大和アセットマネジメントは日本株のアクティブファンドとして「ジャパン・エクセレント」を運用しています。
中長期的にベンチマークであるTOPIXを上回るリターンをあげるために尽力している投資信託です。
ただ、日本にはなかなかあベンチマークを上回る成績を挙げている投資信託はありません。
今回は「ジャパン・エクセレント」が優秀なアクティブ投信であるかどうかという点を含めて分析していきたいと思います。
ジャパン・エクセレントの特徴とは?
「ジャパン・エクセレント」は大和アセットマネジメント株式会社が運用しています。
小型成長株分野では大和アセットマネジメントは「日本株発掘ファンド」も展開していますね。
主要投資対象は、日本の金融商品取引所第一部上場の全銘柄(上場予定を含む)です。中長期的にベンチマーク(東証株価指数(TOPIX):配当込み)を上回る投資成果をめざす。
低位株に特化しており、大きなリターンを狙っていることがわかりますね。上場予定銘柄を含んでいるのは非常にアグレッシブですね。
運用プロセスは以下の通りです。
日本株の割安度、業績モメンタム、中道性などによる定量的な絞り込みを実施。
目標株価をもとに現在の株価を評価、割安な銘柄を選定。
目標株価に関しては占い師が未来を占うようなものですが、この記述は利益確定ポイントをある程度機械的に決めているのではないですかね。
ジャパン・エクセレントの所属カテゴリーは「国内小型グロース」となっており、小型株の成長力を期待して購入し株価上昇を狙っていくファンドであることがわかりますね。
マーケットの動向も大きく左右される成長株投資となります。ボラティリティも激しいことが予想されます。
純資産額は2021年7月31日時点で215.46億円程度となっています。そこそこ大きいファンドですね。
ジャパン・エクセレントの組み入れ上位銘柄
ジャパン・エクセレントのポートフォリオをみていきましょう。以下は7月末のデータです。
まずは資産別構成比です。国内株式が93.5%です。ほとんどが東証一部の銘柄に寄っていますね。信頼性の高い企業に投資をしています。
セクターは化学、サービス、電気機器に寄せています。
規模別構成も超大型から小型までバランスよく組み入れています。
(ポートフォリオ)
銘柄名 | 東証33業種名 | 比率 |
エフピコ | 化学 | 5.4% |
富士フイルムHLDGS | 化学 | 5.2% |
リンナイ | 金属製品 | 5.0% |
協和キリン | 医薬品 | 4.8% |
くら寿司 | 小売業 | 4.5% |
AGC | ガラス・土石製品 | 4.5% |
光通信 | 情報・通信業 | 4.5% |
クボタ | 機械 | 4.4% |
ダイセキ | サービス業 | 4.4% |
信越化学 | 化学 | 4.4% |
上位にエフピコ、富士フイルムHLDGS、リンナイが並びます。マイナー、メジャーな銘柄が混沌としています。くら寿司などはたしかにグロース株といえる値動きを見せていましたね。
構成銘柄トップのエフピコは食品容器の製造・販売等の会社です。食品容器製造では最大手で、シェアの3割を占める。
株主は以下の通りとなっています。株式会社小松安弘興産の関連会社であることがわかります。
株主名 | 持株数(千株) | 持株比率(%) |
---|---|---|
株式会社小松安弘興産 | 28,778 | 35.18 |
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) | 5,630 | 6.88 |
株式会社日本カストディ銀行(信託口) | 4,628 | 5.66 |
積水化成品工業株式会社 | 3,245 | 3.97 |
株式会社日本カストディ銀行(信託口9) | 2,134 | 2.61 |
株式会社西日本シティ銀行 | 1,760 | 2.15 |
エフピコ共栄会 | 1,567 | 1.92 |
株式会社日本カストディ銀行 (三井住友信託銀行再信託分・株式会社もみじ銀行退職給付信託口) |
1,525 | 1.86 |
日本マスタートラスト信託銀行株式会社 (退職給付信託積水化成品工業口) |
1,200 | 1.47 |
第一生命保険株式会社 (常任代理人株式会社日本カストディ銀行) |
1,102 | 1.35 |
業績は以下の通りです。
売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期利益 | |
3年平均成長率 | 4.30% | 13.30% | 12.70% | 10.00% |
5年平均成長率 | 3.00% | 7.20% | 6.70% | 5.60% |
10年平均成長率 | 3.40% | 3.70% | 3.70% | 4.40% |
コロナショックの影響は強く起きておらず、むしろ成長は継続を続けています。平均成長率は10年で4.4%と、少し魅力に欠けますね。
アクティブ型投信として一般的な手数料水準
低位株オープンはアクティブ投信として一般的な水準となっています。
購入手数料:3.3% (税込)
信託手数料:年率1.595%(税込)
購入手数料が若干高いですが、一般的な水準の範囲といえます。
ジャパン・エクセレントの運用実績
肝心のジャパン・エクセレントの運用実績をみていきたいと思います。
以下は2014年以降のチャートとなります。
実際の基準価格と税引前分配金再投資後の基準価格との間に乖離があります。
実際には両者の間に収斂します。(分配金を出した瞬間に20.315%の税金が発生してしまうからです。)
Morning Starのデータとしてみると以下の通りとなります。
年 | 1年 | 3年(年率) | 5年(年率) | 10年(年率) |
トータルリターン | 16.35% | -0.77% | 8.93% | -- |
標準偏差 | 14.35 | 21.52 | 18.09 | -- |
損を出さないことに特化したいので、通年成績も見ていきます。直近は異次元金融緩和で大きなリターンを出した割に、3年リターンは低いですね、というかマイナスですね・・・。
直近は成績が悪いのではないかとの疑念が生まれます。
1-3月期 | 4-6月期 | 7-9月期 | 10-12月期 | 1-12月期 | |
2021年 | 5.35% | -2.94% | -- | -- | -- |
2020年 | -25.15% | 25.37% | 11.23% | 7.77% | 12.49% |
2019年 | 7.18% | -5.23% | -2.86% | 12.15% | 10.66% |
2018年 | -6.09% | -2.03% | 3.59% | -26.15% | -29.61% |
2017年 | 8.65% | 8.98% | 13.56% | 10.71% | 48.86% |
ここ5年で1回、マイナスの年がありますね。それも-29.61%・・・。
マイナスを出しているのですでに選択範囲になく、TOPIXとも比べようと思いましたがそれはやめておきます。
マイナスを出すことがなぜここまで悪なのかを強調している理由は、以下の数字を見てすぐに答えがわかる人は理解できると思います。
<運用利回りが高いのはどちらか?>
パターン①
1年目:+30%
2年目:+30%
3年目:-30%
パターン②
1年目:+5.76%
2年目:+5.76%
3年目:+5.9%
答えはパターン②です。ハイリターンを出すには安定した利回りとマイナスを出さないことが大事なのです。極端にリターンが高い投資は、いつか大きなマイナスを出し過去の利益を吹き飛ばしてしまうのです。
まとめ
ジャパン・エクセレントは、近年はマイナスを出してしまう年も頻発しており不安定、想定される最大損失も大きくなってきています。
過去の結果をみて、投資をするかどうかを判断する前に一度立ち止まって考えてみることを推奨します。