きく変わります。

 

勝率の高い投資戦略を愚直に実行しているファンドマネジャーが在籍するファンドを私の目でも選んでいますので、以下の記事も参考にしてみてください。

 

 

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