以前、日興アセットマネジメントが運用する低位株について分析してきました。
→ (低位株オープン)日興アセットマネジメントの運用で評判の投資信託を評価!低位株に特化したバリューファンドの成績は?
今回は野村アセットマネジメントが運用する低位株ファンド「日本低位株ファンド」を取り上げてみたいと思います。
日本低位株ファンドの特徴とは?東証一部上場企業に特化した国内小型バリューファンド
「日本低位株ファンド」は野村アセットマネジメント株式会社が運用しています。
主要投資対象は、東証一部上場の日本の株式です。株価の低い銘柄を選定し、流動性及び企業経営の基礎的指標や財務リスクなどのチェックを行い組入銘柄を選定。
マザーズ上場銘柄と比較するとやや大型株といえる銘柄の中でまだ株価が上昇していないと思われる銘柄に投資をするということですね。
日本低位株ファンドの所属カテゴリーは「国内小型バリュー」となっており、小型株を割安で購入し株価上昇を狙っていくファンドであることがわかりますね。
ポートフォリオ構築プロセスは、株価の低い銘柄群を選定、流動性・ファンダメンタルズチェック、銘柄見直しを繰り返しポートフォリオを構築していきます。
純資産総額は2021年7月31日時点で52億円程度となっています。
日本低位株ファンドの組み入れ上位銘柄
日本低位株ファンドのポートフォリオをみていきましょう。以下は7月末のデータです。
まずは業種別から。
サービス業が大きくなっています。次いで情報・通信業。
具体的な銘柄は以下の通りです。
銘柄 | 業種 | 市場 | 純資産比 | ||||||||||||
リンクアンドモチベーション | サービス業 | 東証1部 | 0.7% | ||||||||||||
IDOM | 卸売業 | 東証1部 | 0.6% | ||||||||||||
日産自動車 | 輸送用機器 | 東証1部 | 0.6% | ||||||||||||
東邦チタニウム | 非鉄金属 | 東証1部 | 0.6% | ||||||||||||
大紀アルミニウム工業所 | 非鉄金属 | 東証1部 | 0.6% | ||||||||||||
キャリアインデックス | サービス業 | 東証1部 | 0.6% | ||||||||||||
フジクラ | 非鉄金属 | 東証1部 | 0.6% | ||||||||||||
シュッピン | 小売業 | 東証1部 | 0.6% | ||||||||||||
住友理工 | ゴム製品 | 東証1部 | 0.6% | ||||||||||||
インプレスホールディングス | 情報・通信業 | 東証1部 | 0.6% | ||||||||||||
合計 | 5.8% |
上位にリンクアンドモチベーション、IDOM、日産自動車が並びます。東証一部上場企業なのでマイナー銘柄ではありませんが、たしかに割安水準の株が並んでおり、バリュー株ファンドを実感します。
構成銘柄トップのリンクアンドモチベーションの株主は以下の通りとなっています。
株主名 | 持ち株 | |
比率(%) | 株式数 | |
フェニックス | 39.91 | 45,120,300 |
自社(自己株口) | 7.2 | 8,145,700 |
自社従業員持株会 | 6.16 | 6,967,600 |
勝呂彰 | 6.08 | 6,874,600 |
坂下英樹 | 3.25 | 3,680,000 |
榊原清孝 | 3.25 | 3,680,000 |
小笹芳央 | 2.83 | 3,203,200 |
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 1.12 | 1,270,500 |
日本カストディ銀行(信託口) | 1.02 | 1,151,700 |
自社役員持株会 | 0.86 | 975,700 |
本田寛 | 0.7 | 790,000 |
社長が3.25%、会長が2.83%。フェニックスが大株主になっています。このフェニックス、調べてみましたが小笹会長が代表取締役を務める資産管理会社でした。つまりバリバリのオーナー企業ですね。
業績は以下です。
売上高 | 営業利益 | 経常利益 | |
3年平均成長率 | -1.50% | -58.50% | -73.90% |
5年平均成長率 | 2.00% | -22.60% | -40.30% |
10年平均成長率 | 17.40% | -10.50% | -22.50% |
COVID-19発生以降、厳しい状況ですね。まだまだ回復し切れていません。
アクティブ型投信として一般的な手数料水準
日本低位株ファンドはアクティブ投信として一般的な水準となっています。
購入手数料:2.2% (税込)
信託手数料:年率1.012%(税込)
購入手数料が若干高いですが、一般的な水準の範囲といえます。
大和住銀日本小型株ファンドの運用実績
肝心の日本低位株ファンドの運用実績をみていきたいと思います。
以下は日本低位株ファンドが運用開始となった2010年以降のチャートとなります。
実際の基準価格と税引前分配金再投資後の基準価格との間に乖離があります。
実際には両者の間に収斂します。(分配金を出した瞬間に20.315%の税金が発生してしまうからです。)
Morning Starのデータとしてみると以下の通りとなります。
年 | 1年 | 3年(年率) | 5年(年率) | 10年(年率) |
トータルリターン | 39.43% | 1.86% | 10.10% | 10.14% |
標準偏差 | 18.54 | 21.95 | 18.28 | 19.42 |
直近の金融緩和で1年のリターンが大きくなっていますが、その割に3年リターンは低いです。(当然、5年、10年も1年リターンの大きさの恩恵を多大に受けています)
1-3月期 | 4-6月期 | 7-9月期 | 10-12月期 | 1-12月期 | |
2021年 | 17.17% | -3.06% | -- | -- | -- |
2020年 | -24.45% | 13.25% | 10.63% | 3.41% | -2.12% |
2019年 | 7.93% | -2.62% | 2.28% | 11.40% | 19.77% |
2018年 | -3.53% | -1.89% | 1.75% | -21.10% | -24.02% |
2017年 | 4.67% | 5.63% | 8.47% | 11.14% | 33.29% |
損を出さないことに特化したファンドを選びたいところですが、2018年(チャイナショックでしょうが)2020年でマイナス。厳しいですね。
マイナスを出しているのですでに投資先選択範囲になく、TOPIXとも比べようと思いましたがそれはやめておきます。
まとめ
日本低位株ファンドは、近年はマイナスを出してしまう年も頻発しており不安定、想定される最大損失も大きくなってきています。
過去の結果をみて、投資をするかどうかを判断する前に一度立ち止まって考えてみることを推奨します。