日本は数多くのバリュー株ファンドが存在しています。
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今回は野村アセットマネジメントが運用している「野村・日本真小型株投信」を取り上げてみたいと思います。
野村・日本真小型株投信の特徴とは?国内小型バリューファンド(ベンチマークはRussell/Nomura Small Capインデックス(配当込み))
「野村・日本真小型株投信」は野村アセットマネジメント株式会社が運用しています。
主要投資対象は、小型株を中心とした国内の株式です。
ボトムアップアプローチに基づいて、銘柄選定、ポートフォリオを構築構築。ベンチマークはRussell/Nomura Small Capインデックス(配当込み)です。
野村・日本真小型株投信の所属カテゴリーは「国内小型バリュー」となっており、小型株を割安で購入し株価上昇を狙っていくファンドであることがわかりますね。
銘柄選定のプロセスは以下の通りです。
運用チーム、アナリストチームが小型株を中心にバリュエーション評価、定量分析、銘柄評価→銘柄絞り込み、ディスカッション、そして最終意思決定になります。とっても普通の体制ですね。
野村・日本真小型株投信の純資産額は2021年7月31日時点で24.85億円程度となっています。非常に小型なファンドですね。
野村・日本真小型株投信の組み入れ上位銘柄
野村・日本真小型株投信のポートフォリオをみていきましょう。以下は2022年4月末のデータです。
まずは業種別から。
小売業が大きくなっています。次いで化学。化学が上位に来ているファンドは珍しいですね。
資産は東証一部に集中しています。国内でも信頼の置ける会社で安定を図っていることがわかります。
具体的な銘柄(ポートフォリオ)は以下の通りです。総組み入れ銘柄数は105銘柄です。非常に分散されています。
銘柄 | 業種 | 市場 | 純資産比 |
大阪製鐵 | 鉄鋼 | 東証1部 | 4.00% |
沖縄セルラー電話 | 情報・通信業 | ジャスダック | 3.70% |
菱電商事 | 卸売業 | 東証1部 | 3.00% |
西尾レントオール | サービス業 | 東証1部 | 2.90% |
藤倉化成 | 化学 | 東証1部 | 2.80% |
あみやき亭 | 小売業 | 東証1部 | 2.70% |
日亜鋼業 | 鉄鋼 | 東証1部 | 2.20% |
T&K TOKA | 化学 | 東証1部 | 2.20% |
パイオラックス | 金属製品 | 東証1部 | 2.20% |
サカタインクス | 化学 | 東証1部 | 2.10% |
上位に大阪製鐵、沖縄セルラー電話、菱電商事が並びます。非常にマイナーな銘柄が並んでおり、バリュー株ファンドを実感します。沖縄セルラー電話は三井住友DSアセットマネジメントが運用するJ-Stockアクティブ・オープンでもポートフォリオ1位でした。バリューファンドが集います。
構成銘柄トップの大阪製鐵の株主は以下の通りとなっています。日本製鐵が大株主となっています。日本製鐵の子会社ですね。オーナー会社ではないことがわかります。
株主名 | 持ち株 | |
比率(%) | 株式数 | |
日本製鉄 | 60.62 | 25,629,000 |
自社(自己株口) | 7.95 | 3,359,400 |
立花証券 | 3.94 | 1,666,000 |
日本カストディ銀行 | 3.64 | 1,541,000 |
BBHボストン・ノムラJapanSmallerCapファンド620065 | 2.02 | 853,000 |
ゴールドマン・サックス・インターナショナル | 1.5 | 636,000 |
三井物産スチール | 1.14 | 480,000 |
DFA(Int`l)スモールキャップバリュー・ポートフォリオ | 1.01 | 428,000 |
日本マスタートラスト信託銀行 | 0.94 | 396,000 |
三菱UFJ銀行 | 0.83 | 352,000 |
野村信託銀行 | 0.8 | 339,000 |
業績は以下です。
COVID19から全然回復できていませんね。成長率も低いです。むしろマイナスなのですがこの銘柄が割安という判断なのでしょうか。
105銘柄ある中で最も比率の高い銘柄がこのような状況だと不安を感じますね。
売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期利益 | |
3年平均成長率 | -1.90% | -41.00% | -42.10% | -40.80% |
5年平均成長率 | 7.00% | -29.50% | -30.90% | -38.70% |
10年平均成長率 | 0.80% | -14.60% | -15.60% | -13.70% |
アクティブ型投信として一般的な手数料水準
野村・日本真小型株投信はアクティブ投信として一般的な水準となっています。
購入手数料:3.3% (税込)
信託手数料:年率1.76%(税込)
購入手数料が若干高いですが、一般的な水準の範囲といえます。
野村・日本真小型株投信の運用実績
肝心の野村・日本真小型株投信の運用実績をみていきたいと思います。
以下は野村・日本真小型株投信が運用開始となった2009年以降のチャートとなります。
実際の基準価格と税引前分配金再投資後の基準価格との間に乖離があります。
実際には両者の間に収斂します。(分配金を出した瞬間に20.315%の税金が発生してしまうからです。)
Morning Starのデータとしてみると以下の通りとなります。
年 | 1年 | 3年(年率) | 5年(年率) | 10年(年率) |
トータルリターン | 21.70% | -0.35% | 7.59% | 11.62% |
標準偏差 | 13.41 | 17.32 | 14.52 | 14.74 |
損を出さないことに特化したいので、通年成績も見ていきます。直近は異次元金融緩和で大きなリターンを出した割に3年リターンは低いですね。
直近は成績が悪いのではないかとの疑念が生まれます。
1-3月期 | 4-6月期 | 7-9月期 | 10-12月期 | 1-12月期 | |
2021年 | 8.60% | -3.41% | -- | -- | -- |
2020年 | -17.91% | 8.68% | 6.51% | 4.43% | -0.76% |
2019年 | 4.13% | -4.04% | 1.46% | 10.24% | 11.77% |
2018年 | -0.79% | -2.00% | -0.95% | -14.34% | -17.50% |
2017年 | 3.94% | 7.22% | 8.86% | 8.47% | 31.59% |
ここ5年で2回もマイナスの年がありますね。厳しいですね。
マイナスを出しているのですでに選択範囲になく、TOPIXとも比べようと思いましたがそれはやめておきます。
まとめ
野村・日本真小型株投信は、近年はマイナスを出してしまう年も頻発しており不安定、想定される最大損失も大きくなってきています。
過去の結果をみて、投資をするかどうかを判断する前に一度立ち止まって考えてみることを推奨します。