10億円。
圧倒的な資産ですよね。サラリーマンの生涯収入が2億円~6億円なので全て蓄えたとしても10億円に到達することは出来ません。
通常の労働に勤しむだけでは決して到達できない域といっても過言ではないでしょう。
10億円を蓄えられた方というのは、事業で成功された方や元々資産家の家に生まれた方などごく一部の方なのではないでしょうか。
本日は10億円という資産があった場合は、どのような資産を運用していくのがよいか?
という点について考え方を含めてお伝えしていきたいと思います。
もくじ
10億円を運用するのであれば、機関投資家を参考にするべき
10億円という資産は先ほどお伝えした通り大金です。
大金を運用するのであれば、既に大金を運用している主体である機関投資家の運用手法を真似するのが最も合理的な選択肢です。
機関投資家は生命保険やGPIFやCalPERSを始めとした各種年金基金や米国の大学基金などがありますが。
共通していえることは巨額の資産を運用しており尚且つ確りと将来払いださないといけないので大きな下落は許されず、
長期的にみると大きな利益を確実に出さないといけないのです。
機関投資家は大きな資産を出来うる限り減少させることなく資産を着実に増やすことを目的に運用がなされています。
参考にすべき機関投資家は米国のエンダウメントとは?
今回参考にしていく機関投資家はエンダウメントと呼ばれる米国の一流大学によって運用されている基金です。
エンダウメントは大学出身者からの寄付を運用して、一部を大学の運営費にあてることで大学の研究費などを捻出しています。
日本でも適用したほうが良い仕組みであることは間違いないのですが、
なかなか実施されておらず悲しい限りですね。
有名なハーバード大学は4兆円を、イェール大学は3兆円という巨額の資金を運用しています。
エンダウメントの運用ポートフォリオの特徴
ではエンダウメントの運用ポートフォリオについて詳しく見ていきましょう。
エンダウメントの成績
エンダウメントの運用ポートフォリオを見る前にまずは成績を確認しましょう。
エンダウメントは市場平均に対して長期間に渡って高い成績を叩きだしています。
米国の有名な株式指数であるS&P500指数が20年平均リターンが7%に対して、
ハーバード大学は9.5%、イェール大学は12.1%の年率リターンを出しています。
では何故このような高い成績をだせているのかを紐解いていきましょう。
エンダウメントに占めるオルタナティブ投資
エンダウメントは資産価格の下落を極力さけ大きなリターンを得る為に、
資産ポートフォリオを組む際に伝統的な株式や債券よりもオルタナティブ投資といわれる資産に70%程度を投資しています。
☞ 資産分散を行い市場平均をオーバーパフォームする投資ポートフォリオを組成する為の考え方
オルタナティブ投資は伝統的な株式投資が下落する局面にあっても、あまり下落しない資産でポートフォリオの安定性を高めます。
主に以下の四つに大別されます。
- PEファンド
- ヘッジファンド
- 不動産投資
- 商品投資
以下は2020年末時点でのハーバード大学のポートフォリオです。(参照:Harvard Endowment Report)
資産 | 構成比率 |
上場株 | 18.9% |
債券 | 5.1% |
PEファンド | 23.0% |
ヘッジファンド | 36.4% |
不動産 | 7.1% |
天然資源 | 2.6% |
そのほか | 1.3% |
現金 | 5.6% |
赤で塗ったオルタナティブ投資が全体の約70%を占めています。
また、以下はイェール大学のポートフォリオですが、同様に70%をエンダウメントが占めています。
同様に以下はイェール大学のポートフォリオですが、オルタナティブ投資はハーバード大学より高い80%の比率で組み入れています。
資産クラス | 比率 |
米国株 | 2.25% |
米国以外の上場株 | 11.75% |
未公開株 | 17.5% |
ベンチャーキャピタル | 23.5% |
ヘッジファンド | 23.5% |
不動産 | 9.5% |
商品(金等) | 4.5% |
債券 | 7.5% |
両者ともオルタナティブ投資をふんだんに取り入れて安定した高いリターンを出しています。
オルタナティブ投資の中でも特にヘッジファンドを多く組み入れている点に注目していきたいと思います。
ヘッジファンドとは-投資信託とは何が違うの?-
ヘッジファンドというのは、どのような市場環境であっても収益獲得を目指す『絶対収益型』のファンドです。
投資信託は投資を行う段階で投資をする市場を決めており投資対象の市場が悪くなれば当然投資成績が悪くなります。
つまり、市況要因によって大きく投資結果が左右されるのが投資信託なのです。
一方、ヘッジファンドはどのような環境であっても収益獲得を目指さなければ、
いけないという点が大きく異なる点です。
また、投資信託が公募のファンドであり宣伝を公に行っていいのに対して、
ヘッジファンドは私募のファンドなのでクローズドにしか出資者を募集することが出来ません。
その代わりに金融庁からの金融規制を受けることなく、自由の取引を行うことができ、
投資戦略を柔軟に変更させつつ利益獲得を目指すことができるのです。
→ 投資信託とヘッジファンド(HF)は何が違う?網羅的に徹底解説!1000万円以上を運用する人はHFも検討事項。
残念ながら市場平均に対してプラスのリターンを狙うアクティブ投信の成績は残念ながら市場平均を下回る成績となってしまっています。
→ アクティブ運用型とパッシブ運用型の投資信託のどちらが優れているのか徹底比較!インデックス投資は本当に最強なのか?
しかし、ヘッジファンドは下落相場をうまく乗り切りながら、市場平均よりも高いパフォーマンスを出しています。
つまり、高いシャープレシオを出しているということがいえますね。
筆者が投資しているファンドを含めて魅力的なものを以下で纏めていますので参考にして頂ければと思います。
【2021年・国内和製優良ヘッジファンド】おすすめ投資先ランキング〜リスクを抑え安全・着実に資産を増やせる運用先を紹介〜
エンダウメント流の10億円のポートフォリオとは?
それではエンダウメント流の10億円の運用手法についてお伝えしていきたいと思います。
下落をマネージしながら安定して高いリターンを構築するためのポートフォリオは以下となります。
資産クラス | 投資対象 | 構成比率 |
全世界株 | eMAXIS Slim全世界株(投資信託) | 20% |
ヘッジファンド | BMキャピタル | 50% |
金 | GLD(ETF) | 15% |
現金 | 15% |
組み入れ資産については以下でお伝えしていますので参考にして頂ければと思います。
→ ブロガーにも人気の「emaxis slimシリーズ」の先進国株式インデックスを解説(ニッセイ外国株式インデックスファンドとベンチマークは同様)
→ 国内最優秀ヘッジファンドである『BMキャピタル』を投資家の目線で徹底解説
→ 金(ゴールド:GOLD)投資は儲かるのか?純金(プラチナ・銀も含む)積立投資などの選択肢もあるけど・・・。
ヘッジファンドと金を合計で65%組み入れて、株式の下落をミニマイズしながら安定した高いリターンを狙える構成となっています。
また、債券を組み入れていないことにも理由がありませす。
2021年時点で先進国を先導する米国の長期金利ですら1%近辺という低い金利となっており、債券の上昇余地がなく下落リスクが高い状況となっています。
エンダウメントでも債券の比率は低かったことからわかる通り、現在の環境で投資する妙味はないといえるでしょう。
10億円の資産運用まとめ
10億円という大金を資産運用するのであれば、大金を既に運用して長期間非常に高い実績を挙げている、
米国の大学基金つまりエンダウメントを参考にするのがよいでしょう。
エンダウメントは市場の下落をおさえ、高いリターンを出すために、
代表的なオルタナティブ投資であるヘッジファンドを積極的に取り入れています。
筆者が投資をしているヘッジファンドは本格的バリュー株で運用しており、
収益性・安定性において非常に期待できる投資先となっています。
伝統的な株式投資だけでなく、オルタナティブ投資を行い資産の安定的な成長を考えていきましょう。
以上、