今までREIT(リート)投信について分析してきました。
今回はリートと並んでインカムゲインの代表格といえる債券投資について。
高金利の先進国債券に投資を行っている高金利先進国債券オープン(愛称:月桂樹)について、紐解いていきたいと思います。
もくじ
高金利先進国債券オープン(愛称:月桂樹)はどんな投信?
まずは月桂樹についてどのような投資信託かをまず紐解いていきます。
高金利先進国債券オープン(愛称:月桂樹)の投資対象
まずは月桂樹の投資対象ですが、月桂樹は先進国のソブリン債に分散投資を行う投資信託です。
ソブリン債というのは各国の政府や政府機関発行債券の総称です。
先進国国債に加え世界銀行やアジア開発銀行等の、国際機関が発行する債券も含みます。
月桂樹が投資する債券は大手格付け機関のS&P社でいうとAA以上、ムーディーズ社でいうAa以上です。
信用力の高い債券に投資しており、安全性は非常に高いものに限っています。
以下は、投資対象となる主要先進国の格付けです。
日本は財政破綻懸念が徐々に高まってきていることもあり、月桂樹の投資対象に選ばれません。
そもそも対象となったとしても金利水準が低すぎて旨味はありませんが・・・。
因みに投資対象となる主要先進国の長期金利は以下のようになっています。
オーストラリアが高金利通貨という印象が強いですが今や米国がFRBの利上げによって先進国で最も高い金利水準となっています。
高金利先進国債券オープン(愛称:月桂樹)のポートフォリオ
月桂樹の投資対象は殆どが政府債務と地方債で、社債は20%未満となっています。
また格付も70%以上がムーディーズの最高格付けであるAaaで占められています。
デフォルトリスクは殆どないといっても過言ではないでしょう。
結果としてポートフォリオから考えられるリターンは最新のレポートによると以下のようになっています。
債券は満期まで保有した場合は、現地通貨ベースで元本が返済されます。
しかし、元本までに売却する場合はキャピタルゲインやキャピタルロスが変動します。
平均直接利回りは変動する債券の時価ベースで計算した利回りで最終利回りは満期まで保有したえ場合の利回りです。
月桂樹が満期まで保有するか最終まで保有するかを判断しますので、概ね直接利回り~最終利回りの間の利子率であると考えてれば問題ありません。
概ね利回りは3%程度となっているので、米国債や社債(景気通常時)の平均利回りとあまり変わらない状態になっています。
後で説明しますが、ここから手数料を徴収されることを考えると、自分で米国債・社債でポートフォリオを組んだ方が良さそうですね。
また月桂樹は為替ヘッジを行っていないのですが、通貨分散は以下のようにやはり高い利回りが期待でき、
尚且つ信用力も高い米国債券を多く保有していることもあり、米ドルの比率が高くなっています。
高金利先進国債券オープン(愛称:月桂樹)の構成上位銘柄
以下は構成上位10銘柄なのですが高利回りが期待できる米国、豪州、ノルウェーの国債を中心とした債券で占められています。
低金利の状態が続いているので金利水準は低いものばかりとなっています。
高金利先進国債券オープン(愛称:月桂樹)の手数料
月桂樹の購入時の手数料は税込みで2.16%、信託報酬は年率税込みで1.32944%となります。
冷静に考えてほしいのですが、期待利回りが年率3%程度で、最初に2.16%、更に毎年1.32944%も取られたら殆どリターンが残りませんよね。
低利回りの投資対象で、これだけの手数料を取ってしまえば全く投資対象としては、魅力的ではないことは明らかだと思います。
高金利先進国債券オープン(愛称:月桂樹)の運用成績
いよいよ運用成績なのですが、以下は設定された2003年からのリターンです。
基準価格は減少し続けていますが、分配金を再投資することによって得られるリターンは、19年間で2倍になっています。
年率にすると3.5%程度のリターンになります。
ただ、直近はリターンは全く出ていません。
また注意していただきたいのですが、上記の結果は配当金を出さなかったベースでの数値だということです。
分配金(税引前)を再投資というのは分配金を出す以上現実的に不可能なのです。
分配金を拠出した時点で約20%の税金が徴収され1万円の分配金を拠出しても、投資家の手にわたるときには約8000円になります。
この8000円を改めて再投資した場合、更に購入手数料2.16%が差し引かれることになるのです。
実際の投資成績は上記の成績を下回る結果となります。
高金利先進国債券オープン(愛称:月桂樹)の問題点:高すぎる分配金利回りは投資家損益を悪化させる
月桂樹は高い分配金が売りの投資信託なのですが、現在の基準価格が5,000円で分配金が月額40円、
つまり年額480円なので分配金利回りは9.6%となります。
ここで、あれ先程月桂樹の投資ポートフォリオの想定利回りは3%だったのに3倍以上の分配をしているけど大丈夫?
と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
確かにその通りで、過剰な分配金をだしている為、確かに配当利回りは高いのですが、基準価格が下落していっているのです。
基準価格が下落しているということは、元本から分配金を払い出しているのです。
元本から払い出しているということは投資家が余分な税金を払っているということになります。
例えば100万円投資して配当利回りが3%であるとすると配当は3万円になります。
ここから10万円の分配金を受け取るとします。
すると元本は100万円+収益3万円-分配金10万円=93万円となります。
10万円の分配金をうけとると税金が約2万円徴収されてしまいます。
すると最終損益は93万円+分配金10万円-税金2万円 = 101万円となってしまいます。
仮に3万円分だけを配当金にだしていれば最終損益は基準価格100万円 + 分配金3万円 - 税金6000円 = 102.4万円となります。
つまり元本を取り崩した分だけ余計な税金を払う結果となっているのです。
その他にも毎月分配型投資信託の欠点について網羅的にまとめていますので、参考にしてみて下さい!
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高金利先進国債券オープン(愛称:月桂樹)のまとめ
月桂樹は格付けの高い先進国債券の中で高金利のものを選んで投資を行います。
得られる利回りに対して手数料が高いことと、また分配金を必要以上に出しすぎています。
その為、結果的に投資家に必要以上の税金を払わせる結果となっています。
はっきりいうと、経済合理性に欠けている投資信託となっています。
日本の投資信託はこのようになるべく多く販売する為に、実績以上に多く分配して投資家をひきつけるものの、実態は投資家に損となる仕組みとなっているものが月桂樹の他にも数多く存在します。
以前私が分析したゼウス投信もフィデリティ・US・リート・ファンドも同様でした。
債券投資でリターンを得たいのであれば、自分で米国の債券を分散投資をしたほうがよいでしょう。
以下では債券と同等の安定性を誇りながらも高いリターンを安定的に上げているファンドを紹介しています。
ご覧いただければと思います。