日興グローイング・ベンチャーファンドは2004年から運用を開始している中小型成長株ファンドの老舗です。
愛称はグローイング・ベンチャーとして親しまれています。
日興グローイング・ベンチャーファンドは昨年度は34.58%ですが、3年間の平均年率は0.56%とイマイチの成績となっています。
中小型成長株として高いリターンを残していた「ひふみ投信」と比べると低いリターンとなっていますね。
ただ、以下でも説明している通り「ひふみ投信」は近年人気が出たことで純資産が増大し大型株への投資が中心となり日経平均と同様の成績になっています。
☞ 【ひふみ投信(レオス キャピタル ワークス)】 評判が高い投資信託(ファンド)を利回り、リスクリターンの観点から分析。
今回は日興グローイング・ベンチャーファンドがどのような投資信託なのか?
今後の見通しはどうなのかという点にフォーカスしてみていきたいと思います。
日興グローイング・ベンチャーファンドとはどのような投資信託?
日興グローイング・ベンチャーファンドがどのような投資信託かをまず見ていきましょう。
日興グローイング・ベンチャーファンドの投資理念と投資対象
日興グローイング・ベンチャーファンドは上場して5年以内の高成長新興企業に投資を行う投資信託です。
また当然のことですが新興企業に投資を行っているということもありバリュー株ではなくグロース株投資となっています。
☞ グロース株投資とバリュー株投資の違いとは?どっちが魅力的なのかをデータを用いて比較して考察する。
構成上位銘柄
日興グローイング・ベンチャーファンドの構成上位銘柄は以下のようになっています。
上位10銘柄で35%程度となっているので比率は大きいですね。
銘柄 | 時価総額 | 業種 | 比率 |
インソース | 934億円 | サービス業 | 4.06% |
SREホールディングス | 719億円 | 不動産業 | 3.98% |
ジャパンエレベーター サービスホールディング |
1875億円 | サービス業 | 3.62% |
プレミアグループ | 325億円 | その他金融業 | 3.48% |
日総工産 | 278億円 | サービス業 | 3.32% |
イントラスト | 154億円 | その他金融業 | 3.31% |
アセンテック | 228億円 | 卸売業 | 3.31% |
アンビスホールディングス | 1319億円 | サービス業 | 3.25% |
システムサポート | 145億円 | 情報・通信業 | 3.11% |
10銘柄合計 (全銘柄49銘柄) | 34.73% |
ご覧いただくとわかる通り、基本的には時価総額が1000億円未満の小型株が中心となります。
また、構成銘柄のインソースをご覧いただければわかる通り業績は右肩上がりの成長株に投資していることが見て取れます。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 当期利益 |
---|---|---|---|
2014/09 | 2,039 | 300 | 180 |
2015/09 | 2,423 | 400 | 238 |
2016/09 | 2,915 | 460 | 298 |
2017/09 | 3,585 | 592 | 412 |
2018/09 | 4,536 | 937 | 635 |
2019/09 | 5,608 | 1,303 | 835 |
2020/09 | 5,119 | 784 | 445 |
2021/09予 | 7,300 | 2,100 | 1,440 |
日興グローイング・ベンチャーファンドの業種別構成比率
以下は投資をしている企業の分野なのですが、以下のようにサービス業と情報通信サービス業に偏っています。
ベンチャー企業なので金融や製造業のような重厚長大な産業の割合は殆どないですね。
アクティブ型投信の中でも高い手数料
グローイング・ベンチャーはインデックスに対してプラスのリターンを出すことを求められるアクティブ型の投資信託です。
そのため比較的高い手数料水準となるわけですが、グローイングベンチャーの手数料は以下の通りとなります。
☞ アクティブ運用型とパッシブ運用型の投資信託のどちらが優れているのか徹底比較!インデックス投資は本当に最強なのか?
購入手数料:3.3%(税込)
信託手数料:年率2.09%(税込)
アウティブ型投信の信託報酬の中でも高い手数料となっていますね。
日興グローイング・ベンチャーファンドの運用成績
それでは本題に入りまして直近3年間非常に調子の良い成績をだしている、
日興グローイング・ベンチャーファンドですが実際のところはどうなのか?
今後の見通しについて分析していきたいと思います。
長期の運用成績から見えてくる危うさ
直近3年間の成績は堅調でしたが、以下運用レポートを見ていただきたいのですが、
運用を開始した2003年からというくくりでみると、大きな上下動を繰り返しながら上昇していることが分かります。
特に景気がいいときは好調ですが、悪いときは一時35000円~8000円まで4分の1まで下落しています。
直近ではコロナショックで50,000円から30,000円まで急転直下となっていますね。
当時投資された方は絶望の淵にたたされたことでしょう。
直近3年間で特段リターンがない点も非常に残念なところですね。
高いリスク=標準偏差の高さ
投資におけるリスクというのは値動きの荒さを指します。
この値動きの荒さを指す指標として標準偏差という指標が一般的に使用されています。
☞ 投資におけるリスクとは!?ハイリスクハイリターン投資よりローリスクミドルリターン投資を狙おう!
以下は2021年1月31日時点でのグローイング・ベンチャーファンドのリターンとリスクです。
ファンド名 | 日興 グローイング・ベンチャーファンド |
---|---|
トータルリターン1年 | 4.16% |
トータルリターン3年(年率) | -2.35% |
トータルリターン5年(年率) | 21.00% |
トータルリターン10年(年率) | 19.24% |
標準偏差1年 | 38.54 |
標準偏差3年 | 28.49 |
標準偏差5年 | 26.49 |
標準偏差10年 | 25.86 |
<引用:Morning Star>
出来うるだけ長い10年間でみると年率でトータルリターンは年率19.24%、標準偏差は25.86%年率となります。
この数値が示すことは今後一年間のリターンが以下の間に収まることが想定されます。
1標準偏差つまり68%の確率で
19.24%-25.86% (▲6.62%) ~ 19.24%+25.86%(+45.1%)
2標準偏差つまり95%の確率で
19.24%-25.86%×2 (▲32.48%) ~ 19.24%+25.86%×2 (+70.96%)
3標準偏差つまり99.7%の確率で
19.24%-25.86%×3 (▲58.34%) ~ 19.24%+25.86%×3 (+96.82%)
の成績となるということがいえます。
大きなリターンを狙える反面、大きな損失を被る可能性があるハイリスク・ハイリターンの投資先であるということが出来ます。
日興グローイング・ベンチャーファンドのまとめ~今現在一番儲かっている投資信託ではあるが・・・~
日興グローイング・ベンチャーファンドは運用開始以来資産を4倍にしてはいますが、
設立以来過去15年でみると年間で4分の1になるような時期もありました。
非常に値動きの荒いハイリスク・ハイリターンの投資信託であることが分かります。
グロース株というのは値動きが激しく尚且つ歴史的に長期間でみると、
バリュー株投資に対して低いリターンとなっているので長期投資には適さない投資信託とえます。
☞ グロース株投資とバリュー株投資の違いとは?どっちが魅力的なのかをデータを用いて比較して考察する。
実際、長期的にみるとバリュー株投資の方がグロース株投資よりも高いリターンをだしているのです。特に小型株バリュー株投資の成績は顕著ですね。
小型バリュー株を行い安定して年率10%以上のリターンをだしているBMキャピタルなどのファンドに投資を行ったほうが、
長期的な資産形成には向いているということが出来るでしょう。
まとめ
日興グローイングベンチャーファンドは上場から年月が経過していない小型成長株に投資をしているアクティブ型の投資信託です。
高いリターンを残す局面もありますが、大きな下落を被ることもありハイリスクハイリターンの投資先ということができます。
安全に長期的な資産形成を行う上では適切な投資先とはいえません。
以下で筆者の目線で長期投資に適している投資対象について纏めていますので参考にしていただければと思います。