東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンはR&Iファンド対象に3年連続受賞している投資信託です。
名前の通り、経営者が多くの株式を保有している銘柄を厳選して投資することで高いリターンを実現しています。
本日は東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンがどのようなファンドか特徴をお伝えした上で、運用実績を紐解き投資妙味があるのかという点について紐解いていきたいと思います。
様々なファンドを分析した結果、魅力的なファンドについて以下で取り上げていますので参考までご覧ください。
【ブログ随時更新】飛躍の2024年!今買いの一番儲かる投資信託銘柄はどれ?「安全」且つ「これから上がる」個人投資家が買うべき高利回りファンドを徹底調査!
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンの特徴とは?経営者がオーナーである会社に投資を実行
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンは経営者の合計持ち株比率が5%以上の企業に投資をする方針をとっています。
なかなか、珍しい銘柄選定基準ですよね。経営者の持ち株比率が大きいと以下のようなメリットがあります。
メリット1 | 経営者自身が株主なので利益を追求するインセンティブが大きくなります。利益が上昇して株価が上昇すれば役員自身の資産が増えますからね。 |
メリット2 | 企業の所有者は株主なので、重要な事項を経営者が独断で決定できないこともあります。ただ、株主が経営者であれば迅速な意思決定を行うことができます。 |
実際、以下の通り役員の合計持ち株比率が5%以上である企業の利益は以下の通り東証上場銘柄の平均を上回っています。
リーマンショックの時の落ち込みも少なくなっています。
コラム:東京海上の投資信託が撤退という噂の真相は?
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンについて調べていると東京海上が投資信託から撤退というワードにぶち当たります。
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンが償還されるのかなと気になったのですが、調べてみると違いました。
東京海上が運用する東京海上・ジャパン・マイスター株式オープンが繰り上げ償還となるというプレスリリースでした。
東京海上ジャパンオーナーズ株式オープンの組み入れ上位銘柄
2024年1月末時点での構成上位銘柄は以下の通りとなります。
過去から2024年1月末までの構成上位銘柄の推移は以下となります。
2024年1月 | 2023年9月 | 2023年7月 | 2023年4月 | 2022年12月 | 2022年9月 | 2022年4月 | 2021年7月末 | 2021年3月 | |
1 | ローツェ | コナミグループ | シスメックス | シスメックス | シスメックス | コーセー | エアトリ | SBSホールディングス | リゾートトラスト |
2 | ANYCOLOR | ニデック | ニデック | 大塚商会 | エフピコ | ロート製薬 | SBSホールディングス | パーク24 | パーク24 |
3 | カナモト | パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス | SBSホールディングス | SBSホールディングス | 光通信 | シスメックス | 朝日インテック | 大塚商会 | アウトソーシング |
4 | エフピコ | SBSホールディングス | コナミグループ | SMC | SBSホールディングス | SBSホールディングス | セガサミーホールディングス | 朝日インテック | 日本電産 |
5 | 光通信 | DMG森精機 | パン・パシフィック | パンパシフィック | パンパシフィック | 光通信 | ユー・エス・エス | リゾートトラスト | ポーラ・オルビス |
6 | タカラトミー | ソフトバンクグループ | DMG森精機 | エフピコ | シップヘルスケア | ラウンドワン | リゾートトラスト | フジインターナショナル | エアトリ |
7 | ディスコ | カナモト | ソフトバンクグループ | サイバーエージェント | ロート製薬 | 大塚商会 | ソフトバンクグループ | オープンハウス | イズミ |
8 | SBSホールディングス | ANYCOLOR | カナモト | DMG森精機 | 大塚商会 | 日本電産 | ファーストリテイリング | エフピコ | フジシール |
9 | シップヘルス | 光通信 | エフピコ | コナミグループ | SMC | パン・パシフィック | カシオ計算機 | イズミ | ユー・エス・エス |
10 | サイバーエージェント | シップヘルスケアホールディングス | サイバーエージェント | ロート製薬 | カシオ計算機 | ブシロード | パーク24 | エン・ジャパン | SBSホールディングス |
上記の推移を見ているとわかる通り、銘柄を頻繁に入れ替えているのがわかりますね。ずっと入っているのはSBSホールディングくらいではないでしょうか。
現在、第一位のローツェ株式会社は半導体関連装置の開発、設計、製造を行なっている企業です。
ローツェは世界で初めてウエハ搬送ロボットを開発した会社です。 製品の魅力は技術力の高さとなっています。直近の生成AIブームの波にのった半導体需要もあり業績は急激に上昇しています。
結果として、ローツェの株価推移は以下の通りとなります。
アクティブ型投信として一般的な手数料水準
ジャパンオーナーズはアクティブ投信として一般的な水準となっています。
購入手数料:3.3% (税込)
信託手数料:年率1.584%(税込)
購入手数料が若干高いですが、一般的な水準の範囲といえます。
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンの運用実績
肝心な東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンの運用実績をみていきたいと思います。
以下はジャパンオーナーズが運用開始となった2013年4月以降のチャートとなります。
実際の基準価格(橙色)と税引前分配金再投資後の基準価格(青色)との間に乖離があります。実際には両者の間に収斂します。(分配金を出した瞬間に20.315%の税金が発生してしまうからです。)
Morning Starのデータとしてみると以下の通りとなります。直近3年は散々な結果ですね。
年 | 1年 | 3年(年率) | 5年(年率) | 10年(年率) |
トータルリターン | 11.64% | 2.32% | 7.21% | 14.77% |
標準偏差 | 11.2 | 12.99 | 16.6 | 16.16 |
5年のリターン7.21%とリスク16.6%から考えられる今後1年間のリターンは確率毎に以下となります。過去5年のリターンでみると非常に優秀な成績ですね。
参照:投資におけるリスクとは!?ハイリスクハイリターン投資よりローリスクミドルリターン投資を狙おう!
【68.3%の確率】
▲5.98%(=リターン7.65%-リスク13.63% )
〜
+21.28%(=リターン7.65%+リスク13.63%)
【95.4%の確率】
▲25.86%(=リターン7.65%-リスク13.63% ×2 )
〜
+34.93%(=リターン7.65%+リスク13.63%×2 )
【99.7%の確率】
▲39.49%(=リリターン7.65%-リスク13.63%×3 )
〜
+48.56%(=リターン7.65%+リスク13.63%×3 )
最大損失は40%近くを見込み必要があります。かなりボラティリティが高いですね。
TOPIXと比較!長期では素晴らしいパフォーマンスだが直近はアンダーパフォーム!
日本株のパフォーマンスの平均はTOPIXで表されます。ジャパンオーナーズは運用開始以来TOPIXを上回る高いリターンを出しています。
ただ直近、過去3年は軟調な推移となっておりTOPIXをアンダーパフォームしています。
この現象はひふみ投信やジェイリバイブ でも発生しています。ある程度人気がでてきて運用資産が大きくなってくると、本来の運用ができなくなりリターンが低下する傾向があります。
ジャパンオーナーズも例外ではなく、人気が出た結果としてパフォーマンスが悪化してしまっているのです。
今までのリターンがよかったからといって、今後も同じ成績が出すとは限らないのです。むしろ厳しいとみた方がよいでしょう。
運用規模が大きくなることもさることながら、どんな金融商品でも人気が出ると低迷するというのは常です。
靴磨きの少年の話があまりにも有名ですが、大衆が良いと感じて行動した時が大抵は天井なのです。
1929年の夏、ケネディが靴磨きの少年に靴を磨いてもらおうとしたときのこと。少年は米紙ウィール・ストリート・ジャーナルを読んでいて、株取引に夢中でした。ケネディに対して自慢げに、推奨銘柄を教えたりなどします。この少年との出会いで、ケネディは相場撤退を決意したと伝えられています。
バルークにも、似たようなエピソードが残っています。この時期に、自宅近くでホームレスのような老人に呼び止められて、「いいネタがあるけどどうかね?」と、耳元でささやかれたというのです。株の購入を薦められたというわけです。バルークもこの老人との出会いで、相場がこれ以上、上がることはないと確信したと伝えられています。
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンの今後の見通しは厳しい
重要なのは今後の見通しは厳しい状況が想定されます。理由としては以下の2つが考えられます。
- 世界的な景気後退が迫っている
- 日本にインフレが到来し金融政策が引き締め方向にシフトする可能性がある
まず1つ目の要素です。2021年末から発生しているインフレをおさえるために欧米の中央銀行が引き締め的なスタンスをとったことで、2024年以降に景気後退となるリスクが高まっています。
米国の景況感を占う非製造業景況指数も久しぶりに50を割り込んでいます。リーマンショック前と同じ減少が起こっているのです。
世界景気の後退は日本経済も直撃します。当然、企業収益の減少の可能性があることは頭にいれておきましょう。
次に日本特有の話題として2023年4月に就任した新日銀総裁・植田氏に対する懸念があります。
黒田総裁は政府や財務省からの圧をはねのけて一貫して金融緩和を行なって相場を支えてくれていました。
特にTOPIX銘柄に対する恩恵は尋常ではないですね。この植田日銀総裁が引き締め的なスタンスを今後取る場合、日本株に深刻な影響をもたらすことになります。
実際、2023年7月に植田総裁はYCC政策を修正し引き締め的に動きました。
今後はマイナス金利政策を撤廃することが懸念されています。つまり金融引き締めに向かっているのです。
ここから通常のTOPIXに選ばれているような銘柄に投資している投資信託は避けた方がよいでしょう。
いずれにせよ、米国の不況が始まれば日本株も存分に影響を受けますので、マクロ相場の影響を受けにくい場所に資金を移すのが今は正解ということです。
以下では相場環境によらず安定したリターンを上げているファンドについても取り上げていますのでご覧いただければと思います。
まとめ
東京海上ジャパンオーナーズ株式オープンはオーナーが経営する企業に投資をすることで高いリターンをだしてきました。
しかし、近年は値動きも不安定になってきており値動きの幅も大きくなり、想定される最大損失も大きくなってきています。
今まで良い成績をのこしたことで運用資産が大きくなり、今までの運用パフォーマンスが出しにくくなってきていることが想定されます。
過去の結果をみて、投資をするかどうかを判断する前に一度立ち止まって考えてみることを推奨します。