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評判の割に?グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(愛称:未来の世界(ESG))を評価。ポートフォリオにはハイテク企業で2022年以降は金融引き締めで厳しい?

評判の割に?グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(愛称:未来の世界(ESG))を評価。ポートフォリオにはハイテク企業で2022年以降は金融引き締めで厳しい?

日本では様々な投資信託が販売されています。今回もテーマ型の投資信託についてお伝えしていきたいと思います。

ご存知の通り日本は少子高齢化が進展しています。

今回はESGに焦点をあててビジネスを行なっている企業に投資を行なっている銘柄に投資をしている投資信託を取り上げたいと思います。

前回は「クリーンテック株式ファンド(愛称:みらいEarth S成長型)」を取り上げましたが、今回は「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(愛称:未来の世界(ESG))」です。

 

グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(愛称:未来の世界(ESG))とは?

運用会社はアセットマネジメントOne株式会社

アセットマネジメントOneが運用を担当しているファンドです。

会社名 アセットマネジメントOne株式会社
所在地 〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-8-2 鉃鋼ビルディング
資本金 20億円、発行済株式数 40,000株
従業員数 893名(2020年3月31日)

 

アセットマネジメントOne

アセットマネジメントワンは日本最大の運用会社として君臨しており、みずほフィナンシャルグループ(70%)、第一生命(30%)の株式持分比率となっている会社です。議決権比率は51:49のようです。

さすがはメガバンクと日本一の生命保険会社がタッグを組んだ会社だけであってとにかく大規模です。

 

ちなみに規模と運用リターンはある程度関係あるも(リターンが良いから資金が集まる)、展開している商品が非常に多かったり、広告宣伝費を資金が枯れることなく市場に投入できるなどの背景もあったりしますので、安直に考えないようにしましょう。

またアセットマネジメントOneは先進国、新興国のインデックス投資を扱っています。たわらノーロードはとても有名ですが、このような商品を扱っている故に規模が大きくなっている側面も必ずあります。

また商品によっては劣悪なものもあります。投信は投資家の目利きが非常に試されるのです。

 

ファミリーファンド形式の運用

「ファミリーファンド方式」とは、複数のファンドを合同運用する仕組みで、投資者からの資金をまとめてベビー ファンド(当ファンド)とし、その資金の全部または一部をマザーファンドに投資して、その実質的な運用をマザー ファンドにて行う仕組みです。

「ファミリーファンド方式

 

モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントのグローバル・チェンジ株式運用戦略を用いて運用を行うとのこと。

運用プロセス

ESG評価が入っているところが特殊でしょうか。筆者は利益を最大の目的とするので、ESG評価によって本当に株価が上昇する株式銘柄を逃さないでほしいなとこの時点では思ってしまいます。

運用の一部はそのままモルスタに委託しているようですね。

 

投資対象はESG評価(アライメント)に基づき組入比率を調整

ESG評価の部分は非常に特殊なのですが、例えば除外される銘柄は酒、タバコ、ギャンブル、化石燃料の生産、武器の製造などを事業にしている会社などです。

酒のサントリーはダメですし、高配当で大人気のタバコ銘柄、JTも除外です。米国で上場が相次いだギャンブル銘柄(eスポーツなど)もアウトです。難しいのが、上記のような銘柄は金脈を掘り当てている銘柄でもあるんですよね。

 

反対に投資対象とするのはHELP ACTと呼んでいるようです。かなり、銘柄選択には属人性が色濃く出てしまいそうですね。

 

  • HEALTH(健康) :あらゆる人々の生活の質と健康の向上をめざす
  • ENVIRONMENT(環境) :気候変動およびその影響を軽減し、地球と人々を守る
  • LIBERTY(自由) :自由、平等性、プライバシー、安全性を重視する
  • PRODUCTIVITY(生産性) :持続可能な生産・消費形態の確保およびその向上をめざす
  • AGENCY(マネジメント責任):株主との利益の方向性を一致させ、その利益の拡大をめざす経営陣たること
  • CULTURE(文化) :革新的な企業カルチャー、適応性、共通価値創造*の尊重
  • TRUST(信頼) :厳格なコーポレート・ガバナンスに基づいた適切・正確な情報開示の徹底

 

グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンドの最新ポートフォリオ

ポートフォリオを見ていきます。

 

銘柄 国・地域 業種
1 サービスナウ 米国 情報技術
2 HDFC銀行 インド 金融
3 アドビ 米国 情報技術
4 ウーバー・テクノロジーズ 米国 資本財・サー
ビス
5 ウォルト・ディズニー 米国 コミュニケー ション・サー ビス
6 アマゾン・ドット・コム 米国 一般消費財・ サービス
7 ノボ・ノルディスク デンマー ク ヘルスケア
8 ブロック 米国 情報技術
9 ビザ 米国 情報技術
10 セールスフォース 米国 情報技術

 

ESG?と目が丸くなってしまうポートフォリオでした。ECハイクオリティとはハイクオリティの企業がECに力を入れているかどうかなのでしょうか。Amazonとか資本力でしかないですよね。

もはやリターンを考えるとESGアピールしているだけの優秀な企業を入れるしかないのでしょうか?VISA・・・?

 

ポートフォリオ1位のサービスナウはシステム設定管理、ソフトウェア開発ライフサイクル管理など管理サービスを提供する会社ですね。

どの点がESGなのかの記載を見てみると、以下の通りでした。

【企業のデジタル変革を支援するプラットフォームを提供し、多様な働き方と生産性の改善に貢献する ことを目指す】 ・取締役会レベルで監督する新たに設置されたサステナブル・プログラム推進室のもとで気候変動戦略 に取り組んでいる。同組織において気候に関する諸問題をモニターし、排出量の報告を行っている。 ・業者選定プロセスにおいて、サステナブル基準を考慮した選定方針を策定している。

 

「新たに設置されたサステナブル・プログラム推進室のもとで気候変動戦略 に取り組んでいる。」とあり、そこなんですね。

どうやら筆者がESG推進する事業をメインで行っている企業に投資すると勘違いしていたようで、ESGに取り組んでいればなんでもよさそうです。そもそもポートフォリオ2位もインドの銀行ですしね。

ということは、パフォーマンスはある程度期待できるのかもしれないと思い始めました。

 

思い直して、もう一度上述の「HELP ACT」を見たところ、大きく利益をあげている企業であればどれでも当てはまりそうですね。つまりは、ギャンブルなどあからさまにグレーを感じさせる企業でない銘柄の中で投資真剣勝負ということですね。

これは期待できそうです。とはいえサービスナウ、Amazonは2022年は暴落しているので、ダメかもとも思います。

ServiceNow株価推移

 

 

基準価額と運用成績(パフォーマンス)

運用実績の推移

 

基準価額ですが、2020年の設定が10,000円でしたが今は8,000円ほどと体たらくを見せています。

単純にパフォーマンスが悪いですね。2020年7月に設定されたということは、これもまたジャブジャブな金融緩和バブルの際に生まれたファンドだったのですね。

しばらくはシンプルに期待できないと思います。

 

目も当てられないリターンですね。

 

1カ月 3カ月 6カ月 1年 3年(年率) 5年(年率) 10年(年率) 設定来
トータルリターン -4.63% -10.66% -24.47% -19.65% -- -- -- -3.50%

 

 

他ファンドとの比較(次世代通信関連世界株式戦略ファンド/デジタルトランスフォーメーション株式・ゼロコンタクト/サイバーセキュリティ株式 オープン)

2020年の株式バブルの同じような時期に組成されたファンドで比較していきます。全てしばらくダメだとは思いますが。

 

  1. 次世代通信関連世界株式戦略ファンド
  2. デジタルトランスフォーメーション株式・ゼロコンタクト
  3. サイバーセキュリティ株式オープン
  4. グローバルハイクオリティ成長株式(ESGではない方)

 

ファンド名 グローバルESGハイクオリティ成長株式(H無) G・ハイクオリティ成長株式F(H無) サイバーセキュリティ株式(H無) 次世代通信関連 世界株式戦略ファンド デジタル・トランスフォーメーション株式
運用会社名 アセマネOne アセマネOne 三菱UFJ国際 三井住友TAM 日興
基準価額 8,659円 19,813円 21,947円 13,616円 4,642円
純資産 749,261 百万円 442,812 百万円 290,844 百万円 393,040 百万円 180,952 百万円
最低申込金額 10,000円 10,000円 10,000円 10,000円 10,000円
販売手数料 3.30% 3.30% 3.30% 3.30% 3.30%
信託報酬等(税込) 1.85% 1.87% 1.87% 1.85% 1.80%
運用年数 1年 5年 4年 4年 1年
トータルリターン1年 -19.65% -26.24% -3.05% -16.85% -57.87%
トータルリターン3年(年率) -- 9.46% 18.79% 13.63% --
トータルリターン5年(年率) -- 11.20% -- -- --
トータルリターン10年(年率) -- -- -- -- --
シャープレシオ1年 -0.91 -1.19 -0.1 -0.61 -1.39
シャープレシオ3年 -- 0.45 0.75 0.63 --
シャープレシオ5年 -- 0.59 -- -- --
シャープレシオ10年 -- -- -- -- --
標準偏差1年 21.57 22.09 31.18 27.55 41.74
標準偏差3年 -- 20.89 24.95 21.77 --
標準偏差5年 -- 19.15 -- -- --
標準偏差10年 -- -- -- -- --

 

 

直近1年のリターンを見ると地獄絵図ですね。以下の4銘柄のそれぞれの分析記事でも述べましたが、2022年以降数年は金融引き締めとなりますので、単純に夢も希望もありません。次の金融緩和(つまり不況到来時)を待って購入しましょう。

 

  1. 次世代通信関連世界株式戦略ファンド
  2. デジタルトランスフォーメーション株式・ゼロコンタクト
  3. サイバーセキュリティ株式オープン
  4. グローバルハイクオリティ成長株式(ESGではない方)

全てがマイナスリターンですね。

トータルリターン相対比較チャート

 

 

テーマ株ファンドで資産形成は個人投資家の目利き次第

ここまで取り上げてきたテーマ株ファンドは、金融緩和の時には素晴らしいリターンを提供することもあります。

しかし、景気サイクル、株式市場のサイクルから考えて、リターンが出る時期は非常に限定的で、さらに損失が生じる期間はリターンが出せる期間より長くなり、長期保有はなかなかお勧めできるものではありません。

 

どんな相場でも、堅実なリターンを目指せるファンドを選べるようになってくると、運用の上級者の仲間入りだと思います。

 

 

 

最後に

投資

 

>>>個人的おすすめファンドランキング

 

私がファンドを選ぶ際に気をつけていることは、「長期で明確な戦略を実行し」、「確かなリターンをあげている」「経歴、実績共に優秀なファンドマネジャーが運用しているかどうか」、これだけです。

短期間における投資ファンドのハイリターン実績は全て無視しています。真に勝率が高い投資家は長期でみると、ピカピカな運用実績に収束します。

しかし、短期は短期。ただの運である可能性が高く、ファンドの本当の実力を測れるものではありません。

日々の膨大なニュースに翻弄され、株価の上げ下げで感情的に取引してしまう個人投資家が日本には溢れています。

しかし、投資とは自身の得意とする、勝率の高い戦略を見つけ、愚直に実行するだけなのです。これには膨大な作業量(決算読み込み、市場調査など)と強い精神力を必要とします。

このように、本当は投資とはシンプルでつまらないものです。

 

投信やヘッジファンドを選ぶ際は、この投資の考え方、哲学をしっかり持っているファンドマネジャーが在籍するファンドを選びましょう。それだけで大損することはまずありませんし、周囲の人が驚くようなリターンを自身があげていることに気づくはずです。リターンの差とはこの思考、また投資とは何かを知っているかどうかで大きく変わります。

 

勝率の高い投資戦略を愚直に実行しているファンドマネジャーが在籍するファンドを私の目でも選んでいますので、以下の記事も参考にしてみてください。

 

 

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