日本では、キリの良い「1000万円」を貯金した時点で、資産運用に興味を持つ方は不思議なことにとても多いです。会社で働き、コツコツと1000万円に資産が到達した時に以下の考えを持つ方も多いと思います。
「なかなか資産を構築するのは難しい。時間がかかる!」
「他にもっと早く資産を大きくする方法はないのか?」
筆者の周りでは「10年スパン」でどれくらいのリターンが得られるのかを気にする人が多いです。
筆者にとってはこれも不思議ですが、やはりキリの良い数字でベンチマークを設定したいのかもしれません。
実際に資産運用は早く始めて、複利で長く運用することが最もリターンが大きいことは明白です。どれくらいを目指すのが適切なのかを商品解説を入れた上で紹介していきたいと思います。
今回は上記で挙げた10年スパンの運用インパクトをあえて見ていきます。
筆者の運用方針は短期で一気に資産を増やすタイプのものではなく、高い確率で資産家を目指していく方針ですので、年利回り40%などを目指したい人は読むべき内容ではないでしょう。
- 1000万円あったら何に投資する?1億円に到達するまでのロードマップ
- 【要注意】FXはそもそも資産運用ではない
- 利回り1%:保険積立>定期預金(元本保証型)
- 利回り→3%:対象運用先は米国債・社債(日本の社債も注目?)
- 利回り→5%:対象運用先はREIT(リート)か高配当株
- コラム:21世紀の資本論から見る5%という運用利回りの水準
- 利回り→7%:インデックス一括投資(米国S&P500連動ETF/VTI、VOO)
- コラム:投資信託という選択肢は魅力的?
- 利回り→10%:対象運用先はヘッジファンドでポートフォリオを組む
- 年率10%以上を狙うのであれば個別株が最有力
- 異常に高い利回りを喧伝するファンドや金融商品には要注意
- この記事のまとめ
1000万円あったら何に投資する?1億円に到達するまでのロードマップ
世の中には資産運用の方法が多々あります。いや、あり過ぎるくらいです。
人間は選択肢は多ければ多いほど良いように感じますが、実は多ければ多いほど迷うことになり、考えれば考えるほどその決断は誤ったものになってしまう傾向があります。
そして、有名人などが声を揃えて宣伝する「簡単に理解できて間違ったもの」への投資をしてしまう人が後を絶ちません。
レバレッジのかかったナスダック100への投資や、仮想通貨など、わかりやすく大衆が殺到し、暴落しましたよね。しかし、いわゆる資産家は複雑でも正しいものに投資をし、資産を築いています。
彼らからすると、複雑なものを理解し淡々と投資をしているだけなので、思考はシンプルになっているとは思いますが。投資初心者の内からわかりやすい間違った投資を覚えてしまうと、人生大変です。
筆者から言えることは、スポーツでもなんでも同じで、一番の近道は小さなものを積み重ねることです。
野球の世界では日々の練習・改善、そして経験が当てはまるのかもしれません。資産運用の世界では、毎年少しでもプラスの運用利回りを確保することだと考えています。
例えば、世界一の投資家のウォーレン・バフェット氏の平均年利回りは+20%程度です。これは小さなリターンではありませんが、1年で2倍になる、3倍になる、といった投資ではないことが明らかです。
バフェットはこの20%の利回りを積み重ね、世界長者番付トップ五に入るほどになりました。
以下はバフェットの過去の資産構築推移です。平均年利回り20%程度で、50代からなんと資産を80倍にしています。
これは運用の世界では小さな利回りに小さな利回りが乗ることで「複利効果」が発生しているということです。
1000万円投資して平均利回り5%であれば、10年で1630万円になるのです。1500万円ではないのです。これを米国ではSnow Ballと呼びます。雪玉のように資産がどんどん膨れ上がっていくことを指し、これは資産運用の鉄則なのです。
しかし、日本では単年のリターンばかりに注目がいきます。あの投信は去年+70%だった、あの投信は+40%、などです。
ほとんどがバブルの恩恵を獲得した投信ばかりで、次の年には全ての利益を吐き出すファンドがとても多いです。これは筆者が過去にこれでもかというほど投信分析をしてきた結果、実感しているものです。
本来は、毎年小さくても良いのでプラスを重ねるファンドを選ぶべきなのです。さて、ここからは利回り別に筆者が注目する金融商品を見ていきたいと思います。
上記の鉄則を忘れないようにしてください。
【要注意】FXはそもそも資産運用ではない
まず利回りについてお伝えするまえに日本人が大好きなFXについてお伝えしていきましょう。FXは残念ながら、投資といえる代物ではありません。
投資という限りは全てのパイが大きくなっていき、期待値がプラスでないといけません。しかし、FXは残念ながら上がるか下がるかをあてるゲームです。
勝つ人と負ける人の比率が理論上同じ数だけ存在するのです。胴元の証券会社にスプレッドを抜かれているのでカジノでポーカーをしていた方がよいですね。
また、スワップポイントがもらえるから新興国通貨の場合は期待値はプラスと考えている方もいらっしゃると思いますが大間違いです。スワップポイントはが高い通貨はインフレ率が高いので結果的にレートが下落する傾向にあるのです。
詳しくは以下に記載していますので参考にしていただければと思います。
利回り1%:保険積立>定期預金(元本保証型)
利回り1%で10年複利で運用すると以下の通りに資産が増加します。
年数 | 元本 | 運用益 |
0 | 10,000,000 | 100,000 |
1 | 10,100,000 | 101,000 |
2 | 10,201,000 | 102,010 |
3 | 10,303,010 | 103,030 |
4 | 10,406,040 | 104,060 |
5 | 10,510,101 | 105,101 |
6 | 10,615,202 | 106,152 |
7 | 10,721,354 | 107,214 |
8 | 10,828,567 | 108,286 |
9 | 10,936,853 | 109,369 |
10 | 11,046,221 | 110,462 |
5年で約50万円、10年で約105万円のリターンですね。定期預金は最も高い利回りが見込まれるネット証券の定期金利でも0.3%となっているので、定期預金よりは若干利回りが高い投資先が投資対象となります。
1%であれば、投資先として考えられるのは保険の積立型で1%程度、iDeCoなどで TOPIXの積み立てなどで1%となりますが、さすがに利回りが低すぎて機会損失が大きいです。
まだまだ投資元本が小さいうちからこのように利回りが低く更に資金拘束を受ける資産運用は避けたいところです。
→ 貯金1000万円を元本保証で資産運用したいという方は必見!知られざる積立型保険の欠陥についてもお伝えする。
利回り→3%:対象運用先は米国債・社債(日本の社債も注目?)
利回り3%で10年複利で運用すると以下の通りです。
元本 | 運用益 | |
0 | 10,000,000 | 300,000 |
1 | 10,300,000 | 309,000 |
2 | 10,609,000 | 318,270 |
3 | 10,927,270 | 327,818 |
4 | 11,255,088 | 337,653 |
5 | 11,592,741 | 347,782 |
6 | 11,940,523 | 358,216 |
7 | 12,298,739 | 368,962 |
8 | 12,667,701 | 380,031 |
9 | 13,047,732 | 391,432 |
10 | 13,439,164 | 403,175 |
5年で約160万円、10年で約340万円のリターンですね。利回り3%程度であれば米国債が最もしっくりくる投資先です。
米国債は米中央銀行の度重なる利上げによって先進国の中で最大の利回り水準を誇っております。しかし、不況突入へ警戒する投資家も多い通り、今後は利回りが下がっていくものと思います。当然債券価格は上昇するので妙味はあるのですが、我々日本人投資家が直面するのは為替です。
今後FRBが利上げを止め、日銀がYCC見直しを実行している中、米国債を購入するのであれば為替ヘッジも行う必要があります。
東京外国為替市場では円が1ドル=134円台へ急反発。日本銀行がイールドカーブコントロール(YCC政策の修正を発表したことを受けて、円を買う動きが活発化している。
日銀は20日、長短金利操作運用の一部見直しを発表。長期金利の許容変動幅の上限を0.5%程度に引き上げた。
米国債購入後に円高に大きく振れてしまいますと、米国債で本来取れるリターンの大半を吐き出してしまうのです。すでに円高は始まっていますが、こんなもので終わるわけがないと考えています。
為替ヘッジを付した債券ETFも存在しますが、それですと利回りが2%程度まで下がってしまいます。
正直、利回りが低すぎるので筆者としては、小さなリターンの積み重ねが大事と言いつつも、低すぎるリターンには手を出したくない、という方針を貫きたいです。
ちなみに社債の話題ですが、2023年に入り、楽天グループが新たに楽天モバイル債を発行します。
楽天グループが個人投資家向けに2500億円の社債を発行する準備をしていることが6日、わかった。楽天Gの個人向け社債の一度の発行額としては最大となる。27日に条件決定する予定で、2年債で利率は2~4%の範囲内としている。
同日、関東財務局に訂正発行登録書を提出した。申込期間は1月30日~2月9日、払込期日は2月10日。償還期限は2025年2月10日までの2年債となる。日本格付研究所(JCR)からシングルAの格付けを27日に取得する予定だ。
愛称は「楽天モバイル債」となる。調達した資金について同社は「携帯電話事業の運転資金などに充てる」としている。
-
-
大評判の楽天グループの個人向け社債は危険?大丈夫?楽天カードマン債、楽天モバイル債やドル建て社債への投資のリスクを考察。
近年、赤字となっている楽天グループ。 業績の低迷を受けて楽天グループはグループ会社の楽天カードで社債を発行したり、楽天グループとしてドル建の社債を発行しています。 そして2023年に入って楽天グループ ...
続きを見る
しかし、上記記事で分析した通り、事業見通し、財務的な面でも手を出したくない商品です。投資は慎重でなければなりません。また、同じく日本の大企業であるソフトバンクグループも社債を発行していますが、内容は筆者からすれば狂気の沙汰です。
それでも、日本の投資家は大企業である、有名企業である、ということで社債を購入するのだなと少し残念に思っています。
-
-
【完売・売り切れ?】2023年以降にソフトバンクグループの社債への投資は危険?大丈夫?劣後債やハイブリッド社債に潜む元本割れリスクとは!子会社のソフトバンクも社債型種類株式を発行!
「資産運用で資産は増やしたいけどリスクは取りたくない。」 できる限り元本保証で資産を安定的に増やしたいという方が考える投資先として債券があるかと思います。 債券は満期まで保有することで元 ...
続きを見る
利回り→5%:対象運用先はREIT(リート)か高配当株
利回り5%で10年複利で運用すると以下の通りです。
元本 | 運用益 | |
0 | 10,000,000 | 500,000 |
1 | 10,500,000 | 525,000 |
2 | 11,025,000 | 551,250 |
3 | 11,576,250 | 578,813 |
4 | 12,155,063 | 607,753 |
5 | 12,762,816 | 638,141 |
6 | 13,400,956 | 670,048 |
7 | 14,071,004 | 703,550 |
8 | 14,774,554 | 738,728 |
9 | 15,513,282 | 775,664 |
10 | 16,288,946 | 814,447 |
5年で約280万円、10年で約630万円のリターンですね。
高い分配金利回りが狙えるREIT
平均4%の利回り水準のREIT(リート)の中から高配当銘柄を組み入れれば可能な水準となります。
リートは得られた賃料収入や不動産売却収入の9割を配当することによって法人税を免除できる制度なので、配当利回りが株式に対して高くなるのです。(⇨J-REITの配当利回りランキング)
ただREIT(リート)は先ほどの積立保険や米国債とは異なります。
そもそも元本自体が大きく変動するので決して元本保証の投資先ではなくミドルリスク・ミドルリターンから、ハイリスク・ハイリターンの投資先として認識されています。
そもそもですが、上記で複利運用を最大限発揮すべきとの話をしましたが、リートは配当を前提とした投資商品です。配当を吐き出す度に税金を支払い、再投資をしていくという形ですとリターンは限定的となってしまいます。
しかし、日本では特に「配当」が好まれるので、複利効果よりも固定収入があるという「勘違い」が優先される傾向にあります。そもそも日本のリート商品は「タコ足配当(利益ではなく元本から配当を払ってしまう)」となっている商品も多いです。
配当を出して再投資しても複利効果は限定されますし、調子良く配当を貰っていても元本は棄損していたということも多々あるのです。
以下は筆者が過去に分析してきたREIT投信の記事ですので、まだREITをどうしても諦めきれない人は参考にしてみてください。
-
-
私募ファンドとREITの違いは何か?仕組み/スキーム/私募不動産ファンド/ヘッジファンド/プライベートエクイティ
不動産投資は現物の不動産を購入する方法だけでなく小口に証券化された商品を購入するという方法もあります。 一番有名な方法がリートですが、他に不動産の私募ファンドという形態があります。 &n ...
続きを見る
-
-
【2023年】高配当利回りが評判のダイワJリートオープン(毎月分配型)の口コミや今後の見通しを徹底評価!減配続きだが分配金を出す余力はある?
この記事では「ダイワJ‒REITオープン(毎月分配型)」をじっくり見ていきたいと思います。 筆者はリート投信の動向を見ることで景気サイクルが今どこにあるのかを見極めることに役立てています。   ...
続きを見る
-
-
Jリートはおすすめしない?高い分配利回りが評判のJ-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)を徹底評価!
不変の人気を誇るREIT(リート)投信。 当ブログでもいくつかリート関連の投信を分析していますが、今回は「J-REIT・リサーチ・オープン」を取り上げたいと思います。 関連 2023年以 ...
続きを見る
-
-
おすすめしない?高配当利回りで評判のJ-REIT(リート)とは?2022年からの見通しを含めてわかりやすく解説する!
「リート(REIT)」という言葉を聞いたことがある方や既に投資を行っている方もいうのではないでしょうか。 リートもオルタナティブ投資の一つの形態であり配当利回りが高いことで注目されていま ...
続きを見る
-
-
【ゼウス投信の今後】配当金がまた下がった?大損すると評判の投資信託『新光US-REITオープン』を徹底評価!高い分配利回りで特別分配金を払い続ける危険性について紐解く。
新光US-REITオープン(通称:ゼウス投信)は米国リートに投資を行いながら高い配当金利回りを出していることで有名な投資信託です。 リートは投資家から集めた資金を不動産に投資をして、得ら ...
続きを見る
総合的なおすすめ投資先の記事も併せて貼っておきます。
-
-
【2023年・国内和製優良ヘッジファンド】おすすめ投資先ランキング〜リスクを抑え安全・着実に資産を増やせる運用先(投資信託などアクティブファンド含む)を紹介。
老後資金構築、または自身の人生水準を高めるためにも、ある程度の貯金額になってくると「資産運用の必要性」には全ての人が気づくでしょう。 例えば、1000万円程度の貯金を超え始めると、資産の増え方の遅さに ...
続きを見る
ディフェンシブ銘柄で高配当株
株式投資でも高配当と言われる銘柄は5%以上の配当利回りを獲得することができます。2023年時点での最たる例が日本タバコになるでしょう。
首位は配当利回り6%超の日本たばこ産業(JT)だ。10月末の増配発表を受け株価が急騰し、足元で発表日比15%高で推移する。PER(株価収益率)は11倍台と業績面で見た株価の割高感も乏しい。
とはいえ、高配当利回り企業への投資で配当収益を期待するのは、正直おすすめできません。「高配当」を企業が出す理由を考えれば、その潜在的なリスクがよく理解できるはずです。
企業とは成長期、成熟期、衰退期、廃業というサイクルで進みます。どんな商売でも、市場のパイを取り切ってしまえば成長は止まります。例えば、2023年時点ではYoutubeでさえも市場のパイを取り切ってしまい、マイナス成長になってしまいました。
永遠に成長する事業など存在しないのです。日本タバコ産業も、タバコはすでにほぼ全ての愛煙家にリーチしてしまっているので、これ以上パイが増えることは考えられません。
つまり成長は見込めないのです。成長が見込めないということは、株は買われません。株が買われないということは、企業の手元キャッシュが減少してしまいますので、既存事業を存続させるためにも株は買ってもらわなければなりません。
そこで多くの企業が手に染めるのが、高配当を投資家に出すことです。「高配当」という響きで投資をしてくれる投資家は日本には山ほどいますから、高配当を出していれば投資をしてもらえ、資金が調達できます。
ただ、成長性を求めてのアグレッシブな投資家は参加しませんので株価自体は落ちていきます。しかし、高配当が好きな投資家は元本が棄損していることは気にしませんので、問題ないわけです。
アメリカでは、あのマイクロソフトが配当を出すことを発表したら株価は暴落しました。マイクロソフトの成長は終わったという判断で売りに走ったのです。(日本で配当発表をしていたら株価は上がったのかもしれません・・・)
その後、マイクロソフトはサーバー提供やゲーム市場への事業多角化に成功したため、株価は10年低迷した後に上昇に転じましたが、こんなことができる企業は世界に指を数えるくらいしかありません。
結論、何が言いたいかというと、そもそも配当投資は再投資の際に税金が発生するので複利効果が弱い、また高配当企業が成長することはなく、配当を出していても衰退企業故に株価が下がり、投資元本が減ってしまいますので、本当に利益が出ているのか?をチェックする必要があります。
結局は5%ほどの利回りが得られることは稀なので、高配当株への投資も筆者的にはおすすめしません。もっと良い投資先があるので、ある意味損しています。
コラム:21世紀の資本論から見る5%という運用利回りの水準
著書『21世紀の資本論』でノーベル経済学賞を受賞したトマ・ピケティは労働による給与の成長率(g)を、歴史上一貫して資産運用による収益率(=資本収益率r)が上回っていることを示しました。
有名な r > g の不等式ですね。
トマ・ピケティによると有史以来一貫して資本収益率は5%近辺であり、資産運用を行う上での『平均点』がまさに運用利回り5%であるということができるでしょう。
利回り→7%:インデックス一括投資(米国S&P500連動ETF/VTI、VOO)
利回り7%で10年複利で運用すると以下の通りです。
元本 | 運用益 | |
0 | 10,000,000 | 700,000 |
1 | 10,700,000 | 749,000 |
2 | 11,449,000 | 801,430 |
3 | 12,250,430 | 857,530 |
4 | 13,107,960 | 917,557 |
5 | 14,025,517 | 981,786 |
6 | 15,007,304 | 1,050,511 |
7 | 16,057,815 | 1,124,047 |
8 | 17,181,862 | 1,202,730 |
9 | 18,384,592 | 1,286,921 |
10 | 19,671,514 | 1,377,006 |
5年で約400万円、10年で約970万円のリターンですね。7%以上の段階になると、自力で株式投資、FXなどでの売買を考える人もいると思います。
しかし、自分で株式投資などをするのは非常に難易度が高く、専業でトレーダーをやっている人であっても本当に利益を出している人は少ないです。
特にFXに関しては専業でトレーダーをやっている人の7割が退場しているとのデータもあります。とてもじゃありませんが、会社員をやりながらこのような市場に飛び込むのはおすすめできません。
7%以上の水準で資産運用をするのであれば、インデックス運用を行うのであれば米国の株式市場への連動を目指す、バンガード社が組成しているS&P500指数に連動するETFであるVOOがおすすめできます。
米国の株式市場は1800年代からの200年程度にわたり平均年率7%程度のリターンで成長してきております。ただ、局所的には今回のコロナショックのように40%近く下落することはあります。
1000万円投資した場合は1時的には400万円の損失を被ることもあるのです。
そして、インデックスに一括で投資をすることは正直、2023年現在はあまりおすすめできません。
理由は以下3点です。
ポイント
- 現時点では米国FRBが利上げを実施しており株に逆風ということ
- 長期でも30年の低金利時代が終焉を迎えていること
- ドットコムバブルのブームに遂に陰りが見え、米国は成長ドライバーを失っている
米国FRBはご存知の通り、2022年初頭より利上げを実施し、米国株式市場はベアマーケット状態です。
株価は大きく下落しました。
利上げが行われている理由は当然高まるインフレに対応するためですが、まだまだインフレの絶対値は高いところにあり、利上げは終わっていません。
この利上げ局面で株式に期待するのは厳しく、また今後大きな不況が来る場合に、その不況を株式市場は織り込んでおらず、まだまだ下値余地があります。安値でインデックスを買いたいという気持ちはわかりますが、買うタイミングは下値が限定的となった時です。
そのタイミングを測る方法は、FRB議長のパウエル議長の講演はもちろんのこと、雇用統計、CPIなどなど各指数を吟味して自分で判断していく必要があります。インデックスファンドへの投資とは本来、簡単ではないのです。(積み立ては容易ですが、大きく資産を伸ばすことは不可能です)
またFRBが利下げに転じ、株式が上向きになったとしても筆者は過去30年のようなインデックスファンドの上昇は見込めないと踏んでいます。
インデックスファンドが個人投資家の間で大ブームになってしまったので、やはり靴磨きの少年の逸話のようにインデックスへの投資の魅力は失われたように思います。
元FRB財務長官のサマーズの言説には多くのプロ投資家が耳を傾けますが、同氏は低金利時代は終焉したと述べています。
サマーズ元米財務長官は、デフレ圧力に後押しされた低金利時代が再びやって来るとの想定は間違いである可能性が高いと警告した。この想定は債券市場に根付いている。
サマーズ氏はブルームバーグテレビジョンの番組で、2023年の市場について「混乱」を予想。「金利の動きがこれまでとは違う、別の金融の時代に向かっていると認識されるようになれば、V字の年として記憶されるだろう」と語った。
低金利でなければ、米国株が過去平均7%で上昇してきたような力強さは損なわれるでしょう。インデックスファンドへ過度な期待はやめた方が良いかと思います。また、過去30年は低金利と1995年のネットスケープIPOから端を発したドットコムバブルの追い風がありました。
しかし、昨今のGoogleやアップルの事業の成長率を見ると、なんとマイナスなのです。これまでどんなことがあってもプラス成長してきた企業がマイナスに転じるのは、プロ投資家の間ではとても話題になっており、米国は成長ドライバーを失ったというコンセンサスになっているのです。
(ユーチューブ広告 初の減収 米アルファベット決算【モーサテ】(2022年10月26日))
低金利+成長ドライバーを失った米国インデックスへの一括投資は少し頼りないです。多くの人がインデックスファンドに殺到した時点で、確かに投資妙味はありませんね。
今後はインドをはじめとした新興国が成長を求める投資としては主戦場になるのかもしれません。リターンを求めるには、プロ投資家が自分の腕で稼ぐか、まだ誰も気づいていない「成長」に身を置くことを徹底するかです。インデックスファンドは群衆にバレてしまいました。
コラム:投資信託という選択肢は魅力的?
先ほどS&P500指数に連動するETFの魅力についてお伝えしました。ここまで読んできて、投資信託は候補に入らないの?と疑問に思われた方も多いと思います。
一言に投資信託といっても大きくわけて二つの種類があります。一つは先ほどのETFのように指数に連動する成績を目指すインデックス型の投信。
もう一つはインデックスに対してプラスのリターンを出すことを目指すアクティブ型の投資信託です。
インデックス投資だけだと危険!?5000万円をエンダウメント流ポートフォリオで資産運用し安全に1億円を目指そう!
アクティブ運用型とパッシブ運用型の投資信託のどちらが優れているのか徹底比較!インデックス投資は本当に最強なのか?
インデックス型の投信は手数料も低く、長期的にみたら安定的な成績を出してくれます。しかし、残念ながらアクティブ型の投信は手数料が高い割に成績は散々な結果となっています。
一度販売すれば年率で手数料が発生する仕組みなので、運用で増やすことが目的ではなく、投資家に投資をしてもらうことが目的となる手数料型ビジネスになってしまっているのです。
必ずしも劣悪な商品ばかりではありませんが、大半は期待外れの結果しかのこしません。
以下で詳しく記載していますので参考にしていただければと思います、
利回り→10%:対象運用先はヘッジファンドでポートフォリオを組む
利回り10%で10年複利で運用すると以下の通りです。
元本 | 運用益 | |
0 | 10,000,000 | 1,000,000 |
1 | 11,000,000 | 1,100,000 |
2 | 12,100,000 | 1,210,000 |
3 | 13,310,000 | 1,331,000 |
4 | 14,641,000 | 1,464,100 |
5 | 16,105,100 | 1,610,510 |
6 | 17,715,610 | 1,771,561 |
7 | 19,487,171 | 1,948,717 |
8 | 21,435,888 | 2,143,589 |
9 | 23,579,477 | 2,357,948 |
10 | 25,937,425 | 2,593,742 |
5年で約610万円、10年で約1,590万円のリターンですね。よく資産運用を行う方に向けて運用利回り10%が一つの基準とされていることがわかりますね。
10年間単純に年間利益100万円を積み重ねても1000万円の利益にしかなりませんが、複利で運用を行えば1600万円に増加しますし、更に運用年数が増えれば差は顕著になります。
下落リスクを抑えながら10%以上を狙うのであれば、ここはもうプロに投資を任せることがベストです。
ヘッジファンドは損失を抑えながら、高いリターンを収めることができる投資先として、欧米の機関投資家や富裕層から注目されている投資先です。
私が投資を行っているBMキャピタルは本格的なバリュー株投資を行い過去6年間下落を一度も経験することなく、手数料後の投資家ベースでの年平均リターンを10%で達成しています。
概要は以下ですが、詳しくまとめた記事もありますので参考にしてみてください。
ヘッジファンド自体について詳しくまとめている記事もありますので参考にしてみてください。
-
-
【2023年・国内和製優良ヘッジファンド】おすすめ投資先ランキング〜リスクを抑え安全・着実に資産を増やせる運用先(投資信託などアクティブファンド含む)を紹介。
老後資金構築、または自身の人生水準を高めるためにも、ある程度の貯金額になってくると「資産運用の必要性」には全ての人が気づくでしょう。 例えば、1000万円程度の貯金を超え始めると、資産の増え方の遅さに ...
続きを見る
年率10%以上を狙うのであれば個別株が最有力
年率10%以上の利回りを狙うにであれば個別株投資を行う必要があります。個別株投資の可能性は無限大です。株価が1年で2倍以上になる銘柄は数多く存在します。
大きく株価を伸ばす銘柄の多くは皆さんが知っているような大企業ではなく小型株企業に存在しています。
代表的な例としては「いきなりステーキ」を運営するペッパーフードサービスがあります。ペッパーフードサービスは1年間で10倍以上になりました。
ただ、上記の株価推移をみていただければ分かる通り、下落する時も勢いよく下落します。
可能性も無限大なのですが、損する可能性も大きいのです。
個別株投資を行うのであれば、しっかり勉強した上で相当な覚悟を持って行わなければいけません。
株式市場はプロが凌ぎを削っている場所であり、中途半端な準備で挑むと大きな損失を被ることになるのです。
余程の自信がない限りは先ほど申し上げたような信頼できるプロに託す方がよいでしょう。
異常に高い利回りを喧伝するファンドや金融商品には要注意
世の中には年率50%以上だったり、月利10%だったり、日利1%というとんでもない水準を喧伝して資金を集めている商品が存在しています。しかし、これらの商品は殆どの確率で詐欺商品であると断ずることができます。
本当に継続的に上記のような利回りが出せるのであれば、誰でも簡単に億万長者になれます。あの投資の神様であるバフェットですら長期の運用利回りは20%なのです。(直近10年では10%程度)
20%以上を継続的に出すと喧伝する商品が詐欺的なものであることは怪しいのです。(勿論単年度や短い期間であれば可能性は十分ありますが)
詐欺的な商品は大抵ポンジスキームというスキームを用いています。新規の投資家から集めた資金を運用することなく、既存の投資家に分配することで暫くは分配金を支払います。
しかし、新規投資家からの資金が既存投資家への分配資金未満となってきたらファンドは資金を持ち逃げして蒸発します。
資産運用に簡単な近道は存在しません。あくまで、堅実な利回りを求めてコツコツと資産を伸ばしていきましょう。年率10%でも複利の力は偉大ですからね。
相場歴10年を超える筆者が「個別株は難しい?」「個別株は無理ゲー、ギャンブルだからやめとけ」等の意見に思うこととは?悲惨な結果でもうダメとなる前に読んで欲しい。
この記事のまとめ
それぞれの利回りのシンプルなリターンの金額と、
各利回りに合わせた資産運用先を今回は紹介してきました。
1% | 積立型保険 |
3% | 米国債・米社債 2023年時点では米ドルの為替リスクを負うことになる。 |
5% | REITと高配当株 当然株価変動リスクを負うことになる。 |
7% | 米国株インデックス 時々暴落を被ることと米ドル為替リスクを負う、今後の成長ドライバーの不在 |
10% | 日本の優良ヘッジファンド 下落耐性が強く安定した成績を期待できる |
10%以上 | 個別株投資 無限の可能性と高いリスクがある。周到なる準備必須。 |
あなたの年齢、今後目標にする金額に合わせて、資産運用先を選んでいけば良いかと思います。私は最後にお伝えした国内ヘッジ投資ファンドに投資を行い着実に資産を伸ばしています。
資産を着実に増やしながら日々の仕事を充実させ、不安のない老後を目指していきましょう。
-
-
【2023年・国内和製優良ヘッジファンド】おすすめ投資先ランキング〜リスクを抑え安全・着実に資産を増やせる運用先(投資信託などアクティブファンド含む)を紹介。
老後資金構築、または自身の人生水準を高めるためにも、ある程度の貯金額になってくると「資産運用の必要性」には全ての人が気づくでしょう。 例えば、1000万円程度の貯金を超え始めると、資産の増え方の遅さに ...
続きを見る