社会人として過ごし20年以上、ここまでコツコツとバランス良く貯金してきたものの、目まぐるしく変化していく現代社会で、どれくらいあれば安心なのか?
とふと疑問に思うことはないでしょうか?
筆者などは臆病者ですから、毎日のように自身の資産額と将来計画の出費を眺め、落ち着かない毎日を過ごしています。そのせいか、随分と金融知識が付いたように思います。
この記事では筆者と同じ40代以上の方にとって、資産はどれくらいあれば「安心」なのかについて、解説していきたいと思います。
一般的な40〜50代の本当の貯金額は?
1000〜2000万円の貯蓄では少ない?平均は〇〇万円
そもそも自分の貯金・金融資産総額が国民同世代のどのくらいの位置にいるかは把握しておくことが肝要です。
ベンチマークを知るということですね。金融広報中央委員会がまとめた結果は以下となっています。
(単位:万円)
平均 | 中央値 | |
20代 | 106 | 5 |
30代 | 359 | 77 |
40代 | 564 | 50 |
50代 | 926 | 54 |
60代 | 1335 | 300 |
1000万円〜2000万円でも残念ながら上位という結果になりましたね。
ただこれは令和3年、つまり2021年の結果なので2023年はもう少し多いとは思います。日経平均など上昇が続きましたからね。
40代〜50代の何%が3000万円以上保有している?
中央値を基本的にみたいですが、40代で50万円は地方も含めてですので、どうしてもこういう数値になりますね。各年代の分布も見ていきましょう。
35歳未満 | 35~44歳 | 45~54歳 | 55~64歳 | 65〜74歳 | 75歳以上 | |
〜100万円 | 48% | 32% | 23% | 12% | 7% | 6% |
100〜450万円 | 27% | 15% | 10% | 7% | 6% | 5% |
450〜900万円 | 17% | 18% | 15% | 12% | 10% | 10% |
900~1200万円 | 3% | 6% | 6% | 6% | 6% | 6% |
1200~1500万円 | 2% | 5% | 5% | 5% | 6% | 6% |
1500~2000万円 | 2% | 8% | 8% | 8% | 9% | 9% |
2000~3000万円 | 4% | 8% | 11% | 13% | 14% | 14% |
3000~4000万円 | 1% | 4% | 7% | 10% | 11% | 11% |
4000~5000万円 | 1% | 4% | 5% | 7% | 8% | 8% |
5000~7500万円 | 1% | 3% | 7% | 12% | 13% | 12% |
7500~1億円 | 0% | 1% | 2% | 5% | 5% | 6% |
1億円以上 | 0% | 2% | 4% | 7% | 8% | 8% |
わかりやすく3000万円以上保有している方の割合を示したものが以下となります。
35歳未満 | 35~44歳 | 45~54歳 | 55~64歳 | 65〜74歳 | 75歳以上 | |
3000万円以上 | 3% | 14% | 25% | 41% | 45% | 45% |
3000万円以上の資産を保有している方は基本的に退職金をいただいた後という様相を呈していますね。
「安心」を定義!貯金・金融資産が3000万円〜5000万円あれば安心?
基本的には、「安心」なのは実現可能な利回りは4%と言われていますが、運用利回りのみで生活できるという状態でしょうか。
つまり1億円保有していて4%で運用すれば400万円(正確には税後320万円)で生活が回れば良いということです。
しかし、運用利回りギリギリで生活するというのは精神的にきついものがあります。経済恐慌などで資産が一気に溶けてしまった時に、仕事などを辞めていたら取り返しがつかなくなります。
仕事を続けつつ、運用利回りで生活するというのであれば問題ないでしょう。仕事で稼いだ分は運用資産の元本に入れていくと良いかと思います。
子育て真っ最中の40代の場合
居住する場所によって生活費は大きく異なりますよね。都心なのか、都内なのか、郊外ベッドタウンなのか。
二人以上の勤労世帯の平均家計収支は以下となっています。
消費支出を抜き出すと以下です。
二人以上勤労世帯 | 金額 |
食料 | 78,605 |
住居 | 19,806 |
光熱・水道 | 21,353 |
家具・家事用品 | 12,688 |
被服及び履物 | 10,522 |
保険医療 | 12,998 |
交通・通品 | 49,515 |
教育 | 19,187 |
教養娯楽 | 27,543 |
交際費 | 13,307 |
その他 | 43,945 |
非消費支出 | 112,634 |
合計(月額) | 422,103 |
合計(年額) | 5,065,236 |
月額で422103円、年間で約500万円です。この500万円を税後(キャピタルゲイン税20.15%)で運用利回りで賄おうと思うと・・・500万円/79.85%/4%=156,543,519となります。
約1.6億円があれば毎年ギリギリ年利4%の生活ができるということです。
勤め先収入の黒字分を元本に注入していくのが良いですね。ただ、上記は全国平均であり、地域別で状況は異なります。以下は全て上記の全国平均に合わせて持ち家前提です。
住居は固定資産税や修繕費などを考慮しています。特に贅沢な生活ではなく、一般的な水準の生活費であり、旅行など贅沢をする場合は全く足りないことを認識しておいてほしいです。
二人以上勤労世帯 | 全国平均 | 都心 | 都内 | ベッドタウン |
食料 | 78,605 | 157,210 | 133,629 | 94,326 |
住居 | 19,806 | 59,418 | 33,670 | 23,767 |
光熱・水道 | 21,353 | 30,000 | 26,000 | 23,000 |
家具・家事用品 | 12,688 | 25,376 | 21,570 | 15,226 |
被服及び履物 | 10,522 | 31,566 | 17,887 | 12,626 |
保険医療 | 12,998 | 38,994 | 22,097 | 15,598 |
交通・通品 | 49,515 | 99,030 | 84,176 | 59,418 |
教育 | 19,187 | 57,561 | 32,618 | 23,024 |
教養娯楽 | 27,543 | 55,086 | 46,823 | 33,052 |
交際費 | 13,307 | 39,921 | 22,622 | 15,968 |
その他 | 43,945 | 87,890 | 74,707 | 52,734 |
非消費支出 | 112,634 | 112,634 | 112,634 | 112,634 |
合計(月額) | 422,103 | 794,686 | 628,431 | 481,373 |
合計(年額) | 5,065,236 | 9,536,232 | 7,541,174 | 5,776,478 |
それぞれの生活費を年利4%で回そうとすると必要な運用元本は以下になります。
- 都心・・・2.99億円
- 都内・・・2.36億円
- ベッドタウン・・・1.8億円
安心の捉え方にもよりますが、できるだけ保守的に考えることをおすすめします。ただ、人生妥協も大事で、ベッドタウンや地方に終の棲家を構えるのも現実的な選択でしょう。
子育てが終した後の50代の場合
50代の場合も考え方は同様ですが、子供が巣立つという点が大きくことなります。
60歳の定年も近いので、60歳までは会社で働くとして定年後の生活は年金と退職金を合わせればかなり豪勢な老後を送れるのではないかと期待してしまいますよね。
上記で示した生活費は50代は仕事を頑張ることで乗り切るとして、60歳以降にかかる生活費は以下となっています。(抜粋:60歳以降の夫婦の生活費)
全国平均 | |
食料 | 65,760 |
住居 | 16,608 |
光熱・水道 | 19,526 |
家具・家事用品 | 10,324 |
被服及び履物 | 4,938 |
保険医療 | 16,159 |
交通通信 | 25,137 |
教養娯楽 | 19,301 |
交際費 | 20,648 |
その他 | 25,810 |
税金等 | 30,664 |
合計(月額) | 224,436 |
合計(年額) | 2,693,232 |
65歳からもらえる毎年の年金額は以下で最大が240万円ですが、上記の生活費を完全に賄い切ることができません。
毎月30万円程度の赤字ですから年間で360万円の赤字です。配偶者が3号保険者であれば年間79.5万円支給されますので280.5万円を解決できれば良いですね。
平均年収 | 65歳以降の年金支給額 |
400万円 | 163.1万円 |
500万円 | 180.6万円 |
600万円 | 203.1万円 |
700万円 | 225.6万円 |
762万円以上 | 240.5万円 |
利回り4%を確保できるとすれば、8766万円の資産があれば安心ということです。
ただ、これは全国平均であり、もっと都心で贅沢をしたいということであれば、1億円以上は当然に必要になってきます。
参考までに東京都内(都心以外)で裕福な老後を迎えようと思うと、以下が必要です。
都心であればこの倍以上必要ですが、さすがに厳しいので東京都内として前提を置いておきます。都心で贅沢をするにはやはり独立して成功しないとダメだ、という示唆がありますね。
東京で裕福な老後 | 持ち家 | 賃貸 |
必要な支出① | 1億7760万円 | 2億6400万円 |
得られる収入② | 1億1335万円 | |
必要な備え(=①-②) | 6425万円 | 1億5065万円 |
参考:老後資金は1億5000万円確保すればリタイアできる?資産1億円以上が実現できる生活レベルで豊かなFIREまでの道筋をつけよう!
「安心」を手に入れるには資産運用は避けられない
上記で「安心」にはどれくらいの資産が必要かという話をしてきましたが、かなり困難だなと感じたはずです。
やはり会社で固定収入を得て、貯金に回すだけでは心もとありません。自分以外にも自分のために働いてくれる人が必要ですし、それは資産運用に他なりません。
また、上記では利回りで生活が成り立てば安心だと書いてはいますが、実は人は資産が増えない、減っている状態になると途端に心配になります。
筆者の経験からの意見ではありますが、人間は資産が増加を続けることで不安から脱出できるものだと考えています。
つまり、昨今は3000万円や4000万円でFIREした人も相次いでいましたが、結局資産が目減りすることに耐えられずFIRE卒業という形で職場復帰しています。
さて、資産が増え続ける状態を確保するにはどうすれば良いかというと、堅実且つ、複利で資産が増加する投資先へ資金を投入すべきです。
例えば、インデックスファンドやゴールドなどは過去に安定した利回りを提供してきましたが、度重なる暴落を乗り越えた結果が年率6-8%程度なのです。
あまりにもボラティリティが高く、また暴落した後に一生回復しないかもしれない可能性もあるのです。例えばITバブル崩壊の後に、米国インデックスは実に13年間も株価が戻りませんでした。
40代、50代といえば老後を気にする年代であり、若者のようにリスク選好な投資は避けるべきなのです。
では、どのような運用先があるのかというと、オルタナティブ投資の一つであるヘッジファンドという選択肢があります。
ヘッジファンドは一流の投資家であるファンドマネジャーが顧客より資産を預かり、下落相場でも上昇相場であっても関係なくリターンを追求する「絶対収益型」のファンドです。
私募ファンド形態なので、あまり表には情報は出てきませんが、その実績は確かなものとなっています。
何よりも、下落耐性の強さが秀でており、資産運用の基本は大きな損失を出さないことであると改めて認識させられます。
あのウォーレン・バフェット氏も運用開始後30年間は無傷で常にプラスのリターンを積み重ね、今や世界で5本の指に入る億万長者となりました。
世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーターのリターンも、異次元緩和で膨れ上がったS&P500のリターンと同等にはなっていますが、暴落を回避し続けていることで世界中の投資家を惹きつけています。
日本にもヘッジファンドが存在しますが、ブリッジウォーターと同様の哲学を持った、また実績あるヘッジファンドが存在します。
以下の記事でそのヘッジファンドも含めまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
40〜50代はいくら持っていれば安心なのかを考察してきました。
基本的には、運用のみで生活費を稼ぐだせれば一旦は安心ですが、真の安心にはやはりどれだけお金を使っても資産が増え続ける状態にすることがマストです。
それには運用が絶対に必要であり、来る日本のインフレ全盛期に向けて、早めに資産運用は開始しておきましょう。気づけば資産が溶けてしまっている状態だけは避けなければなりません。
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