当サイトでも以前よりレバレッジ型投資信託やレバレッジ型ETFについて取り上げてきました。
今回はレバレッジ型の投資信託のブル型で有名な楽天日本株トリプルベアⅣについて、
どのような投資信託か運用成績がどうなっているか今後の見通しについてもお伝えしていきたいと思います。
最後に魅力的な投資先もお伝えしていますが、
私のおすすめ投資先ランキングについてもご覧いただければと思います。
楽天日本株トリプルベアⅣの概要と仕組み
楽天日本株トリプルベアⅣは目論見書によると以下の方針のもと運用されています。
当ファンドは、わが国の株価指数を対象とした先物取引(以下「株価指数先物取引」といいます。)を積
極的に活用することで、日々の基準価額の値動きがわが国の株式市場の値動きに対して概ね3倍程度
反対となることを目指して運用を行います。<引用:楽天日本株トリプルベアⅣの目論見書>
つまり以下図のように日本株指数が10%上昇すれば、楽天日本株トリプルベアⅣは▲30%となり、
日本株指数が▲10%となれば、楽天日本株トリプルベアⅣは+30%となります。
我が国の株価指数を言明しておりませんが、日経平均先物を用いてレバレッジを掛けている為、
日経平均に対して3倍の反対の値幅となることを目指す投資信託ということが出来ます。
重要なのは毎日のお値動きに対して値幅が3倍になることを目指すということです。
つまり現在T日として以下のように日経平均が動いた場合を考えます。
T日:日経平均20,000円 トリプルベア 1000
T+1日:19,000円 (前日比▲5%) ⇒ トリプルベア▲5%×▲3倍 = 15%となり1,150円
T+2日:17,100円 (前日比▲10%) ⇒トリプルベア▲10%×▲3倍=30%となり1,495円
となります。
日経平均は20,000円⇒17,100円で▲14.5%となる一方、
この間トリプルベアであれは▲14.5%×▲3倍 = +43.5%となるので、
1,000円 ⇒ 1,435円となりますが実際は1,495円になります。
2日間でもこのような差が出てくるので、期間が長くなればなるほどズレは大きくなっていきます。
レバレッジを生み出す仕組みとしては投資家から集めた資金を担保にして、
日経平均先物で3倍の量を売り建ててトリプル(3倍)のベア(逆連動)ファンドを仕立てています。
楽天日本株トリプルベアⅣは目的を達しているのか?
楽天日本株トリプルベアⅣは先程申しあげたトリプルベアとしての成績を、
しっかりと実現しているのかを確認する必要があります。
多少のブレはありますが、概ね日経平均先物の▲3倍のリターンを叩きだしています。
日経平均先物 | 楽天日本株トリプルベアⅣ | |
2021/1/4 | -0.4% | 1.3% |
2021/1/5 | -0.9% | 2.8% |
2021/1/6 | -0.2% | 0.6% |
2021/1/7 | 1.6% | -4.8% |
2021/1/8 | 2.6% | -7.6% |
2021/1/12 | 0.2% | -0.5% |
2021/1/13 | 1.0% | -2.9% |
2021/1/14 | 1.2% | -3.7% |
2021/1/15 | -1.2% | 3.6% |
2021/1/18 | -0.9% | 2.9% |
2021/1/19 | 1.7% | -5.1% |
2021/1/20 | -0.6% | 1.9% |
2021/1/21 | 0.8% | -2.6% |
2021/1/22 | -0.3% | 1.0% |
2021/1/25 | 0.5% | -1.6% |
2021/1/26 | -0.9% | 2.6% |
2021/1/27 | 0.4% | -1.2% |
2021/1/28 | -2.1 | 6.2% |
2021/1/29 | -1.7% | 5.1% |
2021年1月単体でみると、日経平均先物は27,320円 ⇒ 27,570円となり+0.91%となっています。
一方楽天日本株トリプルブルは2,472⇒2,366と▲4.3%となっています。
トリプルベアなのに約5倍近く反対に動いていますね。
先程述べたような日々の値動きに対して逆3倍なので長期間でみると差異が出やすいのです。
ともあれ目標としている日々の値動きの▲3倍の運用が出来ているといえるでしょう。
楽天日本株トリプルベアⅣの運用成績-単体と日経平均との比較-
それでは肝心の楽天日本株トリプルベアⅢの運用成績を紐解いていきましょう。
楽天日本株トリプルベアⅣの単体の運用成績-大きなマイナスを出し続けて・・・-
以下は楽天日本株トリプルベアⅣの基準価格ですが2019年3月の10,000円から、
2021年1月末時点で2,366円という悲惨な数値になっています。
そもそも何故楽天日本株トリプルベアⅣという名前が付いているか疑問に思われた方もいらっしゃると思います。
実はトリプルベアⅠもトリプルベアⅡもトリプルベアⅢもあったのですが、基準価格が下がりすぎて償還となっているのです。
レバレッジ型投資信託は長期投資には向いていないのです。
楽天日本株トリプルベアⅣの運用成績を日経平均と比較
楽天日本株トリプルベアⅣの成績が悪かったのは、市場環境として日経平均が堅調に推移したことが要因として挙げられます。
以下ご覧頂きたいのですが、過去2年間日経平均が約41.6%上昇したことにより、
反対に楽天日本株トリプルベアⅢは約▲82.3%の下落となっています。
トリプルベアなので長期的に3倍下落するというわけでもありません。そもそも3倍反対の動きをしたら既に元本全てを毀損されますからね。
いずれにせよ、市場が総じて二年間でみると堅調だったので、トリプルベアは好調な市況に影響を受けて下落してったという側面があります。
青:楽天日本株トリプルベアⅣ
赤:日経平均株価
しかし、市場要因だけではないレバレッジ投資信託特有の下落要因も抱えております。
以下の期間では日経平均は殆ど動いていないにも関わらず、楽天日本株トリプルベアⅣは15%近く下落しています。
青:楽天日本株トリプルベアⅣ
赤:日経平均株価
ブル・ベアに限らずレバレッジ型は対象となるインデックスの価格が停滞して小刻みに動く場合は、
以前、楽天日本株4.3倍ブルでお伝えした通り下落する特性があるのです。
以下はトリプルブルの例ですが、インデックスが10ずつ上下に動き結果的に最初と同じ値となっても、
トリプルブルは17%下落するという結果になりました。
トリプルベアでも同じことが起こります。
楽天日本株トリプルベアⅣの見通し
楽天日本株トリプルベアⅣの見通しは日経平均の見通しの逆となります。
日経平均は既にバブル以降初めて3万円を超えてきています。
平成生まれ世代からすると、もう過熱感があると感じるかもしれませんが決して加熱しているわけではありません。
東証一部のPBRは平均的に0.7倍と非常に割安な水準になっています。
→ バリュー株投資とは?割安指標であるPERとPBRの見方や考え方を注意点を交えながらわかりやすく説明する!
更に各国中央銀行は金融緩和の手を緩める気配はなく、株価には勢いがついたままです。
このような環境で逆張りをするのは得策ではありません。
トリプルベアに投資をし続けると大きく資産を失う可能性が高いといえるでしょう。
大きなリターンを安全に狙うヘッジファンドという選択肢
おそらく楽天トリプルベアを気になった方は大きなリターンを狙いたいという方であると思います。
しかし、上記で説明した通りレバレッジ型の投資信託は逆に大きな損失を被る可能性が高いとわかったかと思います。
相場環境によらず高いリターンを残す投資としてオルタナティブ投資が注目を集めています。
実際に長期的に10%以上のリターンを出している米国の一流大学の基金は70%以上の高い比率でオルタナティブ投資を組み入れています。
→ 資産分散を行い市場平均をオーバーパフォームする投資ポートフォリオを組成する為の考え方とは?エンダウメントの投資手法を参考にしよう!
以下はハーバード大学のポートフォリオですが、オルタナティブ投資のなかでもヘッジファンドを40%近く組み入れています。
ヘッジファンドは下落相場を抑制しながら安定して10%以上のリターンをだし市場平均を出し抜いています。
→ ヘッジファンドとは何者?わかりやすく簡単に解説。私募(プライベート)ファンド・公募ファンド(投資信託)の違いを理解しよう!!
以下で日本人でも投資ができるヘッジファンドについてランキング形式でまとめていますので参考にしていただければと思います。
【2021年・国内和製優良ヘッジファンド】おすすめ投資先ランキング〜リスクを抑え安全・着実に資産を増やせる運用先を紹介〜
まとめ
楽天日本株トリプルベアⅣは日本株指数のリターンに対して日々逆3倍のリターンを求める投資信託で、
目標通りの成果は出しているのですが、設定以来日経平均が堅調に推移していることに加え、
停滞時に下落するというインデックスファンドの特性という要因もあり設定以来2年で基準価格は5分の1まで下落しています。
今後の見通しは株式相場のブル相場は継続することが見込まれ、トリプルベアへの投資は非常に危険なものとなっています・
レバレッジ型の投資信託はピンポイントで大きな利益を得る為に活用することは有用ですが、
長期投資には全く向かない形態のファンドとなっており、長期的に安定して大きなリターンを出したいという方は、
避けたほうが良い投資先なので安易に手を出さない方が賢明でしょう。
長期投資に魅力的なファンドについては以下でランキング形式でお伝えしていますので参考にして頂ければと思います。