ETF(Exchange Traded Fund)は徐々に日本の個人投資家にも浸透してきている商品ですよね。
ETFは投資信託と異なり株式市場開場中に株式と同様に取引が可能です。
指数に連動したインデックス型の投資は、投資信託に比べて低コストで実践できるのが最大の魅力です。
では結局のところETFを選ぶのであれば何がよいのか?と悩まれている方も多いのではないでしょうか。
あまりにも投資先が多くて迷ってしまいますよね。会社員の方であれば、時間も限られていますので、できるだけ効率的に良い投資先を決めたいものです。
今回は資産運用会社での経験もある私の視点で今おすすめできるETF3選を、ちょっとしたコラムも交えて紹介していきたいと思います。
おすすめETF:1位 VTI(Vanguard Total Stock Market ETF)
- 米国の株式市場全体に時価総額順に投資を行うETF
- 歴史的に一貫して成長している米国株市場の勢いをそのまま取り込める
- リーマンショックからの10年間の平均リターンは10%
- 2001年の設定時からITバブル崩壊、リーマンショックを経験しても平均年率7%を維持
- 非常に高い指数への連動率と年率0.04%と低い手数料も魅力的
- 基本的に増配傾向でインカムゲインも見込むことが出来る
総評
ETFを組成するのに定評のある「バンガード社」によって組成されている米国全体に投資するETF。
同じくバンガード社が設定しているVOOやSPDR社が設定しているSPDR S&P500指数が、米国の主要な指数であるS&P500指数に連動する大型株中心のETFであるのに対して、
中型・小型・超小型株を含め米国株式市場の時価総額の99.5%をカバーした4000銘柄を組み入れています。
バンガード社のETFシリーズについて分かり易く図解すると以下のようになります。
米国は世界で最も資本主義が確立された株式市場です。
1870年代から株式市場は、世界恐慌、二度の世界大戦、ITバブル崩壊、リーマンショック、などの大規模な危機や数多のリセッションを経験しながらも、
年率6%程度で成長をし続けています。
持ち続けていれば短期的にはマイナスを被っても、歴史的に報われ続けた魅力的な市場なのです。
市場が今後も好調に推移していくことが見込まれるのであれば、大型株主体のVOOをランキングの1位にもして良いところですが、コロナショック後の金融相場の状況を見ると、小型株を含むVTIの方がリターンがあげられると見通しています。
現在の米国は、コロナショックの影響あり金融相場です。市場に資金が大量に流れ込む時期は景気に鈍感な小型・超小型株がリターンをもたらします。
その意味で、小型・超小型株を多く含むVTIが現時点では最も魅力的なETFであると考えています。

https://www.vanguardjapan.co.jp/retail/investment-products/funds/detailview/etf/0970/equity/performance/us

https://www.vanguardjapan.co.jp/retail/investment-products/funds/detailview/etf/0968/equity/performance/us
手数料も年間0.03%とETFの中で最低水準で、配当金も年々増配していっている点もポジティブな材料ですね。
唯一懸念される点としては、金融相場が終焉し、小型株が下落相場に大きく巻き込まれることですが、一般的に金融相場は3年〜4年と長期に継続します。(大型株中心のVOOはさらに下落します)
市場の様子をみながら、資金の引き上げ時はシミュレーションしておきましょう。
私自身はVTIのようなインデックスファンドはつみたてNISAやiDeCoを活用してコツコツと少額で積み立て、まとまった資金はヘッジファンドに預け、さらに少額は株の個別株を少々趣味でいじっている程度になります。
ice break:新興国のETFは保有するべきか?
実は今回紹介するランキングの中に新興国のETFは一つも含めていません。
理由としては、まず新興国全体に投資を行っているVWOのようなETFでは構成国比率に問題があります。
新興国株式市場全体の株式市場に上場されている銘柄を時価総額順に組み入れた結果、国別の構成比率は以下のようになってしまいます。
既に先進国の水準である台湾や成長がある程度なされ中所得国の罠にはまっている、ブラジル・ロシア・南アフリカ、成長が持続不可能である中国で実に70%が占められております。
これらの国は、今後の成長に暗雲が垂れ込めています。期待できるのはインドだけという状況です。
正直このパッケージのETFに投資したいとは思いませんよね。
新興国はその成長力こそ魅力的なのですが、現在のような不況を避ける金融相場においては、先進国を中心に株高になっていきます。
特に、今回のようなコロナ相場では、生活が劇的に変化するライフシフトが起こっており、テクノロジー株が株式市場を牽引していきます。
新興国は素材、エネルギー(ブラジルやロシアは特にそうですね)などが市場を牽引する属性にある場合が多く、このような場合にはなかなか投資家の資金は流入しづらい状況となります。
ではインドやベトナムのようなしっかりと成長が見込まれる国の株式市場への連動を目指すETFへの投資はどうでしょう。
新興国単位でのETFは米国の市場のように連動率が高くなく、むしろ下方乖離率が非常に高くなっています。
理由は新興国市場の外国人投資規制や為替や売買手数料の高さなどが挙げられます。
折角想定通り株式市場が上昇しても、ETFはあまり変わらないという事態に陥りがちなのです。
おすすめETF:2位 VOO(Vanguard S&P500 ETF)
- 米国のS&P500指数に連動するETF
- 歴史的に一貫して成長している米国株市場の勢いをそのまま取り込める
- リーマンショック後からの10年間の平均リターンは10%
- 非常に高い指数への連動率と年率0.04%と低い手数料も魅力的
- 基本的に増配傾向でインカムゲインも見込むことが出来る
総評
VTIが米国株全体に投資するETFであるのに対して、VOOはS&P500指数に連動するETF。
世界最初のETFであるSPDR社によるSPDR S%P 500指数よりも低い手数料で高い連動率を実現しています。
米国市場であっても大型株と比較的大きい中型株で全体の80%以上を占有していることもあり、リターンはVTIとかなり似通っています。
日本の株式市場でも同様のことが言えるのですが、景気が悪くなると真っ先に下落するのは大型株です。
比較的大型株で構成されているS&P500指数も景気の煽りが直撃します。
現在の金融相場でも、VTIよりも大型株に偏重しているVOOの方が下落のスピードは早いので、その点は注意ですね。
おすすめETF:3位 VT(Vanguard Total World Stock ETF)
- 世界の株式市場全体に連動するETF
- 全世界の時価総額の成長を取り込める
- リーマンショック後からの10年間の平均リターンは6%
- 年率0.1%と低い手数料であるがVTIやVOOよりも高い
総評
VTIやVOOが米国株式市場だけを対象にしているのに対して、VTは全世界の株式市場に一気に投資を行うETFです。
といっても全体の40%が米国の株式市場であるため、VTIやVOOと併用することはおすすめ出来ません。
世界全体に投資を行うのには手軽でよいのですが、魅力的でない新興国や日本や欧州のような停滞している国の銘柄を数多く含んでいることから、私としてはVTIやVOOの方を推奨します。
実際この10年のパフォーマンスにかんしてもVTIやVOOが10%であるのに対して、VTは6%程度と4%程低い年率の成績となっております。
まとめ
ETFのおすすめ3選を紹介してきました。
どうしてもETFで運用をしたいというのであれば、上記の3商品が2018年後半時点では最もおすすめの投資先となります。
視野を広げて他の商品でもリターン最大化を検討したい、という方は、別途作成している個人投資家向けおすすめランキングを参考にしてみてください。
私自身は、上記のようなインデックスファンドはつみたてNISAなどを活用しコツコツ運用し、まとまった資金は下落相場も積極的にリターンを取りに行くヘッジファンドを活用し、リターンを最大化しています。
ご自身の資産の飛躍に向けて、色々と検討してみましょう。