今回も、私の個人的な趣味である投資信託などファンドの分析をしていきたいと思います。本日取り上げるのは「グローバル・フィンテック株式ファンド」です。
フィンテックのグローバルですから、とんでもない運用手段且つ最高のパフォーマンスを発揮してくれそうです。
しかし、2020年に大きく上昇した後、残念ながら暴落となってしまっています。
今回の記事ではなぜ暴落してしまっているのか?
今後の見通しは明るいのか?
という観点を中心にお伝えしていきたいと思います。
グローバル・フィンテック株式ファンドとはどんな商品なのか?
主として、日本を含む世界の株式の中から主にフィンテック関連企業の株式などに投資を行う。個別銘柄の選定においては、米国のアーク社の調査力を活用する。フィンテック(FinTech)とは、金融(Finance)と、技術(Technology)を組み合わせた造語で、最新の情報技術を活用した「新たな金融サービス」のことを言う。原則として、為替ヘッジは行わない。ファミリーファンド方式で運用。12月決算。
世界の株式の中から主にフィンテック関連企業の株式に投資をするファンドでした。
目利きが非常に重要になるのですが、ここで私が驚いたのが、米国のアーク社が調査をしている点です。
米ARK社といえば2020年のアクティブファンドで米国内で最も注目されています。
「破壊的イノベーション企業」に投資をするETFも用意しており、他にも複数のETFがARKにはあります。
どれもこれも2020年のリターンは50%以上を誇っていました。テスラ、スクエアなどに投資をしていることで有名です。
その中で旗艦ファンドとして名を轟かせているのがARKKです。
しかし、2021年後半からはブームが去るとともにARKKの株価は暴落しています。
わかりやすいバブル崩壊ですね。この理由についてはおってグローバルフィンテック株式ファンドの下落理由とともにお伝えします。
グローバルフィンテックファンドの概要
交付目論見書:https://www.nikkoam.com/files/fund_pdf/643769/file/643769moku.pdf
[グローバル・フィンテック株式ファンド]
- 設立年月日:2017年9月15日
- 純資産額:2392.20 億円
- 決算日:年2回
[商品分類]
- 単位型・ 追加型:追加型投信
- 投資対象 地域:内外
- 投資対象資産 (収益の源泉):株式
[属性区分]
- 決算頻度:年2回
- 投資対象 地域:グローバル (日本を含む)
- 投資形態:ファミリーファンド
- 為替ヘッジ:なし
ファンドの目的
主として、日本を含む世界の金融商品取引所に上場されているフィンテック関連企業の株式に投資を行ない、中長期的な信託財産の成長をめざして運用を行ないます。
ファンドの特色
- 世界の株式の中から主にフィンテック関連企業の株式などに投資します
- 個別銘柄の選定において、アーク社の調査力を活用します。
- 年2回、決算を行ないます。基準価額水準が1万円(1万口当たり)を超えている場合には、分配対象額の範囲内で積極的に分配を行ないます。
ARK社の名前を積極的に使っており、どのようなポートフォリオを組んでいるのかがとても興味があります。
(SQが絶対入っているのはわかるのですが、他に何が入っているのでしょうか?)
尚、まだ分配金を出した実績はありません。
そもそもフィンテックとは何か?
ポートフォリオの内容に入っていく前に、そもそもフィンテックとは何かを理解しておきましょう。
「Finance」と「 Technology」の2つの単語が掛け合わさり「Fintech」と呼ばれています。
日本の転職市場でもメガバンクや地方銀行の出身者が、テクノロジーを掛け合わせたフィンテック企業で活躍しています。
金融の知識とは、普遍的に必要であることがよくわかりますね。
ただ、これでもフィンテックとはよくわかりませんね。しかし、意外と我々の身近にフィンテックは存在します。
例えばモバイル決済。PayPayなどのキャンペーンは凄かったですね、2019年初頭だったと思います。
PayPayの決済システムももちろんFintechです。
また、マネーフォワードの家計簿管理アプリなどもフィンテック、今流行りのロボアドバイザーもFintechです。
ロボアドバイザーといえばウェルスナビですが、遂にIPOが承認されそうですね。
賛否ありますが、なかなか先鋭的な上場となると思います。時代も大きく変わっていきますね。
フィンテックは、いつまでも古い決済方法、現金支払いの不便さ、家計簿の不便さ、データ記帳の非効率性などがインターネットの発明により一気に解決できるトピックとなり注目されています。
グローバルフィンテック株式ファンドの組み入れ銘柄
グローバルフィンテック株式ファンドの2024年1月末時点での最新の組み入れ銘柄は以下となります。
フィンテックを何かしらの形で活用しているば組み入れ対象ということですね。多くが米国の銘柄となっています。
というか、オンライン決算であれば基本的にフィンテックが使用されているので、対象が広すぎるという感が否めませんが。
さて、グローバル・フィンテック株式ファンドの具体的な投資先銘柄ですが、オンライン決済の雄「Block」(旧:SQ)が2位でしたね。9.0%とかなり資金を振っています。
SQのCEOはTwitter CEOのジャックドーシーですが、顧客集めが非常に上手であると市場関係者には評価されています。
今はイーロンマスク氏がCEOですが、TwitterのCEOも兼務されていました。Twitterですら2020年の相場ではコロナの恩恵、給付金などによる業績向上で株価は右肩上がりでした。
しかし、2021年に天井を打ってから以下の通り厳しい状況となっています。
因みに2020年10月時点の組み入れ銘柄は以下の通りとなっています。だいぶ上位銘柄の顔ぶれも変わっていますが、1位はブロックで変わりません。
2024年1月 | 2020年10月末 | |
1 | ブロック(旧:スクエア) | スクエア |
2 | ショッピファイ | メルカドリブレ |
3 | コインベース | ジローグループ |
4 | UiPath | アップル |
5 | ロビンフッド | ペイパル |
6 | トゥイリオ | レンディングツリー |
7 | メルカドリブレ | テンセント |
8 | アディエン | ピンドゥドゥ |
9 | ドラフトキングス | アリババ |
10 | グローバルeオンライン | メイトゥアン |
グローバルフィンテック株式ファンドの基準価額の推移とは?
以下がグローバルフィンテック株式ファンドの基準価額の推移です。4四半期連続で暴落し、2023年は少々回復しましたが焼石に水状態です。
1-3月期 | 4-6月期 | 7-9月期 | 10-12月期 | 1-12月期 | |
2023年 | 25.53% | 20.70% | -6.22% | 34.35% | 90.88% |
2022年 | -21.78% | -37.98% | -0.42% | -11.31% | -57.15% |
2021年 | 4.27% | 11.25% | -10.31% | -15.74% | -12.33% |
2020年 | -15.34% | 48.92% | 21.90% | 18.85% | 82.66% |
2019年 | 21.10% | 2.15% | -4.34% | 15.75% | 36.98% |
2018年 | -0.84% | 7.10% | 10.35% | -22.28% | -8.92% |
このチャートに見覚えはないでしょうか?さきほどのARKKとほぼ同じチャートを描いていますね。
まだビットコインの現物ETF承認の影響をうけて仮想通貨関連銘柄の急騰によりグローバルフィンテック株式ファンドの方がマシといった成績とはなっていますが。
橙色:グローバルフィンテック株式ファンド
青色:ARKK
因みに以下は2020年10月時点で筆者が記載している記述です。まさにリターンを先食いしてしまっていました。暴落理由については次の項目でお伝えします。
2020年10月の記述
まさに時流に乗っておりますが、2020年の77.89%のリターンは将来のリターンを先食いしてしまったようにも思えます。
今回のコロナショックで、明確にクラウド事業、ECなど巣篭もり銘柄が急成長しました。
しかし、コロナ騒動はいつか終わります。
その際に、今年ほどの成長はもう厳しいのではないかというのが私個人の見解です。
フィンテックグローバル株式ファンドの株価の暴落要因とは?
フィンテックグローバルの暴落要因はマクロ要因です。
つまり個別株の要因ではなく、グロース株にとって2021年後半から大きな逆風がふいていることに起因しています。
グロース株というのは将来成長する利益を前提として現在の株価の値付けがなされています。
そして将来の利益を現在の価値に割り引くという作業が発生します。
この割引率に大きな影響を与えるのが長期金利の水準です。
現在の100万円と1年後の100万円は違うという話はよく聞くかと思います。金利が10%であれば現在の100万円と1年後の110万円は同じになりますからね。
言い換えると1年後の110万円は現在の100万円の価値しかないのです。
つまり金利が高くなると将来の利益の現在の価値は小さくなる、金利が低くなると将来の利益の現在の価値は大きくなります。
2020年から急激にグローバルフィンテック株式ファンドの基準価額が上昇したのはパンデミックに対応するため米国中央銀行が金融緩和を行った為です。
更に社会変革によりハイテク銘柄が成長するという想起も株価上昇を後押ししました。
しかし、2021年後半から金融緩和とバラマキの影響で強烈なインフレが発生しました。
FRBは今度はインフレをおさえるために金融引き締めを実施しています。
結果として急激に巻き戻しが発生してグロース企業は全体的に地に沈んでいっているのです。
今後もしばらく見通しは暗い?
重要なのは今後です。金利が下落に転じるにはインフレが沈静化する必要があります。しかし、残念ながらインフレはおさまらず寧ろ粘着し始めています。
FRBのパウエル議長もインフレを鎮圧するまでは金融引き締めを緩めるつもりはないと宣言しています。
現在のインフレ率は1970年代と同等で、市場も2024年度も金利は高止まりすると見込んでいます。
このような環境でしばらくグロース株に投資するのは危険です。
重要なのはどのような市場局面でも安定的にリターンをあげる投資を行うことです。
筆者が投資しているファンドは市場状況に関係なく安定して10%程度のリターンを上げていってくれています。
以下で詳しくお伝えしていますのでご覧いただければと思います。
掲示板やウェブ上での口コミや評判
長びく冬の時代をうけて掲示板でも厳しい声が目立ちます。
成績が沈んでいるので閑散としていますが、Yahoo掲示板では怨嗟に満ちた書き込みが散見されています。
Yahoo掲示板
40000円近くまで戻ることはあるのでしょうか?
このファンドにすごく足を引っ張られてます。
Yahoo掲示板
あまりにも酷すぎる
Yahoo掲示板
また15000割っちた。。。信託料かえして
Yahoo掲示板
いやもうね、、、地合いっていうなら手数料下げろよ。いや遠吠えにしかならないか
Yahoo掲示板
証券会社に勧められて持ってたけど、上がったる時を逃して今に至る。どないせいって言うねんて感じ😭
まとめ
栄枯盛衰を経験した面白いファンドでした。ブームにのりましたが金融緩和の終焉とともに見事に暴落となっています。
まだまだ世界中のインフレはおさまっておらず、ここからしばらくは金利も上昇または高止まりし続けることが見込まれています。
グローバルフィンテック株式ファンドのように、テーマ型の投信はブームが終わると厳しいもの多くなっています。
どのような環境でもしっかりと安定して資産を増やすことができる選択肢を選んでいきましょう!