定年まで会社に勤め、退職金を貰い老後生活を楽しむ、というが通常の日本の人生設計ですよね。
しかし、退職金の金額は大きく、また老後の生活で年金受給などを考えると使う機会も限られ、銀行預金に預けたまま、という人も少なくないようです。
そこで、昨今の資産運用の関心の高まりから、老後資金(当然、余裕資金分だけです)を安全に運用しさらに増やしていくというニーズが出てきました。
例えば、まとまったお金である1000万円ほどの資産が余裕資金としてあるのであれば、資産運用の選択肢も複数あり、効率的に資産を増やしていける可能性があります。
今回はその退職金によるまとまった資産である、今回は1000万円がある前提で、運用するにあたりどのような選択肢があるのかを論じていきたいと思います。
もくじ
退職金をそのまま貯金する?
退職金の使い道についてのアンケートでは、貯蓄がやはり今でも1位のようです。
余裕資金のある人は、株式投資や投資信託に回し、年金の足しになる運用収入を得ているとのこと。
「退職金」の使い道として最も多かったのが「貯蓄」だ。老後の生活が豊かだと思う人は、「退職金」を貯蓄に回すケースが最も多い。逆に、ギリギリな人の「退職金」の使い道として最も多かったのは、日々の生活費だった。
また、豊かな人の34%は「退職金」を株や投資信託などへの投資に回すことで、年金の足しになる運用収入を得ていた。一方で、旅行や趣味といった娯楽にも「退職金」を費やすことができている。
余裕資金を増やせれば、旅行や趣味などの幅も広がり、より彩のある老後生活になるということなのでしょう。
上記は豊かな人の34%の人たちの話ですが、失敗しない運用を心がけて資金を寝かせない、という心構えは、相当生活に余裕のない人以外は全員必要だと私個人としては思います。
もちろん、リスクを積極的にとるような年齢でもないので、堅実な投資を心がけるべきでしょう。
ただ貯金をしておく、のはあまりにももったいないのです。
1000万円を銀行に預けた場合、どれくらいの利回りが見込めるのかについては大口定期、優遇金利なども合わせて以前に解説しましたので読んでみてください。
各銀行の金利も比較しています。
以下は参考までに、米国のS&P500指数(年平均リターン7.1%)と定期預金の運用した場合の比較です。記事内で詳細については触れています。
退職金を運用して余剰資産を増やしていく
例えば退職金1000万円を資産運用する場合、どのような選択肢があるのでしょうか。
株式投資、投資信託、国債、FX、不動産投資、ヘッジファンドなど。
基本的に、仮想通貨はやめておきましょう。ボラティリティが激しすぎますので。
若い時代はハイリスクハイリターンな投資をするという選択肢があります。大きく損をしても、その後労働などで取り返すことができるからです。
しかし老後生活に入ったところでハイリスクハイリターンな投資をしては、大損してしまった時に目も当てられません。
これは仮想通貨に限らず、株式投資の小型株投資、FXなどにも当てはまります。
国債については、低金利政策が続く現状では良いリターンは得られません。
米国債なども2020年初頭までは10年利回り2-3%で推移していましたが、コロナショックの影響で超低金利政策を敷いています。
つまり、定期預金にお金を預けているのと同じような状況になってしまうので、選択肢としては今はナシでしょう。
不動産投資は事業性が強いので、資産運用というよりかは起業という形になってしまいそうです。
巷で「不労所得」と謳って不動産を販売する業者も多いですが、そもそもそんなにうまい話はありません。
不動産は借り入れをしてレバレッジをかけていく事業です。老後の運用としてはミスマッチかもしれません。
やはり、ここまで考えると株式投資の大型株、高配当株戦略か、投資信託やヘッジファンドで資産運用のプロに任せて資産を増やしていくという選択肢が残りそうですね。
高配当株戦略/投資信託/ヘッジファンド それぞれの選択肢を考えてみる
高配当株戦略
まずは高配当株戦略から。
株式投資は投資の王道です。1800年から2002年までの間、株式のリターンが最も高かったというデータが存在します。

https://sites.google.com/site/davesmant/data-review-and-analysis/nl-long-run-investment-returns
しかし、安易に個別株を適当に買っても勝てないのがまた株式投資です。
株式市場は想像をはるかに超える、荒い戦場です。軽はずみに株を売買してしまうと100%負けてしまいます。
ビギナーズラックなどあるかもしれませんが、取引期間が長くなればなるほど、運では通用しない世界であると認識できるはずです。
株式投資は難しい。このことを上場企業が逆手に取った戦略が、「高配当株」、「優待株」です。
高配当株とは、1000万円投資してくれたら5%である50万円/年を株主に還元しますよ、という類の株式銘柄です。
日本人は特に高配当銘柄が大好きです。
しかし、高配当銘柄の株価をみていると低迷しているものばかりが目立ちます。
日本の高配当株の代表例といえば、JT(日本たばこ産業)ですね。2020年時点で利回りは7%程度と非常に高い水準になっています。
ここでJTの株価をみてみましょう。
過去5年間、株価が低迷を続けています。
理由としてはたばこ自体がすでに斜陽産業であり、日本も喫煙スペースが劇的に減っていることは体感できているのではないでしょうか。
一時は4,500円あった株価が2000円に。60%減です。
配当を貰っていても、投資元本が毀損していてはどうしようもありません。
高配当銘柄というのは、私個人としては銘柄をしっかり選べない投資家を狙い撃ちしている戦略だと考えています。
配当利回りが集客の経費という位置づけでしょうか。それくらい、私は高配当銘柄には懐疑的です。
現代では、株式投資を自分でしなくても、良い運用先がたくさんあります。
退職金の1000万円の元本が60%毀損してしまっては、余裕のある老後生活に暗雲が立ち込めてしまいます。
他の選択肢も積極的に考えていきましょう。
投資信託で運用
投資信託は、国内だけで6,000本以上存在します。多すぎますよね。儲かるんですね、という感じです。
投資信託のビジネスモデルとしては、公募(広告で大々的に人を集める)して、人を集めれば集めるほど信託報酬で利益が膨らむというものです。
そもそも投資信託で運用をしているファンドマネジャーの成功報酬は大きくなく、必死に運用成果を出すインセンティブがあまりにも乏しいです。
その結果が以下です。以下は金融庁が出しているアクティブ投信のリターン統計です。

金融庁
右側にある信託報酬とリターンを見てください。信託報酬が1.5%超2%以下の投資信託のリターンがマイナスであった割合はなんと37.6%です。
3本投資信託を購入すれば1本はマイナスになるということで、個別株を自分でやったほうがましなのではないかと思ってしまう割合です。
以下の記事で投資信託の良い点・悪い点を紹介していますので、投資信託での運用を考えている方は、ぜひ読んでみてください。
私は、はっきり言うと日本のアクティブ投信は信用していません。退職金のまとまった1000万円以上のお金を預ける先では適切ではありません。
ヘッジファンドで運用する
ヘッジファンドは私募ファンドであり、投資信託と異なり公募で大々的に人を集めることはできません。
ファンドの募集人数も限られています。
欧米では常識的なヘッジファンドを起用した資産運用ですが、近年は日本でも和製のヘッジファンドが少しずつ、運用先として人気が出てきたように思います。
ヘッジファンドは基本的に運用手数料の大きな部分が「成果報酬型」となっており、投資信託とは運用の真剣度が異なります。
信託報酬もかかるヘッジファンドはありますが、それにしても大勢の投資家を抱えることはできず、構造的にも成果報酬の部分で報酬を得なければならないプレッシャーが投資信託のそれとは全く異なります。
年利回り10%のリターンを堅実に達成する老舗ヘッジファンドなどもありますので、こちらは老後の余裕資金を作る上でマッチする運用先といえます。(複利効果も活かせます)
ただし、重要になるのはどのヘッジファンドに資金を預け、運用してもらうかです。
オススメのヘッジファンドは以下で紹介しています。
さらに楽しい老後に向けた運用をしていこう
退職金など1000万円以上を運用して、さらなる老後生活の充実を目指していきましょう。
一番やってはならないことは、現金を寝かせてしまうこと、もしくはハイリスクハイリターンの投資をしてしまうことです。
堅実に、資産を積み上げられる先で運用をしていきましょう。