日本には様々な投資信託が存在します。楽天証券やSBI証券などは2500銘柄以上の投資信託を取り扱っています。
指数に連動するインデックス投信や指数に対してプラスのリターンを狙うアクティブ投信などがありますが、
今回はその中でも低位株に絞って投資を行う特殊な投資信託「低位株オープン」を取り上げてみたいと思います。
低位株オープンの特徴とは?低位株に特化したバリューファンド
「低位株オープン」は日興アセットマネジメント株式会社が運用しています。
主要投資対象は、日本の金融商品取引所第一部上場の全銘柄です。
値がさ株・中位株・低位株の3ランクに分類したうえで、低位株(第一部上場銘柄中、低位3分の1)に属する銘柄群の中から成長性、業種分散等を勘案した銘柄に投資します。
低位株に特化しており、大きなリターンを狙っていることがわかりますね。
運用プロセスは以下の通りです。
運用プロセスは日本の低位株の抽出、信用リスク銘柄などの排除、投資対象の選定、ポートフォリオの構築です。
低位株オープンの所属カテゴリーは「国内小型バリュー」となっており、小型株を割安で購入し株価上昇を狙っていくファンドであることがわかりますね。
純資産額は2021年7月31日時点で38.75億円程度となっています。非常に小型なファンドですね。
低位株オープンの組み入れ上位銘柄
低位株オープンのポートフォリオをみていきましょう。以下は7月末のデータです。
(ポートフォリオ)
銘柄 | 業種 | 純資産比 |
JVCケンウッド | 電気機器 | 1.35% |
シュッピン | 小売業 | 1.18% |
テモナ | 情報・通信業 | 1.14% |
バンドー化学 | ゴム製品 | 1.11% |
新東工業 | 機械 | 1.06% |
ゼビオホールディングス | 小売業 | 1.06% |
センコーグループホールディングス | 陸運業 | 1.04% |
クロス・マーケティンググループ | 情報・通信業 | 1.03% |
スクロール | 小売業 | 1.01% |
新日本科学 | サービス業 | 1.00% |
上位にJVCケンウッド、シュッピン、テモナが並びます。非常にマイナーな銘柄が並んでおり、バリュー株ファンドを実感します。
構成銘柄トップのJVCケンウッドの株主は以下の通りとなっています。
株主名 | 持ち株 | |
比率(%) | 株式数 | |
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 8.91 | 14,613,000 |
日本カストディ銀行(信託口) | 8.26 | 13,547,000 |
インタラクティブ・ブローカーズ | 2.58 | 4,229,000 |
ステート・ストリート・バンク&トラスト505103 | 1.69 | 2,775,000 |
日本カストディ銀行(信託口5) | 1.62 | 2,654,000 |
DFA(Int`l)スモールキャップバリュー・ポートフォリオ | 1.57 | 2,571,000 |
バンク・オブ・ニユーヨーク・メロン140040 | 1.51 | 2,482,000 |
日本カストディ銀行(信託口6) | 1.41 | 2,310,000 |
JPMBLノムラ・インターナショナル1CE | 1.39 | 2,279,000 |
JPモルガン・チェース・バンク385781 | 1.35 | 2,207,000 |
自社(自己株口) | 0.04 | 59,700 |
日本マスタートラスト信託銀行(信託口)、日本カストディ銀行(信託口)が上位株主であり、オーナー企業というわけではないですね。
業績は以下です。
売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期利益 | |
3年平均成長率 | -3.10% | -11.00% | -8.60% | -3.40% |
5年平均成長率 | -1.30% | 1.70% | 28.60% | -8.70% |
10年平均成長率 | -2.50% | -9.30% | -5.00% | - |
成長率が低いですね。COVID19も無風だったようですが、業績見通しが明るくないのは気になるところです。
アクティブ型投信として一般的な手数料水準
低位株オープンはアクティブ投信として一般的な水準となっています。
購入手数料:3.3% (税込)
信託手数料:年率1.65%(税込)
購入手数料が若干高いですが、一般的な水準の範囲といえます。
低位株オープンの運用実績
肝心の低位株オープンの運用実績をみていきたいと思います。
以下は設定来のチャートとなります。
年間騰落率のボラティリティが気になりますね。
Morning Starのデータとしてみると以下の通りとなります。
年 | 1年 | 3年(年率) | 5年(年率) | 10年(年率) |
トータルリターン | 31.51% | -0.21% | 8.17% | 9.64% |
標準偏差 | 16.31 | 20.96 | 17.55 | 18.11 |
損を出さないことに特化したいので、通年成績も見ていきます。直近は異次元金融緩和で大きなリターンを出した割に、3年リターンは低いですね。マイナスです。直近は成績が悪いのではないかとの疑念が生まれます。
1-3月期 | 4-6月期 | 7-9月期 | 10-12月期 | 1-12月期 | |
2021年 | 14.54% | -3.19% | -- | -- | -- |
2020年 | -23.79% | 9.71% | 9.14% | 1.72% | -7.18% |
2019年 | 6.58% | -2.93% | 0.89% | 15.26% | 20.32% |
2018年 | -6.32% | -0.61% | 5.02% | -21.81% | -23.55% |
2017年 | 5.56% | 5.36% | 10.24% | 6.90% | 31.07% |
ここ5年で2回もマイナスの年がありますね。厳しいですね。
マイナスを出しているのですでに選択範囲になく、TOPIXとも比べようと思いましたがそれはやめておきます。
まとめ
低位株オープンは、近年はマイナスを出してしまう年も頻発しており不安定、想定される最大損失も大きくなってきています。
過去の結果をみて、投資をするかどうかを判断する前に一度立ち止まって考えてみることを推奨します。