グロース株投資とバリュー株投資は株式投資の二大投資手法です。
果たして両者は何が異なるのか?
結局のところどちらが魅力的なのか?
という点について気になっている方は多いのではないでしょうか。
本日はグロース株投資とバリュー株投資の違いについてお伝えした上で、
データを元にどちらの方が魅力的な投資手法なのかという点について考察していきたいと思います。
バリュー株投資とグロース株投資の違いとは?
まずはバリュー株投資とグロース株投資の違いについてみていきましょう。
今に重点を置くバリュー株投資
バリュー株投資は今の純資産の状況や利益の状況と株価を比較して割安度を測る投資法です。
将来の利益の成長を見込むのではなく「今」の企業の状態から株価の水準を考えるのです。
株価は常に正しい水準というわけではありません。株式市場はあるべき水準と常に異なった価格を提示してきます。
本来取引されているべき価格と、現在の株価に乖離があると考えられる銘柄に投資を行い、本来の水準に戻る過程で利益を得ようとする手法です。
詳しくは以下で詳しくお伝えしていますので参考にしていただければと思いあmす。
将来の成長に重点を置くグロース株投資
一方のグロース株は未来の成長に重点を置きます。
現在のEPSが100円で株価が5000円の場合はPERが50倍となります。これだけ聞くと非常に割高に見えますよね。
しかし、株価が変わらない状態でEPSが30%上昇した場合、現時点の株価は将来的に非常に低いPERになるのです。
EPS | 現在の株価を元にした PER | |
現在 | 100.0 | 50.0 |
1年後 | 130.0 | 38.5 |
2年後 | 169.0 | 29.6 |
3年後 | 219.7 | 22.8 |
4年後 | 285.6 | 17.5 |
5年後 | 371.3 | 13.5 |
6年後 | 482.7 | 10.4 |
7年後 | 627.5 | 8.0 |
8年後 | 815.7 | 6.1 |
9年後 | 1060.4 | 4.7 |
10年後 | 1378.6 | 3.6 |
上記の算定の通り通り、10年間成長が継続した場合10年後に現在の株価ベースではPERは3.6倍になるのです。
さらにもしEPSが毎年50%の急成長を成し遂げた場合、4年後には現在の株価ベースでPERは10倍未満になるのです。
将来成長する可能性が高く、ある程度の期間継続することが見込まれる銘柄に投資をするのがグロース株投資です。
わかりやすく両者の違いを図解すると以下の通りとなります。
グロース株投資の最も代表的な投資家はウォーレン・バフェット氏です。
彼はROEが継続して高い銘柄に現時点の株価が高くても投資を行います。ROEが高い銘柄は指数関数的にEPSが上昇するので将来的に現時点の株価は低くなります。
彼はバリュー株投資の父であるベンジャミン・グレアムを師と仰ぎながら、その慧眼で成長企業を見極めて投資をして巨万の富を築いたのです。
バリュー株投資とグロース株投資のリターンの比較
では重要なバリュー株とグロース株投資のどちらが優れたリターンを出しているかを比較していきたいと思います。
超長期のリターンはバリュー株投資が圧倒
以下は歴史ある米国株の1979年からのバリュー株とグロース株の比較です。成績は以下の順番となっています。
成績の順番
小型バリュー株
↓
大型バリュー株
↓
大型グロース株
↓
小型バリュー株
ここでいうバリュー株はPBRが低く、成長指標の実績値や予測値が低い企業の集合体となります。
また、グロース株はPBRが比較的高く、成長指標の実績値や予測値が高い企業の集合体となります。
また、同様の結果が日本株でも見られます。以下は野村證券がまとめたグロース株とバリュー株のリターンの比較です。
バリュー株のグロース株に対するリターンの差は大きなものとなっています。
直近はグロース株優位の環境
超長期でみるとバリュー株がグロース株を凌駕しています。しかし、常にバリュー株がグロース株を上回っているわけではありません。
リーマンショック以降の相場ではグロース株の方が高いリターンを出しているのです。
しかし、長期的にみると以下のとおりグロース株とバリュー株相場は交互に訪れています。
2020年代の後半は今度はバリュー株相場に交代することも十分ありえます。
バリュー株投資がグロース株投資より高いリターンをだす理由を考察
ではなぜ上記の通りバリュー株がグロース株より高いリターンとなっているのかを考察していきたいと思います。
成長の確からしさを予見するのは難しい
今まで成長してきているからといって、将来もそのリターンが継続する可能性は非常に不透明です。
2000年時点で現在のスマートフォンを誰もが持っている世界を誰も予見できていなかったでしょうし、IoTや電気自動車が普及し始めることも見通せなかったでしょう。
今まで成長してきたことと、今後も成長しつづけことはイコールではないのです。
モノやサービスには流行り廃りがあります。
高い期待によって高い株価が正当化されていますが、一度成長が衰えれば株価は期待の剥落で暴落してしまうのです。
グロース株の選定基準が甘い
以下は先ほどバリュー株との比較に用いたグロース株のインデックスであるラッセル1000グロース株指数の説明です。
It includes those Russell 1000® companies with higher price-to-book ratios and higher forecasted growth values.
つまり、PBRが比較的高くて成長率が高い銘柄を選定しているとしています。
以下は2024年末時点でのデータですが、ほぼ約半数がグロース株インデックスとして分類しています。
バリュー株が855銘柄を組み入れていることを考えると被っている銘柄もあるということですね。
全体 (Russell 1000) |
Russell 1000 Growth |
Russell 1000 Value |
|
PBR | 4.60 | 12.47 | 2.48 |
配当利回り | 1.50% | 0.77% | 2.28% |
過去5年 EPS成長率 |
15.38% | 19.23% | 4.98% |
組入銘柄数 | 1018 | 453 | 855 |
グロース株は過去の成長率だけでなく、もっと厳選して銘柄を選ぶ必要があります。
ビジネスモデルが今後拡大していく領域のものなのか?
業界の中で主導的な株となっているのか?
チャートは上昇基調の中にあるのか?
等、様々な観点で銘柄が有力かどうかを選んでいく必要があるのです。
バリュー株は確実な今をみて判断をする
一方、バリュー株投資は将来の成長という不確定要素を加味しません。
株価は常に正しい値を示しているとは限りません。場合によっては「あるべき株価」とは著しく異なる株価で取引されている場合もあるのです。
短期的には異常な価格を示すこともありますが、長期的にはあるべき価格に収斂していきます。
バリュー株投資では、本来あるべき価格より低い値で取引されている銘柄に投資を行います。
その後、あるべき価格に見直される過程で利益を取るため、確実性がグロース株投資よりも高いのです。
まとめ
今回のポイントを纏めると以下です。
- バリュー株は今を見て割安度を判断し、グロース株は将来の成長を加味して割安度を判断する
- バリュー株は超長期でグロース株を凌駕した成績を収めている
- ただバリュー株が強い相場もあればグロース株が強い相場もあり交互に訪れている
- グロース株は不確定要素が強いので長期的にバリュー株に劣後する結果になってしまっている
- グロース株投資は指標的な面だけでなく多角的に銘柄を厳選する必要がある
魅了的なバリュー株をさらに洗練化して高いリターンを安全に叩き出すファンドについては以下ランキングでも取り上げていますので参考にしていただければと思います。