日本の株式市場は割安に放置されています。米国や欧州に比べて安い価格で購入できる銘柄が多く存在しているのです。
そのため、バリュー株に焦点を絞ったアクティブファンドも数多く存在しています。
今回は日本の投信での中でバリュー株を投資対象としているバリュー株ファンド「日興ターゲット・ジャパン・ファンド」を取り上げてみたいと思います。
日興ターゲット・ジャパン・ファンドの特徴とは?株主還元余力が高い銘柄を選定する国内小型バリューファンド
「日興ターゲット・ジャパン・ファンド」はアムンディジャパン株式会社が運用しています。
主要投資対象は、日本の全上場銘柄(約3,500銘柄)の中から選定されます。
信用リスクの高い銘柄を排除し、「株価が割安」、「財務が健全でキャッシュリッチ」、「株主還元余力が高い」といった視点に応じたスクリーニングにより銘柄を絞り込みを行います。
ポートフォリの銘柄数は20-80程度となります。
国内上場銘柄を定量的スクリーニングし、定性判断を加え、ポートフォリオを作成します。バッサリとしていますね。具体的な説明はないので、よくわかりません。
日興ターゲット・ジャパン・ファンドの所属カテゴリーは「国内小型バリュー」となっており、小型株を割安で購入し株価上昇を狙っていくファンドであることがわかりますね。
ただし最大80銘柄持ちますので、そこまで有望な割安株はたくさんあるのかどうか疑問が生じました。
日興ターゲット・ジャパン・ファンドの純資産額は2021年7月31日時点で11億円程度となっています。非常に小型なファンドですね。
日興ターゲット・ジャパン・ファンドの組み入れ上位銘柄
日興ターゲット・ジャパン・ファンドのポートフォリオをみていきましょう。以下は7月末のデータです。
具体的な銘柄(ポートフォリオ)は以下の通りです。
銘柄 | 業種 | 純資産比 |
ミライト・ホールディングス | 建設業 | 4.10% |
大日本印刷 | その他製品 | 3.70% |
MS&ADインシュアランスグループホールディングス | 保険業 | 2.70% |
きんでん | 建設業 | 2.70% |
芝浦機械 | 機械 | 2.60% |
東海理化電機製作所 | 輸送用機器 | 2.50% |
上組 | 倉庫・運輸関連業 | 2.50% |
ニコン | 精密機器 | 2.50% |
アイダエンジニアリング | 機械 | 2.30% |
EIZO | 電気機器 | 2.20% |
上位にミライト・ホールディングス、大日本印刷、MS&ADインシュアランスグループホールディングスが並びます。
マイナーな銘柄が並んでおり、バリュー株ファンドを実感します。MS&ADに投資しているファンドは初めて見ました。
ウォーレン・バフェットも保険会社がポートフォリオにあることで有名ですが、、
構成銘柄トップのミライト・ホールディングスの株主は以下の通りとなっています。
株主名 | 持ち株 | |
比率(%) | 株式数 | |
日本カストディ銀行(信託口) | 10.1 | 10,936,000 |
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 8.82 | 9,557,000 |
自社(自己株口) | 5.98 | 6,482,700 |
住友電気工業 | 3.39 | 3,668,000 |
ノルウェー政府 | 2.31 | 2,504,000 |
住友電設 | 2.3 | 2,488,000 |
自社従業員持株会 | 1.78 | 1,930,000 |
日本カストディ銀行(信託口5) | 1.33 | 1,443,000 |
日本カストディ銀行(信託口9) | 1.28 | 1,385,000 |
ステート・ストリート・バンク&トラスト505001 | 1.22 | 1,317,000 |
みずほ銀行 | 1.2 | 1,300,000 |
日本カストディ銀行(信託口)、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)が上位株主であり、オーナー企業というわけではないですね。
業績は以下です。
売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期利益 | |
3年平均成長率 | 14.00% | 21.70% | 21.20% | 28.10% |
5年平均成長率 | 11.50% | 37.50% | 36.30% | 46.10% |
10年平均成長率 | 9.60% | 22.10% | 20.80% | -2.30% |
10年成長率はマイナス、COVID19も一時期凹みましたが回復しています。
アクティブ型投信として一般的な手数料水準
日興ターゲット・ジャパン・ファンドはアクティブ投信として一般的な水準となっています。
購入手数料:3.3% (税込)
信託手数料:年率1.815%(税込)
購入手数料が若干高いですが、一般的な水準の範囲といえます。
日興ターゲット・ジャパン・ファンドの運用実績
肝心の日興ターゲット・ジャパン・ファンドの運用実績をみていきたいと思います。
以下は運用開始となった2009年以降のチャートとなります。
年間騰落率が明らかにマイナスに触れていますね。
Morning Starのデータとしてみると以下の通りとなります。
年 | 1年 | 3年(年率) | 5年(年率) | 10年(年率) |
トータルリターン | 25.08% | -0.62% | 7.92% | 11.00% |
標準偏差 | 12.53 | 18.92 | 16.46 | 17.13 |
損を出さないことに特化したいので、通年成績も見ていきます。
直近は異次元金融緩和で大きなリターンを出した割に、3年リターンは低いですね。マイナスになっています。直近は成績が悪いのではないかとの疑念が生まれます。
1-3月期 | 4-6月期 | 7-9月期 | 10-12月期 | 1-12月期 | |
2021年 | 8.14% | -1.22% | -- | -- | -- |
2020年 | -20.72% | 8.18% | 3.66% | 4.18% | -7.39% |
2019年 | 7.05% | -2.10% | 1.20% | 10.96% | 17.68% |
2018年 | -8.80% | 1.58% | 4.82% | -18.08% | -20.46% |
2017年 | 0.07% | 9.11% | 10.39% | 7.39% | 29.44% |
ここ5年で2回もマイナスの年がありますね。厳しいですね。
マイナスを出しているのですでに選択範囲になく、TOPIXとも比べようと思いましたがそれはやめておきます。
まとめ
日興ターゲット・ジャパン・ファンドは、近年はマイナスを出してしまう年も頻発しており不安定、想定される最大損失も大きくなってきています。
過去の結果をみて、投資をするかどうかを判断する前に一度立ち止まって考えてみることを推奨します。