自分の資産を着実に増やすにあたり、誰もが「とにかく早くお金持ちになりたい」と思って取り組みますよね。
しかし、実はその考え方が資産運用で最も失敗する思考です。世の中には色んな「チャンス」が転がっているように思います。
FX、個別株、レバレッジ商品、もっとひどいのは月利数%と謳う現実離れした金融商品を販売するファンドなど。
しかし、世界一の投資家であるウォーレン・バフェット氏がしきりに繰り返す言葉があります。
それは、「ルール1.損をしないこと、ルール2.ルール1を忘れない」というものです。
急いで資産を増やそうとすればするほど、資産の増加スピードは下がります。スノーボールとも言われますが、徐々に資産の増加スピードとは上がっていくものなのです。
つまり、巷には数え切れないほどの投資信託、ETFなどファンドがありますが、選び方のコツとしては「損を出さない」「長期でプラスを出している」という実績があるファンドを選ぶべきでありこれが成功の近道です。
とにかくプラスリターンで複利を積み重ねる、これが一番重要なのです。
そんな観点から、今回は日本投信である「大和住銀 日本小型株ファンド」を取り上げてみたいと思います。
大和住銀 日本小型株ファンドの特徴とは?純資産総額の70%程度を株に資金を入れる国内小型バリューファンド
「大和住銀 日本小型株ファンド」は三井住友DSアセットマネジメント株式会社が運用しています。
主要投資対象は、東証一部銘柄を除く日本の株式(JASDAQ・東証二部・マザーズ等に上場または登録されている株式)です。
主要投資対象の市場 | 概 要 |
JASDAQ | 多様な業態・成長段階の企業を対象とし、株式会社東京証券取引所が開設 した市場です。 |
東証二部 | 株式会社東京証券取引所が運営し、市場第二部の上場基準に適合し審査で 適当と認められた企業の株式で構成されている市場です。 |
マザーズ | 成長可能性のあるベンチャー企業を対象とし、株式会社東京証券取引所が 開設した市場です。 |
大和住銀 日本小型株ファンドの所属カテゴリーは「国内小型バリュー」となっており、小型株を割安で購入し株価上昇を狙っていくファンドであることがわかりますね。
純資産総額の70%程度を株に資金を入れる方針を取っています。純資産額は2021年7月31日時点で70億円程度となっています。
大和住銀 日本小型株ファンドの組み入れ上位銘柄
大和住銀 日本小型株ファンドのポートフォリオをみていきましょう。以下は7月末のデータです。
まずは業種別から。
サービス業が大きくなっています。次いで卸売業。
具体的な銘柄は以下の通りです。
コード | 銘柄 | 業種 | 市場 | 会社概要 | 組入比率 | |
1 | 5184 | ニチリン | ゴム製品 | 東証二部 | 独立系自動車ホース大手。2輪車ブレーキホース高シェア。ホンダ主体。熱交換器(IHX)も | 4.4% |
2 | 8085 | ナラサキ産業 | 卸売業 | 東証二部 | 北海道が地盤。三菱電機代理店業務が柱。農業設備、燃料、建設資材、港湾作業、建機に多角化 | 3.6% |
3 | 1716 | 第一カッター興業 | 建設業 | 東証一部 | ダイヤモンド使用のコンクリート構造物切断・穿孔工事が主力。水圧のウォータージェットも | 3.6% |
4 | 5999 | イハラサイエンス | 金属製品 | JASDAQ | 産業用継ぎ手最大手、半導体業界向けのクリーンバルブと、一般産業用油圧バルブが2本柱 | 3.5% |
5 | 7879 | ノダ | その他製品 | 東証二部 | 木質系住宅建材メーカー。繊維板にも強み。健康配慮内装材拡充。子会社で合板。全国に販売網 | 3.5% |
6 | 4659 | エイジス | サービス業 | JASDAQ | 棚卸代行で国内断トツ。地域FC等と連携し全国展開。海外棚卸代行、国内店舗サポート拡大 | 3.2% |
7 | 3355 | クリヤマホールディングス | 卸売業 | 東証二部 | ゴム、合成樹脂製ホースを日米欧で展開。運動施設・建設用床材も。子会社で尿素SCR事業 | 3.1% |
8 | 7932 | ニッピ | その他製品 | JASDAQ | ゼラチン、コラーゲン、化粧品等が主力。旧大倉財閥グループ。本社再開発へ。iPS細胞開発 | 3.1% |
9 | 9639 | 三協フロンテア | サービス業 | JASDAQ | 仮設ハウスのレンタル、販売でトップ級。仮設より大規模な本建築拡充。中期配当性向35%メド | 2.4% |
10 | 9268 | オプティマスグループ | 卸売業 | 東証二部 | ニュージーランド向け中古自動車輸出。貿易・物流・検査・自動車ローンまで総合的に手がける | 2.4% |
上位にニチリン、ナラサキ産業、第一カッター興業が並びます。非常にマイナーな銘柄が並んでおり、バリュー株ファンドを実感します。
構成銘柄トップのニチリンの株主は以下の通りとなっています。
株主名 | 持ち株 | |
比率(%) | 株式数 | |
太陽鉱工 | 22.38 | 3,217,000 |
双日 | 7.96 | 1,144,000 |
日本カストディ銀行(信託口) | 5.09 | 732,000 |
BNPパリバSec(Lux)J.FIMルクスF.UCITS | 3.74 | 537,000 |
東京センチュリー | 3.31 | 475,000 |
ステート・ストリート・バンク&トラスト・オムニバス(OM02)505002 | 2.94 | 423,000 |
みずほ銀行 | 2.6 | 373,000 |
日本精化 | 1.99 | 286,000 |
日本カストディ銀行(信託口9) | 1.48 | 213,000 |
みずほ証券 | 1.36 | 195,000 |
自社(自己株口) | 0.78 | 112,600 |
太陽鉱工と総合商社である双日が上位株主ですね。オーナー企業経営ではないようです。
業績は以下です。
売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期利益 | |
3年平均成長率 | -4.60% | -20.30% | -19.80% | -21.30% |
5年平均成長率 | 0.30% | -5.60% | -5.30% | -6.50% |
10年平均成長率 | 3.60% | 9.80% | 10.20% | 10.50% |
2020年3月のCOVID-19直撃時よりは、業績は回復基調ですね。
アクティブ型投信として一般的な手数料水準
大和住銀日本小型株ファンドはアクティブ投信として一般的な水準となっています。
購入手数料:3.3% (税込)
信託手数料:年率1.672%(税込)
購入手数料が若干高いですが、一般的な水準の範囲といえます。
大和住銀日本小型株ファンドの運用実績
肝心の大和住銀日本小型株ファンドの運用実績をみていきたいと思います。
以下は大和住銀日本小型株ファンドが運用開始となった2010年以降のチャートとなります。
実際の基準価格(橙色)と税引前分配金再投資後の基準価格(青色)との間に乖離があります。
実際には両者の間に収斂します。(分配金を出した瞬間に20.315%の税金が発生してしまうからです。)
Morning Starのデータとしてみると以下の通りとなります。
年 | 1年 | 3年(年率) | 5年(年率) | 10年(年率) |
トータルリターン | 31.87% | -0.47% | 12.11% | 18.36% |
標準偏差 | 10.87 | 20.07 | 17.23 | 17.35 |
3年でマイナスになっていることに着目します。損を出さないことに特化したファンドを選びたいからです。
1-3月期 | 4-6月期 | 7-9月期 | 10-12月期 | 1-12月期 | |
2021年 | 10.36% | -0.54% | -- | -- | -- |
2020年 | -28.10% | 18.05% | 3.59% | 7.90% | -5.12% |
2019年 | 6.78% | -2.94% | 1.47% | 14.59% | 20.50% |
2018年 | 0.14% | -2.62% | -3.86% | -19.05% | -24.11% |
2017年 | 10.53% | 5.19% | 14.19% | 10.62% | 46.86% |
ここ5年で2回もマイナスの年がありますね。厳しいですね。
マイナスを出しているのですでに選択範囲になく、TOPIXとも比べようと思いましたがそれはやめておきます。
まとめ
大和住銀日本小型株ファンドは、近年はマイナスを出してしまう年も頻発しており不安定、想定される最大損失も大きくなってきています。
過去の結果をみて、投資をするかどうかを判断する前に一度立ち止まって考えてみることを推奨します。