株式投資

丸紅株は買いか?なぜ安い?高配当利回りで人気の総合商社の今後の株価はどうなるかを徹底分析!

2023年4月25日

丸紅株は買いか?なぜ安い?高配当利回りで人気の総合商社の今後の株価はどうなるかを徹底分析!

総合商社株は2020年に投資の神様といわれるウォーレンバフェットが投資をしていることを明らかにして注目度が高まりました。

2023年に入り更に買いましを行い保有比率を高めているというニュースが報道されて市場を沸かせました。

 

米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が「追加投資を検討したい」と日本株に強気な見方を強調したと日本経済新聞が11日、都内での単独インタビューを基に報じた。伊藤忠商事など5大商社株の保有比率がそろって7.4%に高まったことも明かしたという。

バフェット氏は日本株について「今は5大商社の株しか持っていないが、次の投資先は常に頭の中にある。価格次第だ」と述べ、割安感が高まったら追加投資に踏み切る考えを明らかにした。

参照:Bloomberg

 

バフェットは割安株投資をすることで知られているので、彼の分析に基づくと商社株は割安であるということになります。

五大商社の株価は以下の通り近年大きく上昇していきました。その上でバフェットは買いましという判断を下したことになります。

 

青:三菱商事
赤:三井物産
緑:住友商事
黄:伊藤忠商事
紫:丸紅

五大商社の株価推移

https://finance.yahoo.co.jp/quote/8058.T/chart?frm=wkly&trm=2y&compare=8031.T%2C8053.T%2C8001.T%2C8002.T

 

実際、ここまで株価が上昇していてもPERは6.3倍と割安水準が継続となっています。

筆者も総合商社で働いていた経験がありますので、本日は総合商社の中で一番地味ではある丸紅について以下の点をみていきたいと思います。

 

本日の内容

  • 丸紅を含めて総合商社はどのようなビジネスモデルとなっているのか?
  • 丸紅の業績や配当はどのように推移してきているのか?
  • 今後の株価はどうなっていくことが想定されるのか?
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現代の総合商社のビジネスモデルとは?もう貿易会社ではない!?

ご年配の方などは総合商社と聞くと貿易を行なって稼いでいいる会社というイメージが強いかと思います。

海外まら輸入してきた商品を国内に販売したり、国内の製品を海外に輸出するなどして稼いでいると思っている方が多いと思います。

 

たしかに2000年代の前半までは貿易会社の性格が強くなっていました。

しかし、2000年代後半からは全く性格の異なる会社になってきています。

資源価格の高騰によって1970年代から投資していた資源関連の会社からもたらされる配当金が急増しました。

その資金を原資として様々な会社に分散投資をして、そこで得られた利益や配当金を収益源とする投資会社に変容していきました。

 

もはや現在はファンドの様相を呈してきています。

貿易は世界にネットワークを構築するために活用はされていますが、利益の主体は投資から齎されるものです。

しかし、この流れというのは自然な流れのように思います。

 

かつてメーカーとして利益を上げたGEやソニーなどのメーカーも現在では金融関連収益が半分以上を占めるようになってきています。

過去に稼いだ資金を用いて投資を行い稼ぐというのは「人」「企業」「国」の全てで共通することなのだと思います。

日本も昔貿易で稼いだ資金を米国債などの資産に投資して配当や利息収益を得て現在は貿易赤字を補って経常収支黒字を維持しています。

 

丸紅の事業ポートフォリオ

一言に五大商社といっても各社でポートフォリオの構成は大きく異なります。

三菱商事や三井物産は資源の比率が高くなっていますが、伊藤忠商事や丸紅といった非財閥系商社は非資源の比率が高くなっています。

丸紅は以下の通り非資源が純利益全体の6割以上を占めています。

丸紅は非資源の比率が高い

事業ポートフォリオ
資源分野 1900
非資源分野 3400

※資源分野は「エネルギー」と「金属」の合計から鉄鋼製品事業部を控除したもの

 

わかりやすく細かいメッシュでわけたものが以下となります。

金属が資源価格の値上がりで大きく増益となっていますが、注目すべきはその他の非資源分野が安定した利益を上げていることですね。

著しく資源に利益が偏っている三井物産などと比べると安定感がありますね。

丸紅の事業毎の純利益の分布

純利益(億円)
ライフスタイル 50
情報物流 100
食料第一 90
食料第二 820
アグリ事業 510
フォレストプロダクツ -10
化学品 150
金属 2020
エネルギー 450
電力 450
インフラプロジェクト 80
航空船舶 300
金属リース 350
建機モビリティ 240
次世代事業開発 -10
コーポレート -20
その他 -270
合計 5300

参照:決算短信

 

丸紅の業績が好調な理由とは?

肝心の業績についてみていきたいと思います。

貿易が主な収益源ではなくなってきているので純利益とEPSのみの推移について表したものが以下となります。

丸紅の業績推移(純利益・EPS)

当期利益 EPS
Mar-07 119,349 69.7
Mar-08 147,249 85.9
Mar-09 111,208 64.9
Mar-10 95,312 55.6
Mar-11 136,541 79.7
Mar-12 172,125 100.4
Mar-13 130,143 76
Mar-14 210,945 123.1
Mar-15 105,604 61.6
Mar-16 62,264 36.3
Mar-17 155,350 90.7
Mar-18 211,259 123.3
Mar-19 230,891 134.7
Mar-20 -197,450 -115.2
Mar-21 225,343 131.5
Mar-22 424,320 247.6
Mar-23 530,000 309.3

 

特にパンデミック後に業績が急騰していますね。

これは資源価格の高騰によって保有する権益から得られる収益が増加していることが大きな要因となっています。

 

わかりやすく2022年3月期までの収益の変遷を表したものが以下となります。市況価格の上昇によって資源分野の利益に牽引されていることがわかります。

丸紅の業績の急騰の要因は資源分野

 

実際に商品市況の全体の動きを表すCRB商品価格指数は以下の通りパンデミック後に急騰しています。

総合商社全体の業績を後押しをしているのは、パンデミックとウクライナ危機によるエネルギー価格の高騰ということになります。

 

CRB商品価格指数の推移

 

丸紅の配当金と配当利回りの推移

総合商社は総じて高配当企業として知られています。

丸紅の配当金はパンデミック以降の利益の拡大に伴って急騰しています。

丸紅の配当金の推移

丸紅の配当金
2013/03 24.00 円
2014/03 25.00 円
2015/03 26.00 円
2016/03 21.00 円
2017/03 23.00 円
2018/03 31.00 円
2019/03 34.00 円
2020/03 35.00 円
2021/03 33.00 円
2022/03 62.00 円
2023/03(予) 78.00 円

 

海運市況でバブル的な業績となっている海運株は更に凄まじい配当金の急騰を演じています。

→ なぜ高配当利回りに!?株価急上昇の理由は?大人気の商船三井や日本郵船などの海運株の今後の見通しを含めて徹底分析!

 

ただ配当利回りに関しては株価が上昇していることもあり過去平均と同様の4%程度を維持して推移しています。

丸紅の配当利回りの推移

 

配当利回り自体は安定していて素晴らしいですね。

 

丸紅の中期経営計画に示された配当と自社株買いの指針とは?

重要なのは配当に対する今後の指針です。

以下は新中期経営計画で示された株主還元に対する指針です。

従来 新中期経営計画
基本方針 各期の業績に連動 長期的な安定配当を実施
中長期的な利益成長により増配
具体方針 ✔︎連結配当性向25%以上
✔︎年間配当金60円を下限
✔︎機動的な自己株式取得を実施
✔︎年間配当金78円を基点とする累進配当
✔︎総還元成功30%-35%程度を目安に機動的な自己株式取得の実施

わかりやすく図にすると以下となります。

中期経営計画で示された配当方針

 

総還元性向とは純利益にしめる「配当金+自社株買」の金額の比率をさします。

例えば5000億円の純利益の場合は1500億円から1750億円を配当金並びに自社株買に充当するということですね。

 

重要なのは現在の配当金78円を基点として累進配当する方針を示していることです。

累進配当とは配当金を増やしていく方針ということです。ただ、市況によって支えられている業績が維持できるのかは疑問ではあります。

 

なぜ丸紅株は割安に放置されているのか?コングロマリッドディスカウントとは?

丸紅株をはじめ総合商社株はずっと指標的には割安に放置されています。

以下は各社のPERです。

PER
三菱商事 6.4倍
三井物産 6.2倍
住友商事 5.6倍
伊藤忠商事 8.2倍
丸紅 6.2倍

ただ、これはコングロマリッドディスカウントというもので総合商社のように広範に多角化した事業を運営している企業に一般的に見られる現象です

日経新聞によって以下のように説明されています。

▼コングロマリット・ディスカウント 多くの産業を抱える複合企業(コングロマリット)の企業価値が、各事業ごとの企業価値の合計よりも小さい状態のこと。多角化は業績変動を減らすなどの利点がある一方、事業の全体像や相乗効果が見えにくい場合は市場評価を下げやすい。

経営効率が悪くなるとの懸念が背景にある。例えば、ある高収益事業で稼いだ利益を低収益事業に回される可能性がある。特定の事業出身の経営トップがなじみの薄い別の事業について、誤った経営判断をしてしまうケースもありうる。

複合企業の価値を精緻に評価するのが投資家にとっても難しいという問題もある。そうなると投資が手控えられ、株価が実力値を下回りやすくなる。

 

確かに総合商社で働いていて実感しましたが、エネルギーで稼いだ金額で魅力の低い事業に投資して失敗した事例を山ほど見てきましたからね。

また頻繁にジョブローテがあるので専門性が高くなりにくいというデメリットもありますね。

コングロマリッドディスカウントにより株価が割安になっているのは納得のいく現象です。

 

丸紅の今後の株価の見通しとは?

重要なのは丸紅の今後の株価の見通しです。

結論からいうと今後は2つの理由によって丸紅の株価にとっては厳しい時期が到来すると考えています。

 

丸紅の株価の見通しが厳しい理由

  • 円安の修正
  • 世界的な景気後退による商品価格の下落

 

日銀の金融政策の修正による円安の修正期待が高まっている

これは日本株全体に言えることですが、日本株が2022年の下落を回避した理由は円安に他なりません。

円安によってドル建で株価がやすくなった結果、海外投資家からの買いに支えられて円建でみると日本株は支えられました。

しかし、今後は以下の2つの理由によって円安は修正されることが想定されています。

 

1つ目は日銀が金融政策を修正する可能性が高まっていることです。

アベノミクス以降、大規模な金融緩和を実施してきましたが2022年に始まった世界的なインフレの煽りを受けて日本でもバブル以来のインフレが発生しています。

日本のインフレ率の推移

 

インフレが発生すると中央銀行は金融引き締めを実施します。

実際2022年は欧米の中央銀行は果敢に利上げをするなか日本だけ大規模ば金融緩和を実施しています。

結果として日米や日欧の金利差が拡大して円安になっていったのです。

 

いよいよ重い腰をあげて日銀も金融政策を修正する可能性があり、金利差の縮小によって円安の修正が発生する可能性も高まっています。

さらに次の項目でお伝えする景気後退によって欧米の金利が下落することも円安修正を後押ししていきます。

円高となれば外国人投資家からすると高くなるので株価は下落していきます。

 

景気後退によって商品価格の下落が見込まれる

2022年のインフレに対応するために米国をはじめとした中央銀行は急激に金利を引き上げていきました。

結果として米国の10年債金利は2022年から急騰していきます。

米国の長期金利の推移

 

歴史的に金利を急激に引き上げると景気後退が訪れています。ここでは詳しくお伝えするのは控えますが10年債と2年債の逆イールドも発生しており景気後退のリスクは非常に高まっています。

米国が風邪をひくと世界も風邪をひきます。経済活動が停滞するとエネルギー需要も減少して商品価格も下落していきます。

その他に景気全体が後退すると丸紅などの総合商社が投資している世界中の企業の業績も低迷して全体的に収益が低迷していきます。

2023年3月期または2024年3月期は収益が大きく低下して株価も下落していくことが見込まれます。

 

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まとめ

丸紅について見てきました。まとめると以下となります。

 

まとめ

  • 丸紅をはじめとして総合商社は投資会社の側面が強い
  • 商品市況の高騰によって業績が押し上げられている
  • 累進配当を打ち出している点はポジティブ
  • 今後は円高への調整と世界的な景気後退によって厳しい展開が期待される
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最後に

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