日本のヘッジファンドとして有名な2つをあげろと言われればBMキャピタルとエクシア合同会社をあげる方が多いのではないでしょうか?
まとまったお金だしヘッジファンドに預けようと考えているけど、結局どちらに預ければいいのか迷っている方は大勢いると思います。
実際、筆者もエクシア合同会社も加味したうえでBMキャピタルに投資をしたという経緯があります。
今回は両者を比較した上で、なぜ筆者がBMキャピタルを選択したのかという点についてお伝えしていきたいと思います。
会社概要の比較
まず両者の会社概要をみていきましょう。
BMキャピタルの会社概要
BMキャピタルの会社概要は以下となります。
名称 | ビーエムキャピタル合同会社 |
英語名 | BM CAPITAL LLC |
所在地 | 〒106-0032 東京都港区六本木7-18-1 |
電話番号 | 03-3403-2508 |
事業目的 | 有価証券およびデリバティブ |
各種事業への投資 | |
有価証券の自己募集 | |
経営コンサルティング |
→ BM CAPITALの会社概要。代表の森山武利氏、ファンドマネジャーの経歴などを網羅
有価証券つまり株式投資をおこなって事業を行なっていることが述べられていますね。
シンプルにファンドであることが分かります。
エクシア合同会社の会社概要
続いてエクシアの会社概要は以下となります。
商号 | エクシア合同会社 |
所在地 | 〒106-6215 東京都港区六本木3-2-1 六本木グランドタワー15階 |
代表社員 | 菊池翔 |
事業目的 | 企業向け事業性融資事業 |
個人向け投資不動産用融資事業 | |
プライベートエクイティ投資事業 | |
外国為替証拠金取引等CFD取引 |
ファンドマネージャーの比較
ヘッジファンドで一番重要といっても過言ではないのがファンドマネージャーです。ファンドマネージャーの才覚次第という側面が多分にあります。
エリート街道をひた走ってきたBMキャピタルのファンドマネージャー
BMキャピタルのファンドマネージャーは絵に書いたようなエリートです。
東京大学の理系として入学し、在学中には自身で事業を立ち上げ稼いだ資金を元に運用を開始。
英国系のバークレイズ証券に入社に伴い一旦運用を中止する傍ら、専門的な業務で知識と経験を磨き上げて独立しています。
BMキャピタルを立ち上げる前に海外でのヘッジファンドの実務経験もあり経歴として申し分ないということができるでしょう。
異色の経歴を持つエクシア合同会社の菊池翔氏
一方、エクシア合同会社の菊池翔氏は東京モード学園という服飾専門学校の出身です。
特段金融の専門的な職についていたわけでもなく、独自にFXを研究して独立したという異色の経歴となっています。
ただ、FXで利益を出し続けるというのは証券会社のプロのトレーダーでも難しい技です。
仮に個人で本当に勝ち続けていたのだとしたら相当な腕の持ち主であることがうかがえるのですが、エクシアの初期の成績が毎月プラスとなっているところに違和感を感じています。(この点については後述)
基本的にトレードとはプラスとマイナスを合算してトータルがプラスなら良い、というものですからね。
運用手法の比較
両者の運用手法についても比較していきましょう。
守りのバリュー株投資と攻めのアクティビスト戦略を組み合わせるBMキャピタル
BMキャピタルが投資をするのは上場株です。王道のファンドですね。
BMキャピタルが重視するのは安全性です。企業のバランスシートをしっかりと精査して購入した瞬間に理論的に利益がでているようなバーゲンセール株を仕込みます。
具体的には以下の「正味現金性資産」だけで「時価総額」を超える条件を満たす銘柄を仕込んでいます。
このような条件を満たす銘柄は企業を丸々購入した後に解散することで利益を得ることができるので、買った瞬間に利益が出ているような銘柄と言えます。
→ BMキャピタルの運用利回りとは?堅実な運用実績を出す理由を含めて徹底分析!
このような銘柄はそもそも下落する余地がないので下落耐性が強いのですが何もしないと株価が低いまま推移する可能性があります。
そこで、BMキャピタルは企業の大株主となり経営陣に資本政策や経営改善策を提言して能動的に株価を引き上げていきます。
この活動はアクティビスト戦略といわれています。バリュー株投資の欠点をアクティビスト戦略で補っているということですね。
投資事例については過去の運用報告書を元に纏めていますので参考にしていただければと思います。
→ バリュー株投資の真髄!BMキャピタルの実際の事例を過去の組み入れ銘柄を取り上げてわかりやすく解説。
FXから融資に軸足を移すエクシア合同会社
エクシアといえばFXというイメージを持たれている方も多いと思います。
確かに最初はFXを全面に押し出していましたが、現在は会社概要でも触れた通り以下の4つで稼いでいるとしています。
✔︎ 企業向け事業性融資事業
✔︎ 個人向け投資不動産用融資事業
✔︎ プライベートエクイティ投資事業
✔︎ 外国為替証拠金取引等CFD取引
FXはむしろ4番目に列挙となっており、主に事業に対する融資で利益を得ているという記載になっています。
融資というのは銀行が企業にお金を貸して利息を得るビジネスモデルです。
実際に筆者が面談にいった方に聞いた話ですが、融資している具体的な会社は公表しているもの以外黙秘されたそうです。
公表しているものとして暗号資産「c0ban」を活用したサービスであるLastRoot社がありました。現在では買収してエクシアデジタルアセットに名前を変えています。
本当にしっかりと融資しているのか怪しいなという感想です。
融資を事業として行なっていると謳うために一社を買収したというのが真相なのではないかと推察しています。
そして次の項目でも解説しますが、融資では到底獲得できないリターンを謳っています。
融資は現在のようなゼロ金利政策時代では殆ど利鞘を稼ぐことができません。よくても3%-5%といった水準です。
比較的危ない企業に貸して高い利息を得るクラウドファンディングなどでも7%程度です。(当然、貸し倒れするリスクが高くなっています。)
このようなビジネスモデルで、次の項目で述べるようなリターンを叩き出せるのか非常に疑問が沸く内容となっています。
運用利回り(=リターン)の比較
それでは肝心な運用リターンの比較をしていきたいと思います。
安全重視で年率10%の堅実リターンを出すBMキャピタル
BMキャピタルは先ほど運用手法の項目でもお伝えした通り守りを重視します。
そのため2013年の運用開始以来年度ベースでマイナスの成績となったことが今まで一度もありません。コロナショックで日経平均が30%下落するような局面でもマイナスを出さずに乗り切っており感嘆しました。
また、ただ守るだけではなく、しっかりと堅実な年率10%程度のリターンをだしてくれています。
1年で倍になるということは期待できませんが、着実に資産を増やしていきたいという方にとっては最適な成績だといえます。
年率10%程度というのも控えめな数値で4年で2倍になる期間もありますので十分なリターンであるということができるでしょう。
不自然なエクシア合同会社のリターン
一方、エクシアのリターンは以下の通りとなっています。
年利 | 月利 | |
2016年 | 97.43% | 10.83% |
2017年 | 43.89% | 3.66% |
2018年 | 44.01% | 3.67% |
2019年 | 35.33% | 2.94% |
2020年 | 38.30% | 3.19% |
2021年 | 18.49% | 2.31% |
徐々にリターンが減ってきているとはいえ驚異的ですね。しかも殆ど月ベースでマイナスの年がなく安定的に高いリターンをだしています。
このリターンが「本当のものなら」、世界のヘッジファンド顔負けのとんでもない化け物ファンドということになります。
しかし、運用手法のところで見た通り、現在主に運用手法としてあげられているのが融資です。
融資で20%以上のリターンを出すことなど現実的ではありません。倒産間近の超リスクの高い会社に融資してようやく得られるかどうかという水準です。
仮に倒産間近の会社に投資しているとするなら、貸し倒れが高確率で発生するので上記のリターンを出すのは難しいです。
ここで疑惑としてでてくるのがポンジスキームの可能性です。この点について次の項目で検証していきます。
ポンジスキームの可能性を検証!数々のエクシアの怪しいポイントを解説
私募ファンドで注意しないといけないのがポンジスキームです。
ポンジスキームというのは実際には運用をおこなわず新規出資者からの資金を既存の出資者に分配する形で運営している詐欺ファンドです。
新規からの出資金を既存投資家への分配が上回る水準になると元本を持ち逃げして蒸発します。
ポンジスキームは新規出資者から多くの資金を集めて、既存投資家が解約するのを防ぐため以下のような特徴を備えています。
✔︎ 高い運用リターン
✔︎ 月ベースでマイナスリターンがない不自然な成績
✔︎ 解約に条件が設定されている
それでは両者について比較検証していきたいと思います。
BMキャピタルは実態が確認されている
BMキャピタルは年ベースではマイナスはありませんが、月ベースではマイナスの月もあります。
年率10%というのは高過ぎるリターンではなく堅実と言える水準です。
また、確定的な事象としてBMキャピタルは証券会社の銘柄の大株主欄に記載されています。
投資の実態が確認できるのでポンジスキームである可能性は著しく低いといえるでしょう。
→ BMキャピタルは怪しい?ポンジスキームの可能性を含めて実態をわかりやすく紐解く!
エクシアの怪しい解約条件
エクシアは毎月がプラスでなおかつ高すぎるリターンの時点で疑念をもっているのですが、更に解約条件の怪しさが疑惑を強くしています。
エクシアでは毎月総額の解約を受け付ける上限金額が設定しているそうで、解約申し込みが上限を超えた場合は抽選形式で解約受付となるそうです。
エクシア合同会社の場合、任意退社ができるとしても、必ずしも出資金の全額が払い戻されるわけではありません。
なぜなら、定款には、代表社員が「その裁量により当社全体の払戻金額の総額の制限を設け、また、払戻金額の各社員毎の割り当てを行うことができ」、「各社員からの制限額を超える払戻の請求は、受け付けられないものとする」と書かれているからです。参照:弁護士「伊藤建」
しかし、この上限金額に達したかどうかというのはエクシア側しか把握できません。
解約を受け付けないために上限に達して抽選に漏れましたといい続けられると一生解約ができないという事態も十分考えられます。
ポンジスキームの特徴として既存顧客からの解約を抑えるというものがあります。
まさに、この解約上限制度はポンジスキームの特徴といえるもので私の中で疑念が大きくなっています。
もちろん、ポンジスキームを証明することは蒸発してからでないと分からないので証明はできません。
ただ、筆者としては怪しいものには投資をしないというスタンスなのでエクシアへの投資は見送りました。
エクシアの他の怪しいポイント①:手数料や社員の豪遊)
他にも怪しいポイントがいくつもあります。
面談を受けた方に聞いた話では、手数料は無料であると説明されたそうです。
正直言って、それは逆に不安になります。手数料がないのであれば、どのようにエクシアは事業を存続させることができるのでしょうか?
これもポンジスキームであるなら説明がつきます。
元本を持ち逃げするのであれば、手数料を取る必要はありませんからね。
ポンジスキームであれば手数料は100%です。無料ほど高いものはないのです。
エクシアの他の怪しいポイント②:社員の豪遊や豪華な社屋
エクシアといえばファンドマネージャーの菊池氏の豪遊がSNSを賑わせています。
菊池翔氏はキャバクラ通いが激しく、数日で1億円をつぎ込む豪遊をしていることが話題になりました。
そのような豪遊がなぜできるのでしょうか?
これもポンジスキームなら全て説明がつきます。集めた数百億円を使いたい放題なわけですからね。
また、事業規模に対して不可解なほど豪華な新社屋も話題をあつめました。(現在は次にお伝えする問題で騒動となり立ち退きとなっています)
手数料をとってないのに湯水のごとくお金を使っているのがわかります。
もう、これはかなり黒よりのグレーではないでしょうか。
追記:エクシア合同会社は五月に入り出金ができない騒動が勃発
怪しいと見ていたエクシア合同会社ですが5月に入り出金ができないと世間を賑わせています。
上記でみた出金上限に引っかかっているということですが、これを機に暴露が始まっています。
元々、菊池氏と一緒に創業した元副社長の伊藤氏が暴露を始めています。本人という確証はありませんが、下のツイートをみると信憑性はあるのかなと思います。
偽物じゃないかと言われていますが、私は正真正銘エクシアジャパン共同創業者の伊藤大輔です。
プロフィールの写真からは年を取りましたが‥‥ pic.twitter.com/HUA8F1FPJk— エクシアジャパン合同会社元副社長伊藤大輔 (@exia_daisuke) May 26, 2022
彼が自らポンジであったと述べています。ただ、あくまで彼が本当にエクシアの共同創業者であればなので確定ではありません。
今後テレビにも出演する可能性があることを仄めかしているので続報を待ちたいと思います。
ただ、疑惑が強くなっているこの局面でエクシアに投資をするという選択肢は排除した方がよいでしょう。
4月24日には、ついに判決が出ました。エクシア合同会社が集めた700億円に比べたら少額ですが、事件解決へ前に進んだようには感じますね。
判決
【エクシア合同会社に初の判決 3148万円6123円の賠償を命じる。請求の満額】
4月24日10時 任意退社に伴う持分払戻請求事件
原告 個人
被告 エクシア合同会社
4年ワ
201号法廷 8部請求価額3148万6230円(出資分26口)。請求原因事実は会社法611条の合同会社(持分会社)の持分払い戻し請求
— 地裁でひっそり/開示請求 (@chisaidehissori) April 24, 2023
まとめ
両者を比較した結果を纏めると以下となります。
BMキャピタル | エクシア合同会社 | |
ファンドマネージャー | 東大卒で外資系金融出身のエリート | 服飾専門学校から独自に研究して独立 |
運用手法 | 守りのバリュー株投資 攻めのアクティビスト戦略 |
企業への融資 非公開株投資 FX運用 |
運用リターン | 過去年度ベースでマイナスなし 年率10%以上の堅実なリターン |
月ベースマイナスなし 年率20%以上のリターンを継続 |
ポンジスキームの可能性 | 投資の実態が確認されている | 高すぎる怪しいリターンと解約制限に疑惑 |
筆者としては堅実に運用を行い着実に資産を形成していきたいのでBMキャピタルを投資先として運用をおこなっています。
BMキャピタルについては以下で詳しくお伝えしていますので参考にしていただければと思います。