皆さん『物言う株主』英語でいうとアクティビスト型のファンドというワードを聞いたことはあるのではないでしょうか。
欧米風にいうとアクティブストとも呼ばれています。
日本で『物言う株主』という言葉を世に知らしめたのは村上ファンドで有名な村上世彰氏です。
彼はニッポン放送、阪神電気鉄道などに対して大量に株を購入した上で利益の上がる事業に専念させて株主価値向上を目指すよう経営陣に提言し実行させていきました。
今回はそもそも『物言う株主』つまりアクティビストとはどのようなファンドなのか?
という点をお伝えした上でアクティビストと相性がよいバリュー株投資についてお伝えしていきたいと思います。
『物言う株主』=アクティビスト型ヘッジファンドとは?
まず村上世彰氏が率いた村上ファンドですが、一般的に宣伝が出来て誰でも投資できる投資信託ではありません。
その為、私募ファンドの部類に入ります。
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私募ファンドの中にも未公開株に投資を行うPEファンドや不動産に投資を行う私募リートがありますが、
村上ファンドは主に上場企業を投資対象としておりヘッジファンドの括りに分類されます。
ヘッジファンドは、どのような市場環境であっても収益を獲得を目指す『絶対収益型』の、
ファンドであり得られた投資リターンのうちから一部を手数料として徴収する成功報酬型の報酬形態となっているという特徴があります。
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ヘッジファンドも経済を大局的にとらえて投資先を柔軟に変えるマクロファンドや、
割高の株を売り、割安の株を購入することによるロングショート戦略、
機械によって相場のうねりを取るシステムトレードファンド等多岐にわたります。
数ある戦略の一つにアクティビスト戦略というものがあります。
アクティビストは企業のある一定以上の株式を保有することにより、株式価値最大化の為に、
経営に物申して能動的(=アクティブ)に株式価値を挙げる為の提言を行います。
以下野村證券の定義を見てみましょう。
英語表記はActivist。株式を一定程度取得した上で、その保有株式を裏づけとして、投資先企業の経営陣に積極的に提言をおこない、企業価値の向上を目指す投資家のことをアクティビストという。いわゆる「物言う株主」で、経営陣との対話・交渉のほか、株主提案権の行使、会社提案議案の否決に向けた委任状勧誘等をおこなうことがある。ただし、最近では株式の保有割合が低くても、投資先企業に積極的に提言をおこなうケースもみられる。
<引用:野村証券>
株主提案権とは株主が一定の事項を株主総会の目的(議題)とすることを請求する権利であり、
総株式の1%以上を保有していれば権利を行使することが出来ます。
アクティビストは企業価値向上の為に配当金の増額を請求したり、
自己株式の取得を提案したり、時にはある企業の買収を提案したりもします。
要はPEファンドのように買収を行い経営権を取得するまではいきませんが、
株主として経営に積極的に関与して株主価値を上昇させようという戦略をアクティビスト戦略と言っています。
バリュー株投資戦略と欠点
それでは次にアクティビスト戦略と相性の良いバリュー株戦略についてお伝えしていきたいと思います。
歴史的に高い成績を残しているバリュー株投資戦略
バリュー株投資もヘッジファンドの戦略の一つです。
バランスシートを精査したうえで、どう考えても割安な企業の株価を購入して、
正当な価格まで再評価される過程で大きな利益を得ることが出来るという特徴があります。
本格的なバリュー株投資は単純な低PER・PBR銘柄への投資ではありません。
確りと財務諸表を精査して投資判断を下します。
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バリュー株投資は歴史上も有効性が確認されており、1979年以降の成績はバリュー株はグロース株を凌駕し続けています。
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更に、バリュー株投資の中でも小型株の方が高いリターンを残しているというデータも明らかになっています。
実際本物のバリュー株であるネットネット株が存在するのは地方証券取引所や東証二部の中小型株に存在しています。
本格的なバリュー株の有効性が確認された形の結果となっています。
バリュー株投資の欠点
バリュー株投資は基本的には既に割安なので下落耐性が強く上昇する時は力強く上昇し高い実績を残しています。
しかし、残念ながら一つ欠点があります。
異常なレベルの割安銘柄というのはスポットライトがあたらない小型株に多く存在しています。
ただ冷静に考える必要があります。
何故その銘柄はバリュー株として異常なレベルで割安に放置されているのかということです。
そもそも大型株であれば野村證券や大和証券、日興証券といった証券会社が抱えるアナリストによって分析されます。
仮に異常に割安水準であれば買い推奨がだされたちまち適正水準まで上昇してしまいます。
しかし、日本には上場企業が3500社近くあり、特に小型銘柄に関してはアナリストも分析しきれません。
日本の3倍の経済規模を誇る米国の上場企業数が5000銘柄未満であることを考えると日本の上場企業数は異例の多さであることがわかります。
結果として通常では考えられない価格で放置されているお宝銘柄が存在しているのです。
お宝銘柄は皆さんが注目すれば価値が再注目され価格が急騰します。
しまり、誰も気づかなければ万年割安株として放置され続ける結果となってしまう可能性もあるのです。
つまり市場からの脚光を浴びない限りは大きな利益を見込めないのです。
アクティビストファンドとバリュー株投資戦略の相性の良さ
先程申し上げた通り、バリュー株は小型株に多く存在している為市場からの脚光が浴びにくく万年割安株になる可能性を抱えています。
しかし、アクティビストヘッジファンドが株式を購入して積極的に経営陣に提言を行うことによって市場からの注目を集めることが出来ます。
アクティビストファンドが株式を大量に保有しましたというプレスリリースが出るだけで、購入企業の市場の注目が一気に急上昇します。
更に、自社株買や増配が実施されれば、今まで埋もれていた割安銘柄が本来の価値まで急上昇していくのです。
アクティビスト戦略はバリュー株投資戦略の欠点を補うことが出来るベストマッチとも言える戦略の組み合わせとなっているのです。
筆者が投資しているファンドもアクティビスト型バリュー株投資を実践しています。
☞ バリュー株投資の真髄!BMキャピタルの投資手法を実際の事例を元にわかりやすく解説。
アクティビスト型ヘッジファンド × バリュー株投資 まとめ
アクティビストは物言う株主として積極的に投資企業に口出しを行い、
能動的に株価を引き上げる活動を行う戦略です。
バリュー株は小型株に多い為、市場からの注目を浴びずらく万年割安になってしまう可能性があり、
アクティビスト戦略を組み入れることにより市場からのスポットライトを浴びせ、
適正価値まで株価を急上昇させることができる両者の組み合わせは非常に効果的となります。
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