2020年からの米国発異次元金融緩和の影響により、株式投資、仮想通貨バブルなどで突然資産が増えてしまった人は今時多々いるのではないでしょうか。
また、FIREムーブメントの流行により20代からコツコツと貯金・節約に努め、比較的大きな資産を築いてきたという方も多いでしょう。
30代で資産が1億円あるという人もチラホラと聞きます。なんだか浮世離れしていますよね。時空が歪んでいるように感じます。
1億ほどではありませんが特に聞くのが3000万円に資産が到達した3500万円突破などは頻繁に聞きます。
世間が老後2000万円問題で揺れていたのが嘘のようです。
日本バブル崩壊以降はそんなワープは起きなかったように思いますが、ここ5年程度は凄まじい地殻変動が起きているように思います。
筆者も30代ですが、この年代の資産形成はどれくらい進んでいるのでしょうか?
30代の人は自分の資産額が世間で同じ世代の中ではどれくらいの位置にあるのかどうかを確認できるように今回は執筆してみたいと思います。
まずは年齢は関係なく日本の資産額分布はどうなっているのか?
もうお馴染みになってしまいましたが野村総研のデータを貼ります。
日本の各世帯の資産はどのような分布になっているのでしょうか?
年齢別は関係なく、5億円以上は8.7万世帯、1億円以上は124万世帯、5000万円以上は341.8万世帯、3000万円以上は712.1万世帯、マス層は4,215.7万世帯となっています。
わかりやすく表にまとめたものが以下となります。
階層 | 世帯(万) | 割合 | 備考 |
超富裕層 | 9.0 | 0.16% | 5億円以上 |
富裕層 | 139.5 | 2.30% | 1億円以上5億円未満 |
準富裕層 | 325.4 | 6.33% | 5000万円以上1億円未満 |
アッパーマス層 | 726.3 | 13.18% | 3000万円以上5000万円以下 |
マス | 4213.2 | 78.04% | 3000万円未満 |
合計 | 5413.4 | 100% | - |
3000万円を保有しているだけですでにアッパーマス層として頭一個抜け出しています。
5億円以上の超富裕層は0.16%ですか。筆者の通っていた小学校は全学年千人ちょっとだったので、あの中に一人いるかどうかなのですね。
富裕層は2.3%と100人いれば2人程度。これは頑張ったら到達する水準です。実際筆者ももうすぐ1億円を達成します。
3000万円達成してから1億円を目指す現在までは僅か5年程度でした。3000万円形成できたら資産形成は加速していくのです。
準富裕層、つまり5000万円以上、1億円未満の資産保有の方は6.3%。100人いたら6人。
超富裕層の5億円以上は何か商才があったり、プロスポーツ選手として一流とか難易度が非常に高そうです。
千人に一人とはその水準だと思います。準富裕層や富裕層といった水準は頑張ったら到達可能な水準ではあります。
30代で3000万円あるとしたら、アッパーマス層ということです。
さてここからは30代でアッパーマス層はどれくらいのステージにいるのかどうかを検証していきたいと思います。
30代の平均貯蓄額はどれくらいなのか?
では30代の平均貯蓄額や中央値をみていきたいと思います、
全体としての平均貯蓄額は530万円
厚生労働省が出しているデータになります。
30代の世帯当たり貯蓄額は530万円となっています。一方、車や住宅ローンによって借金は1071万円となっています。
純金融資産ではマイナス500万円程度ということになります。
30代で3000万円も資産を保有しているというのはかなり高水準であることが推察されます。
ただし、30代にも色々な環境、家族背景があります。子供を何人産んでいるかによっても変わります。独身で節約を頑張っているのかどうかなどで大きな差が出ます。
30代で独身の貯蓄額の平均値と中央値
まずは独身のケースについてみていきましょう。
因みに別の金融広報中央委員会の調査によると、30代の貯蓄の平均値は606万円、中央値は56万円とされています。
平均 | 606万円 |
中央値 | 56万円 |
3000万円以上の割合 | 3.6% |
平均値と中央値に大きな乖離があります。
平均値というのは全体の貯蓄額を人数で割ったものです。一方、中央値というのは100人いたら50人目の貯蓄額ということになります。
つまり一部の富裕層が引き上げているだけで殆どの人は貯蓄がないという状態だということですね。
3000万円を保有している方は全体の3.6%と、クラスで1人のレベルになります。
二人以上世帯の場合の貯蓄額の平均値と中央値
2人以上世帯の場合は以下のようになります。つまり結婚している方ということです。(子持ちかどうかまでは分かりません)
平均 | 752万円 |
中央値 | 238万円 |
3000万円以上の割合 | 3.3% |
結婚しているので二人の合計ということになります。中央値は高くなっていますが、平均値は2倍にはなっていません。
世帯合計で3000万円以上の割合も全体の3.3%と独身の場合とはあまり変わらない結果となっています。
コラム:30代の年収別分布はどうなっているのか?
今までは資産の話をしてきましたが、年収はどうなっているのでしょうか?
以下は30代全体の年収分布です。
中央値は400万円から500万円となっていますが平均値は以下の通りとなっています。
全体 | 男性 | 女性 | |
平均年収 | 497万円 | 558万円 | 423万円 |
日本人に限らず、世界中の大多数の人が「年収を上げれば貯蓄は増える」と信じています。
確かに増えるのですが、その資産の増加スピードは非常に緩やかです。
年収が大きければ大きいほど資産は増えますが、その分支払う税金もさらなるスピードで税率がアップしていきます。
収入を上げるという手段はどんどんパフォーマンスが悪くなっていきます。
これに加えて住民税が課税所得に10%(最高税率が55%と言われる所以)、加えて社会保険も最大で100万円ほど年間にかかってきます。
年収が1億円を超える水準であれば税率は気にしなくて良いフェーズですが、なかなかそんなに稼げる人もいないですよね。
もっと現実的な方法を考えた方が良いです。
貯金3000万円あったら何年暮らせる?セミリタイアは可能か?
何年暮らせるかは気になるところですよね。なんとなく、この何年生き延びることができるのかがお金の本来のパワーな気がします。
ちなみに、3000万円は筆者もどれくらい生き残れるのだろうかと今回計算してみました。
筆者は子持ち夫婦世帯の東京住みで、住宅ローンを都内のマンションで組んでいます。
この住宅ローンの返済も含め、月間の生活費は平均78万円でした。賃貸ですともっと高いと思います。78万円を年間に直すと936万円です。
3000万円を取り崩して生活してしまうと3.2年で溶けて消えてしまいます。無惨ですね。
3000万円もあるのに、なんでこんなことに・・・と思います。
上記は筆者の場合ですが、全国平均も見ていきましょう。
以下は以前筆者が算定した都内で子供2人の4人家族で発生する生活費の試算です。
住居は住宅ローン返済の金額、賃貸でもあり得る金額に修正しています。元データは総務省のデータです。
総務省 | 修正版 | |
食費 | 82,044 | 120,000 |
住居 | 21,464 | 150,000 |
光熱・水道費 | 30,566 | 30,000 |
家具・家事用品 | 13,109 | 13,000 |
被服費 | 13,813 | 13,000 |
保険医療費 | 14,090 | 14,000 |
交通・通信費 | 57,471 | 57,000 |
教育 | 20,567 | 100,000 |
教養娯楽 | 31,604 | 32,000 |
その他消費支出 | 58,958 | 70,000 |
非消費支出 | 90,308 | 30,000 |
合計 | 433,994 | 629,000 |
月々629,000円くらいの生活費ですね。年間で7,548,000円です。3000万円は4年で無くなってしまいます。表現が悪いですね。4年間仕事をしなくても生き延びることができます。
独身であれば地方で月20万円、都会だと30万円が必要になってきます。
独身であっても10年近くしか生きることができません。詳しい生活費については以下の記事で算定しています。
→ 貯金7000万円あるけど老後資金として十分なのか?独身ならセミリタイアは可能?豊かな老後生活に向けて資産運用を行おう!!
ここまでの考察から考えてもセミリタイア が厳しいことは容易に想定できますね。
さて、そもそもセミリタイアとはなんだったでしょうか?
ある程度働きつつ、資産の運用収益と併せて生活を成り立たせていくものだったはずです。完全リタイアとは異なる考え方です。
一般的には4%ルールがリタイアを考える時に用いられる考え方です。4%の運用収益であれば現実的であるという考え方です。
米トリニティ大学によって発表された考え方ですが、1998年のものなので、少し古くはありますがここでは採用します。
「4%ルール」は1998年に米トリニティ大学のグループによって発表された資産運用に関する研究から導かれたものです。これは、毎年、資産運用額の4%未満を生活費として切り崩していれば、30年以上が経過しても資産が尽きる確率は非常に低いという内容です。
どのようなポートフォリオ(資産構成)にするかなどによって数字は変わってきますが、おおむねこのような意味になります。この4%ルールは、アメリカの一般的な株価の成長率(7%)から物価上昇率(3%)を差し引いて計算されたもので、要は投資で得られる利益の範囲内で生活を続ければ、半永久的に資産が目減りすることなく生活ができるという考え方です。
そして資産運用額の4%を1年間分の生活費として切り崩すということは、逆算すれば、元となる資産は1年間の支出の25倍が必要になるということになります。
さて、セミリタイアの場合は運用収益から自分がどれくらい稼げば良いのかを逆算すれば良いですね。
例えば、3000万円であれば年間の運用益は120万円です(単純計算)。税後で96万円です。
生活費が上記の7,548,000円/年かかるとすれば、7,548,000-960,000円=6,588,000円
660万円くらいを稼げば問題ないとわかりました。
しかし、平均年収が400万円の中これだけ稼がなければならないのは果たしてセミリタイアと呼べるのでしょうかという感想です。
もはや、セミリタイアなどせずに普通に働いて、3000万円の資産は運用に回して複利効果でどんどんお金を増やした方がいいのではないでしょうか?
例えば、3000万円を上記の4%運用をすると以下のインパクトがあります。
実現益を出すわけでもないので、税メリットも大きいです。毎年運用益を取り崩すとその度に20%の税金がかかります。
投資元本 | 運用益 | |
0 | 30,000,000 | 1,200,000 |
1 | 31,200,000 | 1,248,000 |
2 | 32,448,000 | 1,297,920 |
3 | 33,745,920 | 1,349,837 |
4 | 35,095,757 | 1,403,830 |
5 | 36,499,587 | 1,459,983 |
6 | 37,959,571 | 1,518,383 |
7 | 39,477,953 | 1,579,118 |
8 | 41,057,072 | 1,642,283 |
9 | 42,699,354 | 1,707,974 |
10 | 44,407,329 | 1,776,293 |
10年で4400万円になります。独身であれば追加投資をしていきたいです。年間200万円くらい捻出して追加していくと以下の通りになります。
まさにスノーボール(雪玉)のように資産が大きくなっていくのを感じます。
年数 | 投資元本 | 運用益 | 追加投資 |
0 | 30,000,000 | 1,200,000 | - |
1 | 31,200,000 | 1,248,000 | 2,000,000 |
2 | 34,448,000 | 1,377,920 | 2,000,000 |
3 | 37,825,920 | 1,513,037 | 2,000,000 |
4 | 41,338,957 | 1,653,558 | 2,000,000 |
5 | 44,992,515 | 1,799,701 | 2,000,000 |
6 | 48,792,216 | 1,951,689 | 2,000,000 |
7 | 52,743,904 | 2,109,756 | 2,000,000 |
8 | 56,853,660 | 2,274,146 | 2,000,000 |
9 | 61,127,807 | 2,445,112 | 2,000,000 |
10 | 65,572,919 | 2,622,917 | 2,000,000 |
投資の醍醐味は後半になればなるほど複利が効いて運用収益が大きくなっていくことです。
このダイナミズムを感じるまでは、筆者はリタイアするべき時ではないと考えています。あと、労働は資産運用の一つです。
我々の身体が運用収益を生み出していますので、仕事が嫌でも職場を変えるなどして、労働は続けた方がいいと思います。
資産3000万円超えたら20年以上待てる前提で長期投資が最適?
すでに一般的に30代で3000万円の資産を保有しているというのは、とんでもない快挙であることがわかりました。
そして、同時にとてつもなく大きな武器を持っているとも言えるでしょう。
なぜなら、資産運用とは「スノーボール」と言われるように、元本が大きくなればなるほど大きくなるスピードが上がっていくからです。
既に上記で、その複利インパクトのグラフを見せましたが、ここでもバフェット氏の言葉を見ておきましょう。
バフェットのお好みの言葉に、「株式投資の真髄は雪だるま(スノーボール)」というのがある。
雪だるまは転がしていくだけで大きくなる。株式投資も長期に値上がりする株式を選んでじっと保有していれば雪だるまのように大きくなっていく。
彼はバークシア・ハザウェイという繊維会社を傘下に収め経営し、コングロマリット形式の投資会社の母体にしたのは1965年(昭和40年)であった。当時の1株当り純資産はその後、飛躍的に膨れ上がり2015年には+159万8284%になった。荒っぽい計算だが100万円投資していたら250億円以上になった。(対ドルでの換算を無視した概算数値)。
バフェットは先にも書いたように、長期的に成長する株を買って10年〜20年保有していれば小さな手のひらにはいるようなスノーボールが、転がしていくだけで大きな雪だるまのボールになるという。子供のときに経験したことを株式投資の成果の表現に置き換える。
100万円を持っている人がとある投資をして利回り10%を出しても10万円のリターンですが、3000万円の人が同じ投資をしたら300万円です。
100万円の人がどんなに頑張ってリターンを出しても、奇跡を5回くらい起こさないと3000万円の人には追いつけないと思います。
さて、3000万円あるのであれば、このスノーボール理論を存分に活用していくべきです。
株式投資も良いのですが、長期投資で複利をうまく使っていきましょう。
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複利を活用していく!利益を確定しない限り税金は発生しない!
複利を活用していくというのは、例えばウォーレン・バフェット氏のようにアップルの株を購入するとします。
現在2024年4月末時点でのアップルの株価は169.90ドルです。
例えばアップルの株を2015年に30ドル、3000万円分を購入したとしましょう。1,000,000株ですね。2015年のリターンは8%でした。240万円の含み益です。ここで利確はしません。
2016年のリターンは14%でした。259万円の利益です。2017年のリターンは18%でした。含み益は629万円になっているはずです。
利益を確定せずに毎年成長する株にまとまった金額を入れると雪玉のごとく複利が効いて資産増加スピードが凄まじいことになることに気づくと思います。
しかし、上記は理想論です。実際にアップルのような株でもリーマンショックなどが起きて、暴落し、その間にトレンドも変わってしまい二度と元の株価に戻らないこともあり得ます。
そもそも直近は成長率が落ちてきて、今後も継続的に成長するかは怪しくなってきています。iPhoneの売れ行きも横ばいで、iPhone15 Proの値段も据え置きになりました。
様々な環境に翻弄される、それくらい、株式投資というのは難しいのです。
→ 相場歴10年を超える筆者が「個別株は難しい?」「個別株は無理ゲー、ギャンブルだからやめとけ」等の意見に思うこととは?悲惨な結果でもうダメとなる前に読んで欲しい。
ではどうすれば良いかというと、投資信託やヘッジファンドのようなプロが選択肢になってくると思います。
投資信託(アクティブファンド・インデックスファンド)
個別株は難しすぎるので投資信託というところまでたどり着いている人は堅実であり冷静な投資家だと筆者は思います。
普通の人は株式投資を始めて投資をしているうちに博打のようにのめり込み運用リターンのことを忘れてしまう人がほとんどです。
→ 相場歴10年を超える筆者が「個別株は難しい?」「個別株は無理ゲー、ギャンブルだからやめとけ」等の意見に思うこととは?悲惨な結果でもうダメとなる前に読んで欲しい。
しかし、投資や資産運用とはお金を増やすためにするべきものです。
運用が面白いから取り組むとか、そういったものではないはずです。面白いことをするというのは基本的にお金がかかるものです。
運用リターンを得るために冷静な投資をする必要があります。
そして、株式市場、世界中のマーケットで面白い点が、我々個人投資家は投資のプロに運用を任せることができる点です。
これは素晴らしいことです。例えば我々はイチローがメジャーに挑戦した際のことを考えてみましょう。
イチローに1000万円を投資して、イチローが活躍年俸が急上昇し、リターンとして一部を受け取るといったことはできません。
しかし、投資の世界では投資界のイチローに資金を出すことでリターンを獲得できるのです。
その一つ目のイチローですが、投資信託が大人気ですね。
投資信託にはインデックスファンドとアクティブファンドの2つがあります。
インデックスファンドは代表株価指数に連動するパフォーマンスを目指し、アクティブファンドはインデックスのアウトパフォームを目指します。
インデックスは株式市場次第ですので、その株式市場が存在する国の経済成長次第でリターンが決まってきたりします。
世界一の経済大国であるアメリカの株式市場の代表株価指数であるS&P500が最も有名ですね。
S&P500指数は長年に渡り幾度となく暴落を経験しつつも右肩上がりを継続し平均利回りは7%程度となっています。
新興国のインデックスなんかも急上昇があり得ますが、個人投資家としてはタイミングを見極めるのが難しすぎますね。
個別株に投資するのと変わりません。
アクティブファンドはインデックスを超えるリターンを目指すのが本分です。
インデックスを超えてこそプロの投資家なわけですが、その運用成績は目も当てられない状況で金融庁ですら警告しています。
→ アクティブ運用型とパッシブ運用型の投資信託のどちらが優れているのか徹底比較!インデックス投資は本当に最強なのか?
以下ご覧いただければわかる通り全てにおいてインデックスを下回っています。
分類 | 平均5年累積リターン |
パッシブ型全ファンド | 22.60% |
アクティブ型全ファンド | 9.70% |
パッシブ型日本株ファンド | 40.00% |
アクティブ型日本株ファンド | 30.90% |
パッシブ型先進国株ファンド | 37.00% |
アクティブ型先進国株ファンド | 12.00% |
パッシブ型新興国株ファンド | 15.20% |
アクティブ型新興国株ファンド | 12.80% |
パッシブ型グローバル株ファンド | 32.60% |
アクティブ型グローバル株ファンド | 8.20% |
投資信託に投資するのであれば、インデックスファンドで良いのではないかと思います。
ただ、インデックス投信も万能ではありません。
定期的に大きな下落を伴いながら上昇していくので、局面によっては大きなマイナスを許容しなければならない場面があります。
以下はインデックス投資で最も有名な米国のS&P500指数ですが、あくまで超長期での平均リターンが年率7%なのです。
2008年のリーマンショック後、2021年末まで急激に上昇したので、今後は株価の停滞期となることが想定されます。
実際、2022年に入り世界中で発生しているインフレに対応するため世界中で金融引き締めを行い世界中の株式市場が下落していきました。
しかし、これはまだまだ序章にすぎません。今までの金融緩和の副作用を2020年代を通じて消化していかないといけないのです。
インフレもどこまで続くか読めません。1970年代の再来とも言われています。
そこで欧米の機関投資家や富裕層の間で注目を集めているのが暴落を回避しながらインデックスファンドを超える成績を出しているヘッジファンドという選択肢です。
2023年以降もインデックス投資が厳しい理由とは?
インデックスに関しては30年スパンで考えると魅力的なケースが多いですが、それも過去の話をベースに考えているにすぎません。
1980年代から現在まで米国の長期金利は下がり続けており、これが株価にとってずっと追い風となっていました。
しかし、2022年に発生したインフレは完全にゲームチェンジャーとなっています。
金利が上昇すると債券に対する魅力が高まるので株式のバリュエーションが下がりますからね。
2023年9月現在でも米中央銀行のFRBが目標とする2%を大きく上回る3.6%以上のインフレ率となっています。
そして、FRBは2022年に金利を大きく引き上げましたが、その引き締めの副作用が時差をもって2024年前半に押し寄せてきます。
実際、発生した1年後から1年半後に景気後退が発生するといわれる2年債と10年債の逆イールドは2022年7月に発生しています。
2024年を迎えても依然として解消していません。今までの歴史上、逆イールドが解消されてから景気後退が発生しています。つまり、今後景気後退が発生するのです。
景気後退が発生すると当然、企業収益も低下しますし長期金利が低下するのでドル円も下落します。
円建で見た時のインデックスは大きく毀損していくことが想定されます。
そして、景気後退を食い止めるためにバラマキでささえてしまったら、インフレは1970年代のように2波、3波と何度も押し寄せてきます。
以下はインフレ率の推移ですが左の方向みていただければわかりますが3回、インフレの波が押し寄せています。
現在のインフレはまだ一波です。ここから何度もインフレが到来すると、10年間インデックス投資は厳しい展開を迎えることが想定されるのです。
→ 対策必須!日本で発生するスタグフレーションに強い資産とは?原因は何?金ではヘッジにならない?
ヘッジファンドという選択肢
ヘッジファンドとは、日本ではなかなか馴染みのない名前のファンドかと思います。
むしろ、アジア通貨危機などで暗躍したことや、ドラマ・ハゲタカなどの影響で悪いイメージすらあるのではないかと思います。
ハゲタカはたしかエクイティ・ファンドでしたね。
ヘッジファンドとは、投資家より資金を集めて市場で運用する、という点は投資信託と変わりません。同じです。
しかし、大きく違う点があります。それはファンドマネジャーの質、リターンの高さ、報酬体系の違いです。
まず、ファンドマネジャーの質が異なるというのは相場への向き合い方が投資信託のファンドマネジャーとは大きく異なるからです。
例えば、ヘッジファンドは運用リターンの20-50%程度がファンドマネジャーの成功報酬として分配されます。
20%のリターンを出せば、4-10%のリターンはファンドマネジャーのものです。
一方、投資信託は運用資産に対して決められた料率の手数料が発生するので運用でリターンを出すインセンティブがありません。
運用規模が100億円、1000億円で4-10%のリターンというと、100億円の場合ですと4-10億円です。1000億円の場合はその10倍です。
すごい報酬ですよね。Forebsの長者番付でも上位にファンドマネジャーがランクインするのはこの成功報酬が要因となっています。
こんな報酬が入るのですから、ファンドマネジャーは血眼になって相場に向き合うわけです。結果も自ずと出てきます。
投資信託のファンドマネジャーはこんな報酬体系ではなく、大半が固定給のサラリーマンです。
実力があるファンドマネジャーであればヘッジファンドという世界があるのですから、とっとと会社を辞めてヘッジファンドを設立し、大金持ちを目指すものです。
しかし、相場で勝つということはとても難しく、なかなかヘッジファンドのマネジャーとして生計を立てようという人も少ないのが現実です。
サラリーマンと、自分の腕に自信のある、そして血眼になって相場に取り組むヘッジファンドマネジャー、どちらに資金を預けたいかというと、やはりヘッジファンドですよね。
実際に結果を出すファンドマネジャーが多いことから、ハーバード大学基金やイェール大学基金のポートフォリオにヘッジファンドが入っていたり、世界中でヘッジファンドへの流入が相次いでいます。
日本では、このヘッジファンド投資へのアクセスが閉ざされていたのですが、近年はようやく投資ができる環境が揃ってきました。
筆者の場合は国内老舗ファンドであるBMキャピタルに運用を任せています。既に10年程度ですが、年率10%程度の利回りを継続し、資産形成を進めることができています。
BMキャピタルはバリュー株を主体とした「強い下落耐性」を持ったポートフォリオを構築している点が特徴的です。
過去に年間ベースでマイナスになったことがなく、資産運用の本質を捉えており、まさに伝説の投資家であるバフェット、グレアムやレイ・ダリオの哲学を実践している稀有なファンドです。
リーマンショック、チャイナショック、コロナショック、そして2022年の調整局面も指数をアウトパフォームしています。
長年投資家の期待に応えていることから、出資が相次ぎ資産規模が大きくなっていると聞いていますが、引き続き同様の運用を筆者は期待しています。
まとめ
貯金3000万円の現実と、資金を運用に生かした場合のインパクトについて書いてきました。
ぜひ、参考にしていただければ幸いです。