あなたが資産運用を行う理由で最も大きいのが、「老後」に対する不安なのではないでしょうか?
果たしていくら貯めれば老後の生活を安穏として暮らせるのか、ということを考えてしまいますよね。
そんな方に向けて、「本日は老後の資産はいくら必要なのか?」という点を、以下の観点から解説していきたいと思います。
ポイント
- 老後の必要経費
- 老後に受給できる年金
- インフレにより年金が減額される未来
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老後の夫婦の1カ月にかかる消費支出の総額は一体いくらなのか?
まずは現時点において老後の生活に必要な金額について、総務省が発表しているデータをご覧下さい。
老後の生活でひと月に必要な金額は
税金等の非消費支出31,842円+消費支出243,864円=253,706円
となっています。
253,000円という金額は当然全国平均の金額で、東京に住むのであれば当然それ以上の金額が必要になります。
東京で豊かな老後をおくるための生活費を調整したものが以下となります。
総務省データ | 調整データ | |
食料 | 60,282 | 100,000 |
住居 | 16,954 | 150,000 |
光熱費 | 19,780 | 20,000 |
家具 | 8,242 | 10,000 |
被服費 | 6,829 | 10,000 |
保険医療 | 14,835 | 15,000 |
交通通信 | 26,373 | 28,000 |
教養娯楽 | 25,196 | 30,000 |
交際費 | 29,435 | 100,000 |
その他 | 27,786 | 27,000 |
支出合計(月間) | 235,712 | 490,000 |
支出合計(年間) | 2,828,544 283万円 |
5,880,000 588万円 |
上記をみると豊かな老後を生活するためには年間588万円が必要となります。わかりやすく丸めると年間600万円が必要と考えましょう。
田舎であれば基本的には持ち家で既にローンは完済されていることでしょう。
固定資産税が月1.5万円と考えると月間の支出は35.5万円となり、年間生活費は426万円となります。食費も若干安くなると考えると約400万円が必要となります。
得られる収入とは?厚生年金と国民年金で大きく異なる年金収入!
今までは支出を見てきました。では収入の方はどうなるでしょうか?老後の主な収入は国民年金と厚生年金で大きく違います。
まずサラリーマンの方が受け取れる平均受給金額は厚生年金は14万6145円となっています。
一方、国民年金の平均支給額は56,529円となります。
つまり、月額支給額と年額支給額は以下の3パターンで以下となります。
月額支給額 | 年額支給額 | |
共働き世帯 | 292,290 | 3,507,480 |
専業主婦世帯 | 202,674 | 2,432,088 |
自営業(国民年金世帯) | 113,058 | 1,356,696 |
つまり、先ほどの支出と合わせて年額の不足分は以下のように算出されます。
年間不足額 都会ver |
年間不足額 地方ver |
|
共働き世帯 | 約年間240万円 | 約年間50万円 |
専業主婦世帯 | 約年間340万円 | 約年間160万円 |
自営業(国民年金世帯) | 約年間450万円 | 約年間270万円 |
なかなか都会で国民年金世帯は厳しいですね。正直、大きな金融資産を保有していないのであれば老後で都会で賃貸をするなら、ある程度地方に移ってスローライフを送った方がよいと思います。
平均寿命が延びる可能性を考える〜人生100年時代の到来 〜
2020年時点のデータによると日本の平均寿命は男性で81歳、女性で87歳となっています。
さらに今の若い世代の方が若いころから衛生的なものを食べています。
尚且つ医療技術も革新を続けていることを考えると、平均寿命が90歳を超えてくるのは時間の問題でしょう。
実際、現段階ですら90歳時点で存命な割合は男性で約25%、女性だと約50%という結果になっています。
人生100年時代に突入しているのです。100歳まで生きることは当然想定に入れておいたほうが良いでしょう。さらに皆さんは健康寿命という言葉を聞いたことがありますでしょうか?
健康寿命というのは健康に過ごせる年齢です。病院で寝たきりになってしまっていたり、何かしらの疾患で病院に通院している状態は健康寿命には入りません。
以下は8年前のデータですが、厚生省のデータによると日本人は平均寿命と健康寿命には、10年程度の大きな差が開いているのです。
いくら負担率が低いとしても健康寿命が終了してから、平均寿命を迎えるまでの間に医療費が嵩みます。
さらに老人ホームで過ごすとなると、高い金額が発生します。最低2000万円はバッファーとしてみておいた方がよいでしょう。
結局豊かな老後生活に必要な貯金額は?
では結局豊かな老後生活をおくるための安全圏としていくら資産を築けばよいのでしょうか?
先ほどの支出が60歳から100歳の40年間継続して、追加で2000万円を足し合わせたものが以下となります。
<都会ver>
年間不足額 | 豊かな老後必要資産 | |
共働き世帯 | 約年間240万円 | 約1億2000万円 |
専業主婦世帯 | 約年間340万円 | 約1億5500万円 |
自営業(国民年金世帯) | 約年間450万円 | 約2億円 |
一般的な専業主婦家庭で1億5500万円は必要になってきます。自営業世帯ともなってくると約2億円が必要となります。
あくまで保守的な算出になりますが、老後2000万円では全く足りないことがご理解いただけるかと思います。
因みに地方の場合は以下の算出となります。
<地方ver>
年間不足額 | 豊かな老後必要資産 | |
共働き世帯 | 約年間50万円 | 約4000万円 |
専業主婦世帯 | 約年間160万円 | 約8500万円 |
自営業(国民年金世帯) | 約年間270万円 | 約1億3000万円 |
迫り来るインフレの脅威!モノやサービスの価格の上昇は常態化していく!
2023年現在世界的なインフレの煽りを受けて日本でもインフレが発生しています。日本は需要が萎んでいるので基本的に国内要因でインフレは発生しません。
インフレとは需給の関係で発生するので、需要が増加することで発生する健全なインフレは残念ながら発生しない状態が30年間続いています。
これは、政府の緊縮政策などが影響しているのですが、ここでは長くなるので省きます。
需要面からのインフレは発生しませんが、供給面からのインフレは発生します。コストプッシュインフレと呼ばれる悪性のインフレです。
モノやサービスの価格が上昇することによって発生するインフレです。
国内のみで経済活動が完結するのであればコストプッシュインフレも発生しないのですが、現在はグローバル化が進んでいます。
日本もエネルギーや食料などの必需品を世界から輸入してきています。世界の物価が上昇し、エネルギーや食料の金額が上がると、日本の国内での電力や食料品などの価格が上昇します。
更に現在進行しているように円安が進むことによってもインフレが進行します。2024年4月現在はドル円は153円まで進展していますね。
つまり円の価値が以下のように暴落しているのです。
実際、円安の影響もあってインフレ率も米国を上回る水準になってきています。直近、日常品が高くなっているのを感じますよね。
思い返せば、ここ40年間日本では可処分所得は低下しているにも関わらず原材料費の高騰などを背景にモノの価格は上昇しています。
私が生まれた1980年代は100円の缶コーヒーが現在は120円しますし、食料品も値上げがなされています。
値上げされていないとしても、量が少なくなるなどしてステルスインフレが発生しています。
長い老後生活のことを考えるとインフレ分も加味して資産を形成する必要があるのです。
先ほど専業主婦家庭で豊かな老後生活を送るために1億8000万円が必要と書きましたが、2億円から保守的に考えるなら3奥円程度は必要と考えておいた方がよいでしょう。
死ぬまでに40年間も期間があれば、現在とは物価は全く違う水準になってることが想定されますからね。
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今後は老後に資産運用をしないと貧困生活を強いられることになる
先ほどもお伝えしましたが今までは日本は以下の要因でインフレを押さえ込んできました。
- 増税による国内可処分所得の減少(国内要因)
- 新興国などの安い労働力の活用
- 円が強くドル円が100円近辺で安定
- エネルギー価格の安定
1つ目は残念ながら現在の財政収支から考えると継続することが想定されます。(本来増税は必要ないのですが財務省の考えなので致し方ないです)そして2つ目以降の前提が崩れてきました。
新興国の賃金は上昇していますし、ドル円も150円近辺と大幅に円が減価しています。
さらにエネルギー価格も高値圏を維持しています。これらの要因が積み重なり企業努力だけでは価格を抑え込むことができなくなっているのです。
国内要因ではなく、海外のインフレや円の減価によってもたらされているインフレであり、この流れは継続します。インフレが発生していると資産運用をしている人と資産運用をしていない人で大きな差がでてきます。
例えば株式投資を考えてみましょう。インフレが発生すると企業の売上も増大して利益も上昇します。すると株価も上昇していくので株式投資を正しくおこなっていればインフレに負けずに資産を増やすことができます。
しかし、投資をしていないと現金の価値が溶けていくのを指を加えて眺めていくしかないのです。
現役世代であればインフレが進むと給与も上昇するのである程度は影響は緩和されるでしょう。
しかし、リタイア後の世代では残念ながら所得を得ることが難しいので資産運用を行いインフレに対応していくしかないのです。
老後資金2億円を構築するために必要な考え方とは?インデックスへの一括投資が最適解?
まだ若くてタネ銭が少なく2億円という資産が遥か遠くにあるという方であれば、今流行りのインデックス投資でも良いかもしれません。理由は30年以上の超長期で見た時にインデックスの平均リターンは安定しているからです。
以下は30年間S&P500指数に長期投資した場合の平均年率リターンの推移です。
最低でも平均年率5%、最高だと平均年率10%のリターンを期待することができます。
5%だと30年後には4倍に、10%だと30年後には17倍になります。
超長期ではリターンは安定するのですが、10年単位だと話しは違ってきます。
以下は10年投資した場合の平均リターンの推移です。平均年率がマイナスのケースも頻繁に存在します。
平均年率▲4%だと1億円投資したとすると、10年後に6640万円になってしまいます。
50代の方で10年後の老後生活を考えて今まで形成した資産を投資するのは大きなリスクでもあるのです。
そして、残念ながら今後10年はインデックス投資は厳しい可能性が高くなっています。
株式市場には好調な時と軟調な時のリズムがあります。あくまで30年でならすと平均7%ということを忘れてはいけません。
先ほどの10年平均リターンのグラフは最後が2008年から2018年になっています。
しかし、リーマンショック後の2010年代は米国中央銀行FRBの金融緩和によりS&P500指数は非常に好調に推移しました。
2012年から2022年のデータは年率10%を超えたクライマックストップのような平均リターンを記録しています。
しかし、2022年からの10年間は金融緩和の副作用で大きく下落することが想定されます。
金融引き締めとばら撒きの影響で40年ぶりのインフレが発生しておりFRBはインフレを抑えるために利上げを躍起になっておこなっているからです。
ちなみに1970年代から現在のインフレ率は見事になぞるように推移しています。ここから更に大きなインフレの波が来る可能性が残されています。
今と同じ水準のインフレが発生していた1970年代はS&P500指数は上昇せず硬直していました。10年経ってマイナスリターンだったわけです。
背景には強い低金利政策があったことを理解していれば、米国株が上昇してきた理由をはすぐにわかるでしょう。
実際に筆者は今回の高騰するインフレが発生するまでは、米国は異次元な低金利政策を続けていましたので強気でした。
しかし、時は満ちたということです。良い時も悪い時もいつかは終わりがきます。こと相場については悪い時は終わらなかったりもしますが・・・。
現在、50代の方はインデックス投資はむしろ避けたほうがよいでしょう。
最悪半分になって老後を迎える可能性もあります。
2023年の相場も大型テックのみが上昇するまさにドットコムバブル崩壊と同様の動きをしており、筆者としてはもっと安心できる投資先を選ぶべきだと思いますね。
やっぱり安全に増やすには債券というのは本当なのか?
インデックス投資がダメなら何に投資をすればよいのか?
やはり債券なのかと考えられた方は多いのではないでしょうか?
しかし、債券は以下3つの理由でおすすめできません。
債券がおすすめ出来ない理由
- 日本国債は利回りが定期預金で論外
- そもそも社債は殆ど売り出されてないし利回りも低い
- 海外の債券は利息に対して多大な為替リスクを負う
米国債などは4.5%の利回りとなっていますが、あくまでドル建です。
現在日米の金利差に着目され148円まで進展しているドル円ですが、今後米国の景気後退が発生する曲面では円高に引き戻されます。
以下の通り日米金利差は縮小傾向にあり、今後到来が予想される米国の景気後退により米金利が下落すると日米金利差がさらに縮まるとドル円は120円に向かって下落していきます。
すると、円建ではマイナスとなっている可能性が十分にあります。為替レートの変動は激しいですからね。
日本は国力が弱くなっているから今後も円安になり続けますという金融機関の窓口の言葉に惑わされないようにしましょう。
その日本がそもそもYCC解除の金融引き締めに動こうとしていますし、そもそも上記でインフレ率が4%となっております。
スタグフレーション下でありながらも引き締めに動いてしまう可能性もあります。
もはやドル側だけではなく、円側も警戒しなければなくなり、外貨建て資産を持つのは非常に難易度が高くなってしまっています。
次期の日銀総裁は誰がなっても政策修正、特に市場の歪みを生むイールドカーブコントロールのYCCの修正・解除は急務となってきている。すでに指名を受けた植田氏もイールドカーブコントロールの修正に着手するのではとみられている。しかし、市場では4月までも待てないという状況となりつつある。その結果が0.505%の上限突破とみている。また、24日発表の1月の全国消費者物価指数は前年同月比で4%を超えてくると見込まれている、これが長期金利の上昇を後押ししてくる可能性がある。
オルタナティブ投資という選択肢を検討しよう!
株式は今後厳しく、債券はリスクの割にリターンが低い。このような方の需要の盛り上がりで株や債券とは違う第三の選択肢としてのオルタナティブ投資が勃興しています。
欧米の富裕層や機関投資家はむしろオルタナティブ投資をポートフォリオの主軸として添えています。
オルタナティブ投資は主に以下の4つがあります。
PEファンド | 未公開株に投資をしてIPOか会社売却で利益を得る |
ヘッジファンド | どのような市場環境でもリターンを狙う絶対収益型ファンド |
不動産 | 不動産市場に投資(ただ、最近は株式市場との連動が強まる |
コモディティ | 金や原油(株式とは連動しないが価格変動が激しい) |
主にPEファンドとヘッジファンドがオルタナティブ投資の対象として重宝されています。
以下は年率10%以上の平均リターンを30年以上だしているハーバード大学とイェール大学のポートフォリオです。
ヘッジファンドとPEファンドで70%近くを投資しています。
PEファンドについては特にアクセスが難しく現状投資すること自体が難しいので今回は除外します。
そこで注目してほしいのがヘッジファンドです。ヘッジファンドと聞けばリスクの高い金融商品と考えている方も多いと思います。
ただ、大学基金が信頼をおいているような安全な投資先で市場下落局面であっても安定的なリターンを提供しています。
通常の投資信託はインデックスが▲20%でも▲10%で抑えていれば評価されます。
一方、ヘッジファンドは市場の下落局面でもプラスのリターンをだすことが求められているのです。
そのため、株式市場に連動しない投資先として注目されているのです。
PEファンドとは異なりヘッジファンドは日本人の個人投資家でも投資できるファンドが存在しています。
筆者が投資しているヘッジファンド「BMキャピタル」は運用開始後10年間一度も年度ベースでマイナスリターンをださずに年率10%以上の高いリターンをたたきだしています。
BMキャピタルの特徴については以下でまとめています。
BMキャピタルについては以下で詳しくお伝えしていますのでご覧いただければと思います。
今回のまとめ
費用の面では寿命の伸長を考えると、必要な経費は保守的に見積もって2億円となります。
老後に必要な経費については何が起こるか分かりませんし、何歳まで生きるかわかりません。
当然出来うる限り保守的に考えたほうが賢明です。
当然生活レベルを落とせばなんとかなるかもしれませんが老後くらいは楽しみたいですよね
老後に豊かに暮らすために必要な金額を構築するために必要なのは暴落を回避しながら安定的に資産を構築していくことが重要になってきます。
以下では安全を心がけながら堅実なリターンを出しているファンドを中心にお伝えしていますので参考にしていただければと思います。