一つの区切りとなる貯金1000万円。1億円の10分の1とはいえ誰でも実現できる貯金額ではありません。
以下は日銀に金融広報中央委員会が発表している単身世帯の年代毎の金融資産保有額です。
平均値は全員の貯金額の合計を人数で割ったもの、中央値は100人いたら真ん中の50位の人がいくらの貯金を保有しているかという数値です。
基本的に平均の方が中央値よりも大きくなっているので、上位層が異常な金額を保有しており全員を引き上げていることがわかりますね。
上記結果から分かるとおり20歳代の平均は106万円、中央値は5万円となっています。30歳代の平均も359万円で、中央値は77万円となっています。
今回取り上げるのは40代で1000万円の資産を有している方です。
本日は40歳で1000万円という資産は凄いのか?それとも少ないのか?
という点をお伝えした上で豊かな老後生活に向けて必要なポイントについてお伝えしていきたいと思います。
貯金1000万円の到達年齢とは?40代で貯金1000万円を保有していても少ない?
まずは、実際に資産1000万円に到達するのは何歳なのかという点についてみていきたいと思います。
先ほどのデータは独身者の資産の分布だったので、既婚世帯でみていきましょう。以下は世代毎の1000万円以上の資産を保有する人の比率です。
35歳未満 | 35歳~44歳 | 45歳~54歳 | 55歳~64歳 | 65歳〜74歳 | 75歳以上 | |
1000万円以上計 | 15.0% | 40.6% | 56.3% | 72.0% | 79.6% | 80.4% |
40代の約半分は資産1000万円を保有しているということが分かりました。独身者と大きな差があるので、ある程度金銭的に余裕のある方が結婚しているということが読み取れますね。
当然、夫婦二人の資産の合計なので2人分の貯金の合計ということになります。
結構皆さん資産を保有しているものですね。40代の平均くらいということになりますので、40代で貯金1000万円は特段多いというわけではなさそうです。ただ、家庭を持ち、子供の教育などの費用を考えると全く余裕がある数値ではないですね。
コツコツ、貯金を続け、稼ぎ続ける必要があります。
貯金1000万円あったら何ができる?使い道とは?
まず1000万円があったら何ができるのでしょうか?
レクサスLSモデルを手に入れることができる
1000万円あれば憧れの高級車を購入することができます。トヨタの2019年10月発売モデルであるレクサスLSは最低価格999.6万円で販売されています。
その後の維持費やメンテナンス費用はかかりますが、1000万円あれば高級車も手に届く水準なのです。中古車であれば、高級外車も買えるでしょう。
高級クルーズ船に乗ることができる
1000万円あれば高級クルーズ船にのることができます。
ダイヤモンドプリンセス号で悪いイメージを持っている方もいらっしゃると思いますが、豪華な遊びとして一度は体験してみたいものですね。
JTBクルーズでは合計100日異常の豪華客船でのツアーを提供しています。(参照:JTBクルーズ「飛鳥II」)
ツアーの最中に歌姫や落合シェフの料理も毎日提供されています。価格帯でいうと「C:スイート」の1000万円を利用することができます。人生一度の思い出によいかもしれませんね。
港区の高級タワーマンションに3年間住める
憧れのタワマン生活も期間限定ではありますが、実現することができます。以下は人気の港区のTHE ROPPONGI TOKYOの価格水準です。
13階と低層階ですが1LDKで賃料と管理費込みで合計29万円/月となります。年間で350万円で住むことができるのです。
約3年間という期間限定ではありますが、港区のタワマンに住むことを実現できるのです。意味のない居住ですね。もっと収入と資産を増やして、ローンを組んで保有するべきだと思います。
タワーマンションは資産性が高いので、インフレ時代のヘッジにもなります。頑張りましょう。
→ 対策必須!日本で発生するスタグフレーションに強い資産とは?原因は何?金ではヘッジにならない?
子供3人を都内一流私立中高で学ばせることができる
自分のためではなく子供の教育に費やしてあげたいという方も多いでしょう。以下は都内のトップ校の一角をしめる開成中学と開成高校の学費です。
月額合計は56,350円ですので、年間676,200円となります。入学金等44万円と中高6年間の合計で450万円となります。
子供二人で900万円ですので、2人を開成中高で学ばせてあげることができるのです。(合格できればなのですが・・・)
40歳で貯金1000万円であれば豊かな老後のリタイア生活には少ない?
1000万円あればどのようなことができるのかという点についてお伝えしていきました。しかし、人々が生活を営んでいくことで最大の懸念事項は老後の生活だと思います。
2019年は財務省による「老後2000万円問題」が話題を呼びました。老後2000万円問題は2017年のデータを用いて単純な計算で計算されております。
つまりデータが古いのでインフレが進んだ2024年現在は更に多くの費用が必要なことは容易に想像がつきますね。
高齢無職世帯の年金収入と支出の不足金額の平均が月間55,000円となります。
つまり年間だと66万円ということですね。
年間不足額66万円が65歳から95歳までの30年間発生し続けるとすると1980万円となり約2000万円が不足となるという理屈です。
しかし、もう一度以下の支出のグラフをご覧ください。
住居は僅か1.3万円、交際費は2.5万円、食費も二人で一ヶ月3.5万円という想定になっています。正直、上記のような生活をしていては豊かな余生を暮らすことはできませんよね。
上記のデータを裕福な老後の生活費として洗い替えたものが以下となります。
総務省データ | 調整データ | |
食料 | 64,521 | 100,000 |
住居 | 13,658 | 150,000 |
光熱費 | 19,309 | 20,000 |
家具 | 9,419 | 10,000 |
被服費 | 6,593 | 10,000 |
保険医療 | 15,541 | 15,000 |
交通通信 | 27,551 | 28,000 |
教養娯楽 | 24,961 | 30,000 |
交際費 | 27,315 | 100,000 |
その他 | 26,609 | 30,000 |
非消費支出(税金等) | 28,240 | 30,000 |
合計(月額) | 263,717 | 523,000 |
専業主婦世帯の夫婦の年金(第1号+第3号)の平均月額支給額は224,482円となっています。そのため、年間の不足額は以下となります。
総務省データ | 調整データ | |
支出(月額) | 263,717円 | 523,000円 |
収入(月額) | 224,482円 | 224,482円 |
不足分(月額) | 39,235円 | 298,518円 |
不足分(年額) | 47万円 | 360万円 |
1000万円では残念ながら3年しか暮らすことはできません。配当金だけで不足分の360万円を賄おうとすると最低でも1億円は欲しいところですね。
ただ、正直現在発生しているインフレなどを考えると1.5億円から2億円は余裕をもって構築しておきたいところです。
関連記事
1000万円の使い道は特別な投資手法で更に資産を増やすこと
最初の項では1000万円を消費する方向でお伝えしてきました。しかし、1000万円あればこそ投資を行うフェーズに到達しているのです。
老後の資産を構築するためにも、1000万円は使うのではなく投資で増やすと考えるのが賢明です。
投資にはある程度のタネ銭が必要
投資をするにしても、やはりある程度のタネ銭が必要です。100万円を運用に成功して倍にしたとしても200万円にしかなりません。
しかし、1000万円であれば10%の運用益をだすだけで100万円の利益を出すことができるのです。
先ほどの例と同じく、2倍にすることができれば2000万円を達成することができます。ある程度のタネ銭があるからこそ投資をする意味がでてくるのです。
1000万円の資産がある方は、タネ銭がありますので、元本が大きいからこそ可能な投資先を模索するべきです。
複利の力は偉大!大いに物を言う
複利の力は偉大と言う話はよく聞くと思います。
しかし、本当にコツコツとした利回りでも時間を利用すれば大きな資産を構築することができるのです。
比較的な安定運用の範囲である年率5%運用で20年後には3000万円近くの資産を築くことができます。
10%で運用することができれば20年後に約7倍の7000万円まで飛躍的に資産を伸ばすことができるのです。
5%運用 | 7%運用 | 10%運用 | |
1年後 | 1050 | 1070 | 1100 |
2年後 | 1103 | 1145 | 1210 |
3年後 | 1158 | 1225 | 1331 |
4年後 | 1216 | 1311 | 1464 |
5年後 | 1276 | 1403 | 1611 |
6年後 | 1340 | 1501 | 1772 |
7年後 | 1407 | 1606 | 1949 |
8年後 | 1477 | 1718 | 2144 |
9年後 | 1551 | 1838 | 2358 |
10年後 | 1629 | 1967 | 2594 |
11年後 | 1710 | 2105 | 2853 |
12年後 | 1796 | 2252 | 3138 |
13年後 | 1886 | 2410 | 3452 |
14年後 | 1980 | 2579 | 3797 |
15年後 | 2079 | 2759 | 4177 |
16年後 | 2183 | 2952 | 4595 |
17年後 | 2292 | 3159 | 5054 |
18年後 | 2407 | 3380 | 5560 |
19年後 | 2527 | 3617 | 6116 |
20年後 | 2653 | 3870 | 6727 |
以下、各利回り毎のおすすめの投資先についてお伝えしていますので参考にしていただければと思います。
貯金1000万円超えたら10年スパンで何に投資する?!資産運用先はインデックス投資がベストなのか?利回り毎におすすめ投資手法を紹介
追加投資を行うことで1億円も見えてくる
先ほどは追加投資はしない前提で考えていきました。しかし、年間200万円の追加投資ができれば夢の1億円も到達可能です。
10%で運用できれば20年後の定年時点では2億円近い資産を構築することが可能となります。
5%運用 | 7%運用 | 10%運用 | |
1年後 | 1250 | 1270 | 1300 |
2年後 | 1513 | 1559 | 1630 |
3年後 | 1788 | 1868 | 1993 |
4年後 | 2078 | 2199 | 2392 |
5年後 | 2381 | 2553 | 2832 |
6年後 | 2700 | 2931 | 3315 |
7年後 | 3036 | 3337 | 3846 |
8年後 | 3387 | 3770 | 4431 |
9年後 | 3757 | 4234 | 5074 |
10年後 | 4144 | 4730 | 5781 |
11年後 | 4552 | 5262 | 6559 |
12年後 | 4979 | 5830 | 7415 |
13年後 | 5428 | 6438 | 8357 |
14年後 | 5900 | 7089 | 9392 |
15年後 | 6395 | 7785 | 10532 |
16年後 | 6914 | 8530 | 11785 |
17年後 | 7460 | 9327 | 13163 |
18年後 | 8033 | 10180 | 14680 |
19年後 | 8635 | 11092 | 16348 |
20年後 | 9266 | 12069 | 18182 |
では複利運用をしていく際に、どのような選択肢を選ぶのがよいでしょうか?
1000万円資産があるからこそできる投資、和製ヘッジファンド運用(海外ヘッジファンド購入は難しい)
投資信託は証券会社によっては100円から買えますし、個別株も株価が低い低位株であれば数万円から購入することができます。
しかし、本当に資産をコツコツと積み上げたい人は以下のような投資先に投資をする必要があります。
- 出来る限り下落をミニマイズできる手法で運用している
- 安定した成績を叩き出している
日本の投資信託は手数料ビジネスに成り下がっており、長期的に資産を形成する金融商品として必ずしも適しているとはいえません。
本当に魅力的な金融商品は必ずしも門戸が広く開かれているわけではありません。
投資信託は公募ファンドですが、ヘッジファンドという私募ファンドの形態で運用されているファンドも存在しています。
以下の図を見ていただければ一目瞭然ですが、ヘッジファンドは暴落を免れながら安定したリターンを積み上げています。
ヘッジファンドは基本的に機関投資家と富裕層のみから出資を受け入れており、海外では最低でも1億円以上からしか受け入れていません。
税制上の問題などもあり、事実上、個人投資家が投資をすることは容易ではありません。
しかし、日本では海外のヘッジファンドと遜色のない成績を残しながらも1000万円から投資ができる優良ヘッジファンドも存在しているのです。
筆者が投資しているヘッジファンドは東大卒のファンドマネージャーが外資系金融で磨いた投資手法で過去運用開始から7年間マイナスをだすことなく、年率10%程度で運用をおこなっています。
以下で詳しくお伝えしていますので参考にしていただければと思います。
ヘッジファンドは大損するからおすすめしないなどの評判は?
筆者が上記のような言葉を聞いたのは2009年でした。その相手は前職の外国人同僚でした。まさに米国株市場がコロナショックで大暴落し、多くのヘッジファンドが損失を被った時期でした。
特にサブプライム住宅ローン証券を大量に購入していた投資銀行べアー・スターンズ系のヘッジファンド2社が経営破綻したことは、記憶に新しいです。
当時、ベアスターンズ傘下のヘッジファンドで運用していた投資家達は阿鼻叫喚だったと思います。実際に大損したと思いますし、被害者はヘッジファンドをおすすめしないでしょう。
しかし、2023年現在、ハーバード大学やイェール大学などの超一流大学の基金などをはじめとした機関投資家がヘッジファンド運用を行なっていたりと、欧米では「オルタナティブ投資」としてメジャーな投資先として根付いています。これは数字にも表れています。
ハーバード大学の寄付基金、ハーバード・マネジメントのN・P・ナーべカー最高経営責任者(CEO)は、流行遅れの感のある投資を倍増させている。ヘッジファンド投資だ。
同大は390億ドル(約4兆3200億円)規模の寄付基金の運用を改善させようと2016年にナーベカー氏を採用したが、それ以降にヘッジファンド投資は最大規模となった。同大の提出書類によると、高等教育機関として最大規模の同基金のヘッジファンド投資は6月までの2年間にほぼ倍増し、現在は130億ドルと寄付基金の3分の1を占める。
リーマンショック時はたしかにヘッジファンドが先立って破綻したため業界は冷え込みましたが、上記グラフの通り2009年よりヘッジファンドの残高は回復しています。
その後も以下の通り資産残高はとどまることを知りません。
世界のヘッジファンドの運用資産が拡大している。2021年1~3月期末では3兆8014億ドル(約410兆円)と前年同期に比べ3割増え過去最高となった。1~3月は運用成績も15年ぶりの高水準だった。新型コロナウイルス禍からの「K字型」の経済回復では企業の業績に明暗が分かれている。銘柄選別に強みを持つファンド勢に追い風となった。
海外ヘッジファンドの運用残高ランキング
最新2022年のランキングです。
Rank | Hedge Fund |
|
Headquarters | |
#1 | Bridgewater Associates | $126,400 | U.S. | |
#2 | Man Group | $73,500 | UK | |
#3 | Renaissance Technologies | $57,000 | U.S. | |
#4 | Millennium Management | $54,968 | U.S. | |
#5 | Citadel | $52,970 | U.S. | |
#6 | D.E. Shaw Group | $47,861 | U.S. | |
#7 | Two Sigma Investments/Advisers | $40,969 | U.S. | |
#8 | Davidson Kempner Capital Management | $37,450 | U.S. | |
#9 | Farallon Capital Management | $37,400 | U.S. | |
#10 | TCI Fund Management | $36,200 | UK |
やはり一位はヘッジファンドの帝王、レイ・ダリオ氏が率いるブリッジウォーターアソシエイツでした。
世界一のヘッジファンドであるブリッジウォーターの運用リターンが以下です。
運用開始からどんな暴落局面でも右肩上がりであり、富裕層がこぞって同ファンドに資金を預ける理由がよくわかります。
大暴落を避けて堅実にプラスを積み重ねる、S&P500は2009年以降第二フェーズのドットコムバブルでハイリターンを上げましたが、
ダリオ氏のブリッジウォーターも暴落を被ることなく同等のリターンを重ねています。
2022年の相場に関しても、S&P500が-19.95%と大暴落する中、6%のリターンであり指数に対して+25%のリターンを出しています。
9月末までは年初来+22%、指数比+42%と異次元リターンでしたが、惜しかったですね。
事情に詳しい複数の関係者によれば、「ピュア・アルファ」ファンドのリターンは第4四半期に入って11月末までに約13%減少し、年初からのリターンをプラス6%に削った。9月末時点のリターンは22%と、2010年に記録した約27%以来の良好なペースで推移していた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-02/RM9PQUT0G1KW01
しかし、やはりヘッジファンドの下落相場での強さが際立ちますね。
インデックスへの投資は大暴落を被るなど非常にボラティリティが高いですが、ヘッジファンド運用は大学基金が安定運用先として投資判断がなされるのです。
まとめ
1000万円あれば高級車に乗ることも、タワマンに住むことも、高級クルーズ船にのることもできます。
しかし、老後の資金を考えた時に1000万円という金額は非常に心細い金額と言わざるを得ません。
また、そもそも消費に使っていては人生に飽きます。生産に使っていくべきです。
つまりはお金でお金を増やして、事業をする、人に投資をするなど生産性の高い人生を形成していきましょう。
まずはお金を増やすフェーズ(誰でも通る)ですので、1億円を目指したいところです。
老後の資産を考えた時に長期的な視点にたって老後資産を構築するためには堅実な手法で着実に運用していくのが賢明です。
以下、今回紹介したヘッジファンドがそもそもどのようなファンドなのかという点を踏まえておすすめ投資先についてお伝えしています。