最近日本では毎月分配型投資信託と並んで、レバレッジ運用型の投資信託が流行してきております。
→ 危ない?悪くない?不労所得生活を実現できると噂の「毎月分配型」投資信託は最強なのだろうか。メリット・デメリットを列挙しわかりやすく解説
毎月分配型の投資信託は理にかなった投資信託ではないことはお伝えしました。
レバレッジ投資信託も大きな危険を内在した投資信託となります。特に「ある理由」で長期保有はおすすめできません。
レバレッジ運用型の投資信託についてはどうなのか仕組みを紐解きながらわかりやすく解説していきたいと思います。
レバレッジ運用型投資信託の種類
レバレッジ運用型の投資信託と一言にいっておりますが、様々な軸で分類することが出来ます。
投資商品で分類
レバレッジ運用型投資信託は基本的に何かしらの指数の倍数毎に従うように組成されています。
投資商品は皆さんが最も慣れ親しんであろう日経平均から米国の株式市場であるS&P500指数、債券、WTI等の商品指数等レバレッジをかける商品には幅があります。
基本的に先物を用いてレバレッジ投信を組成するので先物が存在するものであれば組成可能です。米国などでは個別株に対してレバレッジをかけたファンドなども存在しています。
ブル型とは?
ブル型というのは雄牛が角を下から上に突き上げる動きをすることから、
下から上にという意味が昔からあり、強気相場のことをブル相場と言っています。
レバレッジ投資信託におけるブル型というのは順連動の意味で、
対象となる指数が上昇すれば上昇、下落すれば下落する型となっています。
→ 楽天日本株4.3倍ブル・楽天日本株トリプルブルへの投資は危険!?評判のレバレッジ型投資信託を切る。
ベア型とは?
反対にベアとはベア(熊)の姿勢が上から下にのしかかる様から上から下という意味があり、弱気相場のことをベア相場と呼んでいます。
レバレッジ投資信託におけるベア型というのは逆連動の意味で対象する指数が上昇すれば下落、上昇すれば下落する型の投資信託となります。
レバレッジは日次の値動きに対してかかってくる
レバレッジの種類も様々な倍率があります。
現在ネット証券で取引できるブルベアファンドは以下の倍率のものがあります。
値動きの幅を2倍に増幅するダブルブル・ダブルベア型
値動きの幅を3倍に増幅するトリプルブル・トリプルベア型
値動きの幅を4.3倍に増幅する4.3倍ブル・4.3倍ベア
重要なのは目指すレバレッジは大抵の投資信託において『日々の値動き=1日ベースの値動き』に対して、
レバレッジをかけるということです。
後の説明で重要になってきますので、頭の片隅に入れておいてください。
レバレッジ運用型投資信託のメリットとは?
レバレッジ運用型の投資信託のメリットはなんといっても高いリターンを見込めるところです。
かけている方向に一直線で動く時には特に大きなリターンを叩き出してくれます。
日々の値動きの3倍の値動きの目指すので単純に3倍になるわけではありません。
例えば3倍の基となるインデックスとそのインデックスのトリプルブル投資信託の値動きを、
5日間シミュレーションしたものが以下になります。
インデックス | インデックス 変化率 |
トリプルブル | トリプルブル 変化率 |
|
0日目 | 100 | - | 100 | - |
1日目 | 110 | 10% | 130.00 | 30% |
2日目 | 150 | 36.36% | 271.82 | 109% |
3日目 | 180 | 20.0% | 434.91 | 60% |
4日目 | 190 | 5.6% | 507.39 | 17% |
5日目 | 200 | 5.3% | 587.51 | 16% |
インデックスが5日後に2倍になっているので+100%となっているのでトリプルブルだと+300%となり400となっていると考えられがちです。
しかし上記のシミュレーションだと587となっています。つまり+487%の実績となっているということですね。
この仕組みをもう少しわかりやすく2日間の値動きで紐解くと以下となります。
1日目
インデックス:100 ⇒ 110 (+10%)
トリプルブル:100 ⇒ 130 (+10%×3=+30%)
2日
インデックス:110 ⇒ 150 (+36.36%)
トリプルブル:100⇒ 271.80(+36.36%×3=+109.08%)
ここまでみて、0日目のスタート時点からインデックスは100⇒150と+50%となっているので、
通常であればトリプルブルは+150%となり100⇒ 250万となるかとおもいきや、
毎日の値動きの3倍ということになると271.8万円と大幅に増加することになるのです。
レバレッジ型の投資信託は右肩上がりに上昇すると、レバレッジ倍以上の倍率で上昇していくことになるのです。
レバレッジ運用型投資信託のデメリット
メリットだけであればよいのですが、メリットである大儲けの可能性がある反面、
大損する可能性もあるのです。
先程の例とように0日目に100だった場合の5日目でのインデックスとトリプルブルの値動きを見ていきましょう。
インデックス | インデックス 変化率 |
トリプルブル | トリプルブル 変化率 |
|
0日目 | 100 | - | 100 | - |
1日目 | 97 | -3% | 91.00 | -9.0% |
2日目 | 95 | -2.06% | 85.37 | -6.2% |
3日目 | 90 | -5.3% | 71.89 | -15.8% |
4日目 | 85 | -5.6% | 59.91 | -16.7% |
5日目 | 80 | -5.9% | 49.34 | -17.6% |
インデックスが5日間で100⇒80で▲20%となっています。
トリプルブルは3倍の値動きなので▲60%となり40に下落しそうなものですが49.34と約▲50%で留まっています。
下落しつづけた場合は、下落の幅からレバレッジを掛けたぶんよりは下落分よりは幾分か抑えられる結果となります。
しかし、いくらレバレッジ程下落しなかったとしても資産を大きく失ってしまっては挽回するのが非常に難しくなります。
100から50に資産が半減つまり▲50%となった場合、元の100に戻すには50⇒100と+100%のリターンが必要になります。
更に大きな賭けを行い、結果的に更に資産を溶かしてしまうという負の循環に陥る方も多くみてきました。
大きなリターンを出すことよりも、小さな損失で抑えることのほうが重要なのです。
レバレッジ運用型投資信託の知られざるリスク!指数は横ばいでも下落していく!?
今までレバレッジ型の投資信託を購入された方ならば、一度は体験されているかと思うのですが、
殆ど対象インデックスが動いていないにも関わらず、何故かレバレッジ型の投資信託の価格が減少しているという現象です。
インデックス価格変動ないのにレバレッジ投資信託価格が減少する問題も、
今までと同じように毎日の値動きの倍数の値動きを目指していることに起因します。
わかりやすく以下0日目に100のインデックスが上下10ずつ上昇下落を繰り返し、
6日後に100に戻る場合のトリプルブルの値動きを考えます。
(1) 100⇒110⇒100⇒90⇒100⇒110⇒100
最初に10上昇からはじまるパターンでインデックスは6日後にスタート値の100に戻ります。
しかし、インデックスは▲17%の83%となってしまいます。
インデックス | インデックス 変化率 |
トリプルブル | トリプルブル 変化率 |
|
0日目 | 100 | - | 100 | - |
1日目 | 110 | 10% | 130.00 | 30.0% |
2日目 | 100 | -9.09% | 94.55 | -27.3% |
3日目 | 90 | -10.0% | 66.18 | -30.0% |
4日目 | 100 | 11.1% | 88.24 | 33.3% |
5日目 | 110 | 10.0% | 114.72 | 30.0% |
6日目 | 100 | -9.1% | 83.43 | -27.3% |
(2) 100⇒90⇒100⇒110⇒100⇒90⇒100
たまたま(1)は上昇から始まった為、マイナスになってしまったという可能性も考慮して、
今度は10下落して始まり最後に100になった場合について考えます。
結果はほぼ同様の結果となり6日後、インデックスは不変となっているのですが、
トリプルブルは先程とほぼ同様の▲18%となってしまっています。
インデックス | インデックス 変化率 |
トリプルブル | トリプルブル 変化率 |
|
0日目 | 100 | - | 100 | - |
1日目 | 90 | -10% | 70.00 | -30.0% |
2日目 | 100 | 11.11% | 93.33 | 33.3% |
3日目 | 110 | 10.0% | 121.33 | 30.0% |
4日目 | 100 | -9.1% | 88.24 | -27.3% |
5日目 | 90 | -10.0% | 61.77 | -30.0% |
6日目 | 100 | 11.1% | 82.36 | 33.3% |
インデックスが膠着状態で小刻みに上下している場合はレバレッジ型の投信は大きく下落していってしまうのです。
実際、以前分析した楽天日本株4.3倍ブルは以下の通り日経平均が横ばいの期間に40%近い下落となってしまっています。
コラム:金融庁もレバレッジ型投資信託に継承
金融庁は日本の投資信託の現状に懸念を抱いており、
特に以前紹介した毎月分配型投資信託やレバレッジ型の投資信託は、
投資家の長期運用にとって適切な投資先となりえないと断じています。
日本で売られている公募株式投信は 5406 本ありますが、そのうちインデックス型株式
投信は 381 本です。これから、毎月分配型の投信、レバレッジのかかった投信、信託期間
が短く長期投資を前提としていない投信を除き、ノーロードで信託報酬が一定率以下のも
のに限ると、積立 NISA の対象として残ったものは 50 本弱でした。<引用:金融庁森長官による日本証券アナリスト協会基調講演から抜粋>
金融庁も警鐘をならしている商品形態であるということが出来ます。
レバレッジ型投資信託のまとめ
レバレッジ型投資信託は時流に乗ることが出来れば大きな利益を獲得することが出来ますが、
価格が下落した時はさることながら、インデックスの価格があまり動かず滞留している場合は、
レバレッジ型投資信託の基準価格が下落してしまう結果となってしまいます。
もし仮に投資を行うとしても確実に上昇する、下落すると確信ができるワンポイントだけに絞っての活用にとどめ、
数週間単位以上の投資は控えたほうがよいでしょう。
レバレッジ型の投資信託は超ハイリスク・ハイリターンで投資妙味はすくなく、狙うのであればローリスク・ミドルリターンの投資をこころがけましょう。
→ 投資におけるリスクとは!?ハイリスクハイリターン投資の意味や種類をわかりやすく解説!
以下で堅実なリターンを積み重ねている下落耐性も強いファンドについてランキング形式でお伝えしていますので参考にして頂ければと思います。