退職金はサラリーマンの方が最後に勤め上げた報酬として貰うまとまったお金です。
人生100年時代を見据えて退職金を少しでも増やしたいというニーズに応えるべく運用プランを提示しています。
新生銀行では資産運用を始める方に向けてマネープランガイドという指南書も作成しています。
今回は新生銀行で退職金を運用する際の選択肢についてお伝えしていきたいと思います。
円預金 (普通預金・定期預金)
まずは日本人が大好きな円預金からです。
2週間満期預金
2週間限定で満期になる使い勝手のよい預金を用意しています。
0.03%なので当然のように殆どリターンは存在していません。
次の運用を始めるまでの間に寝かしておく先として新生銀行自体も推奨しています。
運用先というよりは準備資金用ということですね。
(参照) 1000万円以上の資産を大口定期預金で運用。銀行の優遇メリットと金利比較!おすすめは?どこに預けるべきか。
ハッピーバースデー円定期預金
これは新生銀行ならではの円定期預金です。
誕生日を迎えた顧客が、誕生月中に申し込み入金すれば3ヶ月限定で0.3%という定期預金としては最高水準の金利を受け取れるキャンペーンです。
確かにメガバンクなどの水準に比べると高いですが、ネットバンクと同様の水準です。
また、たとえ0.1%が0.3%になったところで利回りがあるという水準とは決して言えません。
退職金を増やしたいと考えるのであれば、選択肢として切り捨てた方がよいでしょう。
最大13通貨を取り扱う外貨預金
新生銀行は外貨預金として二つのプランを準備しています。
1ヶ月限定の優遇金利での外貨預金の落とし穴
一つ目は一ヶ月ものの高金利の外貨預金です。
この低金利時代で以下のように各通貨で破格の高金利を得られることができます。
米ドル | 4.0% |
ユーロ | 2.0% |
NZドル | 6.0% |
南アフリカドル | 20.0% |
英ポンド | 3.0% |
オーストラリアドル | 5.0% |
人民元 | 15.0% |
トルコリラ | 30.0% |
ただし条件として円からの預け入れが課されています。
外貨に変換される際に手数料を取られてしまうので、著しく利回りは低くなります。
更に期間はたったの1ヶ月ですので実際に得られる利回りは上記の数値の12分の1となります。
為替手数料の方が高いので実質殆ど利回りをえることはできません。為替リスクを得るだけとなります。
ちなみに手数料は以下となります。
STANDARDの場合は往復で30銭となります。110円ベースで考えると0.27%となります。
米ドルで1ヶ月にもらえる金利は4%なので1ヶ月あたりだと0.33%となります。差し引き0.06%というリターンになりますね。
米ドル円の為替リスクをおうことになるので、ただ為替取引を行っているだけにすぎません。
FXでSWAPポイントをもらっていた方がまだましな水準です。
通常の外貨預金
通常の外貨預金の金利は以下となります。低いですね。
コロナショックを受けて先進国が協調的に金融緩和したことを受けて世界的に金利が低下しているのです。
円から変換する場合は為替手数料は同様に発生するので満期まで解約できない外貨預金をあえて行うメリットはありません。
特徴的な仕組み預金
新生銀行ではデリバティブ取引を用いた預金を提供しています。
パワード定期 (円投資型)
パワード定期(円投資型)では以下の通り、高い利回りを得ることができます。
現在設定されているのはNZドルに対してです。
高い利回りを得られますが、当然条件があります。
パワード定期(円投資型)は預け入れた時の基準レートに対して設定レートが設定されます。
設定レートは上記の通り基準レートから低くなればなるほど利回りは低くなります。
判定日に設定レートよりも円安であれば、円で元本と利息を受け取れます。
しかし、設定レートよりも円高となっていればNZドルでの元本と利息の受け取りとなる仕組みです。
以下ではわかりやすくドルで説明がなされています。
預け入れた日のドル円が103円とします。設定レートを基準レート-3円の100円としたとします。
すると、判定日に105円の場合は100円よりも円安水準なので元金と利息を円で受け取ることができます。
しかし、判定日に95円となっていた場合は米ドルでの受け取りとなってしまい実質的に円ベースでみると損をすることになります。
パワード定期プラス
パワード定期プラスは金利については円で受け取れるバージョンです。
判定日に判定レートより円安ならば円で受け取ることができますが、判定レートより円高ですと外貨での受け取りになってしまいます。
パワード定期(外貨投資型-外貨タイプ)
パワード定期(外貨投資型-外貨タイプ)は外貨で預け入れて別の外貨で判定するというタイプです。
非常に複雑ですね。
例えばドルを元金として、相対通貨をユーロとします。
すると、判定レートよりドル高ユーロ安になれば元本と利息をユーロにて支払い。
反対に判定レートよりドル安ユーロ高になれば元本と利息をドルにて支払いといなります。
元本がドルの場合の金利水準は以下の通りとなります。
仕組み債「パワーリターンS&P500 2110」も用意
新生銀行は仕組み預金だけでなく、デリバティブを活用した仕組み債も提供しています。
提供しているといっても、バークレイズの商品を仲介するという形になっています。
2%の利回りを得られる代わりに、米国のS&P500指数の値動きによっては元本割れする可能性のある商品です。
以下で説明しますが、正直得られるリターンに対してリスクが大きい商品となっています。
S&P500指数がある条件を下回って満期を迎えた時に元本割れが発生します。
上記のノックイン事由が発生したというのは以下のケースです。
行使価格の65%に設定されているノックイン価格を下回り、なおかつ最終的に最初の日のレベルまで回復しなかった場合です。
この場合、例えば最初の日にS&P500が4500ポイントで、満期日に4050ポイントとなっていたら元本が9割になって返ってきます。
S&P500が35%も暴落することは殆どありませんがコロナショックなどが発生すると十分元本割れとなる可能性があります。
負っているリスクに対して得られるリターンが少なすぎるといえるでしょう。
であるならば、素直にS&P500指数に投資をしておいた方がよいでしょう。
→ ブロガーにも人気の「emaxis slimシリーズ」の先進国株式インデックスを解説(ニッセイ外国株式インデックスファンドとベンチマークは同様)
新生銀行が用意する金銭信託「新生パワートラスト」とは?
そもそも金銭信託とはなに?
という方も多いと思います。金銭信託とは名前の通り「お金」を金融機関に預け入れて運用してもらうことを指します。
信託銀行などが利用者にかわってお金を管理・運用する金融商品です。資金を信託財産として預け、信託銀行などがあらかじめ決められた方針に沿って運用し、利用者はその収益を受け取ります。
信託銀行などが多数の利用者から委託された資金を管理・運用し、生じた収益を分配します。運用益によって、配当率が変動します。
複数の人から集めた資金などをあわせて運用することを「合同運用」、委託者それぞれに分けて運用することを「単独運用」といいます。
元本補てん契約により元本が保証される商品と元本補てん契約がなく元本が保証されない商品があります。
据え置き期間中は、原則として解約ができません。参照:全国銀行協会
新生銀行ではグループである新生信託銀行が新生パワートラストを運用しています。
新生パワートラストでの予定配当率は以下となっています。
太文字にしている割に得られる率が定期預金並みですね。
一度も元本割れしていないということを謳っていますが、むしろこの利率で元本割れしてしまっていたら驚きです。
新生パワートラストでは主にA格付け以上の資産に投資をしています。
流石にA格付けとはいえ低すぎる利回りですので、新生銀行が多くの鞘抜きをしていることが推察されます。
あまりに低すぎる金銭信託に投資をする意味はあまりないでしょう。
新生銀行も投資信託を取り扱っている
近年、超低金利が一般化して銀行の収益を非常に厳しい展開が続いています。
結果として、金利の利鞘で稼ぐことを諦めて手数料ビジネスに傾倒しています。その最たる例が投資信託です。
投資信託を販売すると購入手数料だけでなく、毎年信託手数料を得ることができますからね。
新生銀行も手数料を多く得ることができるアクティブ型の投資信託を販売しています。
ただ、多くのアクティブ型投資信託は低いリターンで資産を失うことになりかねません。
以下データをもとに解説していますので参考にしていただければと思います。
→ アクティブ運用型とパッシブ運用型の投資信託のどちらが優れているのか徹底比較!インデックス投資は本当に最強なのか?
また退職金を運用するのにおすすめの投資信託等については以下でまとめていますので重ねてご覧いただければと思います。
→ 退職金の預け先としておすすめの投資信託をランキング形式で紹介!安全性を重視して運用できるポートフォリオを組もう。
まとめ
新生銀行は様々な形で預金や運用商品を提供しています。
しかし、いずれも利回りが低かったり、リスクに対してリターンが低かったりと投資妙味はありません。
退職金を安全にふやしていくためにはリスクをおさえながら堅実に増やしていくことが大切です。
以下で、安全運用を行う際の考え方についてお伝えしていますので参考にしていただければと思います。