投資信託

安定した成績が評判のフィデリティ・日本成長株・ファンドを徹底評価!アクティブ型投信として魅力的?

2021年3月2日

安定した成績が評判のフィデリティ・日本成長株・ファンドを徹底評価!アクティブ型投信として魅力的?

今現在普通の日本国民において、最も一般的な投資先といえば投資信託だと思います。

投資信託の中でも今現在日本の金融機関の窓口や証券会社で一般的に販売されているのはアクティブ型の投資委信託という型の投資信託です。

 

アクティブ型投資信託は指数に連動することを目指すパッシブ型の投資信託とは異なり指数より高い成績を出すことを目指す投資信託です。

残念ながら日本全体としてはアクティブ型の投資信託は、総じて低い成績となってしまっています。

本日は良く話題にでてくるフィデリティ・日本成長株・ファンドについて分析していきたいと思います。

 

フィデリティ・日本成長株・ファンドの投資理念

フィデリティ・日本成長株・ファンドは名前の通り、フィデリティグループのグループ会社であるフィデリティ投信投資株式会社によって運用が為されています。

フィデリティは世界的に投信の運用に実績のあるファンド運用会社として知られています。

 

フィデリティ・インターナショナルは、世界で250万以上のお客さまに投資に関するソリューション・サービス、退職関連の専門的知見を提供しています。創立以来50年、非上場で、世界で25を超える拠点で事業を展開。運用管理総資産額(AUA)は約72.9兆円(7,063憶ドル)に上ります。顧客は、中央銀行、政府系ファンド、大手企業、金融機関、保険会社、資産管理会社から個人まで多岐にわたります。

職域および個人向け金融サービス事業では、個人、アドバイザー、経営者に世界トップクラスのさまざまな金融商品、サービスツール、管理サービスや年金関連のガイダンスを提供しています。運用総資産額(AUM)は、資産運用ソリューション・サービス事業と合わせて約55.9兆円(5,416憶ドル)にのぼります。資産運用の専門知識と、私達独自のソリューションを組み合わせることで、より良い金融サービスの提供を目指しています。(2020年12 月末日現在。為替レートは103.245円で算出)。

参照:フィデリティ・インターナショナル

 

フィデリティグループのグローバルなネットワークによって日本だけでなく世界各地のアナリストの知見をいかして今後成長していく日本株を選定して投資を行っています。

 

〜日本株コラム〜日本株って魅力的なの??

そもそも日本株なんかに投資していて時代遅れなのではないかという意見もあると思います。

という意見もありますが日本の企業の利益は堅調に拡大しているにも関わらず現在株価が先進国の中でも非常に割安に放置されているのです。

 

以下は日本企業の1株あたりの利益の上昇とTOPIXの値動きですが概ね連動しています。つまり、まだ期待を織り込んでいない段階とみることが出来ます。

 

日本企業の利益とTOPIX(配当込)の推移

 

更にPERやPBRといったPLとBSの側面から割安度を比較できる指標から確認しても、以下のように米国の株式市場に対して日本の株式市場は割安に評価されているのです。

☞ バリュー株投資とは?割安指標であるPERとPBRの見方や考え方を注意点を交えながらわかりやすく説明する!

 

割安な水準にある日本株

 

出遅れを取り戻す動きをすると考えれば今の日本株は、まだまだ仕込み時であると言えるでしょう。

 

 

フィデリティ・日本成長株・ファンドの業種別構成と注目しているテーマ

フィデリティの業種別構成比率のTOPIXとの構成比率の差です。

ざっとみわたすと電気機器や機械をオーバーウェイトする一方、銀行や小売業がアンダーウェイトしていることが分かります。

フィデリティ・日本成長株・ファンドの株式の業種別組入状況

 

低金利政策下での銀行の基幹収益が芳しくないと考えてのことだと思いますが理に適っているでしょう。

 

運用責任者が注目している分野については以下の分野としています。

「省エネ・省資源、自動化、新興国の消費拡大、ヘルスケア、デジタル革命」と公表されており、各銘柄もテーマに沿って特に構成上位銘柄は選ばれています。

 

省エネ・省資源 世界的な人口増加や新興国の生活水準向上などにより、限りある資源への需要が引き続き増加する見込みです。エネルギー資源を効率的に活用しつつ生活の質・水準向上に貢献するような製品・サービスへの需要が急拡大すると考えられます。
自動化・省人化 日本、ドイツ、中国など製造業への依存度が高い国々で生産年齢人口の急激が見込まれてます。自動化・省人化の手段であるファクトリー・オートメーションへの需要は今後も力強いものになると考えられます。
新興国の消費拡大 新興国において中間所得層の拡大が引き続き見込まれます。例えば、モノ消費からコト消費への変化など、消費のあり方、ニーズは移り変わりながらも、所得上昇に伴い新興国の消費需要は、より旺盛になっていくと考えられます。
ヘルスケア 世界的に65歳以上の人口の増加が今後加速する見込みです。これに伴い高度な医療への需要は拡大していくと考えられ、医療機器をはじめとするヘルスケア関連の製品・サービスへの需要は今後も力強いものになると考えられます。
デジタル革命 人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)などのデジタル技術が飛躍的に発展することにより、経済・社会は大きく変化しています。デジタル技術を手がけたり、活用したりすることによりデジタル革命を牽引する企業は、引き続き高い成長が期待されます。

 

特に日本特有というところでいうと、労働人口の減少に伴う自動化分野と、高齢化に備えたヘルスケア部門に期待がもてそうですね。

 

フィデリティ・日本成長株・ファンドの構成上位銘柄

電気機械の構成比率が大きかったですが、構成銘柄でみると以下のようになります。

(2022年5月31日時点)

No. 銘柄 業種 比率 テーマ
1 オリンパス 精密機器 3.90% ヘルスケア
2 ソニーグループ 電気機器 3.80% デジタル革命
3 キーエンス 電気機器 3.50% デジタル革命・自動化・省人化
4 日立製作所 電気機器 3.40% デジタル革命・省エネ・省資源
5 ミスミグループ本社 卸売業 3.30% デジタル革命・自動化・省人化
6 東京海上ホールディングス 保険業 3.00% 新興国の消費拡大
7 村田製作所 電気機器 2.40% デジタル革命・省エネ・省資源
8 三井ハイテック 電気機器 2.30% デジタル革命・省エネ・省資源
9 オリエンタルランド サービス業 2.30% -
10 味の素 食料品 2.30% ヘルスケア・新興国の消費拡大・デジタル革命

 

以下は昨年の3月末時点のポートフォリオですが、ミスミの比率が落ち、オリンパスがトップとなっています。

銘柄 業種 比率 テーマ
ミスミグループ 卸売業 4.4% 自動化・省人化
デジタル革命
キーエンス 電気機器 4.2% 自動化・省人化
デジタル革命
三浦工業 機械 3.1% 省エネ・省資源
シマノ 輸送用機器 2.7% 省エネ・省資源
新興国の消費拡大
ヘルスケア
オリンパス 精密機器 2.7% ヘルスケア
マキタ 機械 2.4% 自動化・省人化
リクルートホールディングス サービス業 2.3% デジタル革命
デジタル革命
日本電産 電気機器 2.2% 省エネ・省資源
島津製作所 精密機器 2.2% 省エネ・省資源
TDK 電気機器 2.1% 省エネ・省資源
デジタル革命

 

オリンパスは光学機器、電子機器などを製造販売している企業です。あまりにも有名な医療事業を展開する会社です。

消化器機内視鏡は世界トップシェア、外貨用内視鏡や電気メスなどの新製品開発、販売でさらなる事業成長を目指しています。業績も右肩上がりで、ヘルスケア企業は不況にも安定した収益を挙げられる特徴があります。

通期業績推移

 

決算期

売上高

(前期比)

営業利益

当期利益

2007/3/1 1,061,786 8.60% 98,729 46,962
2008/3/1 1,128,875 6.30% 112,826 54,625
2009/3/1 980,803 -13.10% 42,722 -50,561
2010/3/1 883,086 -10.00% 61,160 52,527
2011/3/1 847,105 -4.10% 38,379 3,866
2012/3/1 848,548 0.20% 35,518 -48,985
2013/3/1 743,851 -12.30% 35,077 8,020
2014/3/1 713,286 -4.10% 73,445 13,627
2015/3/1 764,671 7.20% 90,962 -8,737
2016/3/1 804,578 5.20% 104,464 62,594
2017/03 I 740,557 -8.00% 71,192 42,783
2018/03 I 786,497 6.20% 81,029 57,064
2019/03 I 793,862 0.90% 28,281 8,147
2020/03 I 797,411 0.40% 83,469 51,670
2021/03 I 730,544 -8.40% 81,985 12,918
2022/03 I 868,867 18.90% 153,898 115,742
2023/03予 I 968,000 11.40% 206,000 154,000

 

PERは22.7倍、PBRは6.85倍となっており、割安ではないと言えますね。

☞ 割安指標であるPERとPBRの見方や考え方を注意点を交えながらわかりやすく説明する!

 

ちなみにかつてポートフォリオ一位だったミスミはファクトリーオートメーション関連部品や金型製品を手掛けるメーカー事業と他社製品も取り扱う物流事業も行う商社的な側面も持っています。

 

ITを活用した独自の販売モデルも確立させており先進性も兼ね備えており更に海外のM&Aも通じて事業の拡大を行う成長が見込める企業となっています。

売上高や本業の好調さを示す営業利益についても右肩上がりであり期待できる企業です。

ミスミ通期業績推移

 

決算期

売上高

営業利益

当期利益

2007年3月 118,139 15,642 9,447
2008年3月 126,665 16,317 9,698
2009年3月 110,041 11,016 4,686
2010年3月 89,180 8,408 3,885
2011年3月 121,203 15,562 9,007
2012年3月 130,212 16,646 9,414
2013年3月 134,844 16,809 9,880
2014年3月 173,904 18,989 11,678
2015年3月 208,562 23,759 14,291
2016年3月 240,139 25,690 16,907
2017年3月 259,015 27,127 18,387
2018年3月 312,969 34,848 25,601
2019年3月 331,936 31,874 24,034
2020年3月 313,337 23,640 16,504
2021年3月 310,719 27,199 17,138
2022年3月 366,160 52,210 37,557
2023/03予 403,500 57,300 42,000

ただこちらもPERは約21倍、PBRは3.18倍と割高な水準となっています。

上記2社は典型的なグロース株の様相を呈しており、悪いニュースが出れば株価が急落する恐れがあります。

☞ グロース株投資とバリュー株投資の違いとは?どっちが魅力的なのかをデータを用いて比較して考察する。

 

フィデリティ・日本成長株・ファンドの手数料

アクティブ株ファンドは市場平均に対して高いリターンを探求するのに、分析する調査費用がかかるので手数料がパッシブ型に対して高くなります。

 

フィデリティ・日本成長株・ファンドの購入手数料は3.24%で、信託手数料は1.6524%(年率)とアクティブ型投資信託の中でも若干高い水準です。

 

 

フィデリティ・日本成長株・ファンドの運用成績をチャートとデータから分析

それでは肝心の成績に移っていきましょう。

アクティブ型のファンドなので当然のことながらベンチマークとして設定しているTOPIX(配当込み)に対してプラスのリターンを出していることは最低条件となります。

☞ アクティブ運用型とパッシブ運用型の投資信託のどちらが優れているのか徹底比較!インデックス投資は本当に最強なのか?

 

以下は設定された1998年から今まで24年間のリターンの比較チャートです。

運用実績の推移

 

基準価格は信託報酬を差し引いた後ですので、投資家が得られるリターンがそのままチャートとなっています。

ほぼ同様の動きをしておりますが、TOPIXよりも高い成績を保っている為、アクティブ型投資信託としては面目躍如ですね。

☞ アクティブ運用型とパッシブ運用型の投資信託のどちらが優れているのか徹底比較!インデックス投資は本当に最強なのか?

 

24年間で年平均利回りは5.9%程度となります。米国インデックスファンドが20年間で7.50%であることを考えると物足りないですね。

 

ただ、日経平均と比べると殆ど同じ成績になっています。手数料など込み込みで考えると、あえて、フィデリティ・日本成長株・ファンドに投資をする妙味は薄いといえるでしょう。

フィデリティ・日本成長株・ファンドと日経平均株価の比較

 

 

 

フィデリティ・日本成長株・ファンドの運用成績を他のアクティブファンドとの比較から見える弱点

TOPIXに対しては+のリターンを確保していましたが、他のアクティブ型の投資信託と比較した場合どうなのかという点について見ていきましょう。

まずは直近3年間の以下5ファンド(分配金がある場合は再投資後)の比較をご覧ください。

 

フィデリティ・日本成長株・ファンド
ひふみ投信
ジェイリバイブ
日経平均

 

フィデリティ・日本成長株・ファンドと他のアクティブファンドの過去10年比較

 

ジェイリバイブ」と「ひふみ投信」が圧倒的な成績を残しているので、殆ど日経平均と同じ値動きのフィデリティ・日本成長株・ファンドが霞んで見えますね。

 

以前調子がよかったファンドも、人気となり純資産が増大すると本来得意としていた運用ができなくなり低いパフォーマンスに陥っていますのでご注意ください。

詳しくは以下でお伝えしていますので興味のある方はご覧いただければと思います。

☞ 【ひふみ投信(レオス キャピタル ワークス)】 評判が高い投資信託(ファンド)を利回り、リスクリターンの観点から分析。
☞ 【ブログ更新】SBI中小型割安成長株ファンド「ジェイリバイブ(jrevive)」の今後をチャートから読む。2020年の損切りタイミングはいつ?

 

 

まとめ

フィデリティ・日本成長株・ファンドは日本の厳選銘柄に投資するアクティブファンドですが、日経平均と長期間にわたって同様の動きをしています。

あえて投資する妙味はないと考えています。

 

せっかく投資をするのであれば安定的にリターンを出し、下落を免れているファンドに投資をすることをおすすめします。

投資信託の選び方・個別商品分析

 

以下で筆者が投資しているファンドを含めてランキング形式でお伝えしていますので参考にしていただければと思います。

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最後に

投資

 

>>>個人的おすすめファンドランキング

 

私がファンドを選ぶ際に気をつけていることは、「長期で明確な戦略を実行し」、「確かなリターンをあげている」「経歴、実績共に優秀なファンドマネジャーが運用しているかどうか」、これだけです。

短期間における投資ファンドのハイリターン実績は全て無視しています。真に勝率が高い投資家は長期でみると、ピカピカな運用実績に収束します。

しかし、短期は短期。ただの運である可能性が高く、ファンドの本当の実力を測れるものではありません。

日々の膨大なニュースに翻弄され、株価の上げ下げで感情的に取引してしまう個人投資家が日本には溢れています。

しかし、投資とは自身の得意とする、勝率の高い戦略を見つけ、愚直に実行するだけなのです。これには膨大な作業量(決算読み込み、市場調査など)と強い精神力を必要とします。

このように、本当は投資とはシンプルでつまらないものです。

 

投信やヘッジファンドを選ぶ際は、この投資の考え方、哲学をしっかり持っているファンドマネジャーが在籍するファンドを選びましょう。それだけで大損することはまずありませんし、周囲の人が驚くようなリターンを自身があげていることに気づくはずです。リターンの差とはこの思考、また投資とは何かを知っているかどうかで大きく変わります。

 

勝率の高い投資戦略を愚直に実行しているファンドマネジャーが在籍するファンドを私の目でも選んでいますので、以下の記事も参考にしてみてください。

 

 

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