「1億円」という資産。そう簡単に到達できるものではないですよね。私の場合、大学時代は1億円を掴むことは人生ではないと思っていました。
しかし、社会人として10年以上生活する中で意外と資産をしっかり運用していると、たどり着く境地であることを知りました。「絶対に無理だ」と考えていたことが、ただの固定観念だったことを痛感します。
実際、日本には1億円以上の資産を保有している世帯が127万世帯あります。全体に占める比率でも2%以上存在しているのです。
1億円という資産は大金ですが、できれば安全に倍の2億円に向けて増やしていきたいと考える方も多いと思います。安全にリタイアすると考えるのであれば、1億円はまだ心もとない水準でもありますからね。
今回はこの1億円という資産を更なる飛躍に向けてどのようなポートフォリオを組むべきなのかを解説していきたいと思います。
もくじ
1億円とはどのような資産か?リタイア生活(FIRE)も見えてくる?
1億円という資産
1億円とは1000万円の10倍の資産ですね。当たり前ですが、多くの人がこの1000万円という資産を目指しますよね。
私自身もそうでした。
そして、年収を高めて時間をかけて複利運用をしていくなどして、気づけば達成している数字であるはずです。
相続金が入ったとか、退職金を貰ったことで、達成する人も多いでしょう。
リタイアの可能性
実際に1億円あれば、早期の完全リタイアは可能なのでしょうか(定年退職の方は、年金と合わせれば悠々自適の老後でしょう)。
リタイアには以下の種類があります。全て資産を運用しながら生活していく前提のものです。
- 完全リタイア
- ミニリタイア
- セミリタイア
完全リタイアはその名の通り、仕事をせずに好きなことだけをする生活です。
ミニリタイアは緩急をつけたリタイアの種類で、例えば半年は好きなことだけをやり、残りの半年は働くというものです。
セミリタイアは完全リタイアほどではないですが、アルバイトなどあまり時間を取られない、最低限の収入が入る仕事をしながら生活するものです。
基本的に、1億円の資産があれば、セミリタイアくらいは可能かもしれません。
一般的に3%の運用利回りでリタイアできるかどうかは欧米では決める習慣があります。
1億円の3%利回りといえば、300万円です。これは税後で240万円程度になります。
つまり、この240万円で年間の生活費を賄えれば、また自分の趣味などの費用もお金のかからないものであれば、完全リタイアは可能になります。
月20万円の出費で生活をするということですね。厚労省の資料を見てみましょう。
上記は二人以上の一般家計収支ですが、消費が313,057円となっています。
やはり、20万円の生活費というのは独身でない限り難しい水準なのかもしれません。
また、非消費支出(これは保険などです)は99,405円となっています。
もしもの時のことを考えながらリタイア生活をするということであれば、資産は1億円では全く足りないことがわかります。
消費313,057円と非消費支出99,405円を足すと412,462円です。
412,462×12ヶ月/3%=164,984,800円
資産が164,984,800円あれば、完全リタイアができるということですね。
しかし、生活だけ賄えても人生を楽しむことはできず、せめて消費支出50万円程度は考えておきたいです。
海外旅行なども視野に入れたいです。
500,000円×12ヶ月/3%=200,000,000円
つまり2億円あれば、相当に楽しい人生なのではないでしょうか。
1億円というインパクトのある数字に、さらに追加で1億円増やして2億円を目指そうという話になり、大風呂敷を広げているような感覚になってしまいます。
しかし、1億円という資産をすでに持っている人が2億円の資産を目指すことは、実は、一般の人に比べたらそこまで難しいことではないのです。
なぜなら「1億円」とは強力な武器だからです。うまく運用する必要はなく、しっかり運用していくだけで2億円は早期に達成可能な水準です。
ここからはその1億円の資産運用先について紹介していきたいと思います。
2億円を目指すおすすめの資産運用先
金額が大きいのであれば、大人しくレイダリオなどが実施しているオールシーズンズポートフォリオなどで低い利回りを享受するのもありです。
しかし、1億円というのは、人の感覚にもよりますが、まだまだ安定運用するような水準でもないように個人的には思います。
まだまだ上が目指せる資産水準なのです。
当然、老後の生活さえ確保できれば良い、今の生活費を賄えれば良い、仕事がとにかくやめたい、という方はハイリターンは目指さなくて良いかもしれません。しかし、実際に1億円あるのであれば話が違ってきます。
資産運用を行うことでまだみぬ世界に足を踏み入れることができるのです。
自分が見たことのない未知の世界を知る体験(これは本当に大金を持っているのが前提です)ができるステージを目指してみてはいかがでしょうか。
投資の王様クラス:株式投資
やはり株式投資は王道中の王道であり、私個人としてはこれ以外の投資先は正直考えられません。
当然、米国債利回りが3%を超える水準で景気が加熱しすぎている段階であれば、別のアセットへの投資を考えます。
しかし、通常時はやはり株式投資です。長期になればなるほど、株式投資が結局勝ちます。
これは長い、長い歴史が証明してしまっており、今後もこの傾向は続くと思います。
上記は1802年からの各アセットのリターンです。
株式が平均利回り6.6%、長期国債3.6%、短期国債2.7%、ゴールドが0.7%、USD(現金)が-1.4%・・・。
やはりキャッシュは持つものではないですね。
2020年の年初にレイ・ダリオ氏が「現金はゴミ」という発言しました。あの言葉を思い出します。
上記の図は、株式投資の研究の権威であるジェレミー・シーゲル氏の「株式投資の未来」に掲載されているものです。
[著者]
ジェレミー・シーゲル(Jeremy J. Siegel):
ペンシルベニア大学大学院(ウォートン・スクール)教授(金融論)。コロンビア大学卒業、マサチューセッツ工科大学(MIT)で経済学博士号取得。ウィズダム・ツリー・インベストメンツの上級投資戦略アドバイザー。CNN、CNBC、ウォールストリート・ジャーナル、バロンズ、フィナンシャル・タイムズ等のメディアにもたびたび登場し、市場関係者の注目を集めている。
ちなみに、2020年の3月に株式市場ではコロナショックが発生しました。
地獄のような下げですよね。
セクター別の株価マップを見ても真っ赤です。世界中が炎に包まれました。
かなり株に資金を投下していた人はここで大きく資産を減らしたことでしょう。
このコロナショック、25日間でなんと-30.6%暴落しました。
リーマンショックやITバブル崩壊よりもましですが、それでも小型株などを持っていた人は60%、70%くらいの損失ダメージがあったのではないでしょうか。
ここでこれまで資産を積み上げてきて、コロナショックで暴落を受けてしまった人で戦意喪失してしまう人がほとんどでしょう。
この後、実は株価は上昇気流に乗り、なんと暴落前の株価水準をあっさり超えてしまいました。
2021年に入り、ナスダックは連日最高値更新、S&P500、ダウ平均も最高値を更新とコロナショックが転じてコロナバブルという状況となっています。
米国の株式市場に引っ張られて、日本の株式市場も回復を見せています。
長期的に「株式」が資産を増やすには一番確率が高いです。今回のようなショックが発生しても、結局は株式市場はリバースして、株価は上昇するのです。
しかし、個人で株式市場に参入するのは良いのですが、実際にリターンを獲得するには十分な時間と経験が必要であることを理解しておきましょう。
基本的に経験は5年以上、専業に近い形で行えると良いです。
2020年のコロナショックからの株価のリバウンドは、非常に勝ちやすい相場でした。基本的に7割型の銘柄が非常に割安で放置される稀なタイミングだったからです。
現在は、バリュー株相場への転換を市場はシフトしていく局面であり非常に難しい場面です。
昨年勝てた投資家も今年は全然勝てないことに気づいているはずです。
しかし、ヘッジファンドマネジャーなどはプロの投資家であり結果が求められる職業ですので、個人投資家とは必死さが異なります。
2020年は個人の年とも言える稀有な年でしたが、2021年以降はプロ投資家の年です。
(尚、「プロの投資家でも猿に負ける」という言葉があるように、実際に現在の2021年株式相場は異次元の難易度を誇っています)
我々個人投資家は「株式投資」を運用する安心できる預け先を探さなければならない局面に今います。
選択肢はやはり投資信託とヘッジファンドになってくるのでしょう。
1億円の資産をフルで株式相場で振り回すのは、一寸先は闇、資産の大半を失う可能背もあります。
インデックス投信
株価指数に連動する投資信託は1億円など大きな資産があるのであれば安心して預け入れできる投資先ですね。
米国S&P500株価指数に連動するインデックス投信を購入すれば、年率6-7%程度は見込めるでしょう。
ただし、タイミングによってはリーマンショックやコロナショックなどが発生します。
軽く考えている方もいるかもしれませんが、例えば貴方の1億円が数ヶ月で6000万円になってしまうこともあるのです。
また下落相場が長期間続くこともあり舞うs。ITバブル崩壊時は3年連続で利回りが大幅マイナスの時代もありました。
そのような下落相場を数年にわたって経験する可能性があるということは、理解しておく必要があります。
6%でインデックス投信で1億円を運用した「ベストケース」が以下です。
2億円まで13年かかりますが、インデックス投信のみで勝負をするのであれば、仕方がないですね。
投資元本 | 運用益 | |
1年 | 100,000,000 | 6,000,000 |
2年 | 106,000,000 | 6,360,000 |
3年 | 112,360,000 | 6,741,600 |
4年 | 119,101,600 | 7,146,096 |
5年 | 126,247,696 | 7,574,862 |
6年 | 133,822,558 | 8,029,353 |
7年 | 141,851,911 | 8,511,115 |
8年 | 150,363,026 | 9,021,782 |
9年 | 159,384,807 | 9,563,088 |
10年 | 168,947,896 | 10,136,874 |
11年 | 179,084,770 | 10,745,086 |
12年 | 189,829,856 | 11,389,791 |
13年 | 201,219,647 | 12,073,179 |
ここではインデックス、つまりパッシブ運用しか説明していませんが、アクティブ型の投資信託にも興味がある人は以下の記事を参考にしてください。
ヘッジファンド
株式をメインで運用しているヘッジファンドも運用先として非常に優秀です。当然ですが。
ヘッジファンドはプロの投資家であるファンドマネジャーが市場と対峙し、下落相場でも果敢にリターンの獲得を目指す運用形態です。
実際、以下の通り株式市場が大きく乱高下しながら上昇しているのに対して、ヘッジファンドは安定して右肩あがりに上昇を実現しています。
ヘッジファンドと聞くとレバレッジを効かせて博打的な投資を行っていると勘違いされがちですが、実際には全く反対なのです。
株式市場をハイリスクミドルリターンとするならばヘッジファンドはローリスクミドルリターンの投資先なのです。
ヘッジファンドとは何者?わかりやすく簡単に解説。私募(プライベート)ファンド・公募ファンド(投資信託)の違いを理解しよう!!
一応、SMBC日興証券の定義を確認します。
ヘッジファンドとは、さまざまな取引手法を駆使して市場が上がっても下がっても利益を追求することを目的としたファンドです。ヘッジ(hedge)は直訳すると「避ける」という意味で、相場が下がったときの資産の目減りを避けるといったところから用いられています。
普通の投資信託は、運用方法に制限を設定しており、相場が一方向に動いたときのみ利益が出る仕組みのものがほとんどです。一方ヘッジファンドは、比較的自由な運用が可能で、先物取引や信用取引などを積極的に活用することで相場の上げ下げに関係なく利益を得ます。リスクヘッジしながらも積極的な運用を基本としています。
公募ファンドではなく私募ファンドですので、なかなか一般人の目につくことはなく、紹介ベースでの運用が多いのが特徴です。
最低出資額も日本国内では1000万円と比較的大きいです。
運用リターンは年利回り40%など、欧米のルネサンステクノロジーなど有名ヘッジファンドが叩き出しており、機関投資家や富裕層からも信頼が厚いです。
以下の運用残高を見ると、リーマンショックの時こそ凹みましたがその後もどんどん預け入れ金額が大きくなっていることがわかります。
国内でもヘッジファンドはいくつかありますが、それぞれ哲学が異なるので、選ぶ時は自分が納得できるかどうかが大切です。
ヘッジファンドの選び方は以下の記事で紹介していますので興味のある人は読んでみてください。
以下では実際に筆者も5年間投資しているファンドを含めて紹介しています。投資期間中下落した年はなく安定して10%以上のリターンを出し続けてくれています。
【2022年・国内和製優良ヘッジファンド】おすすめ投資先ランキング〜リスクを抑え安全・着実に資産を増やせる運用先(投資信託などアクティブファンド含む)を紹介〜
例えば、ヘッジファンドは先ほど説明したリーマンショックやコロナショックでも積極的にリターンを狙い、指数をオーバーパフォームすることを目指します。
利回り10%で1億円を運用するとすると、目標である2億円に届くのはどれくらいの期間がかかるのでしょうか。
投資元本 | 運用益 | |
1年 | 100,000,000 | 10,000,000 |
2年 | 110,000,000 | 11,000,000 |
3年 | 121,000,000 | 12,100,000 |
4年 | 133,100,000 | 13,310,000 |
5年 | 146,410,000 | 14,641,000 |
6年 | 161,051,000 | 16,105,100 |
7年 | 177,156,100 | 17,715,610 |
8年 | 194,871,710 | 19,487,171 |
9年 | 214,358,881 | 21,435,888 |
9年程度で到達することがわかります。
ちなみにヘッジファンドに関しては、リターンが10%以上と言っても、年によっては30%などもざらにあります。
実際にそれはヘッジファンドの担当者と話をして、詳細を詳しく聞くようにしましょう。
ちなみに、月利数%などと言っているようなファンドは疑うことを最優先にしましょう。
月利3%などで年利回り毎年40%を超えるような運用をしているファンドはほぼ9割9分型詐欺である可能性が高いです。
不可能な数字だからです。現実的なリターンをあげているファンドを選ぶようにしましょう。
おすすめポートフォリオ
最後に安全性を担保にしたポートフォリオを紹介します。
基本的に以下です。
- ヘッジファンド:60%
- インデックス投信:20%
- 個別株:10%
- 現金:10%
ヘッジファンドとインデックス投信の合わせ技で11年程度で安全に2億円を目指す運用になります。
<ヘッジファンド>
投資元本 | 運用益 | |
1年 | 60,000,000 | 6,000,000 |
2年 | 66,000,000 | 6,600,000 |
3年 | 72,600,000 | 7,260,000 |
4年 | 79,860,000 | 7,986,000 |
5年 | 87,846,000 | 8,784,600 |
6年 | 96,630,600 | 9,663,060 |
7年 | 106,293,660 | 10,629,366 |
8年 | 116,923,026 | 11,692,303 |
9年 | 128,615,329 | 12,861,533 |
10年 | 141,476,861 | 14,147,686 |
11年 | 155,624,548 | 15,562,455 |
<インデックス投信SP500>
投資元本 | 運用益 | |
1年 | 20,000,000 | 2,000,000 |
2年 | 22,000,000 | 2,200,000 |
3年 | 24,200,000 | 2,420,000 |
4年 | 26,620,000 | 2,662,000 |
5年 | 29,282,000 | 2,928,200 |
6年 | 32,210,200 | 3,221,020 |
7年 | 35,431,220 | 3,543,122 |
8年 | 38,974,342 | 3,897,434 |
9年 | 42,871,776 | 4,287,178 |
10年 | 47,158,954 | 4,715,895 |
11年 | 51,874,849 | 5,187,485 |
この程度で良いと思います。
個別株を10%としているのは、マーケットを通じて自分の金融リテラシーを高める勉強に生かすためです。
長期的に、リタイア後も資産運用とは向き合っていかなければなりません。
株式投資を通じて、市場はどのようなメカニズムで動いているのかを体感しましょう。
現金は生活のための一応の保全資産ですので、多すぎるのであればヘッジファンドかインデックス投信に入れれば良いと思います。
資産増加スピードは上昇するでしょう。
まとめ
1億円という資産について、本当にリタイアできるのいか、2億円が実際は必要ということまで説明しました。
運用先は様々ありますが、やはりヘッジファンドやインデックス投資といった株式投資を主体とした運用を心がけることをおすすめします。
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