今現在普通の日本国民において、最も一般的な投資先といえば投資信託だと思います。
投資信託の中でも今現在日本の金融機関の窓口や証券会社で一般的に販売されているのはアクティブ型の投資委信託という型の投資信託です。
アクティブ型投資信託は指数に連動することを目指すパッシブ型の投資信託とは異なり指数より高い成績を出すことを目指す投資信託です。
残念ながら日本全体としてはアクティブ型の投資信託は、総じて低い成績となってしまっています。
本日は良く話題にでてくるフィデリティ・日本成長株・ファンドについて分析していきたいと思います。
もくじ
フィデリティ・日本成長株・ファンドの投資理念
フィデリティ・日本成長株・ファンドは名前の通り、フィデリティグループのグループ会社であるフィデリティ投信投資株式会社によって運用が為されています。
フィデリティは世界的に投信の運用に実績のあるファンド運用会社として知られています。
フィデリティ・インターナショナルは、世界で250万以上のお客さまに投資に関するソリューション・サービス、退職関連の専門的知見を提供しています。創立以来50年、非上場で、世界で25を超える拠点で事業を展開。運用管理総資産額(AUA)は約72.9兆円(7,063憶ドル)に上ります。顧客は、中央銀行、政府系ファンド、大手企業、金融機関、保険会社、資産管理会社から個人まで多岐にわたります。
職域および個人向け金融サービス事業では、個人、アドバイザー、経営者に世界トップクラスのさまざまな金融商品、サービスツール、管理サービスや年金関連のガイダンスを提供しています。運用総資産額(AUM)は、資産運用ソリューション・サービス事業と合わせて約55.9兆円(5,416憶ドル)にのぼります。資産運用の専門知識と、私達独自のソリューションを組み合わせることで、より良い金融サービスの提供を目指しています。(2020年12 月末日現在。為替レートは103.245円で算出)。
フィデリティグループのグローバルなネットワークによって日本だけでなく世界各地のアナリストの知見をいかして今後成長していく日本株を選定して投資を行っています。
コラム:日本株って魅力的なの??
そもそも日本株なんかに投資していて時代遅れなのではないかという意見もあると思います。
という意見もありますが日本の企業の利益は堅調に拡大しているにも関わらず現在株価が先進国の中でも非常に割安に放置されているのです。
以下は日本企業の1株あたりの利益の上昇とTOPIXの値動きですが概ね連動しています。
つまり、まだ期待を織り込んでいない段階とみることが出来ます。
更にPERやPBRといったPLとBSの側面から割安度を比較できる指標から確認しても、
以下のように米国の株式市場に対して日本の株式市場は割安に評価されているのです。
☞ バリュー株投資とは?割安指標であるPERとPBRの見方や考え方を注意点を交えながらわかりやすく説明する!
出遅れを取り戻す動きをすると考えれば今の日本株は、まだまだ仕込み時であると言えるでしょう。
フィデリティ・日本成長株・ファンドの業種別構成と注目しているテーマ
フィデリティの業種別構成比率のTOPIXとの構成比率の差です。
ざっとみわたすと電気機器や機械をオーバーウェイトする一方、銀行や小売業がアンダーウェイトしていることが分かります。
低金利政策下での銀行の基幹収益が芳しくないと考えてのことだと思いますが理に適っているでしょう。
運用責任者が注目している分野については以下の分野としています。
省エネ・省資源、自動化、新興国の消費拡大、ヘルスケア、デジタル革命
と公表されており、各銘柄もテーマに沿って特に構成上位銘柄は選ばれています。
省エネ・省資源 | 世界的な人口増加や新興国の生活水準向上などにより、限りある資源への需要が引き続き増加する見込みです。エネルギー資源を効率的に活用しつつ生活の質・水準向上に貢献するような製品・サービスへの需要が急拡大すると考えられます。 |
自動化・省人化 | 日本、ドイツ、中国など製造業への依存度が高い国々で生産年齢人口の急激が見込まれてます。自動化・省人化の手段であるファクトリー・オートメーションへの需要は今後も力強いものになると考えられます。 |
新興国の消費拡大 | 新興国において中間所得層の拡大が引き続き見込まれます。例えば、モノ消費からコト消費への変化など、消費のあり方、ニーズは移り変わりながらも、所得上昇に伴い新興国の消費需要は、より旺盛になっていくと考えられます。 |
ヘルスケア | 世界的に65歳以上の人口の増加が今後加速する見込みです。これに伴い高度な医療への需要は拡大していくと考えられ、医療機器をはじめとするヘルスケア関連の製品・サービスへの需要は今後も力強いものになると考えられます。 |
デジタル革命 | 人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)などのデジタル技術が飛躍的に発展することにより、経済・社会は大きく変化しています。デジタル技術を手がけたり、活用したりすることによりデジタル革命を牽引する企業は、引き続き高い成長が期待されます。 |
特に日本特有というところでいうと、労働人口の減少に伴う自動化分野と、高齢化に備えたヘルスケア部門に期待がもてそうですね。
フィデリティ・日本成長株・ファンドの構成上位銘柄
電気機械の構成比率が大きかったですが、構成銘柄でみると以下のようになります。
銘柄 | 業種 | 比率 | テーマ |
ミスミグループ | 卸売業 | 4.4% | 自動化・省人化 デジタル革命 |
キーエンス | 電気機器 | 4.2% | 自動化・省人化 デジタル革命 |
三浦工業 | 機械 | 3.1% | 省エネ・省資源 |
シマノ | 輸送用機器 | 2.7% | 省エネ・省資源 新興国の消費拡大 ヘルスケア |
オリンパス | 精密機器 | 2.7% | ヘルスケア |
マキタ | 機械 | 2.4% | 自動化・省人化 |
リクルートホールディングス | サービス業 | 2.3% | デジタル革命 デジタル革命 |
日本電産 | 電気機器 | 2.2% | 省エネ・省資源 |
島津製作所 | 精密機器 | 2.2% | 省エネ・省資源 |
TDK | 電気機器 | 2.1% | 省エネ・省資源 デジタル革命 |
ミスミなんて聞いたことないよという方が殆どだと思います。
ミスミはファクトリーオートメーション関連部品や金型製品を手掛けるメーカー事業と他社製品も取り扱う物流事業も行う商社的な側面も持っています。
ITを活用した独自の販売モデルも確立させており先進性も兼ね備えており更に海外のM&Aも通じて事業の拡大を行う成長が見込める企業となっています。
売上高や本業の好調さを示す営業利益についても右肩上がりであり期待できる企業です。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 当期利益 |
---|---|---|---|
2007/03 | 118,139 | 15,642 | 9,447 |
2008/03 | 126,665 | 16,317 | 9,698 |
2009/03 | 110,041 | 11,016 | 4,686 |
2010/03 | 89,180 | 8,408 | 3,885 |
2011/03 | 121,203 | 15,562 | 9,007 |
2012/03 | 130,212 | 16,646 | 9,414 |
2013/03 | 134,844 | 16,809 | 9,880 |
2014/03 | 173,904 | 18,989 | 11,678 |
2015/03 | 208,562 | 23,759 | 14,291 |
2016/03 | 240,139 | 25,690 | 16,907 |
2017/03 | 259,015 | 27,127 | 18,387 |
2018/03 | 312,969 | 34,848 | 25,601 |
2019/03 | 331,936 | 31,874 | 24,034 |
2020/03 | 313,337 | 23,640 | 16,504 |
2021/03予 | 300,000 | 20,900 | 14,900 |
ただPERは約63倍、PBRは4.3倍と結構な割高な水準となっています。
☞ 割安指標であるPERとPBRの見方や考え方を注意点を交えながらわかりやすく説明する!
典型的なグロース株の様相を呈しており、悪いニュースが出れば株価が急落する恐れがあります。
☞ グロース株投資とバリュー株投資の違いとは?どっちが魅力的なのかをデータを用いて比較して考察する。
以下チャート上は最高値をとる動きを見せており、テクニカル上は非常に期待ができる形となっています。
その他の銘柄も同様に利益は伸びているが既に割高な水準となっている銘柄が、多く組み入れられています。
フィデリティ・日本成長株・ファンドの手数料
アクティブ株ファンドは市場平均に対して高いリターンを探求するのに、
分析する調査費用がかかるので手数料がパッシブ型に対して高くなります。
フィデリティ・日本成長株・ファンドの購入手数料は3.24%で、
信託手数料は1.6524%(年率)とアクティブ型投資信託の中でも若干高い水準です。
フィデリティ・日本成長株・ファンドの運用成績をチャートとデータから分析
それでは肝心の成績に移っていきましょう。
アクティブ型のファンドなので当然のことながらベンチマークとして設定しているTOPIX(配当込み)に対してプラスのリターンを出していることは最低条件となります。
☞ アクティブ運用型とパッシブ運用型の投資信託のどちらが優れているのか徹底比較!インデックス投資は本当に最強なのか?
以下は設定された1998年から今まで20年間のリターンの比較チャートです。
基準価格は信託報酬を差し引いた後ですので、投資家が得られるリターンがそのままチャートとなっています。
ほぼ同様の動きをしておりますが、TOPIXよりも高い成績を保っている為、アクティブ型投資信託としては面目躍如ですね。
☞ アクティブ運用型とパッシブ運用型の投資信託のどちらが優れているのか徹底比較!インデックス投資は本当に最強なのか?
ただ、日経平均と比べると殆ど同じ成績になっています。むしろ、若干日経平均には劣後した動きとなっていますね。
あえて、フィデリティ・日本成長株・ファンドに投資をする妙味は薄いといえるでしょう。
フィデリティ・日本成長株・ファンドの運用成績を他のアクティブファンドとの比較から見える弱点
TOPIXに対しては+のリターンを確保していましたが、他のアクティブ型の投資信託と比較した場合どうなのかという点について見ていきましょう。
まずは直近3年間の以下5ファンド(分配金がある場合は再投資後)の比較をご覧ください。
フィデリティ・日本成長株・ファンド
ひふみ投信
ジェイリバイブ
日経平均
「ジェイリバイブ」と「ひふみ投信」が圧倒的な成績を残しているので、殆ど日経平均と同じ値動きのフィデリティ・日本成長株・ファンドが霞んで見えますね。
しかし直近3年で見てみると様相が変わってきます。
フィデリティ・日本成長株・ファンド
ひふみ投信
ジェイリバイブ
日経平均
打って変わってジェイリバイブが最も低い成績となっており、残念ながら日経平均が一番高い成績となってしまっています。
以前調子がよかったファンドも、人気となり純資産が増大すると本来得意としていた運用ができなくなり低いパフォーマンスに陥ってしまうのです。
詳しくは以下でお伝えしていますので興味のある方はご覧いただければと思います。
☞ 【ひふみ投信(レオス キャピタル ワークス)】 評判が高い投資信託(ファンド)を利回り、リスクリターンの観点から分析。
☞ 【ブログ更新】SBI中小型割安成長株ファンド「ジェイリバイブ(jrevive)」の今後をチャートから読む。2020年の損切りタイミングはいつ?
まとめ
フィデリティ・日本成長株・ファンドは日本の厳選銘柄に投資するアクティブファンドですが、日経平均と長期間にわたって同様の動きをしています。
あえて投資する妙味はないと考えています。せっかく投資をするのであれば安定的にリターンを出し、下落を免れているファンドに投資をすることをおすすめします。
以下で筆者が投資しているファンドを含めてランキング形式でお伝えしていますので参考にしていただければと思います。