オルタナティブ投資は急速に注目を集めている投資先です。
ハーバード大やイェール大のような一流エンダウメントもポートフォリオの50%以上のポーションを占めています
世界的な機関投資家は積極的にオルタナティブ資産に投資を行いポートフォリオの安定性を高ています。
日本でも最大手の日本生命がオルタナティブ投資を強化することを発表して注目を集めています。
日本生命グループではクレジット投資やオルタナティブ投資を強化し、分散投資を進めることで、長期・安定的な資産運用利回りの向上を目指しています。
本日はオルタナティブ投資を実践する意義と種類についてお伝えした上で、おすすめできる投資先についてお伝えしていきたいと思います。
世界的に拡大をみせるオルタナティブ投資
今やオルタナティブ投資は機関投資家はおろか富裕層を中心とした個人投資家の間にも拡大しつつあります。
特に米国においては企業年金ポートフォリオの10%~15%、先進的な大学基金の50%以上がオルタナティブ投資によって運用されています。
以下はハーバード大学のポートフォリオですが全体の70%以上がオルタナティブ投資で占められています。
統計では全世界で1986年時点のオルタナティブ運用の残高は120億ドルでしたが2000年には1兆4000億ドルと100倍以上にまで拡大しています。
更に2026年には20兆ドルになる勢いで飛躍的に拡大しています。
特にヘッジファンドとPEファンドンの伸びが著しいですね。
1989年のLTCMの破綻によって一時的にヘッジファンドをはじめとしたオルタナティブ投資への敬遠の流れが生じました。
しかし、米国最大の公的年金機関であるCalPERSがヘッジファンド運用を決定すると再び投資家がオルタナティブ投資に注目することになっていきました。
(※)LTCMはLong Term Capital Managementの略でノーベル賞受賞者のロバート・マートンやマイロン・ショールズ達によって運営された米国大手のヘッジファンド。1989年、レバレッジを効かせたデリバティブ取引が裏目に出て、巨額の損失を負い破綻しました。
現在はマーケット・ニュートラル戦略をとるヘッジファンドに対して、2000年以降の株価低迷・金利低下を背景にした運用難の影響によって多くの機関投資家の注目を集めています。
マーケットニュートラル戦略はと割安に放置されている銘柄を買い、割高に買い上げられている銘柄を売り利益獲得を目指す手法。
その名の通り売りと買いをほぼ同額ずつ行い、株価下落局面では売り建てている銘柄から利益がえられ株価インデックスに比べて下落を抑えらます。
しかし、上昇局面では売り建てている銘柄から損失が生じ株価インデックスに対して高いリターンを得られないという欠点があります。
オルタナティブ投資の種類
それではオルタナティブ投資の代表的な種類についてお伝えしていきたいと思います。
ヘッジファンド
まず最も代表的なオルタナティブ投資先としてヘッジファンドがあります。
オルタナティブ投資といえばヘッジファンドというイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
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ヘッジファンドは相場環境によらずリターンを狙っていく絶対収益型のファンド形態です。
実際、以下の通りITバブルの時にリターンを獲得し、リーマンショックでも損失を抑え堅実にリターンを積み重ねています。
値動きを少なく安定したリターンを出しているところがヘッジファンドの素晴らしいポインヨですね。
ヘッジファンドは大きく資産を減らすわけにはいかない年金基金や保険会社等の機関投資家に愛好されており多くのポーションを組み入られています。
PEファンド(プライベートエクイティファンド)
PEファンドPrivate Equity Fundの略です。
Private Equityというのは未公開株のことです。つまりPEファンドは未公開株に投資を行い利益を狙うファンド形態ということです。
未公開株投資というとベンチャー企業に投資を行い上場させて大きなリターンを狙うベンチャーキャピタルを思い浮かべると思います。
しかし、PEファンドの代表的な形態はバイアウトファンドです。
バイアウトファンドは成熟した未公開株を買収して経営権を握り経営改善を行なった上で売却または上場によりリターンを獲得する形態です。
不動産
不動産投資も意外としられていないのですがオルタナティブ投資の一種です。
ただ近年は先進国の不動産価格と株価の間にはある程度の相関があり、オルタナティブ投資としての性格は弱くなっています。
2023年以降は明確にリートは株にまけています。
オルタナティブ投資として不動産投資を行うなら、リートではなくしっかりと銘柄を自分で選定して投資対象を見極めていくことが必要になります。
レバレッジをかけることになるので安易な気持ちで行ってはいけません。綿密な調査と経験が必要になります。
コモディティ
コモディティとは原油とか金とかエネルギーといったものです。最も代表的なコモディティは金なのではないでしょうか。
金は以下の通り株価と異なる動きをしています。局面によっては株式のリターンを上回っていたりします。
金と通貨が交換できなくなったニクソンショック以降、通貨の流通量は増え続けているので通貨の価値は今後も減り続けます。
一方、金は金のままなので相対的に価値は上昇を続けます。
もちろん、株式も人々が使う「お金」の量が上昇して企業収益も上昇するので上昇をつづけるでしょう。
ただ、地政学リスクなどが台頭した時はリスクオフの流れの中で株から金に資金が流れていきますの、ある一定量はポートフォリオに組み込むことをおすすめします。
オルタナティブ投資に注目が集まっている背景
まずはオルタナティブ投資に注目があつまる背景について様々な観点から見ていきたいと思います。
背景①:市場平均にかつことが出来ないアクティブ型投資信託
日経平均や米国のS&P指数のような市場平均(=インデックス)に運用者が長期的に勝る成績を収めるのは不可能であるという考え方があります。
これは1900年にルイス・バチェリといいう方の「投機の理論」で表明された考え方です。
実際にこれを運用にあてはめたファンドが存在します。
1971年に設立されたバンガードのジョン・ボーグル氏によって設立された『バンガード500インデックスファンド』です。
このファンドは現在の市場平均に連動するパッシブファンドのはしりであり、米国のS&P500指数に運用実績が連動するように運用がなされました。
このファンドは運用当初こそ株価の低迷で他のアクティブファンドに遅れを取ることとなりました。
関連:アクティブ運用型とパッシブ運用型の投資信託のどちらが優れているのか徹底比較!インデックス投資は本当に最強なのか?
しかし1982年以降の強気相場で一気に上昇し米国最大の投資信託にまで成長しました。
続いて1990年代の後半に米国の株式市場は歴史的なブル相場(株式上昇相場)となり、インデックスファンドがおおいに注目を集めました。
このような状況に対して投資信託のファンドマネージャーたちは、いずれ自分たちの出番であると主張しておりました。
しかし1998年の市場で脆くもその期待は崩れ去ります。
この年はS&P500指数の構成銘柄500社のうち僅か14銘柄でS&P上昇の99%に貢献するという少数銘柄が活躍した市場でした。
つまりアクティブ型のファンドマネージャーの選別眼が正しければ、市場平均に対して大幅にアウトパフォームすることが可能な年だったのです。
しかし実際の成績をみるとアクティブファンド1500本のうち3分の1はS&P指数に対して10%以上も劣り、更に3分の1は損失を計上するという燦燦たる結果となったのです。
アクティブ型投資信託がよい結果を出せない要因の一つとして投資アドバイザー法によるもろもろの投資制約が挙げられます。
投資アドバイザー法は一般には投資顧問法・投資顧問業法で知られいており、日本では1986年に米国では1940年に施行されている。
米国の投資信託は投資アドバイザー法などによって投資家保護の観点から多くの制約を受けており、レバレッジをかけた運用、空売り、外貨建て資産の為替リスクヘッジの禁止などが代表例です。
こうしか運用上の制限がある種の柔軟な運用を妨げる要因となっており、パフォーマンスの低下につながったという点を否定できません。
このような状況の中でより自由な運用の場を求める運用マネージャーと、より高い運用パフォーマンスを求める投資家が開拓するためにヘッジファンドが台頭してきました。
背景②:国際分散投資の限界
2000年以降のオルタナティブ投資への脚光には、リーマンショックをはじめとした世界的な株価下落、金利低下といった環境的理由もあります。
株式や債権といった伝統的金融商品ではリスクヘッジ手段として限界が見えてきたということもあります。
例えば世界で最も洗練された投資家といわれている年金基金は加入者から集めた資金をより効率よく運用するため、
世界中の株式、債権市場に分散投資をしています。
これが所謂国際分散投資なのですが、昨今ではこの国際分散投資が限界を迎えているという見方が大勢を占めるようになりました。
例えば米国がくしゃみをすると日本が風邪をひくというように、
米国の株式市場が下落すると、日本の株価も下落するという事態が頻発します。
米国と中国の関係も同様で、世界同時株安という事象が起こりやすくなっているのです。
これは世界経済のグローバリゼーション化に伴う相互の結びつきが強くなっていることが原因です。
つまりいくら債権や株式の投資先を分散したとしても、各国で同様の動きをする様相が強まっているのです。
現代社会においては伝統的な資産とは異なる動きをするオルタナティブ投資に否応なく注目が集まりやすい環境となっているのです。
背景③:リスクヘッジ手段としての期待
そのほかにオルタナティブ投資が注目される理由として相関性の低い投資商品に対する分散投資がリスクヘッジの有効な手段となりうる点があります。
例えば株式を大量に購入している機関投資家は株式市場軟調となれば、ポートフォリオに損失を抱えることになります。
調子のよいアクティブファンドに投資をしていれば市場平均程には下落しないかもしれませんが、逆流する川の流れにクロールで立ち向かうようなものです。
ここに市場平均に連動しないオルタナティブ投資であるPEファンドやヘッジファンド、不動産を加えることによって下落を免れる又は損失を最小化することが可能になるのです。
実際ハーバード大学やYell大学の基金がポートフォリオの70%をオルタナティブ投資に回しています。
オルタナティブ投資の比率を増やしていることからもオルタナティブ投資の有効性がうかがえます。
おすすめのオルタナティブ投資先とは?
オルタナティブ投資はポートフォリオの安定性を高めるだけでなく、高いリターンを獲得するために必須の投資先となっています。
オルタナティブ投資先を検討する上で外せないのは以下の二点です。
- 株価下落局面でも下落を抑制したり上昇してクッションの役割を果たしうる
- 安定したリターンを積み上げていっている
やはり、投資対象となるのは代表的なオルタナティブ投資先として王道感のあるヘッジファンドです。
実際、最初にお伝えしたハーバード大学のポートフォリオでも一番多くのポーションをヘッジファンドが占めています。
先ほどの条件を満たす魅力的なヘッジファンドについては以下でランキング形式にしてお伝えしていますので参考んして頂ければと思います。