1000万円というのは資産運用をする上で、まず最初に目標とする資産水準ではないでしょうか?
年収1000万円を達成しても手取りは750万円程度で、東京で生活をすると年間200万円から300万円しか貯まりません。
エリートサラリーマンでも30歳前後でようやく到達する水準かと思います。
1000万円の次の目標は、やはり一つ上の桁である1億円ではないでしょうか?
筆者ももうすぐ1億円に到達するところですが、1000万円到達からは20年ほどかかりました。
単純に貯金するだけだと3000万円程度だったかと思います。
さて、1000万円あれば資産運用の選択肢は増大します。
中でも、今回取り上げるようにヘッジファンドへの投資も視野に入ってくるのが魅力的なところです。
本日はヘッジファンドについて以下の点について詳しくお伝えしていきたいと思います。
ポイント
- ヘッジファンドとは?どのような特徴?
- 投資信託とは何が違うのか?
- ヘッジファンドに投資するにはどうしたらよいのか?
ヘッジファンドの特徴とは?
まずヘッジファンドとはどのようなファンドなのかという点について説明していきたいと思います。
そもそもファンドの仕組みとは?
ヘッジファンドは名前の通り、ファンドの1つの形態です。
そもそもファンドというのは投資家から集めた資金を金融市場で運用して得られたリターンを投資家に分配するという仕組みです。
ファンドの語源はラテン語のfondusという「底」を意味する単語です。資金を貯める時の礎と考えるとわかりやすいですね。
投資家の資金を纏めて金融市場で運用を行なって利益獲得を目指していきます。一言に金融市場といっても「株」「債券」「コモディティ」など様々です。
いかなる局面でも利益獲得を狙う絶対収益型
ヘッジファンドの最大の特徴はいかなる局面でも利益を狙う絶対収益型だということです。
株式市場が下落している局面でもリターンが求められるということです。
通常のファンドであればリーマンショックやコロナショックのような暴落局面では一緒に暴落してしまいます。
しかし、ヘッジファンドは空売りやオプションを用いたり、特殊な戦略を用いて下落を抑制しながらリターンを狙っていきます。
実際に以下の通りヘッジファンドは全世界株式や米国のS&P500指数の下落を抑えながら高いリターンをだしています。
→ ヘッジファンドの利回りを比較!海外ファンドと国内老舗のBMキャピタルの実績などを列挙
機関投資家から絶大な信頼を得ている
ヘッジファンドといえば金融市場を荒らしている厄介なファンドと考えている方もいらっしゃると思います。
しかし、実際はオルタナティブ投資先として世界中の機関投資家から絶大な信頼を得ています。
オルタナティブ投資とは株式や債券などの伝統的な資産とは全く異なる動きをする資産です。
現在の世界はグローバル化が進展しており、先進国株も新興国株も概ね同じような動きをします。
世界最大の米国株式市場が下落する時は日本の株式市場も下落しますからね。
そこで従来の伝統的な資産と異なる動きをするオルタナティブ資産がポートフォリオの安定性を高めるために重宝されているのです。
その中でも脚光を浴びているのがヘッジファンドなのです。
→ オルタナティブ資産の種類とおすすめ投資先とは?オルタナティブ投資を実践すべき理由とともにわかりやすく解説する!
そもそも機関投資家が何を目的に運用しているかを考える必要があります。金融機関は以下の通り目的があり運営しています。
年金基金 | 年金資産を増加させてリタイア世代の支払いを行う |
保険会社 | 預かった資産を運用して有事の際の支払いの原資を作るとともに利益を上げる |
大学の基金 | 大学の研究費や教授の給料などの運用費を賄うために資金を増やす |
将来、支払いが発生することを考えるとリーマンショックのような暴落を回避する必要があるのです。
いきなり運用金額が半分になり支払いができないという事態が一番恐るべき事態ですからね。
そこで下落を抑制しながら安定的に増やしてくれるヘッジファンドに白羽の矢がたっているのです。
実際、以下の通りハーバード大学やイェール大学の基金ではヘッジファンドがポートフォリオの30%以上を占めています。
ヘッジファンドはプライベートファンドで最低出資額が1000万円以上
ヘッジファンドは米国のSECや日本の金融庁などの金融当局に登録されている公募ファンドではなく私募ファンドです。
公募ファンドになると大々的に金融機関の窓口や、つり革広告や雑誌などで募集することができます。
つまり、容易に資金を集めることができるのですが、金融庁や投資信託協会によって運用方法が規制され柔軟性が確保できません。
例えば1銘柄あたりに投資できる比率が10%以内に制限されたり、株式の空売りやオプションなどのデリバティブ取引を積極的に行うことが制限されます。
ヘッジファンドは限られた人にのもアクセスが可能な投資ファンドなのです。
また、規制上資金を預かることが出来る人数が日本の場合は500人未満と制限されています。(海外の場合は50人未満の場合もあり)
つまり1人あたりの出資金額を大きく設定してファンドの規模を大きくするしかありません。
そのため1人あたりの出資金額が大きく設定されているのです。
海外のヘッジファンドでは最低出資金額を500万ドル(約7億円から)と設定しているファンドが多くなっています。
しかし、日本ではまだファンドの規模が小さいのと海外より人数の制限が多いこともあり1000万円から資金を受け入れているファンドも存在します。
ただ、中にはポンジスキームの詐欺ファンドも存在しますので以下の点も参考にしていただければと思います。
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成功報酬型手数料を採用
ヘッジファンドは手数料形態にも特徴があります。
ヘッジファンドは得られたリターンに対して手数料が発生します。
リターンをあげると報酬が増加するのでヘッジファンドはリターンを上げることに真剣に向き合っています。
成功すれば受け取れる報酬が増えますからね。このようにインセンティブが働く環境でこそ人間は本領を発揮することができるのです。
→
ヘッジファンドマネージャーは歴戦の強者
ヘッジファンドマネージャーは運用リターンを出すことで莫大な収益を獲得することができます。
一方、成績が振るわなければ解約が相次ぎ償還となり実質的に失業してしまいます。
つまり、自分の腕に自信のある本物のプロが運用を担当しています。
海外であればハーバードやオックスホードなどの一流大学出身で金融機関で研鑽を積んだエリートが独立してヘッジファンドを立ち上げます。
運用の自由度が高くインセンティブが高いからこそ、ヘッジファンドではファンドマネージャーの腕こそが重要となってくるのです。
投資信託とは何が違う?表を用いて簡単に比較!
今までヘッジファンドの特徴についてお伝えしてきました。
では今までの点を踏まえて投資信託とは何が違うのかという点について纏めたいと思います。
ヘッジファンド | 投資信託 | |
ファンド形態 | 私募 | 公募 |
運用手法 | 絶対収益 | 指数に対するアクティブリターン |
ファンドマネージャー | 歴戦の強者 | サラリーマン |
運用手法 | ロングショート マーケットニュートラル アクティビスト イベントドリブン 等々 |
基本的に買い持ち |
手数料 | 成功報酬が主体 | 信託報酬が主体 |
最低出資金 | 1000万円〜 | 100円〜 |
投資家 | 富裕層 機関投資家 |
一般個人投資家 |
関連:富裕層向けの金融商品「ヘッジファンド」と「投資信託」の違いをわかりやすく解説!両者のメリットとデメリットを比較しながら検証する。
なによりも一番違うのはヘッジファンドは市場環境を言い訳にせずリターンを狙いにいき、投資信託はあくまで指数に対してプラスのリターンをだせばよいという姿勢だということです。
いかなる局面でもリターンを狙うべく多様な戦略を駆使してリターンを出しています。
ヘッジファンドに投資する方法とは?
ヘッジファンドは先ほどお伝えした通りプライベートファンドです。
そのため、投資信託などのようにネット証券経由でボタン1つで購入することはできません。
紹介を受けたり自分でアプローチをして面談を受けて双方納得した上で出資を行うことができます。
そもそも大切な資金を預けるのに詳細な内容を知らずに投資を実行することの方が危険であると考えています。
投資信託は目論見書などで説明がなされていますが、目論見書を読んで投資している方は少ないのではないのでしょうか?
どのような戦略で投資しているのか?
ファンドマネージャーはどのような方なのか?
どのような銘柄に投資しているのか?
といった点を確認すべきだと思います。折角であれば対面で説明を受けた上で判断した方がよいでしょう。
→ ヘッジファンド投資をやってみた!どの始め方が最適なのか!?3つの購入方法を比較しながら徹底解説!
1000万円から投資できる魅力的なヘッジファンドを紹介
では、本題に入っていきたいと思います。
1万円や10万円などの少額からヘッジファンドに投資することはできませんが、1000万円あればヘッジファンドに投資することが現実的な選択肢として入ってきます。
日本の個人投資家でも投資が可能なヘッジファンドについては以下で詳しくまとめています。
本日は、この中から魅力的で実際に筆者も投資しているファンドについて紹介していきます。
日本の中小型株に投資して安定したパフォーマンスを出し続けているBMキャピタル
筆者の投資しているヘッジファンド「BMキャピタル」は1000万円から資金を受け入れています。以下はBMキャピタルのHPの記載です。
Q:最低投資金額はいくらからですか?
A:原則として1,000万円から受け付けております。1,000万円以下での投資希望の場合は弊社役職員とご相談ください。
関連:BMキャピタルの最低出資額に届いてないけど問い合わせしても大丈夫!?詐欺の可能性を含めてわかりやすく解説する
チェックリスト
- 運用資産額は200億円に成長
- 平均年率10%以上(ブリッジウォーター並み)
- 運用開始後10年間年度ベースでマイナスのリターンはなし
- ファンドマネージャーは東大卒で外資系金融出身の本物
- 運用手法はバリュー株とアクティビストのマルチ戦略
まさに和製ブリッジウォーターと同じようなファンドだということです。以下はブリッジウォーターアソシエイツのリターンです。
市場平均に影響をうけずに右肩上がりのリターンを実現しています。BMキャピタルもまさに上記のような綺麗な直線上のチャートを描いています。
このチャートについては面談時の資料で確認することができます。
1000万円を投資して年率10%で運用すると複利の力で以下の通り飛躍的に資産額は増加していきます。
追加で毎年100万円ずつ投資したら18年後には夢の1億円、毎年200万円ずつ投資したら15年後には1億円に到達します。
追加投資なし | 年間追加投資100万円 | 年間追加投資200万円 | |
元本 | 1,000 | 1,000 | 1,000 |
1年後 | 1,100 | 1,200 | 1,300 |
2年後 | 1,210 | 1,420 | 1,630 |
3年後 | 1,331 | 1,662 | 1,993 |
4年後 | 1,464 | 1,928 | 2,392 |
5年後 | 1,611 | 2,221 | 2,832 |
6年後 | 1,772 | 2,543 | 3,315 |
7年後 | 1,949 | 2,897 | 3,846 |
8年後 | 2,144 | 3,287 | 4,431 |
9年後 | 2,358 | 3,716 | 5,074 |
10年後 | 2,594 | 4,187 | 5,781 |
11年後 | 2,853 | 4,706 | 6,559 |
12年後 | 3,138 | 5,277 | 7,415 |
13年後 | 3,452 | 5,905 | 8,357 |
14年後 | 3,797 | 6,595 | 9,392 |
15年後 | 4,177 | 7,354 | 10,532 |
16年後 | 4,595 | 8,190 | 11,785 |
17年後 | 5,054 | 9,109 | 13,163 |
18年後 | 5,560 | 10,120 | 14,680 |
19年後 | 6,116 | 11,232 | 16,348 |
20年後 | 6,727 | 12,455 | 18,182 |
簡単に運用戦略について筆者が四半期毎に送られてくる運用レポートを元に紐解いた内容をお伝えしていきたいと思います。
通常、企業の株価を分析する時は、今保有している純資産と今後の事業利益の割引現在価値の合計を発行済み株式で除して算出されます。
簡単にいうと今保有している資産と今後稼ぐ金額を足し合わせた企業の価値を1株あたりで算出したものが株価に対して高いか安いかが基準となります。
しかし、BMキャピタルは不確実性のあるものや不透明なものを徹底的に排除します。
まず、将来の利益というのは予想することができないのでゼロであると仮定します。
さらに現在の資産の中から機械設備や建物、「のれん」など価値が不確かな事業性資産を排除して現金や有価証券や営業債権といった現金性資産のみを考慮します。
現金性資産から総負債を左飛引いた純現金性資産のみで時価総額を上回る銘柄を選定します。
つまり、買収した瞬間に清算するだけで利益がでるような通常ではあり得ないレベルに割安で放置されている銘柄に投資を行い下落耐性を確保しています。
しかし、このような銘柄は注目されておらず株価が低迷しているため、投資した後放置しても株価が上昇しない可能性もあります。
そこでBMキャピタルは大量に株を買い占めて大株主となりアクティビスト(=物言う株主)として経営陣に働きかけて株価を能動的に引き上げていきます。
アクティビストとしての提案の例
- 配当金の増額
- 自社株買の要求
- 適正ではない役員報酬などの売却
- 有休不動産の売却
- 政策保有目的の意味のない有価証券の売却
このような活動を通じて市場からの注目を集めて株価が急上昇した局面で利益を確定して能動的にリターンを確保しています。
さらに、例えばコロナショックのような局面では株式を空売りしてポートフォリオをヘッジして損失をださずに乗り切っています。
BMキャピタルについては以下で詳しくお伝えしていますのでご覧いただければと思います。
新興国で大きなリターンを狙う「オリエントマネジメント」
BMキャピタルが守りを固めながら堅実なリターンを積み上げていく超長期投資向けのファンドであるとするならば、オリエントマネジメントは攻めのファンドです。
今まさに日本のバブル相場直前と同じ経済水準で、株価が本格的に上昇する準備は整っています。
更に現在、中国株は世界に先駆けて発生している不況によって株価が下落しており割安度が高まっています。
以下は上海総合指数は2008年から殆ど水準が変わっていません。この間、中国はGDPベースで日本を追い抜き現在は3倍の規模に経済成長しているにも関わらずです。
オリエントマネジメントはこのように今後魅力が高い中国株に投資をしているヘッジファンド です。
オリエントマネジメントは2021年の運用開始以降、株価指数が大きく下落する中でも非常に大きなアクティブリターンを叩き出しています。
オリエントマネジメント | 上海総合指数 | 香港ハンセン指数 | |
2021年下半期(6月〜12月) | 10.84% | 13.34% | ▲19.09% |
2022年通年(1月〜12月) | 5.70% | ▲15.12% | ▲15.45% |
2023年上半期(1月〜6月) | 16.91% | 3.64% | ▲4.37% |
年率平均リターン | 17.03% | ▲0.15% | ▲19.12% |
累積リターン | 36.97% | -0.30% | -34.58% |
今後、中国株が上向いた時にどれほどのリターンをあげるか楽しみなファンドです。
更に詳しくオリエントマネジメントについて知りたい方はこちらからどうぞ。
まとめ
ヘッジファンドは相場環境に依拠せず安定したリターンを叩き出す絶対収益型のファンドで、資産を減らすことができない機関投資家に重宝されています。
よく比較にだされるヘッジファンドと投資信託の違いは以下となります。
ヘッジファンド | 投資信託 | |
ファンド形態 | 私募 | 公募 |
運用手法 | 絶対収益 | 指数に対するアクティブリターン |
ファンドマネージャー | 歴戦の強者 | サラリーマン |
運用手法 | ロングショート マーケットニュートラル アクティビスト イベントドリブン 等々 |
基本的に買い持ち |
手数料 | 成功報酬が主体 | 信託報酬が主体 |
最低出資金 | 1000万円〜 | 100円〜 |
投資家 | 富裕層 機関投資家 |
一般個人投資家 |
魅力的なファンドについては当記事で取り上げたものも含めて以下でまとめていますので参考にしていただければと思います。