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大評判の楽天グループの個人向け社債は危険?楽天カードマン債やドル建債への投資のリスクを考察。

2022年11月25日

楽天グループの個人向け社債は危険?楽天カードマン債やドル建債への投資のリスクを考察。

近年、赤字となっている楽天グループ。

業績の低迷を受けて楽天グループはグループ会社の楽天カードで社債を発行したり、楽天グループとしてドル建の社債を発行しています。

資金繰りは大丈夫なのかと懸念されますね。

 

ただ、ゼロ金利で預金していてもお金が増えない現代日本において少しでも金利がつく社債は人気が高く個人投資家が殺到しています。

しかし、そもそも業績の悪い楽天グループの社債に投資しても大丈夫なのでしょうか?

 

本日は楽天社債について以下の点を中心にお伝えしていきたいと思います。

 

楽天グループが発行している社債の詳細とは?

楽天グループが発行している社債について、まずは概要をお伝えします。

楽天カード株式会社が発行する無担保社債(通称:楽天カードマン債)

楽天グループの屋台骨のグループ会社の一角楽天カード会社は定期的に無担保社債を発行しています。

現在、2022年11月末時点で発行されている無担保社債は9回目となっています。

 

無担保社債とは文字通り担保が設定されていない社債です。現在発行されている社債の主流は無担保社債となっています。

 

元利金の支払いや償還のために特別に担保をつけていない債券のこと。
国債・地方債・金融債は無担保債である。これらの債券の元利金の支払いの確実さは、発行者の信用にかかっている。

参照:野村證券

 

銘柄 楽天カード株式会社第9回無担保社債 (通称:楽天カードマン債)
社債総額 500億円
年限 5年
払込金額 金額100円について金100円
利率 (仮条件)年率1.20%〜1.80%
景品 抽選で300名に30,000円装用の楽天ギフトカードを進呈

 

まず払込金額の記述について疑問を持たれた方は多いと思います。

債券には額面というものがあります。額面というのは期限が来て償還される際に戻ってくる現金です。

年限5年で額面100円の社債は5年後に100円が戻ってくるということですね。

 

ここで重要なポイントがあります額面100円の社債の金額が100円とは限りません。

額面100円の社債を95円で保有することができる場合もありますし、105円払わないと購入できない場合もあります。

ただ、上記の条件に記載されている通り、楽天カードマン債では額面100円の社債を100円で取得することができるということですね。

 

しかし、社債の金利が1.2%〜1.8%とは非常に低いですね。正直投資する妙味はみあたりません。

では楽天グループ本体が発行するドル建債券についてみていきましょう。

 

楽天グループ発行のドル建社債

楽天グループは悪化する資金繰りを食い止めるために償還期限2年の短期債をドル建とユーロ建で5億ドル分を発行する計画としています。

Bloombergでは以下のように報道されています。

楽天グループがドル建て社債の発行を準備していることが分かった。同社は赤字が続くモバイル部門のてこ入れを進めており、およそ1年7カ月ぶりに海外市場での社債発行に動く。

事情に詳しい複数の関係者によると、楽天Gは2年債を5億ドル(約700億円)発行する方向で投資家の需要を調査している。発行条件は来週初めに決まる見通し。ブルームバーグのデータによると、楽天Gの外貨建て債は2021年4月にユーロ建てとドル建てで発行した永久劣後債以来となる。

楽天Gはモバイル事業の不振が続き、11日に発表した22年1ー9月期決算は最終損益が過去最大の赤字となった。S&Pグローバル・レーティングは9月に楽天Gの発行体格付け「BB+」を格下げ方向の「クレジット・ウオッチ」(CW)に指定。年内にCWを見直す考えを示しており、銀行子会社の新規株式公開(IPO)などで資本性資金を調達し、財務悪化に歯止めをかけられるかが焦点になっている。

 

あとで見ますが、モバイル事業の失敗で大きな赤字となっているいたいですね。

また重要なのは発光体の格付けの低さです。現時点のBB+は現状下方への検討段階であるクレジット・ウォッチとなっています。

更に下方に修正されるというのは危機的な状況です。

 

ちなみにS&Pグローバル・レーティングの格付けは以下の階層になっています。

投資適格 AAA
AA
A
BBB
BBB-
投機的水準 BB+
BB
B
CCC
CC
C

 

現状で既にBB+と投機的な水準となっていますが、更に下方になる可能性が高いということですね。

既に投機的な水準ということもあり、利率はドル建てで年率10.25%というハイイールド債の水準になっています。

 

楽天グループは24日までに、ドル建ての無担保優先債の発行条件を決めた。年限2年のディスカウント債で、利率は年10.250%。割引分を加味した最終的な利回りは12%となる。発行額は総額5億ドル(約700億円)。調達資金はモバイル事業への資本投資や、債務返済を含む運転資金に充てる。

参照:日経新聞

 

個人向け社債を保有する際のリスクとは?

それでは個人向け社債に投資する際のリスクについてお伝えしていきたいと思います。

倒産リスク

社債は企業が存続すれば利息をもらうことができますが、倒産すると元本が最悪ゼロになる可能性もあります。

倒産するというのは、仕入先への支払いや、銀行への利息や返済などを行う現金がなく不履行となる状態をさします。

 

倒産状態になると、返済順位は「銀行への借入金の返済→社債の返済→株主へ分配」という形になります。

また、倒産が目前となると企業は社員や取引先への支払いを優先して実行します。

つまり、銀行への借入金を返済する余力すらない場合があり、必然的に社債に投資している投資家には何も返ってこないということも十分ありえるのです。

楽天カードマン債では数パーセントの利息しか貰えませんが、倒産となってしまうと元本全額を失う可能性があるのです。

同様のことは以前分析したソフトバンクグループの社債でも起こり得ます。以下で分析しているので興味のある方はご覧いただければと思います。

→ 2022年以降にソフトバンクグループの社債への投資は危険?大丈夫?劣後債に潜むリスクを考えよう!

 

ドル建社債の場合は為替リスクも負う

利回りが12%を見込む楽天グループのドル建債券も同じく倒産した場合は元本が全額毀損する可能性があります。

更にあくまでドル建であることも考慮する必要があります。

 

たとえ年率12%のリターンがあったとしても、あくまでドル建での話です。仮にドル円が12%下落すると円建ではリターンがゼロになってしまうのです。

現在、ドル円はピークの150円から下落して140円という水準ですが、依然としてかなりの円安水準です。

 

ここまでドル円が上昇したのは、あくまで日米の金利差が拡大してきたことに起因しています。

今後、米国がインフレと利上げによる景気悪化に伴う債券利回りが低下する局面では日米金利差が縮小してドル円も急激な逆回転をはじめます。

 

日米の金利差とドル円の関係

 

楽天グループの倒産リスクをとった上で円建のリターンがマイナスということも十分ありえる話なのです。

 

楽天グループの業績と財務状況を分析

それでは楽天グループの経営は大丈夫なのでしょうか?今後倒産の可能性はあるのか?

というポイントについてお伝えしていきたいと思います。

PLは大きな赤字をだしている

まずは業績をみていきたいと思います。以下は売上と営業利益と当期純利益の推移です。

営業利益も純利益も1000億円以上の赤字を計上しています。

楽天グループの業績推移

決算期 売上高 営業利益 当期純利益
2007/12 213,938 118 36,898
2008/12 249,883 47,151 -54,977
2009/12 298,252 56,649 53,564
2010/12 346,144 63,766 34,956
2011/12 379,900 71,343 -1,139
2012/12 I 400,444 50,055 20,489
2013/12 I 518,568 90,244 42,900
2014/12 I 598,565 106,397 70,614
2015/12 I 713,555 94,689 44,436
2016/12 I 781,916 77,977 37,995
2017/12 I 944,474 149,344 110,585
2018/12 I 1,101,480 170,425 142,282
2019/12 I 1,263,932 72,745 -31,888
2020/12 I 1,455,538 -93,849 -114,199
2021/12 I 1,681,757 -194,726 -133,828

 

上記はあくまで2021年12月までの結果です。

最新の2022年1月〜9月期の業績ではわずか9ヶ月で約3000億円の赤字となっています。赤字の拡大が止まりません。

 

2022年1月から9月の楽天グループの純損失は約3000億円

 

 

営業キャッシュフローも大赤字

利益の中には現金以外の項目も含まれているんので純粋にキャッシュフローを見てみましょう。

以下の通り2022年1月から9月の営業キャッシュフローは4000億円の赤字となっています。更に投資CFも8000億円の赤字となっています。

楽天グループは営業CFで4000億円のマイナス

 

営業CFと投資CFのマイナス合計1兆2000億円を銀行による借り入れ等で賄うという自転車操業の様相を呈しています。

以下の通り財務CFは1兆4000万円のプラスとなっており、今年新たに1兆5000億円もの新規の借り入れを行なっていることが読み取れます。

 

楽天グループの財務CF

 

 

バランスシートは危うい状態

では今現在、どれだけの資産を保有し、どれだけの負債を保有しているのかというバランスシートを見ていきましょう。

丁度、わかりやすい資料を決算資料でだしてくれていたので掲載します。

楽天グループのバランスシート

これをみて、驚きました。簡単に数値として列挙すると以下となります。

総資産:9兆7459億円
総負債:18兆7340億円
純資産:1兆118億円

純資産が1兆円しかないのに約20兆円の事業規模で運営しているという異常事態です。

これほど純資産が少ないのは格付け期間から投機的であるという評価が下されても致し方ないですね。

 

そして、現在赤字が拡大中です。毎年の赤字は4000億円規模となり営業CFの赤字5000億円が2年続けば債務超過に陥ります。

債務超過となってしまうのも時間の問題です。

仮に楽天グループに融資をしている銀行が返済を要求したら事業を存続することができず、倒産となることが見込まれます。

ここまで財務3表をみて、このような危険な状態にある企業の社債を買うのはリスクに対してリターンが見合ってないと断じざるを得ない状況ですね。

 

まとめ

楽天カードマン債はリスクに対してリターンが全く見合っていない低い利回りの社債となっています。

ドル建債は見た目上の利回りは高いがドル円の下落により円建ではマイナスになる可能性も抱えています。

 

赤字の拡大は止まらず、止まらないキャッシュの流出を銀行からの借り入れや社債で繋ぎ止めている自転車操業状態になっています。

既に純資産は総資産の20分の1の水準と危険水域で今後赤字が拡大すると倒産となることも十分ありうる水準となっています。

 

リスクが高いのにこのようなリターンが低い投資を行うのは合理的ではありません。

以下では安定した高いリターンを狙える投資先についてもお伝えしていますのでご覧いただければと思います。

最後に

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